今回はガンプラをエアブラシで塗装したいと思います。しかも手軽に簡単に! それを可能にするのが「ガンダムマーカーエアブラシシステム」です。あなたのガンプラライフをさらに楽しくしてくれるアイテムですよ。
GSIクレオスの「ガンダムマーカーエアブラシシステム」です
本来エアブラシ塗装といえば、ブラシ本体、エアコンプレッサー、塗装ブース、マスクなど……それなりのお金と場所が必要で、初心者が気軽に挑戦できるものではありません。ですが、ガンプラ好きであれば一度は挑戦してみたいと思ったことがあるはず。
そんな憧れのエアブラシ塗装が、安価で手軽に体験できるのが「ガンダムマーカーエアブラシシステム」。ガンプラには「ガンダムマーカー」というペンタイプの専用アルコール塗料がありますよね。マジックで色を塗るように、ガンプラに塗装できるお手軽なアイテム。そのガンダムマーカーを塗料として使うという画期的な商品なんです。
ガンダムマーカーエアブラシ本体、エアーホース(口金PS細)1m長、Mr.エアースーパー190(エアー缶)、エアー調整バルブ、エアブラシ専用替芯(3本)、説明書が入っています
基本的なセッティングは、エアー缶にエアー調整バルブを付け、エアブラシ本体とエアー調整バルブをエアーホースで接続するだけ。あとはお好みのガンダムマーカーをセット。これだけでエアブラシ塗装が楽しめるんです。いやー、簡単。
容量190mlのエアー缶が付属。これにまずエアー調整バルブを差し込みます
あとはエアーホースを使って、本体と接続するだけです
まずはエアーだけを試してみます。これくらいの威力です
エアブラシ本体にガンダムマーカーの差し込み口が付いています。ガンダムマーカーの先端部分がこのエアーの吹き出し部分にくるようにセッティングすれば、準備OKです。
自宅にあったガンダムマーカーで試してみます
このようにエアーの吹き出し部分にマーカーの先端部分がくるように調整
今回はパーツの塗装をするためにこんなものも用意しました。GSIクレオス「ネコの手持ち手棒(36本入)」と「ネコの手ステーション」です。
手持ち手棒36本は、HGサイズのガンプラを塗装するにはちょうどいい本数でした
ネコの手持ち手棒は、先端に金属のクリップが付いた木製の棒で、これにパーツを挟んで塗装することができます。ネコの手ステーションはハニカム素材の塗装ベースで、ネコの手棒で挟んだパーツを並べて一気に塗装したり、塗装したパーツを乾かす置き場にしたりできます。
この「ネコの手ステーション」は、我が家のネコの爪とぎ用にも使えそうです。ということは逆に、爪とぎ用のガリガリを塗装ブースに活用することもできそうですよ。
あとは、大きめの段ボール箱を立てて置き、その中にこのセットを入れて周りが汚れないようにします。準備は完了。
とりあえず物は試しに、何かを塗ってみようと思います。手元に「MG ジェガン」のシールドがあったので、これをシルバーにしてみましょう。ガンダムマーカーは、通常使うときと同じように、よく振ってからペン先を押しつけて、先端部分に塗料が染み出るくらいになじませておきます。それでは、筆者人生初のエアブラシ塗装に挑戦。
「MG ジェガン」のシールドをシルバーに塗装してみます
エアーの吹き出し部分が、シールドに当たるように近づけて吹き付けてみます
思いの外ブシュって出ました。しかもムラが出ています
とにかく吹き付けてみたのですが、思いの外エアーが強く、塗料が勢いよく出ました。丸いボタンを親指(持ち方による)で押すことで吹き付けられるのですが、なにせエアブラシ自体初めてだったので、どう握っていいかよくわからず、思いっきり押してしまった次第です。YouTubeなどの動画を見て、エアブラシそのものの使い方から学ぶことにしました。わかったのは、1か所に塗料を吹き付けるのではなく、ブラシ自体を動かしながら、パーツの上をなぞるように塗装するということでした。そして、吹き付ける距離。パーツに近すぎると、垂れてしまったり濃くなったりしてしまうようです。これらに気を付けつつ、別のパーツで試してみましょう。
パーツに近づけて吹き付けてみました。いきなり大きなダマができています
塗料が垂れてしまいました
これくらいの距離で吹き付けてみます
きれいにムラなく塗ることができました
ブラシの動かし方がわかってきたのと、距離に気を付けることで少し上達してきました。初心者は小さなパーツから始めたほうがいいかもしれません。
