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3D、IMAX、4Dに続く新しい映画体験!

日本初のVR映画館が誕生。体験型シアターの新しいカタチとなるのか?

観客全員がVRヘッドマウントディスプレイを装着するVR映画館を体験

観客全員がVRヘッドマウントディスプレイを装着するVR映画館を体験

VAIO、東映、クラフターの3社が提供する共同事業「VRCC(VR Cinema Consortium)」が始動し、日本初となるVR映画の興行が、東京の新宿バルト9で本日7月2日から始まった。多人数でVRコンテンツを同時に視聴するというまったく新しい映画体験は果たして成功するのか? 事前に開催された発表会と試写会から、その可能性をひもといてみよう。

VAIO、東映、クラフターが提供する「VRCC」とは?

「VRCC」は、VAIOがハードウェアの調達、東映がコンテンツ配給、クラフターがコンテンツ制作を主に手がける共同事業だ。VRヘッドマウントディスプレイは、中国のメーカー、PICOが開発する製品を、VAIOが映画館向けにカスタマイズしたものを使用する。

PICOが開発、バイオがカスタマイズしたVRヘッドマウントディスプレイ

PICOが開発、バイオがカスタマイズしたVRヘッドマウントディスプレイ

映画体験においてポイントとなるのは、サウンドだろう。通常、VRヘッドマウントディスプレイはヘッドホンやイヤホンを使う。現実での音を完全に遮断し、仮想空間への没入間をさらに高めるわけだ。

しかし、「VRCC」はサウンドに映画館に設置された音響施設を利用する。そのため、イヤホンやヘッドホンとは異なる次元の高品質で、迫力満点のサウンドを楽しめる。ほかの観客の気配や声が聞こえ、観客同士の一体感を高める効果もあるという。

VRヘッドマウントディスプレイはスタンドアロン型で、トラッキングシステムの6DoFに対応しているため、VR特有の奥行き感も生まれる。たとえば、現実世界で頭を前に動かせば、仮想空間の中でも視点が前へ移動する。

細かい説明はこれぐらいにしておいて、次項では実際にVR映画館を体験した感想をレポートしよう。

実際にVR映画館を体験! 今後普及する可能性はあるのか?

7月2日から公開されるのは、日本初公開となる「夏をやりなおす」、アミューズメントパーク限定公開の「おそ松さんVR」、エヴァ・スピンオフ映像作品をVR化した「evangelion:Another Impact」のアニメーション短編映画3本立てだ。上映時間はそれぞれ5分ほどになる。

VR映画館第1弾はアニメーション3本立て

VR映画館第1弾はアニメーション3本立て

試写会では、このうち「夏をやりなおす」を鑑賞。シアターに入場すると、VRヘッドマウントディスプレイと保護マスクが手渡される。VRヘッドマウントディスプレイを着用して準備万端の観客たちの姿は、「人類もここまできたか」と思わせてくれる、異様とも言える光景だ。

VRヘッドマウントディスプレイを着用すると、観客の声は聞こえるものの、視界は完全に遮断される。そのため、一度外してトイレに行きたくなって立ち上がっても、ほかの観客に気づいてもらえない。

ひとりずつ「すいません。前通ります」と声をかける必要があるし、VRヘッドマウントディスプレイを装着した人に足下の荷物をどかしてもらうのはかなりの迷惑となる。こうなると上映中にトイレに行くのは至難のわざだ。鑑賞前にトイレを済ましておくのは、通常の映画よりも重要となる。

観客全員がVRヘッドマウントディスプレイを着用するため、着用後に離席するのは難しい

観客全員がVRヘッドマウントディスプレイを着用するため、着用後に離席するのは難しい

今回試写した「夏をやりなおす」は、学校を舞台にした短編アニメーションで、教室の中や窓から見える風景などは非常に鮮明だ。360°どこを見渡しても美しい景色が広がっており、頭を前後左右に動かせば、仮想空間内での視点も移動する。

映像の中に飛び込んだような感覚で、しかもメインキャラクターが自分に向かって話しかけてくるのだから、没入感は非常に高い。ただし、ここまでは一般的なVRコンテンツでも同じことだ。

