レビュー
機械式時計をセットした「wena wrist pro」の実力診断

ソニーのスマートウォッチ「wena wrist pro」とシチズン製機械式時計は優秀コンビ

ソニーの新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program」から生まれた製品のひとつである、スマートウォッチ「wena wrist」シリーズだが、初代モデル「wena wrist」の一般販売開始から1年半が経った。

「wena wrist」シリーズがほかのスマートウォッチと異なる最大のポイントは、電子マネー機能やバッテリーをヘッド部ではなくバンド部に搭載していること。つまり、ヘッド部は差し替えられるため、好きな時計をスマートウォッチに早変わりさせられるわけだ。

この斬新な発想から同シリーズが世間の注目を集める中、2017年12月末に有機ELディスプレイを搭載した最新モデル「wena wrist pro」が誕生。さらに、シリーズ初の機械式ムーブメントを搭載したヘッド部の新モデル「wena wrist Mechanical head」も登場した。

シリーズ最新モデル「wena wrist pro」の「プレミアムブラック」(WB-11A/B/写真右)と、機械式ヘッド部「wena wrist Mechanical head」の「ブラック」(WH-TM01/B/写真左)

「wena wrist pro」と「wena wrist Mechanical head」のセットを装着

「wena wrist pro」と「wena wrist Mechanical head」のセットを装着したところ

どちらもオープン価格だが、参考までにソニーストアでは、「wena wrist pro」の「プレミアムブラック」(WB-11A/B)が36,880円(税別)、「wena wrist Mechanical head」の「ブラック」(WH-TM01/B)が、54,880円(税別)となる。

本稿では、これら2つの製品の魅力を紹介しつつ、使い勝手も検証する。

「wena wrist pro」でできること

まずは、キモであるバンド部「wena wrist pro」の3つの機能からチェックしていこう。

「wena wrist pro」は、電子マネー、通知、活動ログの3つの機能を搭載。これは初代モデルと同じで、コンビニやスーパーで買い物をしたり、連携したスマホの電話着信や「LINE」のメッセージ受信を通知したり、歩数や消費カロリーなどの日々の活動量を計測したりできる。

「wena wrist pro」は、Bluetooth接続でスマホアプリ「wena」と連携。「wena」のトップ画面「Dashboard」(写真)は、3つの機能の状況がグラフ化されており、シンプルでわかりやすい

スマホへの着信/受信の通知を有機ELディスプレイに表示

「wena wrist pro」が初代モデルから進化したポイントのひとつが、有機ELディスプレイをバンド部に搭載したこと。Bluetooth接続でスマホアプリ「wena」と連携し、初代モデルでは振動とLEDの点灯でスマホへの着信や受信を知らせていたのが、本機ではスマホへの電話着信はもちろん、通知アプリ名、さらには本文まで、振動とともにディスプレイ上に表示してくれる。そのほかにも、電池残量やその日の歩数、電子マネーの残高なども有機ELディスプレイに表示される。

有機ELディスプレイは、バンドのバックルパーツに搭載。側面にひとつだけ搭載されたボタンで、表示を切り替える

通知に対応するアプリリストの一部。「LINE」や「Gmail」などのメッセージ/メールアプリや、「Twitter」や「Facebook」などのSNSアプリはもちろん、「FaceTime」、「SmartNews」、「モンスト(モンスターストライク)」、「食べログ」まで、対応アプリの種類は多岐にわたる。また、リストにないアプリについては、自分でアプリ名を追加すれば通知が受けられるようになる

スマホへ届いたLINEのメッセージが通知されたシーン。写真のような1行表示のほか、2行表示にも変更できる。また、写真では点灯していないが、ディスプレイの端にはLEDを搭載。通知時には点灯して知らせるのだが、その色はアプリごとに7色から設定可能だ

45万店で使える電子マネー機能

「wena wrist pro」は、バンド部にFeliCaポートを搭載。電子マネーやポイントなどの6つのサービスが登録でき、バンドを店頭の端末にかざすだけで買い物ができる。使用できる店舗は、コンビニやドラッグストア、スーパーなど45万店舗以上にのぼるという。なお、これらのサービスを登録するには、iOSアプリ「おサイフリンク」で初期設定しておく必要があり、AndroidスマホだけではFeliCa機能を利用できない。しかし、Android端末ユーザーでも、たとえば手持ちの古いiPhoneなどを使って初期設定さえしてしまえば、FeliCa機能が使えるようになる。

