いまやコンビニでも手軽に手に入るクラフトビールですが、「味の違いがよくわからない」「選び方が難しい」という人は少なくないはず。そこで、大定番から最近人気のビアスタイルのものまで、比較的入手しやすい銘酒を13種類ピックアップ。選び方のコツも解説します。
“すべての始まり”と言われるマスターピース「シエラネバダ ペールエール」を始め、13種類のクラフトビールを厳選紹介!
実は、日本においてクラフトビールに明確な定義はありません。小規模な醸造所で職人たちが作ったビールを手工芸品(クラフト)にたとえたのが始まりとされていて、アメリカのビール醸造者協会「ブルワーズ・アソシエーション」では、クラフトビールメーカーを
1.小規模であること
2.独立していること
3.伝統的であること
と定義しています。
ただし現在では、世界的な規模に成長したクラフトブルワリーもあり、小規模とは限りません。「マイクロブルワリーのビールこそクラフトビール」という考え方も一理あると思いますが、エントリー層向けでもある本稿ではそこにはこだわらず、入手しやすさを考慮したラインアップにしています。また、個人的には製法が自由で味わいは個性的、加えてバリエーションが幅広く、多様性も豊かであることがクラフトビールの特徴だと考えています。
クラフトビールは種類が豊富で、選び方が難しいと思う人もいるでしょう。そこで、3つのポイントで選ぶコツを解説したいと思います。
ビアスタイルとは、ビールの種類のこと。発酵方法や麦芽の種類、副原料の使い方などで分類されます。パッケージにビアスタイルが載っていない場合もありますが、飲んで気に入ったビールがあれば、そのビアスタイルを覚えておくのがおすすめです。これからクラフトビールに挑戦する人は、本稿を最後まで読めば多少はその世界を理解できるはず。
また、アルコール度数や原材料で選ぶという方法もあります。度数は言わずもがなですが、小麦を使っているビールはまろやかさや甘み、酸味がありがちで、オーツ麦はよりやわらか。ラクトース(乳糖)は、甘みが出てきがちです。なかにはフルーツやスパイスを使っているものもあるので、ラベルや缶の文字情報は要チェックです。
キリンビールの「スプリングバレー シルクエール<白>」。原材料名に麦芽の詳細は書いてありませんが、最後のほうに「※原料の一部に小麦麦芽を使用しています」と記載あり。同商品のビアスタイルは「ウィートエール」です
なお、マニアックなスペックにIBU(国際苦味単位)、SRM(色度数)、ファイナルグラビティ(発酵終了時の麦汁糖度)などがありますが、表記していない銘柄がほとんどなので、最初は気にしなくてよいかと思います。
ただ、IBUはビール同士の苦味を比較するには役に立つかもしれません。目安として、日本で最もメジャーな「ピルスナー」は15〜25で、白ビールは10〜20弱、苦みの強い「IPA(インディアペールエール)」はおおむね50〜100。ミッケラー(後述)にはIBU3000というやりすぎな銘柄もあります。
生産国で選ぶのも手です。クラフトビールはワインやウイスキーほどテロワール(土地の自然環境)の影響を受けませんが、国民性やトレンドが反映されがち。たとえば、古くからビールを作っているベルギーやドイツは他国より伝統製法を重んじますし、逆にクラフトビール新興国のアメリカ(ただしクラフトビールというカルチャーはアメリカ発)や北欧は自由で、新潮流的なビアスタイルがよく生まれます。
こちらはスウェーデンの「オムニポロ」。北欧は遊び心をもったブルワーが多く、糖類、フルーツ、ナッツ、コーヒー、樽熟成などを駆使したビール作りが得意な印象です。ちなみに「オムニポロ」は、家具量販店「IKEA」向けの低アルビールも開発
直感を信じて、見た目から入るのもアリです。クラフトビールは味だけでなく、瓶や缶のパッケージデザインも個性的なブランドが多め。アートや音楽とのつながりが強いから、というのが理由のひとつですが、“ジャケ買い”してみるのもひとつの方法です。
デザインの視点で最も有名なクラフトブルワリーが「ブルックリンブルワリー」。「アイ・ラブ・ニューヨーク」で知られるデザイナーのミルトン・グレイザー氏がロゴを手がけました。また、マスターブルワーのギャレット・オリバー氏は、もともとロックバンドのマネージャーです