VR映画館ならではだったのが、サウンドの部分だ。非常に高品質で空間を包み込むようなサウンドは、ヘッドホンでは味わえない魅力がある。地響きのような低音は迫力満点で、視聴体験を大いに盛り上げてくれた。

また、怖いシーンでは、「キャー」「うわっ」など他の観客の怖がる声がリアルに聞こえてきて、まったく見えないものの周囲の人を感じられる映画館らしさがあった。

サウンドは、ヘッドホンが到底及ばないレベルの迫力だ

サウンドは、ヘッドホンが到底及ばないレベルの迫力だ

多人数同時視聴というスタイルにより、多くの人とVRの素晴らしさを共有できるのは面白い体験だった。仮想世界から現実世界に帰ってくるときは、ある意味さみしいものすら感じた。筆者は家でVRコンテンツを楽しむことが多く、視聴した後にVRヘッドマウントディスプレイを外すと、シーンとした家の中にひとりきり……という現実がなんともさみしく感じることがある。

VRというのは、基本的にひとりで楽しむものであり、周りの人とあの興奮を共有できないもどかしさがあるのだが、VR映画館はそれを感じさせない。この点は非常にいい試みだと思う。

VR映画館は、非常に興味深い試みだが、気になった点もいくつかあげておこう。ひとつは、VR空間に圧倒されてしまい、作品のストーリーに入っていきづらかった点だ。物珍しさからVR空間をキョロキョロと見渡してしまい、肝心の話をよく理解できないまま上映が終わったので、もう一度見てみたいという気持ちにさせられた。

視界が完全に遮断されるため、映画館といえばのポップコーンや飲み物を上映中にいただくのは難しいだろう。こぼしてしまわないか気にしながら手探りでポップコーンを食べるのは不安だ。

この状態でポップコーンを食べたり飲み物を飲んだりするのは厳しいものがある

この状態でポップコーンを食べたり飲み物を飲んだりするのは厳しいものがある

また、6DoF対応だが、隣の人に当たってしまわないか気になるので、頭や体を大きく動かすことはできない。大きなシアターにあるVIPシートのように、広い座席ならもっと6DoFの楽しさを味わえると思う。

観客同士の距離が近いため、頭や体をめいっぱい動かすと、隣の人に当たってしまう

観客同士の距離が近いため、頭や体をめいっぱい動かすと、隣の人に当たってしまう

最も気になったのは、1,500円(税込)というチケット料金。約5分の短編アニメーションが3本立てで、上映時間は15分ほどしかない。一般的な映画は上映時間が約2時間で、一般料金が1,800円。この点を考慮すると、VR映画館のチケット料金は高いと言わざるを得ないだろう。もちろん、VRコンテンツを連続視聴するのは15〜30分が限界だというのもわかるが、それならチケット料金をもう少し下げてもいいのではないだろうか。

ポジティブ、ネガティブな点についていろいろ書いたが、総合的にみるとVR映画館は大きな可能性を秘めた新しい映画体験であることは間違いない。高品質なサウンドと観客との一体感は、VR映画館でしか味わえない特別なものだ。

サーバーとVRヘッドマウントディスプレイに伴うシステムを導入するだけで、特別なシアターや施設を新たに作る必要がないため、既存の映画館に導.入しやすいというのも、普及の手助けになるだろう。

東宝は、この取り組みを第1弾とし、「呪怨」などのホラーVR、「仮面ライダー」を代表とする特撮系VR、音楽ライブに加えて長編VR映画についても今後上映する予定だという。日本で初めてのVR映画館。気になる人は、一度足を運んでみてはいかがだろうか。

東宝が予定している今後のラインアップ。アーティストのライブVRは盛り上がりそうだ

東宝が予定している今後のラインアップ。アーティストのライブVRは盛り上がりそうだ

水川悠士(編集部)

水川悠士(編集部)

最新ガジェットとゲームに目がない雑食系ライター。最近メタボ気味になってきたので健康管理グッズにも興味あり。休日はゲームをしたり映画を見たりしています。

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