毎年すぐれたゲームを表彰する「The Game Awards 2019」で3部門を受賞し、世界中で高い評価を獲得したPS4向けゲーム「DEATH STRANDING」。言わずと知れた小島秀夫監督の作品で、唯一無二の世界観と斬新なゲームシステムや、ドラマ「ウォーキング・デッド」のダリル役を務めたノーマン・リーダスを主人公役に起用するなど、大いに話題になりました。
この「DEATH STRANDING」をPS5向けにリマスターした「DEATH STRANDING DIRECTOR’S CUT」が、2021年9月24日に発売されました。初めてプレイする人はもちろん、すでにPS4版をプレイ済みの人もデータを引き継いで、新しい武器・装備・乗り物などの新要素が楽しめる仕様です。
この「DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT」に、3連休をごっそり持って行かれるほどハマってしまった筆者が魅力を解説します。
「DEATH STRANDING」の世界では、死者が幽霊のような"BT"と呼ばれる存在となって生者を襲い、分断された世界で人類は滅亡の危機にさらされています。主人公のサム・ポーター(ノーマン・リーダス)が、世界で唯一のライフラインとなった"配達人"として世界を旅し、各地で孤立する都市や人々とのつながりを取り戻していくというのが、本作のストーリーです。
ゲームスタイルは、視点こそTPS(三人称視点)ですが、銃で敵を蹴散らしていくのではなく、「目的地まで安全に荷物を運ぶ」ことを主流としたプレイスタイルとなります。
そんな「DEATH STRANDING」に新要素を加えて、PS5向けにリマスターされたのが「DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT」です。新規ユーザー向けに序盤のヒントやガイドが見直され、よりプレイしやすくなっています。
PS5ならではの特徴として、「ハプティックフィードバック」や「アダプティブトリガー」「3Dオーディオ」により没入感が向上しているのもポイントです。もちろん、SSDによる高速ロードにも対応し、遠く離れた施設間をワープする「フラジャイルジャンプ」もストレスなく行えるようになりました。
グラフィックは4K/60fps(ダイナミック4K)の「パフォーマンス」か、ネイティブ4Kの「画質優先」から選べるほか、「ワイドモード」をONにすれば、21:9のウルトラワイドな視点でゲームをプレイ可能です。PS4版の時点で十分美しかったグラフィックですが、さらに息をのむほどの美しい仕上がりになっています。
ワイドモードOFF
ワイドモードON
「DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT」は、「スタンダードエディション」と「デジタルデラックスエディション」の2種類があり、下記のような内容になっています。
「スタンダードエディション」
・DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT本編
「デジタルデラックスエディション」
・DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT本編
・ブリッジズ制式配送班スーツ2種(ゴールド/シルバー)
・パワーグラブ2種(ゴールド/シルバー)
・BBポッドカスタマイズ2種(カイラルゴールド/オールリフレクター)
・デザインパッチ
・公式アートブックデジタルセレクション版と限定ミニサウンドトラック
・限定アバターセット
「DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT」の「デジタルデラックスエディション」
また、PS4版を持っている人は、1,100円(税込)で「デジタルデラックスエディション」を購入可能です。
なお、PS4からPS5へのデータ引き継ぎにも対応していますが、引き継ぎのためにはPS4版ディスクをPS5でプレイし、コンバート用のセーブデータを作成する必要があります。データ版「DEATH STRANDING」を購入した人であればPS4版をアンインストールしてしまっていても再ダウンロードすれば大丈夫ですが、ディスク版でプレイした人はPS4版「DEATH STRANDING」が手元にないと、そもそも引き継ぎできないので、ご注意ください。
