レビュー
再販決定!

売れすぎで一時休売のビール「マルエフ」をスーパードライと飲み比べ! 味の特徴を徹底解明

2021年で最も攻めている大手ビールメーカー、それはアサヒビールでしょう。春に「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」を発売したところ、話題になりすぎて一時休売に。なお、商品特徴は以前記事にしているのでぜひご参考を(https://kakakumag.com/food/?id=16711)。

このヒットはビール業界だけでなく、全商品カテゴリーとしても2021年上半期を象徴するトピックとなりましたが、アサヒビールのフィーバーはこれだけにとどまりませんでした。9月14日に発売された「アサヒ生ビール」(通称マルエフ。文中以下はマルエフで統一)、こちらもまたもや売れすぎて一時休売となったのです。

左が「マルエフ」。この350ml缶は供給体制を整え、2021年11月24日から再発売されます。そして、右がおなじみの「アサヒスーパードライ」

左が「マルエフ」。この350ml缶は供給体制を整え、2021年11月24日から再発売されます。そして、右がおなじみの「アサヒスーパードライ」

この人気はどこから来ているのでしょうか。それを探るべく、商品特徴を深掘りリサーチするとともに、定番の「アサヒスーパードライ」と飲み比べて味わいをチェック。違いを解明したいと思います。

「伝説のビール」「幻のアサヒ」が復活

「マルエフ」のヒットはウマさだけではなく、その開発や今回の発売に関するストーリーも関係していると思います。そもそも「マルエフ」という名称は、“不死鳥(フェニックス)のような復活”という願いを込めた開発記号が由来となっています。なお、「エフ」はFなのですが、不死鳥の頭文字がPhoenixのPであることに後から気付き、幸運(Fortune)の不死鳥という由来にひっそり変えたそうです。

実は「マルエフ」、2018年に限定で発売されています。この写真は当時のもの。アサヒビールの前身である「大阪麦酒」が1900年に発売した商品がルーツの、ピルスナー(日本のビールの主流。スーパードライ、一番搾り、ヱビス、プレモルもこれ)スタイルです

実は「マルエフ」、2018年に限定で発売されています。この写真は当時のもの。アサヒビールの前身である「大阪麦酒」が1900年に発売した商品がルーツの、ピルスナー(日本のビールの主流。スーパードライ、一番搾り、ヱビス、プレモルもこれ)スタイルです

では、なぜ復活の願いを込めたのか。それは、1980年代なかばまでさかのぼります。当時、アサヒビールは「ユウヒ(夕日)ビール」と揶揄(やゆ)されるほど低迷しました。そのため、一層の起死回生、つまり復活の商品開発に燃えていたのです。試行錯誤の末に生まれたのが、古(いにしえ)の味をベースにした、まったく新しいビールの創造。それが「マルエフ」だったのです。

開発ストーリーはパッケージにも記載されています。また、不死鳥のロゴの上には「FORTUNE PHOENIX」の文字が

開発ストーリーはパッケージにも記載されています。また、不死鳥のロゴの上には「FORTUNE PHOENIX」の文字が

目指したのは、当時同社が行った嗜好調査における「苦くて重いビールから、のどごしのよいすっきりした味わいのビールへ」という消費者の嗜好変化を捉えた味。そして、1986年の2月に「マルエフ」を発売すると、これが功を奏して飛躍的な復活に導くヒットとなりました。

「マルエフ」発売当時の新聞広告。「新しい」というメッセージを強く打ち出していたことがよくわかります

「マルエフ」発売当時の新聞広告。「新しい」というメッセージを強く打ち出していたことがよくわかります

ただし、アサヒビールはこのヒットに甘んじず、翌1987年3月にさらなる大型新商品を世に送り出したのです。それが、ご存じ「アサヒスーパードライ」。このブレイクは「マルエフ」以上のインパクトで、世のビールメーカー各社が“ドライ戦争”を巻き起こすほどの社会現象となりました。

バカ売れとなった「アサヒスーパードライ」は、安定供給のために生産体制を集中せざるを得ず、いっぽうで「マルエフ」は1993年に缶を終売。業務用の樽生だけは継続販売する形となり、一部の飲食店で飲める「幻のアサヒ」として定着していったのです。

そして、2021年に改めての復活。2018年の再発売は期間や数量を限定したものでしたが、今回はパッケージをフルリニューアルして、CMも大々的に打つ(2021年10月現在は休止中なので息をひそめていますが)など、気合が入っています。

