イベントレポート
「戦闘機ゲームのVRは不可能」という世間の見解をくつがえす

「エースコンバット7」話題のVRモードをプレイ! 本物のパイロット体験ゲームに大興奮

2019年1月17日に発売日が決定したPlaySatation 4(PS4)版「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」(バンダイナムコエンターテインメント)。実に12年ぶりのナンバリングタイトルであり、かつVR専用に制作された一部コンテンツがVRモードに対応することで、シリーズを通したエースコンバットファンおよび、全世界の飛行機ファンは多いに盛り上がった。筆者も同作のためにPlayStation VRを購入したクチ。今回、発売に先駆けて待ちに待った「VRモード」を体験できたので、その感想と開発者による製作秘話をお伝えする。

VRモードでできること

本作の本編である「キャンペーンモード」とは別に、PS4版のみに収録されたVR専用コンテンツが「VRモード」。その内容は、パイロットになって本物の空戦体験ができる「VRミッション」と、戦闘機の実物サイズを身体で感じられる「VRハンガー」、戦闘機によるアクロバットショーをいつでも見られる「VRエアショー」の3つの要素となっている。

ちなみに、先日VRモードの最新トレーラーが公開された。トレーラーを見たシリーズファンならピンときたはずだが、VRモードは「エースコンバット04 シャッタードスカイ」の主人公「メビウス1」としてプレイできるのだ。時代設定は「エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー」のアーケードモードで展開された物語の続きとなるそうだ。

戦闘機を舐めるように堪能できる「VRハンガー」

パイロットとしてヘルメットをかぶった状態でVRモードスタート

パイロットとしてヘルメットをかぶった状態でVRモードスタート

まずは、「VRハンガー」。ここではハンガーに格納されている戦闘機を「ここまでいいの!?」というくらい間近で見られる。機体をただ“眺める”だけのコンテンツなのだが、歩き回る整備兵や、機体のボルト1本までリアルに再現していて臨場感が半端ない。戦闘機好きな人は1日中ハンガーにいられるかもしれない。ここまでリアルに作り上げることができた経緯を、開発者に聞いてみたので、詳細は本記事後半をチェック!

気になる機体のラインアップは全部で4種。うち「F/A-18Fスーパーホーネット」「F-22A ラプター」「Su-30M2フランカー-F2」の3機が現在公開されている。

※以下の画像は実際に筆者が見ている画となる。

F/A-18Fスーパーホーネット

F/A-18Fスーパーホーネット

F-22A ラプター

F-22A ラプター

Su-30M2フランカー-F2

Su-30M2フランカー-F2

ラダーを上りコクピットを見下ろすこともできる

ラダーを上りコクピットを見下ろすこともできる

エンジンを真後ろからのぞける

エンジンを真後ろからのぞける

真骨頂「VRミッション」でコクピット炎上体験

続いてはいよいよ「VRミッション」。今回は3つのうち2つのミッションを体験できたが、2つめのミッションが衝撃的だったので、そちらを紹介する。なお、ミッションの難易度はEASY〜ACEまで4段階で設定できる。ちなみに、筆者はゲームがそこまで得意なほうではないので、その点はご理解いただきたい。

無線で聞こえてくる管制官の話によると、味方の基地から出撃する爆撃機を、敵の攻撃から守ることがミッションらしい。護衛ならチョロいかもしれない。
操作方法は、おおまかに言うと、R2でスロットル開放、左スティックで機体旋回やピッチ角による高度調整、右の◯ボタンでミサイル発射だ。最初は思うように操作ができなかったが、慣れてくると頭ではなくて感覚で操作できるようになってくる。また、敵の位置などはヘルメットのホロ表示で確認でき、照準が合うと赤く点滅してミサイル発射のタイミングを知らせてくれる。

ミッションは、ハンガーを出るところからスタート。機体は「F/A-18Fスーパーホーネット」をチョイス。コクピット内部の計器類が信じられないくらいリアルだ。

ハンガーから出ると、いきなり戦闘区域。対空車両が間近で火を噴き、そこら中で何かが爆発している。出撃……できるのか?