「DEATH STRANDING」を初めてプレイする人は、そのままイチから進んでいけば新要素を含めて小島監督が描き出す世界をバッチリ楽しめます。筆者はPS4版をクリア済みだったので、セーブデータを引き継いでプレイしました。
新要素や新装備はストーリーの進行やミッションの攻略によって解除できますが、引き継ぎデータでは最初からプレイしなくても、指定のミッションをクリアしに行けば入手可能です。
とはいえ、装備の使い方から戦闘方法まですっかり忘れての再プレイとなり、「何をどうすればいいかわからん」状態だったのですが、そんな人におすすめの新要素として「訓練場」が実装されているので安心です。
練習するのに便利な新要素「訓練場」
各拠点にある配送端末に「訓練場」の項目が追加されており、中に入ると入手済みの各種武器を試し撃ちできます。また、訓練場内で「演習」というミッションを受けられ、これが勘を取り戻すのにめちゃくちゃ役立ちました。
たとえば、「[ストランド] ミュールを全て倒せ」というミッションでは、ストランドでエリア内にいるミュール(人型の敵)全員を縛り上げるというもので、達成までのタイムが計測されます。加えて「完全ステルス」などのポイント加算システムも用意され、スコアに応じて総合評価が決定します。
演習に失敗してもゲームオーバーになることはないため、いくつか簡単な演習を行い、総合評価が「S」になるまでプレイしたら、しっかりブランクを埋められて安心して旅立つ準備ができました
演習の一覧
PS4版からの引き継ぎデータの場合、新しい建造物はすべて解除された状態で始まるため、PS4版では出会えなかった建造物を楽しむのもアリでしょう。未解除の新要素の情報はメールに届いているため、ガイドに沿って依頼をクリアしていけば、新しい装備や新しい乗り物などを体験できるようになります。
新要素の「メーザー銃」。敵を一時的に行動不能できる
新武器などをひと通り触ってみたところ、確かに序盤にあるとかなり役立ちそうなモノがいくつもあり、「PS4版のときにコレがあれば……」とほんのり苦い思い出がよみがえりました(笑)
遠くまで荷物を飛ばすことができる新建造物「荷物カタパルト」
なお、公式トレーラーでは新アイテムとして「メーザー銃」「サポートスケルトン」「自動追従ロボット」、ミュールの新武器「固定機銃」、新建造物の「荷物カタパルト」「ジャンプ台」、新モードとして「訓練場」「レース場」が紹介されています。
ミッションを進めていくとさらなる新要素が解除されていくので、じっくり楽しめるボリューム感と言えるでしょう。
フレンドと走破タイムを競い合って遊べる新モードの「レース場」
ここまでに紹介した新装備は、入手するのに特定のミッションをクリアする必要があるのですが、そういったミッションの中にはストーリーに関連するストーリーミッションもあります。とあるミッションでは、依頼主が実在するゲームタイトルについて話す場面があり、クリアの報酬としてそのゲームをオマージュしたアイテムを入手できました。これが、ゲーマーであれば思わずクスッとしてしまうこと間違いなしのアイテムになっていて、新要素の中でも非常に楽しめるポイントです。
小島監督の作品らしく、あのダンボール箱も登場します
また、「J」と名乗る人物からもミッションを依頼されるのですが、初めての報酬がサムの顔のデザインを変化させるアイテムでした。このライン(下記画像)、サイバーパンクなゲームをプレイした人ならもう気付いたのではないでしょうか。
あの"サイバーパンク"なゲームのキャラがデスストの世界に迷い込んでしまい、報酬としてあちらの世界のハッキング技術や、アイテムがもらえます。わかる人はテンションが上がるやつですね!
「DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT」をプレイしてみて、最初は大型エピソードなどの追加がないことから、既存ユーザーはあまり楽しめないのでは? と思っていました。しかし、それは大きな間違いで、前述の通り十分に楽しめる要素が詰まっていて、3連休をガッツリ持って行かれてしまいました。
そしてデスストを未プレイでPS5を持っているなら、間違いなく「買い」の一作です。豪華な俳優陣が次々と登場する、ポストアポカリプスなストーリーに引き込まれる映画のようなゲームを、よりプレイしやすくなってイチから体験できるのですから。
「できることなら、記憶を消してもう一度最初からプレイしたい……!」、そう強く思える作品です。
最新ガジェットとゲームに目がない雑食系ライター。最近メタボ気味になってきたので健康管理グッズにも興味あり。休日はゲームをしたり映画を見たりしています。