レビュー
鍵盤タッチとサウンドに妥協なし

カシオの新型フルサイズ電子ピアノ「PX-S1000」弾いてみた! スリムすぎて概念変わる

カシオから登場した新しい電子ピアノ「Privia(プリヴィア) PX-S1000」(以下、PX-S1000)をご存知ですか? その特徴は、なんと言っても従来の電子ピアノの概念を覆す「スリムさ」。88鍵フルサイズの電子ピアノとして、業界最小クラスの奥行きサイズを誇ります。

製品への注目度も高く、2019年2月の発売開始直後から、価格.comの電子ピアノカテゴリーでも売れ筋モデルの仲間入り。となれば、その弾きやすさやサウンドが気になりますよね? そこで、PX-S1000を実際に住環境で使ってみました。普段、自宅で趣味程度にピアノを弾いている筆者が、「ちゃんとしたピアノとして満足に楽しめるか?」を軸にレビューします!

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電子ピアノ界に革命を起こした「Privia」が次世代レベルのスリムさに

カシオは、2003年に電子ピアノの入門機「Privia」(初号機の型番はPX-100)を開発しました。Priviaの特徴は、机の上に置けるコンパクトなサイズと、一般層にも手の届きやすい価格設定。「庶民の憧れ」的な存在だったピアノを身近なものにするシリーズとして、電子楽器の世界で一時代を築き、今でもその人気は健在です。

そんなPriviaの最新世代として誕生したのが、ここでご紹介する「PX-S1000」です。本体寸法は1322(幅)×102(高さ)×232(奥行)mmで、重量は11.2kg。なんと、奥行きが約23cmしかありません! ハンマーアクション付きの88鍵盤を備え、スピーカーを内蔵する電子ピアノとしては世界最小クラスです(2019年1月時点。カシオの公式発表より)。以下から、写真でそのスリムな本体をご覧いただきつつ、スリム化のポイントを3つに分けてご紹介しましょう。

というわけで、こちらがPriviaの最新モデル! PX-S1000です

というわけで、こちらがPriviaの最新モデル! PX-S1000です

サイドは楔(くさび)の形状。横から見るとそのスリムさがより際立ちます

サイドは楔(くさび)の形状。横から見るとそのスリムさがより際立ちます

従来モデル「PX-160」と比較して、奥行きが約20%も小型化しました

従来モデル「PX-160」と比較して、奥行きが約20%も小型化しました

奥行きとあわせて高さも抑えられているので、背面から見ても改めてスリム

奥行きとあわせて高さも抑えられているので、背面から見ても改めてスリム

▼ポイント1:スリムさを際立たせるスタイリッシュなデザイン

PX-S1000は、Priviaシリーズならではの「コンパクト」という特徴を、さらに進化させた「新世代のPrivia」と言えます。過去のモデルも十分に薄型と言えるサイズでしたが、PX-S1000は他社製品も含めて従来の電子ピアノの常識を越える「次世代レベルのスリムさ」を実現したと言っても過言ではないでしょう。

そんなスリムさを視覚的にも際立たせているのが、フラットなタッチパネルを採用したスタイリッシュなデザイン。「このピアノなら自宅に置けそう!」と、購入に前向きになれる人も多いのでは。

デザインコンセプトは「モノブロック」。音色の切り替えやサウンド調整用の操作インターフェイスにタッチパネルを採用することで、フラットでスタイリッシュな外観を実現しています

取り外せる譜面台までミニマルデザイン

取り外せる譜面台までミニマルデザイン

タッチパネルだけでは操作がわかりにくいと思う方も多いでしょうが、そのためにUSB接続して使える専用操作アプリを用意しています。インターフェイスを極力シンプルにして、「細かい操作はアプリで」という潔い割り切り方!

▼ポイント2:本体を薄くするため、鍵盤機構やスピーカーが新設計に

さて、本体はスリムでも根本的なピアノとしてのクオリティを損ねないのが、Priviaシリーズの一貫した思想。PX-S1000でもそこは受け継がれています。奥行き約23cmの薄型筐体に組み込めるハンマーアクション付きの「スマートスケーリングハンマーアクション鍵盤」を搭載することで、アコースティックなグランドピアノの弾き心地を追求。内部のハンマーを大型化し、重心を奥のほうに取ることで、スリムな奥行きでも高いタッチ感を再現する新開発の構造です。

さらに、奥行きだけでなく本体の高さも抑えるよう、新開発した16cm×8cm楕円形スピーカーを左右に1基ずつ搭載。出力8W+8Wを確保し、サウンドのクオリティを高めています。

新開発の「スマートスケーリングハンマーアクション鍵盤」。白鍵は象牙調、黒鍵は黒檀調になっていて、質感も高いです。最大同時発音数は192で、搭載する音色数は18

左右のスピーカー部には、新しい楕円形の16cm×8cmユニットを搭載します。出音もリッチに!

