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漫画コンシェルジュ・小林琢磨が選ぶ

夏の甲子園開幕! 王道からアウトローまで、熱くなれる野球漫画10選

今年も、夏の甲子園(全国高等学校野球選手権大会)が開幕しました。今回は記念すべき第100回大会ということで、かつて甲子園を沸かせたスーパースターが登板する「甲子園レジェンド始球式」が毎日行われるなど、ひときわ大きな盛り上がりを見せています。そこで今回は、読めば甲子園をもっと楽しめる! 熱くなれる野球漫画をご紹介。年間1,000冊以上の漫画を読むという漫画コンシェルジュ・小林琢磨が選ぶ名作10選とは?

1、バトルスタディーズ/なきぼくろ

今、1番注目されている野球漫画のひとつと言えばこちら。主人公が強豪“DL学園”の野球部に入部するところから物語が始まるのですが、作者自身が、かつて“プロ養成校”とも呼ばれた超強豪校、PL学園野球部のレギュラー選手だったことから、ものすごくリアリティのある内容になっています。作品の序盤はほとんど試合をせず、超強豪校の「素でエグい」内情にフィーチャー。過酷な寮生活、厳しすぎる上下関係など数々の理不尽に、主人公たちがどのように耐えたのかを描いていて、「努力・友情・勝利」の王道スポ根漫画とはひと味違います。ともすると暗くなりそうな内容ですが、センスのよい笑いを織り交ぜながら描くことで、笑いあり涙あり、心地よいキレ味を感じさせてくれるところも素晴らしいですね。

狩野笑太郎、15歳。本日、あこがれの野球名門校・DL学園に入学します——! 高校野球は汗と涙と友情だけじゃない! 甲子園に出るために、人生のすべてを懸ける高校球児たちを描く、超絶リアル野球漫画!(講談社作品ページより)/2018年8月現在、単行本は15巻まで刊行済み。

(C)なきぼくろ/講談社

(C)なきぼくろ/講談社

2、ラストイニング―私立彩珠学院高校野球部の逆襲/原作:神尾龍、作画:中原裕

インチキセールスマンとして働いていた主人公が、ある事件をきっかけに、廃部寸前の母校の野球部の監督を引き受けることに。チームを鍛え直し、選手とともに甲子園出場を目指す姿を描いた作品です。ストーリー自体は王道ですが、主人公が選手ではなく監督という点が、ほかの多くの作品と違うところ。サッカー漫画で言うと、「ジャイアント・キリング」に近いのですが、監督の視点から、「どのように戦術を作るのか」「どのようにチームを育てていくのか」が論理的に描かれているので、ほかの野球漫画とは違った奥深さを楽しめると思います。

(C)神尾龍/中原裕/小学館

(C)神尾龍/中原裕/小学館

弱小高校野球部を再建させるべく、悪徳セールスマンから監督に転身した“ポッポ”こと鳩ヶ谷圭輔。1年後に甲子園出場できなければ廃部という状況下、「さわやか・ひたむき・正々堂々」を廃した常識ハズレのチームが始動する!!(小学館作品ページより)/単行本は全44巻を刊行。

3、キャプテン/ちばあきお

「バトルスタディーズ」や「ラストイニング」が野球漫画界のアウトローだとすると、こちらは王道中の王道。“すべての野球漫画のベースになっている”とも言われる作品です。1970年代に連載された作品ですが、今読んでも色あせないおもしろさ。現代では考えられないような手荒なしごきに耐え、気合いと根性で中学全国制覇を目指すという、わかりやすい根性論が逆に新鮮です。この作品は、物語が進むにつれてキャプテン(主人公)が4代目まで変わっていくという珍しいスタイルで、それぞれのキャプテンに個性があるところも魅力。「起業家が読むべき漫画」としてあげられることも多いのですが、個人的には、初代キャプテンの考え方や、チームを鼓舞する姿が起業家にも通ずるものがあると感じています。

(C)集英社/ちばあきお

(C)集英社/ちばあきお

まったく無名の墨谷二中の野球部に、野球の名門・青葉学院から1人の転校生が入部した。谷口タカオ、2年生。だが実は、谷口は青葉では2軍の補欠だったのだ。大きすぎる期待と実力とのギャップに悩む谷口は……?(集英社作品ページより)/完全版は全18巻を刊行。