ここからは、代表的なクラフトビールを紹介します。
「○○が入ってないぞ」「○○なら○○のほうがよくね?」「○○のビアスタイルを入れたほうがいいのでは?」といったことを思う人もいるかもしれませんが、入手しやすさなど総合的に判断していることをご了承あれ。ただどうしても、一部筆者の好みが出ている点も否めませんので、その辺はご容赦ください。
テレビCMで宣伝されているクラフトビールと言えば、キリンビールの「スプリングバレー」です。同社はクラフトビールに最も力を入れている大手メーカー。持ち前の販路などを生かし、多くのコンビニで手軽に買えるようにした、その立役者が「スプリングバレー 豊潤<496>」です。比較的新しいブランドですが、やはりその功績は見逃せません。
「スプリングバレー 豊潤<496>」【SPEC】●アルコール度数:6%●ビアスタイル:「IPL(インディアペールラガー)」●容量:350ml。よく見ると左右でデザインが異なるのは、左が2023年のリニューアル版だから(右はひとつ前のモデル)
「SPRING VALLEY 豊潤<496>」は、「キリンラガービール」の約1.5倍の麦芽を使い、ホップは5品種をブレンド。また、発酵中にホップを投入して7日間じっくり漬け込むなど、同社独自の「ディップホップ製法」という香り付けで、苦味は抑えながら芳しい香りを実現しているのが大きな特徴です。
海外のビールはあまり泡もちに特徴をもたせませんが(むしろ逆。ドイツでは液体が少ないと法律違反になるとか。ただ後述する「ギネス」は例外)、泡好きな日本市場を狙うこちらは、ふわとろの泡も特徴
知名度、歴史、ストーリー、デザインなど、さまざまな面で日本を代表するクラフトビールと言って間違いないのが、ヤッホーブルーイングの「よなよなエール」です。企業や商品のファンを増やして事業拡大するファンマーケティングでも有名で、名物フェス「よなよなエールの超宴」は、コロナ前の2018年には5000人規模の動員を記録しました(2019年は台風で中止)。
「よなよなエール」【SPEC】●アルコール度数:5.5%●ビアスタイル:「アメリカンペールエール」●容量:350ml
「よなよなエール」は、米国発祥のアロマホップ「カスケード」の柑橘類を思わせるフレッシュな香りと、やさしいモルトの甘みが特徴。なお、ヤッホーブルーイングの創業者は星野リゾートの星野佳路代表で、星野氏がアメリカ留学中に出会ったクラフトビールの味が「よなよなエール」のベースとなっています。
ネーミングには「特別な夜だけでなく、毎晩エールビールを楽しんでほしい」という思いが込められています
1980年創業。全米No.1ペールエールであり、「すべての始まり」「永遠の名作」とも称される“クラフトビール of クラフトビール”が「シエラネバダ ペールエール」。アメリカ初のマイクロブルワリーは19世紀までさかのぼりますが、近年で確立されたクラフトビールのムーブメントは、シエラネバダが火付け役なのです。
「シエラネバダ ペールエール」【SPEC】●アルコール度数:6%●ビアスタイル:「アメリカンペールエール」●容量:355ml。ブルワリーは、米国カリフォルニア州につらなるシエラネバダ山脈のふもと「チコ」という都市にあります
ホップの世界では代表的な「カスケード」「センテニアル」「チヌーク(あるいは「コロンバス」)」の各頭文字を取って、このレジェンド3種を「3C」と称しますが、なかでも「カスケード」は王様的存在。この「カスケード」を大胆に使って世に広めたのも「シエラネバダ ペールエール」の功績です。
松を思わせるリッチでグラッシー(草原的)なビター感、グレープフルーツ的なシトラスフレーバーがお見事。苦味と果実味が心地よく、何杯でも飲みたくなるおいしさです
1988年創業。アメリカンクラフトブルワリーにおいて、西のレジェンドがシエラネバダ(カリフォルニア)であれば、東のレジェンドがNYのブルックリンブルワリーです。日本ではこちらのほうが有名で、入手もしやすいと思います。
「ブルックリンラガー」【SPEC】●アルコール度数:5%●ビアスタイル:「アメリカンアンバーラガー」●容量:350ml。伝説的なロゴについては、前述したとおり