左右のスピーカー部には、新しい楕円形の16cm×8cmユニットを搭載します。出音もリッチに!

背面には、ダンパーペダル接続、3本ペダルユニット接続、ライン出力、オーディオ入力、USB TO HOSTなどの各端子を装備

細かい部分ですが、ヘッドホン端子をフロント側に装備しているのも、使いやすくてうれしいところ

細かい部分ですが、ヘッドホン端子をフロント側に装備しているのも、使いやすくてうれしいところ

▼ポイント3:内蔵音源も強化

さらに、サウンドそのものに対するカシオの徹底的なこだわりも見逃せません。本機は、独自の「マルチ・ディメンショナル・モーフィングAiR音源」を内蔵。これはカシオの演算技術を生かした高いデジタル制御力で、発音から消音までの音色の変化まで再現するというものです。

しかもそれだけでなく、アコースティックピアノを弾いたときに、そのボディから発生するダンパーレゾナンスやストリングレゾナンスなどの「弦共鳴」、さらにダンパーノイズなどの「機構音」なども再現するというのが特徴。Priviaシリーズの最新世代として、しっかりピアノのアコースティックな響きの再現を図っているのです。

【動画アリ】実際に演奏してみた! サウンドや弾き心地がリッチ

さて、いよいよPX-S1000の使用感をお届けしたいと思います。筆者は、まずそのタッチ感やレスポンスの高さを実感しました。実際に演奏してみると、スリムな本体のイメージをいい意味で裏切る弾き心地なのです。ちゃんと「アコースティック感」が生きているタッチ感で、上述の新しいハンマーアクション機構の実力を感じられます。

加えて印象的だったのは、サウンドがリッチであること。特に、鍵盤から指を離すときの「音の消え方」や、音が消えていく中での「余韻・空気感」のようなものが高く再現されているのがわかるんです。こちらも、上述の「マルチ・ディメンショナル・モーフィングAiR音源」の実力でしょう。普段はなかなか自覚できませんが、音が鳴り終わったあとの空気感や可聴帯域外の響きというものが、サウンドの聞こえ方に深く影響を与えるのだと改めて認識しました。

というわけで、ぜひ以下の動画でPX-S1000の演奏風景をお楽しみください! 今回は、ピアノ歴20年以上という価格.comスタッフ・山口さんに弾いてもらいました。「ひとり暮らしなので、ここ数年は実家に帰らないとピアノを弾く機会がなくて〜」と話す山口さんも、その弾き心地とスタイリッシュさに「これならひとり暮らしの部屋に置けるかも!」と感動した様子です。

▼ピアノ歴20年の価格.comスタッフ・山口さんが語るイチオシポイント
PX-S1000は、鍵盤の沈み方に電子ピアノにありがちな「キーボードっぽさ」がなく、適度な重みもあり、まるでアコースティックピアノを弾いているようでした! アコースティックピアノのように調律の必要もないし、コンパクトだからひとり暮らしの私の自宅でも場所を気にせずピアノを楽しめそう。ちょっと欲しくなっちゃったなぁ……(笑)

ちなみに、PX-S1000にはBluetooth機能も付いています。スマートフォンとBluetooth接続すると、PX-S1000の内蔵スピーカーでスマホ内の音楽を鳴らすことが可能。スマホの音楽にあわせてセッション演奏するという楽しみ方もアリですよ

電池駆動できる! 好きな部屋に持ち運べるのがイイ

ちなみに、本格的なピアノは部屋のどこかに据え置きするもの……という感覚がありますが、PX-S1000はその概念も覆してくれます。上述の通り、その本体重量は11.2kg。ものすごく軽いわけではありませんが、大人なら抱えて持ち運べるくらいの重さです。しかも本体にスピーカーを内蔵するだけでなく、単3アルカリ電池6本で駆動するんです。

そう、AC電源につながなくても弾けるというわけ。あるときはリビングで、あるときは書斎で……といった具合に、本体単体で部屋間を移動させて演奏できるんです! ここまでリッチなサウンドを鳴らせるフルサイズの電子ピアノを、家の好きな場所に持ち運んで弾けるというのは、かなり新しい感覚ですよ。「こういう手軽さでピアノを弾きたかった!」と思っている人、結構多いのではないでしょうか?