4、ダイヤのA/寺嶋裕二

今、1番リアルな野球漫画と言えばこれ。野球の名門校に通う主人公が、甲子園出場を目指し、エースピッチャーとして成長していくという王道ストーリーなのですが、作者が元高校球児ということもあり、非常にていねいな人間描写が特徴です。2018年8月現在、2年生に進級した主人公を描く続編「ダイヤのA act2」が連載されているのですが、2年生の途中の時点で、単行本はすでに60巻に届こうかというところまで来ています。どれだけていねいに描かれているかがおわかりいただけるでしょうか。試合に出られないメンバー含め、主人公以外のキャラにも1人ひとりにスポットを当て、それぞれのドラマをきっちり見せているので、高校球児は感情移入&涙すること間違いなし!

(C)寺嶋裕二/講談社

(C)寺嶋裕二/講談社

もう一度、あのミットに投げ込みたい……。 捕手・御幸一也との出会いが、少年の人生を一変させる。沢村栄純15歳。己の力を試すため、仲間に別れを告げ、野球名門校・青道の扉を叩く。そこには己のすべてをかけた誇り高き球児達がいた! 王道にして斬新。感動と興奮の高校野球漫画!!(講談社作品ページより)/単行本は全47巻を刊行。第2部となる「ダイヤのA act2」は、既刊12巻まで刊行済み。

5、ストッパー毒島/ハロルド作石

個人的に1番好きな野球漫画です。野球漫画は「高校球児が甲子園を目指す」というストーリーが定番ですが、これはプロリーグの弱小球団に(しかも抑えとして)入った主人公が、リーグ優勝を目指して奮闘する姿を描いています。負けたら終わりの高校野球と違って、今日負けても次があるプロ野球の世界は、高校野球とは考え方や戦い方が違っておもしろいです。キレのよいギャグと、試合中の真剣さのバランスもいい。映画「メジャーリーグ」が好きな人には特におすすめです。主人公が所属するのは架空の球団ですが、作中には実在の有名選手が登場するのも、ちょっとした見どころ。

(C)ハロルド作石/講談社

(C)ハロルド作石/講談社

“登板機会なし”――それが、のちに大記録を作る毒島大広(ぶすじま・たいこう)の高校時代の記録! 中学時代に起こした乱闘事件を理由に高校の野球部にも入れずくすぶり続けた毒島。しかし、その日本最速と言われる剛速球を武器に、プロ野球界に殴りこみだ!!! (講談社作品ページより)/単行本は全12巻を刊行。

6、H2/あだち充

野球漫画を語るなら、あだち充先生を外すわけにはいきません。あだち作品には「H2」のほかに「タッチ」「クロスゲーム」「MIX」など数々の野球漫画があり、どれも本当に名作ですが、個人的にはこの「H2」が好きですね。僕自身が「H2」をリアルタイムで読んでいた世代だからというのもありますが、高校1〜3年生までを通して描いていて、野球、友情、恋愛要素のバランスのよさが魅力だと感じています。

(C)あだち充/小学館

(C)あだち充/小学館

ライバルであり、親友でもある国見比呂と橘英雄。甲子園をめざす2人の“ヒーロー”に、ひかりと春華の想いが交錯する……。正統派スポーツ&ラブストーリー。(小学館作品ページより)/単行本は全34巻を刊行。

7、おおきく振りかぶって/ひぐちアサ

主人公たちが甲子園優勝を目指して奮闘するという王道ストーリーながら、「今までにない野球漫画」と言える作品です。作者は少女漫画出身の方で、絵柄はかわいらしいのですが、中身はめちゃくちゃ本格的。試合における選手の心理描写がとにかく細かいのが特徴的で、試合の最初から最後までをていねいに描いているので、「野球ってここまで考えてプレイするのか」と驚くはず。選手たちの、高校生ならではの心の弱さもきっちり描いていて、自分に自信を持てなかった主人公が精神的に成長していくところも見どころのひとつ。青春を感じさせる爽やかな作品です。