同ブルワリー創業以前は、環境や治安が悪かったブルックリン。その状況を変えていったのが、多くのアーティストでした。そして、彼らの芸術や音楽をビールで応援し(無料で提供するなど)、街の発展に貢献したのがブルックリンブルワリーです。マスターブルワーもアートや音楽に造詣が深く、そこからインスピレーションを受けてビールを作ることも珍しくありません。
メインのホップはこちらも「カスケード」。ただ、エール(上面発酵)ではなくラガー(下面発酵)なのでより爽快で、なおかつホップ由来のハーバルで華やかな柑橘香も絶妙です
小麦を使うことが特徴的な白ビール。ビアスタイルを細かく分類すると、前述のキリンビール「スプリングバレー シルクエール<白>」の「ウィートエール」や、ドイツの「ヘーフェ ヴァイツェン」など多種多様にありますが、なかでも有名なのが「ベルジャンホワイト」の「ヒューガルデン ホワイト」です。現在は世界的なビールメーカー「アンハイザー・ブッシュ・インベブ(AB InBev)」傘下で、ベルギーほか、アメリカや韓国などでも作られています。
「ヒューガルデン ホワイト」【SPEC】●アルコール度数:5%●ビアスタイル:「ベルジャンホワイト」●容量:330ml。日本においては、瓶タイプであれば基本的にベルギー産
「ベルジャンホワイト」の特徴は、小麦麦芽のほかにコリアンダーシードやオレンジピールを使っていること。そのため、ハーバルかつスパイシーで、果実味としてはバナナを思わせるフレーバーが印象的です。飲み口はサラッとスッキリしており、爽快感も抜群。
ベルギービールの代表格とも言える名酒。飲みやすさもピカイチで、「ビールは苦手だけど、『ヒューガルデン』なら飲める」という人がいることにも納得です
白と来れば次は黒。であれば、あの「ギネスブック」の生みの親であり、黒ビールの世界的ブランドであるギネスの「ドラフトギネス」は外せません。原産国はアイルランドで、ダブリンのセント・ジェームズ・ゲート醸造所で作られています。
「ドラフトギネス」【SPEC】●アルコール度数:4.5%●ビアスタイル:「スタウト」●容量:330ml。黒ビールには「ポーター」や「シュバルツ」などさまざまなビアスタイルがありますが、「ギネス」は「スタウト」。そのなかで世界一の販売数量を誇るブランドです
ギネスの特徴のひとつが、クリーミーな泡。これは、ビールに窒素を含ませているから。そしてこの製法による「ナイトロジェンビア」(窒素ビール)として世界で初めて売り出したのが「ドラフトギネス」です。また、缶でも同様のおいしさを実現するため、1988年に発明したのが「フローティング・ウィジェット」という白いカプセルです。
缶内に封入されたカプセルには窒素が入っており、開栓すると圧力によってそのガスが放出。一気に約300万もの泡が生成されるため、超クリーミーに。ロースト麦芽の甘みや、やさしいのどごしも絶品です
近年のクラフトビアスタイルの2大トレンドをあげるとすれば、「ヘイジーIPA」(後述)と「サワー」。そして後者、サワービールのルーツがベルギーの「ランビック」であり、その代表銘柄が「カンティヨン グーズ」です。
「カンティヨン グーズ」【SPEC】●アルコール度数:5.5%●ビアスタイル:「ランビック」●容量:375ml。賞味期限は約20年! ビアスタイルは「グーズ」という「ランビック」です。数年前まで、ラベルがベルギー・ブリュッセル名物の「小便小僧」でした
「ランビック」は、ブリュッセル近郊の野生酵母で醸造したビールだけが名乗れるビアスタイルで、樽熟成させた「ランビック」と若い「ランビック」をブレンドしたものが「グーズ」。なお、カンティヨン醸造所は門戸を開放し、秘伝の製法を世に広めたことも、世界から愛されている理由です。まあ、ほかの地域では「ランビック」とは名乗れないんですけどね。
味わいは、野生酵母ならではの酸味とチーズ的な香りが特徴で、ナチュラルワイン好きな人にもおすすめ。ちなみに、サワービールのビアスタイルとしては、塩やコリアンダーを使う「ゴーゼ」や、ドイツ発祥の「ベルリナーヴァイセ」などのほうが商品数は多いです
いよいよ「IPA(インディア ペールエール)」を紹介します。なぜ「インディア」かというと、ペールエール発祥国のイギリスが昔、植民地だったインドに船で運ぶ際、腐敗しないように大量のホップを入れたことが由来(ホップはハーブの一種で殺菌作用があるとか)。そのため、苦味が強いのです。
