知っておかなきゃ損するかも!? なモノの裏側をのぞき見!

ついに2ndライブが決定した注目のARアイドル「AR performers」の真価を問う

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サブカルチャーがメインストリームとなった昨今、アニメ好きであることは特別なものではなくなりつつあります。今回は、そんな、いわゆる“オタクカルチャー”の中でも近年特に盛り上がっているライブ型作品に、マニアックなエンタメコンテンツに目がないライターがフィーチャーしました!

ライブ型作品はいくつかありますが、熱狂的な人気を博しているのが、2次元アニメコンテンツを生身の俳優が演じる演劇・ミュージカル作品=“2.5次元”や、昨年の「KING OF PRISM by PrettyRhythm」の大ヒットに代表される、観客がスクリーンに向かってペンライトを振り、声援を送りながらアニメを鑑賞する「応援上映」と呼ばれる観客参加型ライブ上映です。CD不況と言われながらもライブやフェスの動員は右肩上がりであるように、その時、その場所でしか得られない“一度きりの体験”の希少性と、仲間とともに“共有”する臨場感が、人々の心を掴んでいるのではないでしょうか。そんなトレンド要素を兼ね備えながら、さらに一歩先を行く“2.5次元”のライブコンテンツが、今、注目を集めています。その中でも強いこだわりを持って作られている「AR performers」について、生みの親である内田明理プロデューサーにインタビューするとともに、その真価を掘り下げていきます。

株式会社ユークス プロデューサー・内田明理さん

株式会社ユークス プロデューサー・内田明理さん

「AR performers」とは?

AR performersは、4人の男性キャラクターで構成されるデジタルアイドル。ネーミングに“AR”を掲げていることからもわかるように“AR”(拡張現実)技術を応用し、2Dアニメライクに3Dモデリングされた仮想キャラクターたちがステージで華やかに歌い、踊るライブを披露します。このように聞くと初音ミクが思いだされますが、初音ミクのライブコンテンツは機械的なプログラミングを制御して再生しているだけに過ぎません。AR performersはただ歌い、踊るだけではなく、リアルタイムで観客とやり取りができてしまう、2次元の枠を超え、限りなく3次元に近い臨場感を携えた“新たな2.5次元”なのです。その注目度はビジネス面においても顕著。2017年1月に開催された1stライブと同タイミングで、大手レコード会社・エイベックスとのアーティスト契約が発表されるやいなや、AR performersを手がけるゲームメーカー「ユークス」の株式は連日ストップ高を記録。2017年7月には2ndライブも決定しており、いろいろな面から今後の躍進が見逃せない存在なのです。

<関連記事>AR performersのライブの様子はレポート記事でチェック!

「AR performers」実現への道のり

AR performersを生み出した内田プロデューサーは、これまで乙女向け恋愛ゲーム「ときめきメモリアル Girl's Side」シリーズや、キャラクターとの1対1のリアルな会話に的を絞り、一世を風靡した「ラブプラス」シリーズといった人気ゲームを多数世に送り出してきました。AR performersは、そんな内田プロデューサーがユークス入社以前から構想を温めてきたという、“2次元のキャラクターが生でお客さまの相手をする”、真の意味で“リアル”なデジタル・ライブコンテンツを実現したもの。その構想の源には、現在、スマホアプリゲームなどを筆頭に、デジタルコンテンツのほとんどが「無料化」が当然の世の中になっているからこそ、マネタイズをいかに図るか、という戦略的な想いがあったと言います。

内田:今のエンターテインメント業界は、パッケージが売れません。しかし音楽がフェスやイベントが巨大ビジネスを形成しているように、ユーザー体験自体をビジネスにしたものは拡大しています。特に、僕が以前手がけた乙女向けコンテンツのイベントでは、キャラクターたちとリアルタイムで空間を共有できたことに泣いて喜んでくださるお客さまもいらして、本当に熱い熱を感じていました。それをシンプルに形にするとどうなるのか? というと、「2次元のキャラクターが生でお客さまの相手をすること」だろうと思い至ったのです。そこになら、お客さまも「お金を払う価値がある」と感じてくれるはず。これまでのキャラクタービジネスは、「再生コンテンツ」でしかありませんでしたが、技術が発展したことで、ビジネスモデルが変わっていくのは必然です。キャラクターそのものが生きているほうが、よりリアルに感じられるわけですから。

― 今は初音ミクのライブなどもありますし、技術的にもそれが可能であると?