リビングのソファで、膝に乗せて気晴らしに軽〜く弾くなんていう使い方もできるんです。まるで、鍵盤だけを抜き出して膝乗せしているみたい

書斎の机にも無理なく置いて弾けます。ACアダプター電源なしの本体だけで持ち運べて手軽!

書斎の机にも無理なく置いて弾けます。ACアダプター電源なしの本体だけで持ち運べて手軽!

ちなみに専用のキャリングケースも用意されていて(別売)、背負って持ち運べます。もちろん大きいし軽いものではありませんが、楽器(しかもピアノ)と考えたらかなり楽に運ぶことができます。ポケットには3本ペダルや譜面台を入れられます

▼3本ペダルユニットを直接取り付けられる

また、PX-S1000の“ポータブル度”を実感できるポイントがもうひとつあります。それは、オプションで用意されている3本ペダルユニット「SP-34」の接続方法。実は、これまでのPriviaシリーズは、3本ペダルを接続するとき、据え置き用のスタンド側に取り付ける仕様になっていました。

それが、今回のPX-S1000では、本体背面部に3本ペダル用の接続端子が配置され、本体に直接接続できるようになったのです。つまり、据え置き用のスタンドを使わなくてもイイようになっているわけ。PX-S1000を単体で好きな場所に置いて弾くという演奏スタイルが、こういったスペックにも現れていると言えるでしょう。

本体の背面端子部にペダル端子が装備され、3本ペダルユニットを直接接続できるようになりました。専用スタンドを使わず、好きな場所に置いてOK。実際に弾いてみた感じ、3本ペダルを接続したほうが断然いい演奏ができます

新世代Priviaに込めたカシオの思い

最後に。今回の取材に際し、PX-S1000の開発者であるカシオ計算機の池田晃氏にお話を聞くことができました。池田氏は今回の製品企画に込めた思いを、「2003年のPrivia初号機PX-100が世の中に与えた“おどろくほどコンパクトな電子ピアノ”というインパクトを、PX-S1000でもう1度起こしたかった。ピアノのタッチ感とサウンドを損ねることなく実現できる、“限界のコンパクトさ”をめざしました」と語ります。

PX-S1000の開発に携わった、カシオ計算機 事業戦略本部 楽器BU 第二商品企画室 池田晃氏

PX-S1000の開発に携わった、カシオ計算機 事業戦略本部 楽器BU 第二商品企画室 池田晃氏

なお、電子ピアノにはやはり子どものレッスン用というイメージがありますが、池田氏は「昔ピアノを習っていた経験のある大人ユーザーにも、PX-S1000を使ってほしい」とのこと。

「たとえば、気晴らしにちょっとピアノを弾きたいなというときに、Bluetooth接続したスマホの音楽とあわせて、片手でポロンポロンと弾いて楽しめます。いっぽうで本格的な演奏にトライしたいときにも、そのニーズに応えられるクオリティを備えているのがPX-S1000です。趣味でのピアノ経験がある方こそ、そういった両方の楽しみ方ができることで喜んでいただけるのではないでしょうか」(池田氏)

ピアノ経験者にとってちょうどいいスペックの新世代Privia

上述の池田氏のお話には、PX-S1000を使ってみた筆者個人的にも納得でした。「手軽さ」と「本格感」の両立はかなり魅力的です。

ピアノ経験がある人の中には、社会人になって生活に余裕が生まれ、「久しぶりにピアノを弾きたい」と思う方は多いと思います。しかし、ピアノは基本的に大きいもの。やはりサイズがネックとなって、なかなか自宅に演奏環境を作りにくいものですよね。

しかもそこそこピアノを弾いた経験があると、鍵盤数は88鍵でないと物足りなく感じてしまいます。サイズを最優先にして、コンパクトで手軽な製品を選んでもいまいち満足できません。かといって、一般家庭ではフルサイズのピアノを置くスペースを確保するのは難しいという現実もあって堂々巡りです。

筆者も含め、そんなカムバック組の大人ユーザーにとって、88鍵フルサイズなのに設置がしやすいPX-S1000は「これだ!」という存在です。まさに「この手軽さで弾けるフルサイズのピアノを求めていた」という感じ。子どものレッスン用だけではなく、大人が趣味で楽しむものとしての「手軽さ」と「本格感」が見事に両立した次世代の電子ピアノと言えます。

杉浦 みな子(編集部)

杉浦 みな子(編集部)

オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。

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