(C)ひぐちアサ/講談社

(C)ひぐちアサ/講談社

監督は女性、選手は全員1年生。県立西浦高校の新設野球部に集まった10人の選手たちは、弱気で卑屈な投手・三橋を中軸に、一丸となって甲子園優勝を目指す!! 試合や練習を通じて成長していく選手たちのまばゆい姿。最新のスポーツ科学を下敷きに描く、まったく新しい野球のおもしろさ。丹念に描かれる青春の情動。そのどれもが日本中から熱烈な支持を集める、今いちばんおもしろい青春スポーツ漫画!! (講談社作品ページより)/単行本は29巻まで刊行済み。

8、BUNGO─ブンゴ─/二宮裕次

中学生を主人公にした作品なんですが、試合の描写がとにかく熱い! 今回選んだ10作の中で、間違いなくもっとも熱い作品です。1試合1試合、「こんなに熱くなれる!?」というレベルの戦いが繰り広げられます。中学生らしからぬと言うべきか、中学生らしいと言うべきか、主人公・ブンゴの素直でまっすぐな情熱、ひたむきさには圧倒されるはず。大人が読んでももちろん共感できます。特に若い人に読んでもらいたい作品ですね。

(C)二宮裕次/集英社

(C)二宮裕次/集英社

少年野球チームのない町に育った石浜ブンゴは、買い与えてもらったボールをブロック塀に投げ込む毎日。そんな「壁当て」に心血を注ぐブンゴのもとに、少年野球日本代表の野田ユキオが現れて、二人は予期せぬ対決へ……!! のちに中学校で邂逅した2人は、揃って超強豪「静央シニア」へ入団する──!! 甲子園のための甲子園を超える死闘、中学野球で、少年達の情熱が乱れ弾ける──!!(集英社作品ページより)/単行本は14巻まで刊行済み。

9、砂の栄冠/三田紀房

個人的に、三田紀房先生の最高傑作だと思っている作品です。高校野球強豪校のエースが、謎の老人からもらった1,000万円を使って甲子園優勝を目指すという物語。「1,000万円で甲子園を買え」「甲子園は興行だ」というセンセーショナルな台詞に象徴されるように、「高校野球と金」という今までにない切り口で、甲子園の裏側を描いている点が非常に興味深いです。普通の野球漫画では物足りないという方にも読んでもらいたい作品ですね。

(C)三田紀房/講談社

(C)三田紀房/講談社

「ドラゴン桜」の鬼才が久々に描く、涙と汗の高校野球ドラマ! 埼玉県西部、樫野市にある県立樫野高校では、学校創立100年の記念イヤーに野球部が夏の選手権・決勝戦にコマを進め、まさに甲子園まであと一歩! ナインも生徒も教師もOBも栄冠へ一丸となっていた……! (講談社作品ページより)/単行本は全25巻を刊行。

10、最強!都立あおい坂高校野球部

これもまさに、高校野球漫画の王道ですね。女性監督に優勝を捧げるために、小学校時代の仲間が高校入学を機に再集結し、甲子園を目指します。環境こそ悪いものの、いいピッチャー、いいキャッチャー、足が速いヤツ、守備が上手いヤツ、という、恵まれすぎたメンバーとともに、絵に描いたような展開を繰り広げていきます。ほかの作品に比べるとリアリティに欠けると感じるかもしれませんが、テンポがよく、最後まで気持ちよく読み進めることができるので、スポーツ漫画を読んでスカッとしたいという人におすすめです。

(C)田中モトユキ/小学館

(C)田中モトユキ/小学館

強豪校からの誘いを断り、甲子園とは無縁の弱小・都立あおい坂高校野球部に入った、鈴緒の5人の教え子たち。春のセンバツで活躍する幼なじみ・光爾の姿に触発され、あお高野球部ナインの甲子園ロードが今、始まる!(小学館作品ページより)/単行本は全26巻を刊行。

小林琢磨

小林琢磨

(株)ナンバーナイン代表取締役社長。大切な事は全て漫画から教わりました! 情熱こそ全てであり最優先。魂が震える作品が好きです。マンガサロン「トリガー」のオーナーと(株)人狼の代表も兼任。サーチフィールド創業者。アイコンはうめ先生制作。

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