「おサイフリンク」の設定画面。写真の6つのサービスが利用できる

「おサイフリンク」の設定画面。写真の6つのサービスが利用できる

「楽天Edy」の残高を表示。アプリでは使用金額の状況もグラフで閲覧できる

「楽天Edy」の残高を表示。アプリでは使用金額の状況もグラフで閲覧できる

歩数、消費カロリー、睡眠状態を計測

「wena wrist pro」には加速度センサーが搭載されており、歩数、消費カロリー、歩いた距離、睡眠状態の4つの活動量が計測できる。活動量計という観点から言えば、必要最低限の項目だが、日々の健康管理には十分だろう。

「wena wrist pro」では、当日の歩数のみ表示。アプリでは、写真のようにグラフで計測結果を閲覧できる

「wena wrist pro」上では、当日の歩数のみ表示可能。アプリ「wena」上では、写真のようにグラフで計測結果を閲覧できる

有機ELディスプレイを新たに搭載しながらも25%の小型化を実現

「wena wrist pro」は、前述の通り、有機ELディスプレイを新搭載したのが最大の進化点だが、本体内部に電子部品を分散配置することで、初代「wena wrist」と比べてベルト幅を2mm削減し、体積比では約25%の小型化を実現しているという。ちなみに本体の素材は、初代モデルと同じステンレススチール(SUS316L)を採用する。

初代モデルは幅22mmだったが、本機(写真)は有機ELディスプレイが搭載されているバックル部分が幅20mm。両端のヘッド取り付け部のみ、22mmと少し広がっている

なお、本機は電池部分の防水構造も見直されており、側面にパッキン構造を採用。シャワーや水仕事をしながらでも使える5気圧の防水性能を実現している。

機械式ムーブメントを備えたシチズン時計製ヘッド

ベルトである「wena wrist pro」はそれ自体がスマートウォッチとして機能するため、ヘッド部はラグ幅が18/20/22mmであれば基本的にはどんな時計でもセットできる(18/20mmのヘッドには別売のエンドピースが必要)。いっぽうで、「wena wrist」シリーズからも多様なヘッド部がラインアップされており、今回ついに機械式ムーブメントを搭載した「wena wrist Mechanical head」が登場したのだ。

「wena wrist Mechanical head」の「ブラック」(WH-TM01/B)

「wena wrist Mechanical head」の「ブラック」(WH-TM01/B)

「wena wrist Mechanical head」の文字盤は、デイト表示も省いたシンプルな3針スタイル。重心はより腕側近くに設定され、着け心地にも配慮しているという。風防は球面サファイアガラスを採用しており傷に強い。

そして、キモとなる機械式ムーブメントは、シチズン製のミヨタムーブメント「Cal.90S5」を採用。リザーブ時間は約42時間で、精度は日差-10〜+30秒だ。

背面はシースルーバックで、内部のムーブメントの動きが見える

背面はシースルーバックで、内部のムーブメントの動きが見える

ケースの材質は、「wena wrist pro」と同じステンレススチール(SUS316L)で、これまた同じく5気圧防水に対応。ケースサイズは43mmで厚みは14.35mm、重量は約67.5gだ。重量に関して言えば、「wena wrist pro」が85g(LLサイズ)なので、合わせて152.5gとなる。

使い勝手をチェック!

