レビュー

フォアグラのような濃厚な鶏レバー「グラフォア」とは? 日本ハムの意欲作をレビュー

日本ハムが、まるでフォアグラのような新商品「グラフォア」を開発しました。めちゃくちゃ気になりますよね?

ベースは、鶏のレバー。こちらを活用し、研究に1年以上かけて、フォアグラのような贅沢で高級感のある味わいに近づけたそうです。同社では正式販売の前に、クラウドファンディングサービス「Makuake」で、2023年3月29日から期間限定発売。同年6月からは、日本ハムのEC「Meatful」でも発売が予定されています。

一体どんな狙いで開発されたのか、そしてどんな味わいなのかを、フォアグラを使った商品を別途用意して食べ比べてレポートします。

左が「グラフォア」のセット。トリュフをきかせた特製バルサミコソースが付いています。右は「ラベリ」というメーカーの「フォアグラ入り鴨肉リエット」(パテに似た、フランス伝統の加工肉)

左が「グラフォア」のセット。トリュフをきかせた特製バルサミコソースが付いています。右は「ラベリ」というメーカーの「フォアグラ入り鴨肉リエット」(パテに似た、フランス伝統の加工肉)

「グラフォア」開発の狙いとは?

そもそもフォアグラとは、鴨やガチョウ、アヒルの肥大した肝臓のこと。キャビア、トリュフと並ぶ世界三大珍味のひとつとしても知られています。

フランス語で直訳すると「Foie(フォア)」は肝臓、「gras(グラ)」は肥満したという意味で、エサを大量に与えて育てるのですが、こうした生育方法に異を唱える議論が年々増加。欧州など主要生産国においても生産を禁止する国や地域が増えており、日本の輸入量も減少傾向です。

そこで、食品として利用しきれていないものから、フォアグラの濃厚な旨味と滑らかな口どけを再現できないかという発想を基に、このたび日本ハムが「グラフォア」を開発したのです。

クラウドファンディングサービス「Makuake」のイメージ画像

クラウドファンディングサービス「Makuake」のイメージ画像

その真価を知るべく、さっそく調理していきましょう。

油は引かずにフライパンで数十秒焼くだけ

「グラフォア」は冷凍食品で、まずは食べる3時間前に冷蔵庫に移して解凍します。あとは焼くだけというきわめて簡単な調理方法。特製バルサミコソースは数分で解凍でき、味わう際にお好みでかける仕様です。

今回手配したのは「Makuake」のメディア用サンプル。レシピも付いていました

今回手配したのは「Makuake」のメディア用サンプル。レシピも付いていました

焼くにはフライパンを使いますが、油は引かなくてもOK。温めておいたフライパンに「グラフォア」を並べ、こんがりするまで両面を焼けば完成です。

テフロン加工ではないタイプのフライパンを使いましたが、油を引かなくてもくっつきませんでした

テフロン加工ではないタイプのフライパンを使いましたが、油を引かなくてもくっつきませんでした

調理時間もスピーディー。強めの中火で片面40秒、もう片面は30秒が目安です。なお、油が不要であるいちばんの理由は、「グラフォア」自体にしっかり脂が閉じ込められているからでしょう。写真でもわかるように、焼くと脂がジュワッと染み出てきます。

特製バルサミコソースをかけて調理完了。その味わいは!?

特製バルサミコソースをかけて調理完了。その味わいは!?

ちなみに、香りにレバーっぽさは感じません。どちらかと言えば、温めた豚油(ラード)や鶏油(チーユ)を思わせる甘やかな方向性で、鴨らしさは弱いもののおいしそうな香りであることは間違いありません。

肉の甘みが印象的で、どこかナッティーな旨味も!

まずはソースがかかっていない部分から試食。こんがり焼かれた表面は香ばしく、中はしっとりふんわりしていて、滑らかなタッチも。そのままネットリとけていき、濃厚かつ贅沢な口どけです。

味わいは先述したような肉の甘みが印象的で、どこかナッティーな旨味からフォアグラとの親和性も感じます。そして、このおいしさをさらに格上げしているのが特製バルサミコソース。少量ながらも、使われているトリュフがいい仕事をしており、高級感を演出しています。

ソースにはトリュフの黒い粒も。少量ながら、高級感は十分!

ソースにはトリュフの黒い粒も。少量ながら、高級感は十分!

考えてみれば、鶏レバーを「グラフォア」のベースにするのは最適解のひとつと言えます。鶏のレバーには「白レバー」と呼ばれる部位があり、これは肝脂肪のこと。つまり、鶏版のフォアグラと言えるものです。

しかも、本物のフォアグラのようにエサを大量に与えるわけではなく、鶏が自然に蓄える肝脂肪が「白レバー」。数十羽〜数百羽に1羽からしか取れないと言われる希少な部位ですが、高級焼き鳥店などはお目にかかれ、「いわゆる鶏のフォアグラです」とうたうお店も少なくありません。

こちらは以前、希少部位を得意とする焼き鳥店で撮影した白レバー串

こちらは以前、希少部位を得意とする焼き鳥店で撮影した白レバー串

では、本物のフォアグラと食べ比べるとどうでしょう? ということで、フォアグラ入りの鴨肉リエットと比べました。

ラベリはフランスのメーカー。フォアグラは20%入っており、ネットリ濃厚な部分がフォアグラだと思われます

ラベリはフランスのメーカー。フォアグラは20%入っており、ネットリ濃厚な部分がフォアグラだと思われます

瓶内から、できるだけフォアグラらしき部分をすくって食べてみると、こちらもネットリしっとりしていて濃厚。ペーストとして用いられることを前提に加工されているからか、一般的なフォアグラよりクリーミーで、凝縮感の豊かな味わいです。

焼いたらジュワッととけてしまいそうな重厚感。本物のフォアグラはさすがです

焼いたらジュワッととけてしまいそうな重厚感。本物のフォアグラはさすがです

ただ、改めて「グラフォア」と交互に食べ比べてみると、リッチな旨味や濃厚な口どけなど、「グラフォア」にもフォアグラ的な要素が感じられました。料理としてはペーストとソテーで別物ですが、結果、「グラフォア」はフォアグラのよさをしっかり表現できていると思いました。

【まとめ】ほかの料理と組み合わせるのもおすすめ

6月以降の一般発売も気になるところ。反響やいかに?

6月以降の一般発売も気になるところ。反響やいかに?

今回はシンプルにソテーで「グラフォア」を味わいましたが、ほかの肉料理にプラスオンする食べ方もおすすめです。「Makuake」では牛肉のパティと一緒に味わうハンバーガーセットが売られていますし、フォアグラを使ったメニューでは「ロッシーニ風」というステーキ料理も有名なので、ぜひお試しあれ。

取材協力:「Makuake」

中山秀明

中山秀明

食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とWebメディアを中心に編集と撮影をともなう取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。

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