内田:モーションキャプチャー、ホログラフィック・スクリーンなどの基本技術は確立していますから、実際のステージに2Dキャラクターを立たせることは容易です。特に、僕の構想に賛同してくださったユークスは海外のプロレスゲームなどで名を馳せている開発会社。3Dのキャラクターを高いクオリティで動かす、非常に抜きん出た技術を持っています。社長も、ぜひ一緒にやりましょうと言ってくださり、ユークスの濃いメンバーを集めてAR performersのプロジェクトがスタートしました。

― 最先端の技術として注目を集めているVRではなく、ARコンテンツをチョイスしたのはなぜ?

内田:このプロジェクトに関しては、VRにしようとは思わなかったです。「生の体験」を考えた時、VRは残念ながら、今は“閉ざされた個人体験”に成らざるを得ない。かつ、インフラを揃えるのも高額。みんなで一度に体験するライブにはならないと思ったのです。VRとARの明らかな違いは、VRは世界をすべて作ってしまわなければならないこと。お金がかかると同時に、世界が限定されてしまう。でもARなら、ライブ会場にキャラクターを立たせて、お客さまが手に触れるようなリアリティで観ていただけます。「体験価値」と「その場でしか生まれない感動」を重視した時、僕は今のところ、VRのヘッドセットよりも、ARを使ってライブ会場に大きな疑似空間を作るのが最適だと思いました。

― とはいえ、AR空間の構築にも、難しさはあったのでは?

内田:実際始めてみると、簡単なことではなかったですね(笑)。たとえば、音声をキャプチャーして口を動かすことも、ホログラフィックのスクリーンへリアルタイムのグラフィックを投影し集中制御することも、理論上は可能なのに実はとても難しいということがやってみて初めてわかりました。実地の開発スタートは2015年10月くらいからでしたが、2016年4月の初お披露目ライブ「AR performers β LIVE」を終えてからも、“技術的な戦い”は現時点でも続いています。

プロフェッショナルな個々のチカラが1つの命を生み出す

内田プロデューサーが言う、“技術的な戦い”は文字どおりの技術面のことだけではありません。AR performersの最大の魅力でもあり、もっともハードルの高い部分、そう“キャラクターに命を吹き込む”仕組みです。AR performersはただ映像を再生し、機械的なプログラミングを制御するデジタルコンテンツとは異なり、その場で創出しているのがポイント。しかも、踊りや動きを担当する「Aキャスト」、歌とトークを担当する「Vキャスト」、そして情報を制御するテクニカルスタッフの3人が三位一体となり、バックステージでひとりのキャラクターを演じているのです。ひとりのキャラクターを1人が担当してリアルタイムで演じることはほかのコンテンツでも聞いたことはありますが、複数人で操作するというのは類をみないのではないでしょうか。

内田:よそのコンテンツの詳細はわかりませんが、僕は2次元だからこそ完璧なものを追及したかった。実際の人間では、歌もダンスもうまい人は限られます。だから、AR performersはそれぞれをそれぞれのプロに一任することで完璧を求めました。Vキャストさん、Aキャストさんともにみなさん、キャリアのある方ばかり。動きの芝居をする役者と声と歌を担当するボイスアクターが、ふたりでアイコンタクトを取りながら演じているのです。

― 演者や技術スタッフは、会場のどこにいらっしゃるのですか?

