2021年は、強炭酸水の当たり年です。
サントリー食品インターナショナルが「THE STRONG 天然水スパークリング」を、日本コカ・コーラが「アイシー・スパーク from カナダドライ」を新発売し、ペットボトル炭酸水市場が活性化しています。そこで、この2商品のほか、業界王者であるアサヒ飲料「ウィルキンソン タンサン」を含むメジャーな5商品を飲み比べ。炭酸ガスの強さや水のクリア度などを採点して評価します。
王者「ウィルキンソン タンサン」から「Amazon.co.jp」のオリジナル商品まで、5種類の強炭酸水を飲み比べます
強炭酸水の中でも、ぶっちぎりで長い歴史があり、ほかの追随を許さない絶対王者「ウィルキンソン タンサン」。ブランド誕生は1904年で、500mlペットボトルを販売開始したのは、実はちょうど10年前の2011年です。これを機に、現在の強炭酸水トレンドが盛り上がったと言っても過言ではないでしょう。
「ウィルキンソン タンサン」。ラベルに書かれた「No.1」は王者の証。レモン、グレープフルーツ、ピーチなど、フレーバータイプのラインアップも豊富です
なお、海外製品のようなブランド名ですが、その由来は、商品の元となる炭酸鉱泉を日本で発見したイギリス人、ジョン・クリフォード・ウィルキンソン氏から来ています。つまり「ウィルキンソン」ブランドは日本生まれ。また、日本では炭酸水のことを「タンサン」と呼ぶのが一般的になっている背景にも、ウィルキンソン氏が自社商品に「タンサン」と名付けたことが関係していると言われています。
「ウィルキンソン タンサン」の栄養表示成分を調べてみると、カロリーを始め、炭水化物や食塩相当量などもゼロ。きわめてピュアな中身です
飲んでみると、わかりやすい鮮烈な刺激を感じられます。
フードアナリスト、中山秀明による評価グラフ
王者の地位に納得できる、パワフルなシュワシュワ感。泡のサイズもそれが弾ける音も大きめです
サントリーからは、「サントリー 南アルプススパークリング」という既存商品がありながら、より強炭酸にこだわった「THE STRONG 天然水スパークリング」が、2021年6月29日に発売されました。
「THE STRONG 天然水スパークリング」。注目すべきはボトルのデザインです
本商品の開発背景には、「強炭酸感がユーザーに伝わりきらない」というジレンマがあったそう。そこで着目したのは、五感に訴えること。ブランド最高レベルのガス圧にこだわり抜くとともに、革新的なボトル形状をデザインしました。
印象的なのが、この“バキバキボトル”。通常のボトル開発の5倍も時間をかけ、100パターン以上のデザイン候補から選ばれたとか
つまり、炭酸水の「味」と「香り」だけでなく、目で感じられるパッケージのバキバキな形状や、触ってわかるその凹凸感、そして爽快な開栓音が鳴るキャップボトルを採用することで、五感をすべて刺激する強炭酸水が完成したのです。
内容量は510ml
なお、栄養表示成分表によると、カロリーや炭水化物はゼロですが、100ml当たりにナトリウムが0.7mg(食塩相当量0.002g)、カルシウムが0.2〜1.5mgなど、ゼロではない項目も。味に影響をおよぼしているかが気になりましたが、雑味などは一切なく、むしろ突き抜けるほどのクリアさを感じられました。
フードアナリスト、中山秀明による評価グラフ
中身の刺激も十分。「THE STRONG」の名に偽りはありません
日本コカ・コーラは、元々「カナダドライ ザ・タンサン・ストロング」を販売していましたが、2021年春に新規ブランドを立ち上げて新作をリリース。それが、“日本コカ・コーラ史上最強の強炭酸水”をウリとする「アイシー・スパーク from カナダドライ」です。
「アイシー・スパーク from カナダドライ」。レモン果汁が入った「アイシー・スパーク from カナダドライ レモン」もラインアップされています
最大の特徴は、「冷却スパーク技術」という新製法。これは、一般的に水の温度が低ければ低いほど、気体は水に溶けやすくなるという性質を活用したもの。製造時の冷却工程を改良することで、過去最高のガスボリュームの圧入に成功し、史上最強の炭酸水が誕生したそうです。
カロリーや炭水化物はゼロですが、酸味料や塩化カルシウムなどが含まれています
同社史上最強だけあって、確かにパワーはかなり狂暴。刺激の持続性は、「ウィルキンソン タンサン」に軍配が上がりますが、アタックのインパクトはこちらも十分あると思います。
フードアナリスト、中山秀明による評価グラフ
炭酸ガスが弾け飛ぶ、泡の暴れ具合もお見事!