試しに、ガンダムマーカーを普通に手で持って塗装してみたものと比べてみました。手塗りの場合はやはり、何回かパーツに筆先を付けることになるので、多少のムラが出てしまいます。一方エアブラシシステムを使うと、まだ初心者ながらムラの出にくいエアブラシならではの均一な塗装の魅力を感じられました。
左がエアブラシシステム、右が手塗りです。ムラのなさは一目瞭然ですね
そしてガンダムマーカーエアブラシシステムのウリがこれ。簡単に色を変えられることです。通常のエアブラシの場合、エアーホース先端のカップに塗料を入れて塗装します。ほかの色にする場合はカップを洗浄したり、交換したりといった手間が必要ですが、ガンダムマーカーエアブラシシステムは違う色のガンダムマーカーを差し込むだけです。とても簡単に交換できます。
ガンダムマーカーはいくつかの色が販売されているので、ほかの色を購入して試してみましょう。
メタリックカラーが入った「ガンダムメタリックマーカーセット」を購入
今度は「HGUC 1/144 MSA-003 ネモ」の左腕のみをメタリックグリーンに塗装してみます
光沢が出ますが、また塗装が甘い感じ。まだまだチャレンジします
何回か塗装してわかったのですが、ガンダムマーカーの色がすぐに出なくなることが多かったです。カシャカシャとマーカーを振って塗料を出すのですが、マーカーによってはあまり色が出ずにすぐにエアーだけになることもありました。一度マーカーを取り外し、振り直してから再装着する感じでした。
また塗装しているとマーカーがずれてペン先の位置が変わってしまい、塗料が出にくくなることもありました。一度に長い時間塗装せずに、パーツごとに一度マーカーを取り外し、振り直して再装着しながら塗装してみるといいのかもしれません。
ほかに気になったのは、エアーホースの長さは1mあるのですが、エアーホースとエアー缶の距離が近いと、ホースが塗っている手首に巻き付いてきてちょっとわずらわしかったこと。エアー缶との距離調整も必要ですね。
操作自体は慣れてきましたが、まだムラが出ます。これはもう何回もこなして慣れていくしかないようなので、いろいろと挑戦してみることにしました。
今度はガンプラをいちから塗装して組み立ててみましょう。初心者に最適で誰もが知っているガンプラといえば、「HGUC 1/144 RX-78-2 ガンダム」。ランナー3枚ながら完璧な塗り分けがされていて、無塗装でも格好よく、バリバリ動くガンダムが作れます。これをメタリックなカラーにしていきましょう。
「HGUC 1/144 RX-78-2 ガンダム」です。量販店なら700円前後で購入できます
ランナーは3枚。シンプルですが、色分けはバッチリ
今回はガンダムカラーのトリコロール配色をメタリックにしてみます。胸部や足先の青や赤部分をメタリックブルーとメタリックレッドに。胸部ダクトや首の付け根、スカート部分の黄色は思い切ってゴールドに。本体の白もガンダムマーカーのホワイトに。ビームライフルはガンダムマーカーのメカグレーを使います。
まずは胸部の青いパーツをメタリックブルーに塗装します。パーツが小さいので一気に塗装。光沢あるメタリックになりました
つづいて赤いパーツをメタリックレッドに
赤いパーツの上からの塗装ですが、シルバーっぽい光沢も加わり鮮やかに
黄色いパーツはイエローではなく、ゴールドに塗装します
だいぶ慣れてきました。鮮やかなゴールドに塗装します
ガンダム本体のホワイトは、ガンダムマーカーのホワイトで塗装してみます。これはマーカー個体の問題かもしれませんが、自分の購入したホワイトはなかなか塗料が出ず、それこそ何回もシステムから外して振り直して再装着することが多く大変でした。
主要な白いパーツをガンダムマーカーのホワイトで塗装します
メタリックとは違い、マットな質感のホワイトになりました
あとは乾かしてから、組み立てに入ります
パーツが乾いたのでガンダムを組み立ててみます。本来はパーツごとに分けて、説明書どおりにパーツをそろえておかないとわからなくなってしまうのですが、実は筆者、このキットを作るのは3回目なので、説明書を見なくてもだいたい組み立てられるようになりました。なので、今回はパーツ分けせずにそのまま組み立ててみました。メタリックが鮮やかなガンダムになったと思いませんか?
