レビュー

1缶660円でも安い! 完売必至のサントリー「白州」新ハイボール缶

「1缶660円(税込)は、強気な価格設定ではないですか?」。

サントリーのある新製品発表会に出席した記者からはこのような声があがっていましたが、筆者としてはむしろ破格であり、価格以上の価値があると思いました。

そのある新製品とは、「サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶」のこと。2023年6月6日に数量限定で発売されます。

2023年2月1日に行われた「サントリーウイスキー100周年 記者会見」にて。右側が「サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶」(希望小売税込価格660円)。左側の缶については後述します

2023年2月1日に行われた「サントリーウイスキー100周年 記者会見」にて。右側が「サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶」(希望小売税込価格660円)。左側の缶については後述します

では、なぜ価格以上の価値があると言えるのか、その理由を飲み比べレビューとともに解説しましょう。

日本のウイスキーは世界中で大人気! シングルモルトの「白州」は高嶺の花

まずは背景から。

2023年は日本におけるウイスキーのメモリアルイヤーで、サントリーの創業者・鳥井信治郎氏がのちにニッカウヰスキーを創業する竹鶴政孝氏らとともに、日本初のモルトウイスキー蒸溜所「山崎蒸溜所」を建設着手した1923年から100周年を迎えます。

大阪府にある「山崎蒸溜所」。2023年秋のリニューアルを目指し、現在は改修中です

大阪府にある「山崎蒸溜所」。2023年秋のリニューアルを目指し、現在は改修中です

そして、「山崎蒸溜所」と双璧をなす「白州蒸溜所」は、それから半世紀後の1973年に竣工。加えて、2023年は「キリンディスティラリー 富士御殿場蒸溜所」の創業50周年にも当たるなど、いつにも増して日本のウイスキー業界は盛り上がっています。

数年前に配布されていた「サントリーシングルモルトウイスキー 白州」のパンフレットより。山梨県北杜市白州町の森の中にあるのが特徴で、マザーウォーターは南アルプスの天然水

数年前に配布されていた「サントリーシングルモルトウイスキー 白州」のパンフレットより。山梨県北杜市白州町の森の中にあるのが特徴で、マザーウォーターは南アルプスの天然水

そういった記念の一環としてサントリーから発表されたのが、「サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶」の限定発売です。なお、同時に「サントリープレミアムハイボール〈山崎〉350ml缶」(冒頭写真左側の缶)も発表され、2023年8月8日に発売されます。

いずれにせよ数量限定発売ですし、「サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶」は発売前からECサイトなどで予約の抽選販売が実施されているぐらいなので、店頭でお目にかかれる機会は少ないかもしれません。それにそもそも、「シングルモルト」と呼ばれる、単一の蒸溜所で作られたモルトウイスキーは簡単に大量生産できないので、世界的に希少価値が高まっています。

山崎蒸溜所の樽貯蔵庫。ウイスキー作りは、ある意味自然との対話。熟成にも時間がかかり、ジャパニーズウイスキーは700L以下の木樽で3年以上、日本国内で貯蔵・容器詰めすることと定義されています

山崎蒸溜所の樽貯蔵庫。ウイスキー作りは、ある意味自然との対話。熟成にも時間がかかり、ジャパニーズウイスキーは700L以下の木樽で3年以上、日本国内で貯蔵・容器詰めすることと定義されています

そのなかで特に近年人気なのが、ジャパニーズウイスキーの「シングルモルト」。人気の理由は、ジャパニーズウイスキーのさまざまな銘柄が世界的な品評会で高評価を獲得するようになったから。世界一の栄誉に輝くことも珍しくなく、たとえば「サントリーシングルモルトウイスキー 白州」の場合、25年熟成は「ワールド・ウイスキー・アワード2020」で、「ワールドベストシングルモルトウイスキー」を受賞しています。

こちらは国内マイクロディスティラリーの雄・ベンチャーウイスキー(秩父蒸溜所、「イチローズモルト」で有名)の国際アワードの数々。2013年の取材時にて

こちらは国内マイクロディスティラリーの雄・ベンチャーウイスキー(秩父蒸溜所、「イチローズモルト」で有名)の国際アワードの数々。2013年の取材時にて

日本では、2014〜2015年にNHKで放送された連続テレビ小説「マッサン」の影響も大きかったと思います。そもそも「マッサン」とは前述した竹鶴政孝氏のことで、「山崎蒸溜所」の建設にまつわるストーリーも展開されました。

こうした人気を背景に、日本の「シングルモルト」は年々希少に。「サントリーシングルモルトウイスキー 白州」も例外ではありません。近年では、酒販店でも普通に買うことは難しくなっています。今でも何とか、ウイスキーを得意とするバーなどでは良心的な価格で飲むこともできますが、安いお店でも1杯1,000円程度はするでしょう。

ゆえに、「サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶」の希望小売税込価格660円というプライスは、個人的にはむしろ破格であり、価格以上の価値があると思うのです。

飲み比べたら、その違いに驚かされた!

