いいモノ調査隊
スーパーGT・SUBARU応援団長が“電動RCカー”のBRZを駆る

なかなかまっすぐ走らない……スバリストの自動車ライターがラジコン挑戦 第2回

自動車ライターのマリオ高野です。

ひょんなことから電動RCカー趣味に目覚め、タミヤの電動RCカーシリーズ No.607「1/10RC SUBARU BRZ R&D SPORT 2014 Rd.2 富士 (TT-02 シャーシ)」を購入。

エントリーモデルらしく電動RCカーの初心者でも組み立てやすい製品であるとはいえ、持ち前の不器用さに加え、RCに触れたのは三十数年振りということで予想以上に時間がかかり……。悪戦苦闘しながらも無事完成にいたったまでのハナシはコチラをご覧ください。

実車のレースの応援に、ドイツまで遠征していたため少し時間が空いてしまいましたが、今回は前回の続きとなります。

完成したRCカーを専用サーキットで走らせてみる

一応、ソツなく組み上がったはずの愛車「1/10RC SUBARU BRZ R&D SPORT 2014 Rd.2 富士 (TT-02 シャーシ)」です。基本的にはノーマルですが、レース参戦を前提にモーターやバッテリーは少しグレードアップしています

ボディ塗装や穴あけなど、多少のミスを犯しながらもひとまず完成したマシンを、いよいよ実戦さながらの環境にて走らせてみることにしました。レースでいうところのシェイクダウン。新車の試運転の意味を込めたテスト走行です。

これがRC用のサーキット。サイズ感としては実車ならミニサーキットという感じですが、クランクの部分が多く、かなりテクニカルなレイアウトだと感じました

実際のクルマでのサーキット走行と同じく、ほかの人のご迷惑になることだけは避けたいという不安に駆られていましたが、そんな自分を救うかのような案内に感激!

超初心者でありながらレースに出るのが目標なので、どこかの空き地や駐車場などではなく、実際にレースが開催されている電動RCカー用サーキットでデビューすることに。
この日はHOBBY SHOP TamTam(タムタム) 大宮店さんのラジコンサーキットにおじゃましました。

実際、いい歳をした大人が白昼堂々電動RCカーを走らせられる場所は限られている、というか大都市ではほぼ皆無なので、専用のコースで走らせることを強くおすすめします。後述しますが、そのほうが絶対に安心安全であるうえ、お店のスタッフや、現場にいるRC愛好家さんたちから貴重な情報が得られるなど、メリットが多々あります。料金は2時間で千数百円ほどとリーズナブルです。

自分のヘタクソさに唖然……

そんなシェイクダウンでの第一印象をまとめると

・予想以上に操作が難しい(予想以上に操縦センスがない!?)
・予想以上にまっすぐ走らない
・予想以上に操縦性がクイック
・アクセル全開にすると予想以上に速い
・予想以上に細かいスロットル操作ができ、加減速はコントロールしやすい
・ぶつけても意外と丈夫で、ボディが割れたりはせず

というものでした。

まずは、自分のヘタクソさに唖然(あぜん)!

実際のクルマの運転では、サーキットでのラップタイムが遅いのが積年の悩みのタネながらも、ぶつけたり事故ったりはしないタイプであると自覚していたので、電動RCカーでも普通にソツなく走らせられると思っていました。しかし、最初は10m走るたびにどこかにぶつけるという惨状です。

特に、マシンが自分のほうに向かってくる状態でのコントロールが難しく思えました。左右の操作が逆になる状況では、一瞬頭の中で考えないと行きたい方向とは逆に動かしてしまうのです。これはかなり走り込んで慣れないとレースどころではない、と軽く絶望しました。

自分のヘタクソさも重大な問題ですが、まっすぐ走らないことには練習にもならないので、まずはマシンの直進性を高めることが第一かと思いました

サーキットを走る姿は、本物のレースカーさながらの雰囲気にて大満足! これをうまくコントロールできるようになりたい! 車体を貫く4本の棒は本来は短く切るのですが、そのままにしておくことでロールオーバーバーの効果があることが判明(笑)

