レビュー
この手に山を!

山の日にちなんで山岳立体模型「やまつみ」に挑戦! 「手のり富士山」と「オリンポス山」を作る


8月11日は、今年で3回目となる国民の祝日「山の日」。「国民の祝日に関する法律」の第2条によれば、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」日とされています。

日本は海に囲まれた島国ですが、世界文化遺産の富士山から、土地の人々に愛される郷里の山々にいたるまで、さまざまな山が連なる山の国でもあります。深田久弥が定めた日本百名山は、登山スポットとして人気が高く、シーズンになると例年多くの登山客が山頂を目指して集います。古くから信仰の対象とされてきた山も多く、その雄大な山容には人の心を強く惹きつける魅力があります。

北に浅間山、南に蓼科山を望む長野県佐久市に住む筆者も、普段は里から眺めるしかないこうした山に、いつかは登ってみたいという淡い夢を抱いています。地元の山だけでなく、日本最高峰である富士の山頂にも、可能であれば立ってみたいのですが……。

実際のところ、筆者は学校行事以外での登山経験はなし。まったくの初心者でも登れる近郊の山からチャレンジしてみたいとは思うものの、なかなか予定を立てられずに日々を過ごしているのが現実です。

せめて山の雰囲気だけでも味わいたい……と思っていたところに見つけてしまったのが、自分で山を作れる立体模型、やまつみ工房の「やまつみ」シリーズです。

山岳立体模型シリーズの「やまつみ」から、今回は難易度が低い「手のり富士山」を購入

山岳立体模型シリーズの「やまつみ」から、今回は難易度が低い「手のり富士山」を購入

キットの内容は、パーツが印刷されたシート、パーツを支える台座、パーツを貼り付けるときの位置決めに使う棒、および製品の仕様や作り方を解説したリーフレットで構成されています

作る前の準備

「やまつみ」は、等高線で輪切りにされた山のパーツを山裾から山頂まで少しずつ積み上げていくことで、立体的な山容を手軽に再現できる山の模型です。

筆者の目標(現段階では妄想に近いですが……)が富士登山であることと、「やまつみ」のWebサイトに記載されている製作難易度が一番低かったことから選んだ「手のり富士山」では、パーツ1枚当たりの標高は40m。もう少し縮尺が大きな50,000分の1シリーズでは20 m、25,000分の1シリーズでは10 mまで細かくなるので、大型の製品ではかなりリアルな山容を楽しめそうです。

「手のり富士山」では16枚のシートに合計73個のパーツが印刷されています

「手のり富士山」では16枚のシートに合計73個のパーツが印刷されています

最初のパーツが印刷されているシート。パーツの縁にはあらかじめ切れ目が入っていて、台紙から簡単に取り外せます

パーツは裏が貼り付くシールになっているので、基本的にははがしたパーツを順に貼り付けていけばOK。ただし、山頂に近づくにつれてパーツのサイズが小さくなるので、必要な道具としてピンセットが指定されています。

また、必須ではありませんが、パーツをしっかり密着させるために壁紙用の圧着ローラーが推奨されています。

同梱のリーフレットに「やまつみ」シリーズ共通の作り方が記載されています。初めて作るときはしっかり目を通しておきましょう

小さなパーツを貼り付けるためにピンセットは必須。圧着ローラーはパーツの密着度を高めるためにあると便利

小さなパーツを貼り付けるためにピンセットは必須。圧着ローラーはパーツの密着度を高めるためにあると便利

頂上を目指してひたすらパーツを貼り付ける

それでは製作に取り掛かります。1枚目は台座に直接貼り付けるのですが、位置がずれるのが怖かった筆者は、粘着面をカバーしている保護紙ごとシートから切り離し、最初に大まかな位置をつかんでから貼り付けてみました。

シートから保護紙ごとパーツを切り離し(上)、台座に置いて余白の広さを確認してから貼り付けます(下)

シートから保護紙ごとパーツを切り離し(上)、台座に置いて余白の広さを確認してから貼り付けます(下)

最初の1枚なので、圧着ローラーで念入りに密着させます

最初の1枚なので、圧着ローラーで念入りに密着させます

このあとは、ナンバリングにしたがってパーツを順番に貼り付けていくだけ。地味ながらも根気のいる作業が、山頂のパーツまで続きます。一歩ずつ着実に進んでいく作業には、実際の山登りにも通じるものを感じます。