「マルエフ」はアルコール度数が4.5%とやや低めで、スペックもやさしめ。癒やしが求められる今の時代にもマッチしていると言えるでしょう

「マルエフ」はアルコール度数が4.5%とやや低めで、スペックもやさしめ。癒やしが求められる今の時代にもマッチしていると言えるでしょう

新しい「マルエフ」のキャッチコピーは「日本に、ぬくもりを。」。アサヒビールをよみがえらせた「伝説のビール」、一部でしか飲めなかった「幻のアサヒ」というバックボーンも訴求点となり、今回の大ヒットにつながったのだと思います。

ソフトでまろやか。上品な爽快感が「マルエフ」の特徴

では、いよいよ飲み比べとまいりましょう。「アサヒスーパードライ」とのスペック比較では、アルコールやカロリーなども全体的に少しだけ「マルエフ」のほうが抑えめです。

原材料は一緒。アルコール度数は、「マルエフ」の4.5%に対して「アサヒスーパードライ」は5%。カロリーは、前者の41kcalに対して後者が42kcal(ともに100mlあたり)です

原材料は一緒。アルコール度数は、「マルエフ」の4.5%に対して「アサヒスーパードライ」は5%。カロリーは、前者の41kcalに対して後者が42kcal(ともに100mlあたり)です

「マルエフ」の第一印象は、ソフトタッチでまろやかな味わい。コクやうまみがじんわりと広がり、余韻に苦みがほんのりと。上品にキレる爽快感がのどをひんやりと刺激し、抜群の飲みやすさがあります。

「マルエフ」のウリは「コクがあるのに、キレがある。」ですが、確かに納得のバランス感です

「マルエフ」のウリは「コクがあるのに、キレがある。」ですが、確かに納得のバランス感です

「アサヒスーパードライ」を飲むと、その違いがよりはっきりとわかります。こちらはコクやうまみの瞬発力は強めながら、ミドルからラストにかけてのクリアな飲み口が非常にシャープで、力強さはあってもくどさは皆無。味わいの高低差にすぐれた、ドンシャリ感が見事な辛口です。

「アサヒスーパードライ」は「マルエフ」よりもアルコール度数が0.5%多いからか、芯もやや強めに感じます

「アサヒスーパードライ」は「マルエフ」よりもアルコール度数が0.5%多いからか、芯もやや強めに感じます

スムースな飲みやすさはどちらもありますが、「マルエフ」はまろやかでいて爽快、「アサヒスーパードライ」はシャープですっきり。泡はどちらもきめ細やかで、「アサヒスーパードライ」のほうがキレが強い分クリーミーに感じました。

辛口のイメージが強い「アサヒスーパードライ」ですが、上手に注ぐと超クリーミーな泡が楽しめるのも魅力。缶からダイレクトに飲むのもウマいですが、グラスでもぜひ

辛口のイメージが強い「アサヒスーパードライ」ですが、上手に注ぐと超クリーミーな泡が楽しめるのも魅力。缶からダイレクトに飲むのもウマいですが、グラスでもぜひ

【まとめ】マルエフは「う〜ん、おいしい」。ドライは「あー!ウマい」

飲み比べた感想は、「マルエフ」はまろやかでじっくり楽しみたいビール。「う〜ん、おいしい」というニュアンスです。いっぽうの「アサヒスーパードライ」は、すっきり爽快でゴクッと楽しみたいビール。思わず「あー!ウマい」と言いたくなるイメージです。それぞれ、味に指標を付けて採点したのでこちらも参考に。

「マルエフ」の採点結果

「マルエフ」の採点結果

「アサヒスーパードライ」の採点結果

「アサヒスーパードライ」の採点結果

余談ですが、筆者の中で1980年代なかばのフェニックスといえば、マンガ「聖闘士星矢(セイントセイヤ)」で登場する鳳凰星座(フェニックス)の一輝(イッキ)というキャラクター。文字通り、不死鳥のごとく何度も復活して強敵を倒していく姿は圧巻でした。イッキ飲みはよくない飲み方ですが、11月24日に「マルエフ」が再発売された際には、本稿を参考にぜひ味わってみてください。

中山秀明

中山秀明

食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とWebメディアを中心に編集と撮影をともなう取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。

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