マシンの直進性が悪いため、調整に終始……

そんな自分のヘタクソさの次にとまどったのは、直進性の悪さです。プロポに備わるステアリングトリムで調整をしても、2〜3mも走らせると修正舵(しゅうせいだ)が必要となるほど、左右どちらかに自然に曲がってしまうのです。シャーシを持ち上げて空転させてみると、タイヤの回転のブレが大きいように思えました。どうやら、タイヤとホイールの接着部分の組み立て精度が低かったもよう。

ステアリングやスロットルの調整はプロポ側でもできます。個人的には、もっとステアリング操作の反応が緩やかになるとうれしいのですが、まずは練習あるのみ!

せっかくサーキットに来たというのに、調整や組み直しに大部分の時間を費やしましたが、レースでもよくあることなので、むしろリアル!

もともと、ノーマルのタイヤはグリップが弱すぎてレースには不向きと聞いていたので、組み立て前に別途購入していた少しグリップ力の高いものに交換してこれを解決。ホイールとセットになっているので、自分の組み付け精度の悪さでタイヤにブレが出ることはありません。タイヤのグリップ感はノーマルとは別物で、グイグイ曲がる感はさらにアップします。

右のタイヤがノーマル、左がややハイグリップなタイヤです。ノーマルは軟らかすぎる感触なので、レースには不向きでしょう

しかし、タイヤを替えても直進性の悪さはあまり変わりませんでした。お店のスタッフの方に相談してみると、やはりサスペンションの組み付けの精度が低いとまっすぐ走らないケースが多いとのこと。自分としては実車と同じく、ネジ類を強く締めることでサスペンション剛性を高められるものと考え、ネジ類は全体的に強めに締めることを意識して組み立てたのですが、サスペンションの各部は強く締めすぎるとよくないようです。ガチガチに締めると、各部の動きが渋くなってしまうとのこと。

そこで各部のネジを緩めつつ、全体的なバランスを整える方向へ調整をしてみると、コントロール性が少し改善された気がしました。操作そのものにも少し慣れてきたところで、平均速度が徐々に上がっていきます。

重要な「車軸パーツ」をぶつけて破損

そんな感じで試行錯誤を続けていると、やや高めの速度でぶつけてしまった直後から操縦不能に陥りました。フロントの車軸部分の中心的なパーツ「C1」が折れてしまったのです。

このパーツも新橋のタミヤショップで買ったときから弱いと聞いていたので、強化品を購入していたのですが、実際にはどの程度弱いのか実感するためにも、あえてノーマルパーツのまま組み立てていたのです。案の定、すぐに折れてしまいました。

そんな感じで試行錯誤

「C1」が折れやすいとされるパーツ。マシンをぶつけるとすぐに折れるので、レースに出ない場合でも最初から強化品を組むことをおすすめします

「C1」が折れてなくなった状態です。実際のクルマでいうと、駆動力を車輪に伝えるドライブシャフトにあたるパーツです

ぶつけることなく、普通に走らせれば簡単に折れることはないのでしょう。しかし、多少はぶつけることが確実な初心者の場合は、あらかじめ強化品を組み込むことをおすすめします。

そんな感じで、直進性をよくするための調整や、パーツを強化品に交換する作業に多くの時間を費やし、肝心の走行練習はあまりできないままに時間が過ぎてしまいました。

金属製の強化パーツを組み込んだ状態。実際のクルマもRCカーも、パーツの強度はコストとの兼ね合いで決まります

「1人レースチーム感覚」を味わえる!

おりしも、その日はスーパーGTに参戦するSUBARUチーム(本物のSUBARU BRZ R&D SPORT)もサーキットで第2戦に向けた走行テストを実施。さまざまな問題点を解消するべくマシンのセッティングを煮詰めていたのですが、その様子をSNSなどで知ると、本物のSUBARUチームとの一体感(一方的な)が強烈に感じられ、まるで自分もスーパーGTのテスト現場に居合わせているかのような感覚に!