大阪が拠点の日本サンガリアベバレッジカンパニーは、「イチ、ニー、サンガリア♪」のCMでも有名で、リーズナブルな商品価格に定評があるブランド。そんな同社の名作のひとつが、「伊賀の天然水強炭酸水」です。
「伊賀の天然水強炭酸水」。今回取り上げるプレーンのほか、レモンとグレープフルーツフレーバーがラインアップされています
俳優の小泉孝太郎さんが登場するCMでもおなじみの同商品。三重県・伊賀の天然水を使用した、クセのないスッキリとした味と、強い炭酸の刺激によるクリアな爽快感が特徴です。また、同商品はGV(ガスボリューム)が公表されていて、数値は5.0(ただし充填時。封がされていても、時間が経つとガスは少しずつ抜けていきます)。これは市販品においてはほぼ最高値と言えるレベルです。
カロリーや炭水化物はゼロ。100ml当たりに食塩相当量が0〜0.04g、ミネラル成分「シリカ」が5mg配合されています
5mg配合されている「シリカ」は、ケイ素とも呼ばれるミネラルの1種で、ポジティブな要素を持つと言われています。また、シリカを含んだ炭酸水は、他社でも販売されているので、特別珍しいというわけではなさそう。味に関しては、クリアの度合いが優秀だと感じました。
フードアナリスト、中山秀明による評価グラフ
先述の猛者たちに比べると、泡のサイズは若干小さいですが、それでも十分に強炭酸です
ラストは、Amazon.co.jpのプライベートブランド「Happy Belly (ハッピーベリー)」シリーズから。比較的に安価で、同サイトでは「ベストセラー」や「Amazon's Choice」のアイコンを冠しています。
「Happy Belly 強炭酸水 プレーン」。「伊賀の天然水強炭酸水」と同じく、レモンとグレープフルーツが別フレーバーとして用意されています
原材料は、水と炭酸のみ。日本の採水地の天然水を国内工場へ送り、ガスを充填しています。
Amazon.co.jpから製造を委託されているのは、佐賀の「友桝飲料」という飲料メーカー。カロリーや炭水化物はオールゼロですが、栄養成分の表記はありません
なお、こちらもGVが公表されていて、数値は4.8。「伊賀の天然水強炭酸水」より0.2少なく、確かに飲んでみると若干のおとなしさを感じました。
フードアナリスト、中山秀明による評価グラフ
上記4つの強炭酸水と比べると、炭酸の強さはやや控えめな印象。ほどほどの強炭酸水が好きな人におすすめです
価格.com最安価格は、2021年7月21日時点での「500ml×24本」の価格
5つの強炭酸水を飲み比べてみましたが、特に印象に残っているのが、サントリーの「THE STRONG 天然水スパークリング」。並々ならぬ企業努力とユニークさを感じました。バキバキのボトルというだけで、どことなく清涼な印象さえ受けました。ぜひ試してみてください。
コスパで選ぶならサンガリアの「伊賀の天然水強炭酸水」1択だと思います。安価ながら、クオリティは最大手の有名ブランド商品とも大差がなく、質と価格のバランスがとても優秀だと思いました。
飲料水や割り材として自分好みの1本を見つけて、2021年の猛暑を乗り切りたいですね!
食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とWebメディアを中心に編集と撮影をともなう取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。