内田:実は、通信環境さえ整えば場所はどこでもかまわないのですが、現段階では会場にモーションキャプチャーができるスタジオを作り、会場モニターやステージモニターを並べて、アクターさんたちがステージ上の自分の姿と客席を見ながら演じています。その芝居をリアルタイムでCGレンダリングし、ホログラフィックモデルとして出力していくというアクロバティックな職人技が裏で繰り広げられているのですよ(笑)。ただ、CGにくわしい方はおわかりでしょうが、生のキャプチャーデータでそのままCGモデルを動かしてしまうと、情報密度の違いから必要以上にぐにゃぐにゃしたり、目線とカラダの動きが合わずにかなり不気味な動きになってしまうもの。そこを独自のプログラムで機械的に制御し、ノイズを省いて自然な動きを実現しているのです。顔の表情も、視線制御プログラムを使って自然な目線を実行し、口の動きは、あらかじめボイスアクターの音の波形データを採取しておいて、それに合わせてリップシンクさせています。技術スタッフを含めて、スタジオ内だけでも総勢20名ほどの大所帯で1ステージを作り上げているので、かなり手間とコストはかかっています(笑)。

― 楽曲を歌い踊る時のダンスパートは、あらかじめプログラミングされているのですか?

内田:完全に動きがプログラムされているとライブ感が出ないので、されているものと、されていないものが混在していますが、かなり、自由度は高くしています。僕はAR performersを「現代の人形浄瑠璃」と称しているのですが、ものすごい緊張感の中で一期一会の舞台のために、演者やスタッフみんなが本気で職人芸を披露してくれています。それが実に美しく、チームメンバーがまるでテレパシーでシンクロしているようで、現場では何度も奇跡が起きます。キャラクター同士が歌でバトルする企画をやった時は、その奇跡に役者自身が感動して、勝ったキャラクターのチームメンバーが本気で泣きだして、感極まった様子がステージのキャラクターにもそのまま反映されていました。それが、お客さまにも本物の感動として伝わるのが、2D、3Dの再生コンテンツからでは生まれない、AR performersならではの魅力だと思います。

1stライブでは話の流れからレオンくんがステージ脇からひょっこり顔を出すことも。これは台本なのか、アドリブなのか、すべてが自然すぎてわかりません

一歩踏み込めばハマってしまう、“内田ワールド”のおそろしさ

技術的なことを含め、デジタルコンテンツビジネスを新しい感動を持っていかにマネタイズしていくかという内田プロデューサーの先見性が生んだAR performersですが、主役であるキャラクターたちと彼らが住んでいる世界に魅力がなければ、ユーザーの心を掴むことは不可能。そこで重要なのが、確固とした“内田ワールド”の構築とキャラクター作りへの強いこだわり。内田プロデューサーがキャラクター作りでもっともこだわっているのは、ライブの演出同様にキャラクターたちの存在を、いかにリアルに感じてもらえるかにあると言います。なかでも、乙女コンテンツの流行に乗らず、キャラクターの造型をリアルに作り込むという話は「ときメモ」時代より内田プロデューサーを知っている筆者にとっては、“らしいなぁ”という気持ちになりました。

内田:昔から、“生っぽい人間”を感じるキャラクターを作ることをモットーとしています。だから、骨格も衣装も3D的におかしくないようにすることはゆずれません。服飾的に現実的ではないものは違和感につながるので、脱ぎ着ができないデザインや無意味なデコレーションは却下します。さらに、男性らしい男性キャラクター、女性らしい女性キャラクターにすることも、僕の好み的に絶対ですね。そんなこともあり、デザイナーには面白みがなくて嫌がられてしまうのですが(笑)、AR performersは動きを物理演算しているので、服の飾りや髪の毛が非現実的だと造型が崩れてしまいます。キャラクターがターンした時に布がどう動くかも想像できないと僕はイヤなので、衣装は実際にパターンも取れますし、布の素材設定もちゃんと決まっているんですよ。

― 楽曲にも、ホンモノ志向を貫かれていますよね?

内田:もともと僕が音楽好きなので、音楽として純粋に聴いてもいいものを求めました。その作曲を依頼したのは、EXILEやSMAPにも楽曲提供をされている平田祥一郎さん。一流のVキャストにキャラクターの声をお願いしているのだからこそ、歌も一流にしたい、本物のアーティスト同様に歌で感動させたいという思いがあり、いわゆるアニソン、キャラソンのような「キャラクターの歌としては上手いよね?」というレベルではなく、プロのボーカリストが歌う、プロの音楽屋にも評価されるレベルのクオリティで、EDMなど旬の音楽性を盛りこんだグローバルな音楽としています。AR performersは、ただのアイドルキャラクターではなく、新しい形のアーティストとして人間のように成長させていきたいと思っていますし、その実力もあるので、今後はリアルなアーティストとのコラボレーションや、生バンドの演奏をバックにライブを行うといった音楽的なチャレンジにも果敢に挑戦したいですね。

2017年3月にはこれまでのシングル5曲を収録したメジャーデビュー・ミニアルバム「A’LIVE」がリリース。一般的な、いわゆる“キャラクターがうたう歌”とはちょっと違うレベルの楽曲にハマっちゃうかも!