「IPA」はそのあと、アメリカで爆発的な人気を博し、2000年代ごろから西海岸エリアを中心に、より苦く鮮烈な香りの「ウェストコーストIPA(アメリカンIPAとも)」と呼ばれるビアスタイルが確立されます。この「ウェストコーストIPA」の名酒も紹介したいところではありますが、ここでは英国・スコットランドのブリュードッグ「PUNK IPA」を取り上げます。
「PUNK IPA」【SPEC】●アルコール度数:5.4%●ビアスタイル:「IPA」●容量:330ml。アルコール度数は「IPA」ながら強すぎない5.4%。この一本を飲んでクラフトビールにハマったファンも多いはず
ブリュードッグの創業は2007年で、「PUNK IPA」のスゴさは第一においしさ。さらに、アメリカ中心だったIPAムーブメントのなかで彗星のごとくスコットランドから現われ、「英国にも刺激的でウマいIPAはあるぜ」というアティチュード(姿勢)を見せたことだと思います。これぞペールエール大国からのアンサーであり、その後、多様に銘柄をリリースする姿はまさに英国パンクロッカー、ジョー・ストラマーの「Punk is attitude, Not style」そのもの。
通常の40倍以上のホップを入れるなど、採算を度外視しているそうですが、レシピうんぬんよりおいしさが傑出。刺激的でありながら上品な気高さすら感じるバランスのよさで、たとえるなら“ビタースイートシンフォニー”
米国における「ウェストコーストIPA」について前述しましたが、その後、アルコール度数が低めの「セッションIPA」も人気に。そして2010年代に入ると、今度は東海岸エリアを中心に、ホップの苦味は控えつつ、南国果実的なジューシー感を高めた「ヘイジーIPA」が台頭します。今でも、最も人気のビアスタイルだと言っていいでしょう。
「ヘイジーIPA」の元祖はアルケミストというブルワリーの「ヘディートッパーIPA」だと言われていますが、この銘柄は米国でも希少なため、ここでは比較的入手しやすい名作を。それが「Mind Haze」です。なお、「ヘイジーIPA」は東海岸生まれということで、「イーストコーストIPA」や「ニューイングランドIPA(NEIPA)」とも呼ばれます。
「Mind Haze」【SPEC】●アルコール度数:6.2%●ビアスタイル:「ヘイジーIPA」●容量:335ml。カリフォルニアのブルワリーですが、いまや同商品はブランドを代表する一本に
香りは、オレンジやマンゴー、ライチやパイナップルなどの果実の風味が広がります。いっぽうでほのかにグラッシーな苦味があり、このフルーティーさとマイルドなビター感が絶妙なバランス。「ヘイジーIPA」のお手本のようなおいしさだと言えるでしょう。
「HAZY」とは濁りのことで、でんぷんによるものだとか。「Mind Haze」にもにごりはしっかりあります。なお、最近では西海岸と東海岸のハイブリッド系「ノースウエストIPA」がワシントン州を中心に生まれていて、注目のトレンドです
特定の醸造所をもたないファントムブルワリー。そのなかで最も有名なのが、2006年にデンマークで設立されたミッケラーです。実験的でアーティスティック、時に奇想天外でアバンギャルドなビール作りは世界中に衝撃を与え、影響を受けたブルワリーも数知れず。日本でも人気で、東京・渋谷と神田に飲食店を構えています。
「ビアギーク フラットホワイト」【SPEC】●アルコール度数:7.5%●ビアスタイル:「オートミールスタウト」●容量:330ml。コーヒー豆とラクトースを使っています
ミッケラーの銘柄は多種多様。真面目(?)な「ペールエール」や「IPA」系も多数揃えており、これらのほうが入手しやすいのですが、本稿では他社とかぶるので、ぜひ同社らしい「ビアギーグ」シリーズ(濃厚で攻めた味が多め)のコーヒー系も試していただきたい(フルーツ系やサワー系もおすすめ)。そこで選んだのが「ビアギーグ フラットホワイト」です。
オーストラリアやニュージーランドで人気のコーヒースタイル「フラットホワイト」をイメージ。コーヒー風味はそこそこですが、凝縮されたロースト感と甘さがしっかり。この個性はさすがです