燃えながらゆっくりと降りてくる輸送機。ドン引きだ

燃えながらゆっくりと降りてくる輸送機。ドン引きだ

戦意喪失。だがしかし管制官は「何をやっているメビウス1」とあおってくるので、絶望的な気持ちで離陸

戦意喪失。だがしかし管制官は「何をやっているメビウス1」とあおってくるので、絶望的な気持ちで離陸

離陸には成功したが、思う方向に操縦するのが難しい。左下のパネルの緑の矢印で自分の位置と方向が確認できる。赤い矢印は敵だ

誤って雲に突入、すると振動が感じられ、キャノピーに水滴も

誤って雲に突入、すると振動が感じられ、キャノピーに水滴も

雲の上に出た。360°の空と眼下に広がる雲に感動

雲の上に出た。360°の空と眼下に広がる雲に感動

気を抜いているうちにまさかの被弾。何度か被弾するとコクピットが炎に包まれる。警告音と内部に充満する煙で本当にパニックに

プレイした感想は? VR酔いはどうなの?

プレイ後の感想は一言、「私はパイロットに向いてないかもしれない」だった。そのくらい、ゲームであることを忘れて空の世界に没頭し、パイロットになりきれるのだ。初めてのプレイだったのでそう思ったが、VRの特性上、操作を身体で覚えられることと、難易度を変更できることで、徐々に上達するやりがいを感じられそうだ。さらに、プレイし終わってから気がついたのだが、ハイスピードで機体が旋回し、激しく天地が反転するにも関わらず、VR酔いしなかった。

実は筆者が一番気にしていたのがVR酔いで、念のため酔い止めを持参したほど。開発者に話を聞くと、「酔いそう」というのは先入観で、「エースコンバット」の空中戦は実は酔いにくいシステムなのだそう。このVR酔いに関するお話も、本記事後半で詳しく解説する。

好きな飛行演目が目の前で何度も見られる「VRエアショー」

体験レポート最後は「VRエアショー」。日本では航空自衛隊のアクロバット飛行隊「ブルーインパルス」が各地の航空祭などで披露するような、いわゆる航空機のショーが間近で見られるのだ。航空祭に行ったことがある人ならわかるかもしれないが、実際に現地に行っても遠かったり、人が多すぎたりで演目がよく見えないことがある。同モードでは、22種類の飛行演目を好きな順番で何度でも体験できる。

エアショーの舞台は空母の上。まず飛行機の爆音が遠くに聞こえ、音のするほうから本当に飛行機が飛んでくる。定点の視点を切り替えて、いろいろな場所や角度から観測可能だ

日本では絶対にやらないスリリングな演目もあり、ハラハラすることも

日本では絶対にやらないスリリングな演目もあり、ハラハラすることも

演目で最も有名な「バーティカルキューピット」は、見ると幸せになれると言われている

演目で最も有名な「バーティカルキューピット」は、見ると幸せになれると言われている

かっこいい……

かっこいい……

気になることを開発者にインタビュー

今回「エースコンバット7」の「VRモード」を体験して、想像以上のリアルさにいい意味で期待を裏切られた筆者だが、どのように、あれほどのクオリティの機体と、本当に戦闘機に乗っているような感覚を実現したのか気になる。そこで、本作のブランドディレクターの河野一聡氏、プロデューサーの下元学氏、VRプロデューサーの玉置絢氏にインタビューを実施した。

――――登場する機体は何を元に作り上げたのでしょうか?

下元:実際の航空機メーカーさんから許諾を得て、コクピットの内部まで監修を受けて作りました。ちなみにVR用に完全新規で作り直しました。
玉置:VRモードは、キャンペーンモードとは別に、VRのためにコクピットの中のつまみのデコボコまで、間近にながめるのに耐えうるようにディテールを作り込んで。
鈴木:航空機メーカーから許諾がいただけるんですか?
河野:はい。実は各航空機メーカーさんとは、シリーズ当初からの長いつきあいで、信頼関係があります。なので、普通では難しいことも便宜をはかってもらっています。今回ではないですが、戦闘機の再現のためにロシアまで行ったこともありますし、アメリカの航空機博物館にも何度か行っています。
下元:最初は、ある程度取材と資料、開発ベテラン勢のノウハウ集をもとに製作するのですが、メーカーに監修を出すと「ここが違うよ」と修正してくれるんです。時には、ここまで詳しく聞いちゃっていいのかな……ということもあります。
鈴木:軍事機密知ってしまって大丈夫でしょうか……。
下元:まあ、幸いみんなまだ消されてません(笑)。

左がプロデューサーの下元学氏、右がブランドディレクターの河野一聡氏

左がプロデューサーの下元学氏、右がブランドディレクターの河野一聡氏

――――グラフィックだけでなく、機体の特性や性能も、ゲームに反映されているのですか?