レベルはケタ違いすぎるとはいえ、レースでいい結果を得るために試行錯誤を繰り返すのは、スーパーGTも筆者の電動RCカーも同じです。チームの司令塔である監督や、マシンのセッティングを行うメカニック、そして操縦するドライバーの3役を自分1人でやっているという感覚がリアルに感じられ、「まさに今、スーパーGTで戦っている」的な疑似体験が味わえたのは意外な感動でした。

「レースで勝つためのマシンを仕上げるのは大変なこと」という現実と対峙(たいじ)する喜びとでもいいましょうか。電動RCカー作りに本物のSUBARUチームとの一体感を高めてくれる効果があるとは!

試行錯誤しながらセッティングを繰り返し、マシンを進化熟成させていく過程は本物もRCカーも同じ……! と思える一体感がたまりません。監督の苦悩やメカニックの苦労、ドライバーが背負う重圧など「1人レースチーム感覚」が味わえます!

筆者が参戦するRCカーのレースにレースクイーンさんはいませんが、本物のレース現場で応援魂を注入してもらいました。ささやかな役得にて、ご容赦を!

その後は、電動RCカー関連書籍やWebサイトなどを見て「TT-02を自在に走らせるためのノウハウ」を収集。やはり、同じようにまっすぐ走らないことに悩んでいる人は多いようで、さまざまな強化パーツを組み込むことで諸問題が解決するケースが多いとの事例を知りました。

SNSのフォロワーさんからも「○○○を組み込めばよくなる」などの助言をいただき、強化パーツを追加購入して問題点の解決を図ろうと考えました。

そこで、前回もお世話になった東京・新橋にあるタミヤショップに再び足を運び「TT-02をまっすぐ走るようになるパーツをください」と単刀直入に要望を告げます。しかし、新橋タミヤショップの店員さんは「基本的にはノーマルのままでも十分まっすぐ走るはずですので、組み付け精度を見直してみてください」とキッパリ。

「コレを付ければまっすぐ走りますよ、ウフフ〜」といった安直な提案を期待していたので、ちょっと肩透かしを食らった感じでしたが、新橋のタミヤショップの人がそう言うなら、そうなのでしょう。再度ノーマルパーツのままで直進性の改善を図ろうという気になりました。

テスト走行2回目で組み付けのミスが発覚……

2回目のテスト走行は、埼玉県にあるホビーベース イエローサブマリン ハイパーホビー戸田美女木店 RC Car's スタジアム1にて実施しました。

火曜日はクルマ販売業界人が集まるらしいので、情報収集のためにあえてそれを狙うという手も?

火曜日はクルマ販売業界人が集まるらしいので、情報収集のためにあえてそれを狙うという手も?

イエローサブマリン戸田美女木店のRC用サーキットは屋内。ここでもレースが開催されるので、実戦向きの練習ができます。ハイエンド機種を自在に操るベテランさんの姿も

マシンは、サスペンション各部の締め付けを見直し、タイヤの取り付け部分にガタがないよう、シャーシの精度を高める方向に調整して臨みました。

しかし、それでも直進性はイマイチにて納得できません。そこでお店のスタッフの方に自分のマシンを見てもらいながら相談したところ、即座に重大な問題を2つ指摘してもらいました。

まず1つは、操縦性をつかさどる最重要部のステアリングサーボまわりのパーツの組み方が間違っていたこと! これはかなり致命的。余計な部品を多く付けてしまったことで、ステアリングサーボからの軸がブレていたのです。

お店の人に指摘され、ようやく最大の問題が解消。組み立て時に「P4」もしくは「D11」のいずれかだけを付けるはずが、両方とも付けてしまったことで、ステアリングサーボの軸が大きくブレていたのでした

さらにもう1つは、ステアリングワイパー部分のブッシュの組み付けが悪く、可動する部分の動きが悪くなっていたこと。クルマでいうと、サスペンションアームなどの内部にあるゴムブッシュにあたるパーツで、これがほとんどつぶれた状態で収まっていたため、動きが著しく渋くなっていたのです。

この部分については、店員さん自らバラして研磨作業などをしてくださり、動きの渋さが劇的に解消。

ステアリングワイパーの可動部分に埋め込む「B11」は、無理やり押し込んだために内部で変形してしまい、機能していなかったようです。お店の方のご好意で修復してもらってからは、ステアリング機構の動きが劇的にスムーズになりました!