忘れてはならないのが、同梱の位置決め棒です。1枚目を見ると、「基準穴」という表記のとなりに小さな穴が空いています。2枚目以降のパーツにも同様の穴が空けられているのですが、ここに位置決め棒を通して貼り付けることで、パーツの位置がずれることなくきれいに貼り合わせられるのです。

ただ、パーツ1枚の厚さは1mmにも満たないので、最初の1枚目だけでは位置決め棒をうまく支えられません。そこで、2枚目のパーツにある基準穴へ先に棒を通してから1枚目の基準穴に差し込み、片手で2本の棒を支えながら別の手でそっとパーツを降ろしていくことで、うまく貼り合わせることができました。

基準穴は位置決め棒を通すための重要な穴。ふさがったまま貼り付けないように気を付けよう

基準穴は位置決め棒を通すための重要な穴。ふさがったまま貼り付けないように気を付けよう

先に2枚目のパーツへ棒を通し(上)、1枚目の基準穴に差し込んで片手で支えながら貼り付けると上手くいきました(下)

同様に、3枚目以降のパーツも順に貼り付けていきます。5枚ほど貼り合わせると、手で支えなくても位置決め棒が傾いたりずれたりしにくくなるので、少しペースが上がります。早く完成させたくなるのですが、登山と同じように、急がず慎重に貼り合わせていきます。

20枚目からは基準穴の間隔が狭くなり、標高を稼いできた実感が湧いてきます

20枚目からは基準穴の間隔が狭くなり、標高を稼いできた実感が湧いてきます

30枚目まで貼り終えたところ。横からの姿は、まだまだ富士山には見えません

30枚目まで貼り終えたところ。横からの姿は、まだまだ富士山には見えません

40枚目からはとうとう基準穴が1つに。位置決め棒も1本だけになってしまうので、回転方向にずれないよう位置を決めていきます。

62枚目からは基準穴もなくなり、パーツのサイズもかなり小さくなってくるので、ピンセットを使って慎重に貼り付けます。貼り付けの目安になるうっすらとした彫り込みが下のパーツに付けられているので、この彫り込みを隠すように貼り合わせます。

位置決め棒が1本になるとパーツが回転するので、下のパーツを確認しつつずれないよう慎重に貼り付けます

位置決め棒が1本になるとパーツが回転するので、下のパーツを確認しつつずれないよう慎重に貼り付けます

山頂付近のパーツは基準穴がなくなるので、ピンセットを使ってより慎重に貼っていきます。山頂火口のくり抜きも忘れず取り除いておきましょう

そして製作開始からおよそ2時間半後、ついに「手のり富士山」が完成しました!

直径13cm弱の台座に載ったその姿は、まさに手のひらサイズ。等高線あたりの標高差は「やまつみ」シリーズとしては大まかな40mですが、宝永4(1707)年に噴火を起こして江戸にも火山灰を降らせた宝永火口や、今もなお崩壊が続く大沢崩れなど、富士山の特徴的な地形がしっかりと再現されていてワクワクします。

南側から見下ろした「手のり富士山」。高さの比率は実物の1.5倍に強調されています

南側から見下ろした「手のり富士山」。高さの比率は実物の1.5倍に強調されています

真上から見たところ。南東斜面に口を開けた宝永火口や、西側斜面に刻まれた大沢崩れなど、特徴的な地形が見て取れます

太陽系最高峰の火山に挑戦

「手のり富士山」の完成に気をよくした筆者は、もうひとつのキットにも手を付けました。日本最高峰の富士山の次は、世界最高峰……ではなく、15年ぶりに大接近している火星にそびえる太陽系最高峰の火山、「オリンポス山」です。

「やまつみ」シリーズ最新作、火星の「オリンポス山」。タコ型火星人のイラストが迎えてくれます

「やまつみ」シリーズ最新作、火星の「オリンポス山」。タコ型火星人のイラストが迎えてくれます

パーツのシート、台座、位置決め棒、リーフレットに加えて、壁掛け展示用の紐が入っています

パーツのシート、台座、位置決め棒、リーフレットに加えて、壁掛け展示用の紐が入っています

「オリンポス山」は国立天文台とのコラボ商品で、NASAの火星探査機「マーズ・グローバル・サーベイヤー」がレーザー高度計を使って測定した地形データを利用しています。縮尺は2億5000万分の1、パーツ1枚当たりの標高差はなんと500mにもなります。