河野:いや、そこはゲームですので……(笑)。マルチロールなのかファイターなのかの大枠で分かりやすい違いは表現してますけれど。あとは、F-22は高性能になっていますが、F-22の機動性能を完全にゲームに取り入れると、誰も飛ばせなくなります。あくまでもゲームです(笑)。
玉置:全般的に、ファンの人が納得する動きにはなっていますよ。「この機体はこのくらいセンシティブだよね」とか。
下元:すべての戦闘機に乗ったことのある人はいないはずなんですけどね(笑)。

右はVRプロデューサーの玉置絢氏

右はVRプロデューサーの玉置絢氏

――――VRモードを開発したきっかけは何ですか?

河野:PS VRが出た瞬間に、「エースコンバットのVRを」とは自然に思ってました。ユーザーさんはみんなやりたいんだろうなと。ですが、当時「戦闘機は絶対にVRに向いてない」という世間の声がかなりあったのです。
鈴木:向いていないというのは?
河野:VR酔いですね。酔うに決まってるという見方が大半でした。なので「絶対やってやろう、目に物見せてやろう」という、何くそ根性が実はトリガーだったりします。
鈴木:そんな理由だとは(笑)。
河野:いやでも、それ以上に「みんながやりたいことを、夢を実現したい」という理由が大きいですよ! こっちが本当の理由です。
玉置:もともとバンダイナムコ全体で、バーチャルリアリティに対してのノウハウはかなり蓄積があるので、研究を重ねればやれるだろうという自信はありました。

――――VRモードと酔いについて聞かせてください

鈴木:VR体験してみて驚いたのですが、全然酔わなかったんです。何か仕掛けがあるのでしょうか?
河野:今回複数のメディアさんに体験していただいているのですが、酔ったという人はひとりもいなかったです。
玉置:酔いやすいと思われがちですが、実は「エースコンバット」はわりかし酔いにくいほうなんです。空には地面や壁のような高速で間近をすり抜けていくような物体がなく、ユーザーの視点も前方に固定されやすいため、気持ち悪くなりにくい。あとは、VRモードには常に視界にコクピットのフレームがありますが、視界の中に「動かないもの」が映っていると酔いにくいんです。ほかには、空を飛んでいる浮遊感はありながら“酔わない”ギリギリのバランスをとるためのパラメーター調査などの仕掛けは入っています。
河野:自分の機体が今どういう状態で飛んでいるか把握できるとさらに酔わないですよ。なので、先にキャンペーンモードをやって機体の操縦に慣れてからVRモードをやると、酔いにくいかもしれません。

――――みんな期待していると思うのですが、VRのオンライン対戦モードはないですか?

河野:今回は入ってないです。アイデアとしては上がったんですが、今回はあくまで、「VRでエースコンバットをやるとこういうことになるんだ」という可能性のプレゼンテーションを一番に考えて開発しました。エースコンバットの未来にはあるかもしれません。

河野さんのお茶目なポーズにほっこり。お忙しい中ありがとうございました

河野さんのお茶目なポーズにほっこり。お忙しい中ありがとうございました

「東京ゲームショウ2018」への出展情報

「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」のVRモードは、9月20日(木)~23 日(日)(一般解公開日は22、23日)に幕張メッセにて開催される「東京ゲームショウ2018」(TGS)の、プレイステーションブースにて、1台のみ試遊可能だ。気になる人は早めに行った方がいいかも。

鈴木 ゆり子(編集部)

鈴木 ゆり子(編集部)

旅行(主に中華圏)、ペット、お酒が大好きな編集部員。飲みの席で盛り上げるのが得意ですがたまに記憶をなくします。

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