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― ライブ中にスマートフォンフォンを振って応援し、ライブに参加できるアプリ「ふれフレ」も面白い試みですよね!

内田:「ふれフレ」については、生体験と臨場感を高める演出コンテンツであると同時に、AR performersの今後のマネタイズにつながるキーアイテムのひとつです。たとえば、応援システムを「ふれフレ」というアプリゲームに紐付けるなど、今までの興行ビジネスの仕組みを変える可能性もあるでしょう。それは、AR performersだけでなく、あらゆるイベントで利用できるビジネスモデルになり得えるはず。AR performersのライブシステム、「ふれフレ」の演出システムは、興行ビジネスのショーケースだと思っています。

推しキャラクターに応援メッセージを送るだけでなく、たとえば写真のようなバトルの時には、「ふれフレ」での応援が勝敗を決定するため、一体感はハンパじゃない!

― AR performersはコンテンツの在り方としてもビジネスとしても、非常に将来性の高いものですね

内田:AR performersは演技と歌を複数人で形成しているキャラクターなので、その人たちからキャラクターや世界観に対する新しいアイディアもたくさん生まれ、技術的にも毎回、成長しています。非常に面白いケミストリーが現場で生まれる、作り手として新しい体験ができるコンテンツであると同時に、システムもグローバルに広がる可能性を大いに秘めています。今以上に進化させるための具体的なアイディアも練っている最中でもあるので、ぜひ次回のライブ「2nd A’LIVE」にご期待ください。

【ARP 2nd A’LIVE】
■日時:2017年7月22日(土)、23日(日)
■会場:ディファ有明(東京都江東区有明1-3-25)
■出演:ARP(シンジ、REBEL CROSS、レオン、司会/森一丁)
■開場・開演時間:7月22日(土)【第1回】10時15分開場/11時開演 【第2回】14時15分開場/15時開演 【第3回】18時15分開場/19時開演
         7月23日(日)【第4回】10時15分開場/11時開演 【第5回】14時15分開場/15時開演 【第6回】18時15分開場/19時開演
■チケット価格:【S席】10,000円(税込) 【A席】7,500円(税込)
■チケット販売スケジュール:【プレイガイド先行抽選受付】6月9日(金)正午〜6月19日(月)23時59分 クレジットカードのみ 【一般販売】6月24日(金)10時〜7月9日(木)20時 クレジットカード・コンビニ
■問い合わせ先:株式会社ユークス support@arboys.jp

まとめ

インタビュー中にも、「AR performersはデジタル発のキャラクターだからこそ、生身のアーティストではできない、全国同時、世界同時多発ライブも可能」であるとか、「今後は男性キャラクターだけでなく、ホンモノ志向の女性アーティストでも展開していきたい」、「楽曲コラボはもちろん、リアルなアーティストィストをキャラクター化してステージで共演させたい」といったさまざまなアイディアが語られ、そのどれもがただの夢物語ではなく、技術的にも近いうちにどんどん実現していくだろうと感じさせられました。AR performersは第1フェーズが完了したばかりで、まだまだ大きな可能性を秘めています。2017年7月22日、23日に開催予定となっている「2nd A’LIVE」、さらに楽しませてくれることは間違いないでしょう。そんなライブに期待を抱きつつ、筆者の興味は作り手自身も達成感と喜びに涙を流すという、バックステージへ。職人技と裏側にある感動を、是非ともレポートした気持ちでいっぱいです!

阿部美香

阿部美香

音楽・アニメ・ゲームなど、ちょっとマニアックなエンタメに興味津々な“よろず”ライター。好きな男性は、アイドルよりも声優さん!

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2017.12.11 更新
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