では、「サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶」はどんな特徴があり、どんな味わいなのでしょうか。テイスティングでチェックしていきます。

こちらが「サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶」。アルコール度数は9%

こちらが「サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶」。アルコール度数は9%

気になるのは、公式サイトの商品紹介にある「ハイボールに合う白州モルト原酒のみを厳選し、心地よいスモーキーな香りとフルーティな味わいが特長です。」という説明文。つまり、市販されている白州のモルト原酒ではなく、この製品用に厳選したものを使っているということでしょう。

側面の情報はこちら。原材料はモルト(モルト原酒)と炭酸のみで、同社の「角ハイボール 350ml缶」に入っているレモンスピリッツなどは使われていない、直球勝負のレシピです

側面の情報はこちら。原材料はモルト(モルト原酒)と炭酸のみで、同社の「角ハイボール 350ml缶」に入っているレモンスピリッツなどは使われていない、直球勝負のレシピです

公式サイトには「グラスに氷を入れておいしくお飲みいただけるようブレンドしました。」ともありましたが、本家「サントリーシングルモルトウイスキー 白州」の自作ハイボールと比較するため、氷は入れずにグラスに注ぎました。そして香りからチェックすると、これまたビックリです!

液色もしっかり。炭酸ガスはきめ細かい印象です

液色もしっかり。炭酸ガスはきめ細かい印象です

「心地よいスモーキーな香りとフルーティな味わい」とはありましたが、ここまでスモーキーさを前面に出すとは。というのも、確かに「サントリーシングルモルトウイスキー 白州」にはほのかなスモーキーフレーバーがありますが、本製品は想像を超えるたくましい燻香。

このサプライズ感に心が踊り、パッケージを振り返ると、そこには書いてあるじゃないですか、「香るスモーキー」の一文が! よりパワフルなピーテッドモルトウイスキーまでとはいきませんが、「サントリーシングルモルトウイスキー 白州」のグリーンな果実味を生かしたスモーキーフレーバーが、実に心地よくて贅沢です。

このサイズのグラスなら、氷を入れれば3杯は十分飲めそう。絶対お得だと思います

このサイズのグラスなら、氷を入れれば3杯は十分飲めそう。絶対お得だと思います

次は「サントリーシングルモルトウイスキー 白州」で自作のハイボールを作って飲んでみました。「サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶」と同じ、9%のアルコール度数になるように測って作りました。

「サントリーシングルモルトウイスキー 白州」のアルコール度数は43%。ウイスキー1に対して、炭酸水は約4です

「サントリーシングルモルトウイスキー 白州」のアルコール度数は43%。ウイスキー1に対して、炭酸水は約4です

飲んだ感想は、こちらはよりなじみ深い白州のハイボール。「サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶」ほどではないもののスモーキーフレーバーがあり、青リンゴや新緑を思わせるフルーティーなボタニカルテイストやウッディな甘みも感じられます。

そして、味わいのほかに違いを感じたのは炭酸ガスのアタックです。自作ハイボールのほうは強炭酸の「THE STRONG 天然水スパークリング」を使ったのですが、「サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶」は心地よくきめ細かなタッチ。製品で言えば「ザ・プレミアムソーダ FROM YAMAZAKI」(山崎の天然水で仕込まれたハイボール向きのソーダ)のような、シュワッと染み込むような刺激を感じます。

自作のハイボールは強炭酸ならではのバチッと鋭いキックがあって、これはこれで絶品

自作のハイボールは強炭酸ならではのバチッと鋭いキックがあって、これはこれで絶品

さらに並べて比較すると、「サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶」のほうが濃い色をしています。やはり同じ「白州」とはいえ、ベースに使うモルト原酒が違うのでしょう。なお、樽は材質や大きさなどによって千差万別なので、色が濃いからと言って熟成年月が長いとは言い切れません。ただ、スモーキーな「サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶」にはこの濃いめの色がよく似合うと思います。

並べて比べると、色の違いは明らか

並べて比べると、色の違いは明らか

【まとめ】贅沢な時間を過ごせること間違いなし!

改めて気になるのは、「サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶」にはどんなモルト原酒を使ったのかということ。「サントリーシングルモルトウイスキー 白州」は、ノンエイジよりも12年、18年、25年もののほうがスモーキー香を感じるブランドですし、過去には数量限定で「白州 ピーテッドモルト」というシリーズも展開しています。

今回のテイスティングでは、「もしかしたら、超希少なモルト原酒を使っているのかも」と想像をふくらませる、贅沢な時間を過ごせました。

モルト原酒のクオリティーの高さがよくわかる本製品。大自然を感じる味なのでアウトドアにも合いますが、もし入手できたらじっくりと味わうことをおすすめします!

モルト原酒のクオリティーの高さがよくわかる本製品。大自然を感じる味なのでアウトドアにも合いますが、もし入手できたらじっくりと味わうことをおすすめします!

なお、前述したように8月には「サントリープレミアムハイボール〈山崎〉350ml缶」が発売され、同秋には蒸溜所の見学も再開されるのでいっそう業界は盛り上がることでしょう。ウイスキーシーンには、ますます注目です!

中山秀明

中山秀明

食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とWebメディアを中心に編集と撮影をともなう取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。

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