以前、「今夏は『ホワイトビール』が激アツ! アサヒ、サントリー、ヒューガルデンを徹底比較」を執筆しましたが、白ビールはまさに、そのタイトルどおりに白熱しており、今秋以降もいっそう盛り上がりを見せそうです。
というのも、記事内で取り上げた「ヒューガルデン ホワイト」から、ノンアルコール版が登場したからなんです。その名も「ヒューガルデン ゼロ」。2022年8月23日に発売されました。
左が「ヒューガルデン ホワイト」で、右が新発売の「ヒューガルデン ゼロ」
このデビューに乗じて、期間限定のビアガーデン「ヒューガルデン ビア・ガルデン」も、2022年10月14日まで開催中。この体験会に参加して、本家「ヒューガルデン ホワイト」とノンアルコール版「ヒューガルデン ゼロ」を飲み比べてみました!
「ヒューガルデン ビア・ガルデン」は、東京・渋谷駅から明治通りを原宿方面に向かったところにある商業ビル「渋谷キャスト」の広場で開催されています
改めて、白ビール(ホワイトビール)について簡単に解説します。白ビールは、ビールの主原料である大麦(大麦麦芽)のほかに、小麦(小麦麦芽)も使っていることが特徴。小麦は、「グルテン」というたんぱく質を多く含むため、泡もちがよく、さらにほのかな酸味をともなうフルーティーな香味(多くはバナナと表現されます)や、爽やかな口当たりも生み出します。
この白ビールの代表的なブランドが、「ヒューガルデン ホワイト」です。ベルギーのヒューガルデン村において、伝統的に作られていた小麦を使用したビールがベース。一時途絶えていましたが、1966年に同村出身のピエール・セリス氏が「ヒューガルデン ホワイト」と名付けて販売したのがルーツです。
「ヒューガルデン」に代表されるビアスタイル「ベルジャンホワイト」の特徴は、コリアンダーシード(写真の粒)とオレンジピールを使うこと。ハーバルでフルーティーな味をより醸し出します
今回新たに「ヒューガルデン ゼロ」が発売された理由は、昨今のトレンドによるもの。メーカーであるアンハイザー・ブッシュ・インベブ ジャパンの担当者が教えてくれました。
アンハイザー・ブッシュ・インベブ ジャパンの「ヒューガルデン」ブランドマネージャー、平松直子さん
特に近年は、コロナ禍による個々の生活スタイルの多様化と、健康への意識が高まった影響で、ノンアルコール飲料を好む人が増加しているそう。このトレンドは世界的なもので、特に欧米では「ソーバーキュリアス=お酒は飲めるけれど、あえて飲まない」というライフスタイルが注目されていると言います。
また同時に、ノンアルコール市場も世界的に右肩上がりで成長しており、今後も伸び続けると予想しているとか。欧米では「ヒューガルデン ゼロ」がコロナ前から販売されていましたが、先述の動きが日本でも浸透するなか、満を持して発売する運びとなったのです。ちなみに同社からは、こちらも世界的に有名な「バドワイザー」のノンアルコール版「バドワイザー ゼロ」も同じ8月23日から発売されています。
ということで、まずは「ヒューガルデン ゼロ」をスペックからじっくりチェック。
前述したコリアンダーシードとオレンジピールもしっかり使われており、ヒューガルデン独自のフレーバーは期待できそうです。そのほかは、大麦麦芽や小麦、ホップ、酵母と、一般的なビールと同様の素材が使われています。
製法の特徴としては、海外では主流の脱アルコール製法(ビールと同じ製法で醸造後、最終工程でアルコール分を除去した製法)を採用。ノンアルコールビールテイスト飲料で最も重要視される、「ビールに近い味わいとおいしさ」を実現したそうです。
アルコール表記はゼロですが、正式な度数は0.05%。日本の法令では、この数値であれば0.0%と表記できるのです。なお、エネルギーは100ml当たり27.85kcalで炭水化物は6.5g
ただ、個人的に気になったのは、液糖が使われているところ。「ということは、甘いのかな?」と不思議に思いつつ飲んでみると、確かに若干の甘さがあり、よくも悪くもひとつの個性を生み出していると感じました。
厳密にはアルコールが0.05%入っているとはいえ、お酒感はまったくといっていいほどなし。日本のノンアルビール飲料と比べると、やはりどこか舶来品ならではの陽気な遊び心を感じます
「ヒューガルデン ホワイト」らしい、ハーバルでほんのりスパイシーな風味や、バナナを思わせる果実味も健在。ややミルキーなニュアンスを持った酸味や、小麦由来ならではのやわらかなタッチもあって、余韻には軽やかなホップの香りと柑橘感が続きます。個人的には甘みがジャマですが、苦みがかなり控えめなので、いわゆる“ザ・ビール的な味が苦手な人”にはおすすめできます。
本家もコップに注いで飲み比べ。じっくりと違いを探ります
本家「ヒューガルデン ホワイト」を改めて飲んでみると、白ビールとしての安定感がピカイチ。こちらはアルコール度数5%のれっきとしたお酒ですが、自分としては本家のほうがゴクゴク飲みやすく感じました。これはやはり、「ヒューガルデン ゼロ」は甘みが気になるからかもしれません。
本家「ヒューガルデン ホワイト」は、さすがの安定した味わい。おかわりしたくなるおいしさです
実際に飲み比べるなら、筆者が訪れた「ヒューガルデン ビア・ガルデン」に参加するのもあり。「ヒューガルデン ゼロ」は550円、「ヒューガルデン ホワイト」は700円で提供されているほか、フルーツビールの「ヒューガルデン ロゼ」も700円で飲めます。
「ヒューガルデン ロゼ」は、「ヒューガルデン ホワイト」にフランボワーズの果汁を加えて作られたビール。瓶入りも市販されています
このイベントでは、「ヒューガルデン」ブランド以外のビールに、「バドワイザー」や「コロナ・エキストラ」、「グースアイランド IPA」などを取り揃えており、90分2,500円の飲み放題プランも用意されています。もちろん、お酒が進むフードも豊富に揃っているので、気になる人は公式サイトなどからチェック!
「スパイシースペアリブ」(左下/3,500円)、「ソーセージ盛り合わせ」(右下/1,200円)、「コリアンダー焼きそば」(中央上/1,300円)
白ビールは、今秋以降もいっそう盛り上がっていると前述しましたが、ほかにも2022年9月13日に、キリンビールのクラフトビールブランド「スプリングバレー」から、第2弾となる「スプリングバレー シルクエール<白>」が新発売されました。ビールの新たなトレンドとなるのか、これからも目が離せません!
食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とWebメディアを中心に編集と撮影をともなう取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。