すると、マシンの直進性が大幅に向上したではありませんか! しばらく走ると多少は曲がってしまいますが、修正舵で何とかなるレベルです。これでようやく普通に走り込む練習ができるようになりました!

ようやく普通にまっすぐ走るようになり、走行練習に打ち込む筆者。やはり、ノーマルのままでもキチンと組み立てればしっかり走るのですね

まっすぐ走るようになっても、ぶつけまくるという惨状はあまり変わりませんがボディはまだ割れていません。傷ついたことで、耐久レースを走り終えた本物のマシンの雰囲気が再現されました

RC初心者にやさしい常連さんと情報交換

その日のイエローサブマリン戸田美女木店さんには、平日というのに数名のお客さんの姿が見られ、最大で4台同時に走る状況となりましたが、多くのマシンが混走するレースへの参戦を前提とする練習としてはむしろ最適。

火曜日は、地元のカーディーラーにお勤めの人(カーディーラーは火・水定休日が多い)がよく見えるとのこと。自分のヘタクソさにより人様に迷惑をかけるのが嫌なので「誰とも会わずに粛々と練習したい」と思っていたものの、逆にほかの参加者がある程度おられるほうが何かとメリットが多いことを実感します。

その日はRCカー趣味のベテランとおぼしき方からアドバイスをもらえたり、高額・高性能なハイエンド機種を触らせてもらえたりしたなど、本やネットでは得られない貴重な情報や体験が得られました。どんな趣味でも、やはり愛好家の先輩から直接得られるモノは貴重ですね。電動RCカー趣味は、自分の内向的な性格を改善することにもつながりそうです。

TT-02は人気のようで、自分のほかにも愛用している方がおられました。「純粋に格好いいよね!」と意気投合

TT-02は人気のようで、自分のほかにも愛用している方がおられました。「純粋に格好いいよね!」と意気投合

どうやら電動RCカー趣味の世界は初心者にやさしい世界のようで、上級者の方も親切に接してくださいました

どうやら電動RCカー趣味の世界は初心者にやさしい世界のようで、上級者の方も親切に接してくださいました

エントリーモデルのTT-02の数倍以上も高額なハイエンド機種を自在に操るベテランさんはとても格好よく、憧れました。ご好意により少し操縦させていただいたところ、圧倒的なレスポンスの鋭さにビックリ! ステアリング機構の構造は実車に近いピニオンギア式で、とても高剛性かつ高精度に思えました。いつか欲しいです!

次回はついにレース参戦レポートをお送りします!

電動RCカーの組み立ては、誰にでも簡単にできる一方、奥深さもあることを学びました。ただマシンを走らせるだけでなく、本物のレースチームの悩みを疑似体験できたり愛好家同士による交流が広がったりするなど、思いがけない楽しさや喜びがいっぱいです。

レース本番までにもっと走り込み、必要であれば強化パーツも付けて、マシンのポテンシャルアップを図る所存。

いよいよ、次回はレース参戦レポートをお届けします!

優勝は無理としても、なんとかして胸を張れる結果を残したいところです!

レース参戦は7月初旬予定。それまでに走り込んで練習し、できれば強化パーツも組みたいところ

レース参戦は7月初旬予定。それまでに走り込んで練習し、できれば強化パーツも組みたいところ

筆者が公式応援団長として毎戦応援しているスーパーGTのSUBARUチームも調子は上向きにて、自分の電動RCカーとますますイメージが重なります!

本物のGT300 BRZも、チームの苦労が報われ好結果が得られるようになりました! 次回のスーパーGT第4戦はタイのチャン・インターナショナル・サーキットで行われますので、本物のGT300 BRZの応援もよろしくお願いします!(6月30日〜7月1日、Jスポーツで生中継されます)

マリオ高野

マリオ高野

1973年大阪生まれの自動車ライター。免許取得後に偶然買ったスバル車によりクルマの楽しさに目覚め、新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、自動車工場での期間工、自動車雑誌の編集部員などを経てフリーライターに。2台の愛車はいずれもスバル・インプレッサのMT車。

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