パーツは全部で41枚と「手のり富士山」よりも少なめですが、おもしろいのはサイズ比較用に同縮尺の富士山が用意されているところ。「手のり富士山」は73枚重ねでしたが、「オリンポス山」付属の富士山はたったの5枚重ねです。

シートの枚数は全部で14枚(上)。そのうちのひとつに「富士山」と表記されたわずか5枚のパーツが……(下)

「オリンポス山」はそびえる惑星こそ違いますが、作り方は「手のり富士山」と同じ。基準穴と位置決め棒を使って、1枚1枚ていねいに貼り付けていきます。「オリンポス山」は台座にも基準穴が空いているので、最初から簡単に貼り付けることができました。

パーツに位置決め棒を通して貼り付ける作業の繰り返し。大きなパーツが続くので、圧着ローラーでしっかり貼り付けます

15枚目を貼り付けた時点で、標高が8,000mに到達。あと2枚で地球最高峰のエベレスト山を超えますが、21,229mの「オリンポス山」はまだまだ完成しません。

傾斜が急な成層火山である富士山に対し、ハワイのキラウエア山のように平べったい楯状火山に分類される「オリンポス山」では、山頂に近づいても比較的パーツのサイズが大きく、「手のり富士山」よりも貼り付けやすい印象です。

15枚目で8000mに達するも、まだまだ組み立ては続きます

15枚目で8000mに達するも、まだまだ組み立ては続きます

35枚目(18,000m)まで進むと、火口の複雑な地形が現れてきました

35枚目(18,000m)まで進むと、火口の複雑な地形が現れてきました

慣れてきたこともあって、「オリンポス山」の本体は1時間ほどで完成。最後に、左下にスペースが用意されている富士山を組み立て。どのパーツも小さいので、ピンセットで慎重に貼り付けていきます。

「オリンポス山」本体に続き、富士山を組み立てます。1枚目から非常に小さなパーツばかりなので、ピンセットが必須。パーツを失くさないよう注意しましょう

太陽系最高峰火山のスケール感に圧倒!

おまけの富士山が完成したところで、改めて「オリンポス山」を眺めてみます。一見するとなだらかに広がって見える山裾ですが、北西には崖のようになっているところも。崖の頂上までのパーツを数えてみると11枚あったので、実際の標高差は5,000〜6,000m。アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ山(標高5,895m)に匹敵する落差の崖とは、想像できません……。

山裾の崖から頂上までゆるやかな傾斜が続く、オリンポス山独特のシルエットが再現されています

山裾の崖から頂上までゆるやかな傾斜が続く、オリンポス山独特のシルエットが再現されています

日本人に馴染み深い富士山が並ぶことで、その巨大さがいっそう伝わってきます

日本人に馴染み深い富士山が並ぶことで、その巨大さがいっそう伝わってきます

リアルな山の姿に感動!

「やまつみ」シリーズは、「輪切りにされた山のパーツを順番通りに貼り合わせる」という、単純で理解しやすい作り方が魅力のひとつ。各パーツは高い精度でカットされていますし、基準穴と位置決め棒のおかげで、組み立て作業の8合目までは意外にもサクサクと手が進みます。

仕上げの山頂付近になると基準穴もなくなり、自分の手先だけが頼りになりますが、目安の彫り込みがあるおかげで、慎重にパーツを置いていけば大丈夫。最後のパーツまで貼り終えれば、登頂したときのような達成感がこみ上げてきます。

今回は比較的組み立てやすい「手のり富士山」と「オリンポス山」を作りましたが、「やまつみ」シリーズでは北海道の大雪山から九州の桜島まで、全国の名山をキット化。筆者の家から見える浅間山や蓼科山もラインアップされています。また、山頂付近だけを緻密にキット化した「Peak」や、国内の火山島を再現できる「しまつみ」といったサブシリーズも楽しそうです。

登ったことのある山、地元で親しみのある山、その姿にほれ込んでいる山など、思い思いのキットに挑戦してみてはいかがでしょうか。

「手のり富士山」と「オリンポス山」を並べたところ。「手のり富士山」と同じスケールのオリンポス山キットがもしあったら、いったいどれくらいの広さになるのでしょうか……

松村武宏

松村武宏

信州佐久からモバイル情報を発信するフリーライターであり2児の父。気になった格安SIMは自分で契約せずにはいられません。上京した日のお昼ごはんは8割くらいカレーです。

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