「wena wrist pro」は、スマートウォッチと言えど、機能を普段よく使いそうなものに絞って搭載しているため、初期設定も他のスマートウォッチに比べて簡単だった。スマホアプリ「wena」をダウンロードし、スマホとBluetoothでペアリングするだけで基本的には使い始められる。電子マネーもアプリ「おサイフリンク」で簡単に設定できた。

腕に装着してみると、一般的なステンレススチールの機械式腕時計と同じように、ズッシリと感じる重さが心地よい。重量100gを切るスマートウォッチや活動量計が多い中、本機はそれらにはない“腕時計らしさ”が感じられる。また、筆者は個人的にステンレススチール製ベルトのゴツゴツした肌あたりが苦手だったのだが、本機のベルトはしっかりと手首の曲線になじんでくれ、1日中快適に着用できた。

電子マネー機能による買い物もスムーズ。ディスプレイに表示される残高もすぐに更新され、確認しやすかった。

コンビニでの買い物を「楽天Edy」で支払っている様子。FeliCaポートが搭載されているバンド部分を店頭の端末に近づければ決済完了だ

個人的に一番便利だったのが、スマホの通知機能。頻繁に使う、あるいは自分に新着を気づかせたいアプリのリストをパーソナライズでき、またその対応アプリの種類も豊富なので使いやすかった。

活動ログ機能に関しては、心拍数が測れたりするわけではないので、活動量計としては最低限のレベルだし、そもそも本機はその重量感からスポーツには不向きとなる。本機で計測できる歩数や消費カロリーは、日々の生活の中で運動不足を認識する目安程度に使うのがいいだろう。

また、睡眠状態の計測に関しては、いくら装着感が快適と言えども、やはりステンレススチールの異物感は気になってしまい、就寝時には結局外してしまった。個人差はあるとは思うが、睡眠ログ機能にはあまり期待しないほうがいいかもしれない。ちなみに、「wena wrist」シリーズから、GPSと光学式心拍センサーを搭載したスポーツタイプ「wena wrist active」が3月に発売予定。同モデルは、ヘッド部を取り外しても使用できるシリコンラバー製バンドなので、睡眠ログを記録したい人はこちらを選ぶといいだろう。

なお、「wena wrist pro」は、約1.5時間のフル充電で約1週間の連続使用が可能。実際、丸2日間使い続けたところ(15分間スマホと接続できないときにBluetoothを自動でオフにする設定を選択/就寝時には外していた)、バッテリー残量は70%だった。この調子でいけば、だいたい7日間は持ちそうだ。

充電はクリップ型の専用USBケーブルを使用

充電はクリップ型の専用USBケーブルを使用

【まとめ】交通系電子マネーへの対応を渇望

「wena wrist pro」は、最低限まで絞られた機能とシンプルに設計された専用スマホアプリ「wena」により、スマートウォッチとしてとても使いやすい。また、「wena wrist Mechanical head」をセットすると、外見はスマートウォッチには見えず、こだわり抜いて作られたことによる高級感さえかもし出す。特にビジネスパーソンにとっては、スーツに合わせやすく、仕事中でも気兼ねなく着けていられそうだ。

気になった点は2つ。ひとつは、Android端末しか持っていない人は、「wena」は使えるが「おサイフリンク」を使用できないこと。つまりAndroid端末ユーザーは、iOS端末を入手しない限り電子マネー機能をすぐに利用できないわけだ。ソニーは、Androidスマホ「Xperia」シリーズを展開しているだけに、この点は早期の対応を望みたい。

もうひとつは、「Suica」などの交通系電子マネーに非対応であること。これさえ対応すれば、財布やカードケースを持たずに、本機だけで1日過ごせる可能性を秘めている。今後のアップデートに期待したい。

【関連記事】
ありそうでなかった! アナログ時計にデジタル機能を融合したソニー「wena wrist」を使ってみた
ソニー「wena wrist」はロレックスからフランク三浦までどんな時計もスマートウォッチ化!
スマートウォッチ「wena wrist」とBEAMSのコラボ第2弾「beams Black」
ソニー「wena wrist」、高級感のある上質モデルとスポーティーなGPS搭載モデルを追加

牧野裕幸(編集部)

牧野裕幸(編集部)

月刊アイテム情報誌の編集者を経て価格.comマガジンへ。家電のほか、ホビーやフード、文房具、スポーツアパレル、ゲーム(アナログも含む)へのアンテナは常に張り巡らしています。映画が好きで、どのジャンルもまんべんなく鑑賞するタイプです。

紹介した製品の最新価格・クチコミをチェックする
関連記事
「価格.comマガジン」プレゼントマンデー
ページトップへ戻る