メタリックが効果的に輝くガンダムになりました
通常の無塗装のガンダムと並べて。やはり塗装すると質感が変わってかっこよさが違いますね
ガンダムの完成に気をよくしたので、さらにいくつか作ってみることにしました。まずは「HGUC 1/144ガンダムMk-II(ティターンズ仕様)」。黒いガンダムMk-IIの本体をブラック、さらにネイビーブルーの部分をブルーメタリックで塗装してみます。そして「HG 1/144 ザクI“旧ザク”(GUNDAM THUNDERBOLT Ver.)」の本体色イエローの部分をゴールドで塗装してみます。
本体の黒をガンダムマーカーのブラックで塗装します
ホワイトのときはマット質感だったのですが、ブラックは光沢のある仕上がりになりました。左が未塗装、右が塗装済みです。かなりツヤツヤになりましたよ
ネイビーブルーの部分を思い切ってメタリックブルーにしてみました
いろいろ試してみると、元のパーツの色によって、塗装したあとの色合いが変わることもわかりました。初代ガンダムの胸部のブルーをメタリックブルーに塗装した場合と、ネイビーブルーのMk-IIの場合では、色の濃いネイビーブルーのほうがより深いメタリックブルーに。元々が薄い青だった初代ガンダムの胸部は鮮やかなメタリックブルーになりました。同様に、旧ザクの場合も元の色がブラウンがかった黄色だったので、ゴールドを吹くと濃いゴールドに塗装されました。
元々が濃いめのパーツに、メタリックのゴールドを吹いてみると
より色の濃いゴールドに仕上がりました
黒いガンダムMk-IIの完成。メタリックと黒で引き締まった色合いになりました
旧ザクのオレンジパーツは、そのまま塗装せずにブラウンをゴールドに変更。ゴールドがカーキっぽく見えるようになりました
ガンダムマーカー単体で手塗り塗装するより、ムラなく塗ることができることを実感しました
付属のエアーは、いくつかのテスト塗装のあと、ガンダム本体のフル塗装を試みたところで終了。テストで思いっきりエアーだけ吹かしていたせいもあるのか、意外と早く終わってしまいました。テストなしで使っていたら、エアー缶1本でHGUC1体分くらいでしょうか? エアー缶は単体で購入できるので追加注文しました。
また本製品はGSIクレオス社製ですが、エアー缶はほかのメーカーでも代替できるようで、タミヤ製のものを使ってみましたが、問題なく使えましたよ。
おもしろいと思ったのは、ガンダムマーカーの替え芯が3本ほど付属していること。ガンダムマーカーは通常平たい芯を使っていて、平面を塗装するのに適していますが、あまり細かいところを塗装するのは向いていません。付属の替え芯は細身の芯となっており、交換することで細かい部分への塗装が可能になります。これは手塗りの場合にも使えるのでとても便利ですね。
通常の芯はこのような平たい芯になっています
付属の替え芯は3本。細身の芯です
芯を引き抜いて簡単に交換できます
吹き付け範囲が狭くなるので、細かいパーツ塗装に便利です
というわけで、初めてエアブラシを使ってガンプラを塗装してみましたが、小学生の頃に初めて買ったガンプラを、塗料と筆で塗ったときのワクワクした気持ちがよみがえりました。エアブラシは高価で取り扱いが難しいと思っていたのですが、このガンダムマーカーエアブラシシステムなら、初心者でも簡単に扱えるので、入門としてはぴったりなんじゃないでしょうか。ムラなくきれいに塗るには練習が必要ですが、安価で手軽なので何度もやってみようという気になります。
さらにこのシステムは上級者に向けての対応もあります。別売りの「Mr.エアーホース用 Mr.ジョイント(3点セット)」を使えば、通常のエアコンプレッサーにも接続でき、エアー缶を使わないエアブラシシステムとしても使うことが可能になります。
エアブラシに憧れているけどなかなか手が出せない方や、ガンダムマーカー単体での塗装からちょっとだけステップアップしたい休日ガンプラ派のお父さんにも使ってみてほしい逸品でした。
「月刊PCエンジン」誌で編集ライターデビュー。「64DREAM」誌デスクを経て前職はXbox 広報のゲーム漬け人生。猫とガンプラとaqoursが存在理由のホビー担当。