サッポロビールの功績のひとつが、「ソラチエース」というホップを生んだことです。ざっくり解説すると、1984年に北海道の空知で生まれたものの、当時の日本では香りが個性的すぎて商品化には至らず。やがて海を渡り、米国で人気に火が付き、前述のブルックリンブルワリーが「ブルックリン ソラチエース」で世界的にヒットさせました。その後2019年、満を持して本家から発売されたのが「SORACHI 1984」です。
「SORACHI 1984」【SPEC】●アルコール度数:5.5%●ビアスタイル:「ゴールデンエール」●容量:350ml。「ソラチエース」はホップ業界における「ペンパイナッポーアッポーペン」。今で言えばシティポップ現象と言えるかもしれません
個人的に、ホップの魅力を知るためにイチオシの品種が「ソラチエース」だと思います。というのも、「ブルックリン ソラチエース」のほか、常陸野ネストビール(このブルワリーも素敵)の「ニッポニア」にも使われているのですが、どれもひと口で「これソラチエースだ!」とわかるアロマを感じられるからです。
味の特徴は、ハーバルでフローラルな優美さと、はっさくなど和柑橘の風味をまとったしっかりした苦み。どこかパッションフルーツやココナッツ的なフレーバーに、ひのきを思わせる和のウッディーな香りも
人気のビアスタイルを語るうえで、欠かせないのが「セゾン」です。これはベルギー南部発祥で、かつて農家が夏の作業中にノドを潤すため、農閑期である冬に醸造したビールのこと。日本ではヤッホーブルーイングの「僕ビール君ビール」が有名ですが、ここでは同等にメジャーなファーイーストブルーイングの「Far Yeast 東京ホワイト」を取り上げます。
「Far Yeast 東京ホワイト」【SPEC】●アルコール度数:5%●ビアスタイル:「セゾン」●容量:350ml。ファーイーストブルーイングは、日本におけるベルギー系クラフトビールの雄(ベルギー系ではリオ・ブルーイング・コーも有名)
味はほどよくライトボディーで、やさしい甘みにフルーティーな酸味も。さらに軽やかなスパイス感もあって、心地いい爽やかさが特徴です。「ホワイト」という名称で、味わい的に白ビールとも近いので、白ビール好きはぜひお試しを。
女子ウケしそうなかわいらしいデザインも特徴
最後は、個人的な嗜好も入るのですが、ぜひ知っていただきたい燻製ビール「ラオホ」を紹介。これは17世紀にドイツで生まれたビアスタイルで、きっかけは火事だったとか。元祖と言われるのが、ヘラーの「シュレンケルラ ラオホビア」シリーズで、日本では富士桜高原麦酒の「ラオホ」が傑作です。
「ラオホ」【SPEC】●アルコール度数:5%●ビアスタイル:「ラオホ」●容量:330ml。燻製麦芽を使っているのが特徴で、「ラオホ」とはドイツ語で煙の意味
1997年創業の富士桜高原麦酒は、国内ブルワリーでは老舗にあたる作り手で、ドイツ仕込みの醸造技術をベースにしているのも特徴。「ラオホ」を醸造する数少ないブルワリーでもあり、そのうえ受賞歴も多い実力派です。この「ラオホ」はブナのチップを使っており、スモーキー香はもちろん、モルトの甘みやロースト感も秀逸です。
ウイスキーではスモーキーな「アイラモルト」が人気を確立していますが、ビールの「ラオホ」の知名度は道半ば。アイラ好きには絶対に試していただきたい!
今回紹介した13本は、クラフトビールの専門店でなくとも、コンビニ、スーパー、ディスカウントショップ、一般酒販店などで比較的入手しやすいものが中心。ブルワリーの別銘柄もぜひチェックを
最後にまとめとして、4つの方向性で分類したのでこちらも参考にしてみてください。ここまで長文で解説してきましたが、最後まで読んでいただければ、なんとなくクラフトビールの魅力や選び方がわかっていただけたのではないでしょうか。
あくまでも、筆者であるフードアナリスト・中山秀明のおすすめ13選です。クラフトビールの世界はとことん深い!
食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とWebメディアを中心に編集と撮影をともなう取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。