さて、今回のガンプラ組み立てレビューは、名前からインパクト抜群のすごい機体です。その名も「ν(ニュー)-ジオンガンダム」。ジオン側のνガンダムという、ある種のパラドックスを生み出すコンセプトの元に作られています。いやいやちょっと待って! ジオンとガンダムって相反するものだよね! それくっつけちゃっていいの? と突っ込みたくなりますが、これがなかなかおもしろいガンプラなのです。
パッと見、赤いνガンダムという印象ですが……?
「ν-ジオンガンダム」は、2019年秋よりYouTubeのガンダムチャンネルにて無料配信されたアニメ「ガンダムビルドダイバーズRe:RISE」という作品に登場するガンプラ。このガンダムビルドシリーズは、作ったガンプラを戦わせるというアニメで、過去にも実際のガンプラをベースに派手な改造機体が登場しています。今回は人気の機体「νガンダム」をベースにしたガンプラです。
まずは完成形をご覧ください! さてどこから突っ込みましょうか
赤いですね。そしてとんでもなく大きな武器を持っておりますし、ファンネルもすごいことになっています。素組み、塗装なしの状態ですが、本体の赤がツヤツヤと輝いており、見た目のインパクトは抜群。細かく見ていきましょう。
武装なしの状態です。パッと見た感じは赤いνガンダムに見えますね。本体の赤は2色のパーツで構成されています
顔はνガンダムそのままという感じです。アンテナが多少違うのと、胸部に注目
本体の素体はHGUCのνガンダムをベースに、というかそのままパーツを流用している部分が多く、まさにνガンダムという感じです。大きく違うのは、まず胸部。ジオンのZマークが大きく付いています。そして肩、腹部、脚などはアレンジが加わっています。特に腹部には動力パイプが付いているんですよ。これはガンダム系のモビルスーツにはない、ジオンっぽい特徴ですね。
「RG 1/144νガンダム」と並べてみました。ディテールの違いはあれど、ほぼνガンダムを踏襲していることがわかると思います
そして右に「RG 1/144サザビー」を。肩や腹部などはこのサザビーをモチーフにしていそうです。しかしサザビーってやはり大きいですね
νガンダムとサザビーと並べてみると、この2体のパーツをイメージして作られたガンプラであることがうかがえますね。最初は、本体色の赤がもうちょっと落ち着いた色合いだったらいいかなと思ったのですが、実際に組み立てるとこのツヤツヤの質感もいいですね。あえてつや消しスプレーをせずに飾っております。
では武装を見ていきましょう。なんといってもまずはジオンのエンブレムを模した大剣です。このνジオンガンダムのビルダーは、謎の覆面男「キャプテン・ジオン」。アメコミのスーパーヒーローのようないでたちで、マナー違反を行うビルダーたちに正義の鉄槌を食らわすというまさに正義のヒーロー。そしてこの必殺兵器「ジオニックソード」は、あらゆる違反ビルダーのガンプラを一刀両断する正義の刃となっております。
ジオニックソードだけピックアップ。一見シールドにも見えます
大きいので専用のスタンドで支えながらポージング。真ん中にジオンのエンブレム!
先端部分が可動。大きなハサミのような形態にチェンジ。この場合も専用のスタンドで固定できるようになっています
さらに先端部分を反転させ、専用の長いビームソードを取り付けると「ハイメガサーベル」になります
全長約30cm超えの巨大なサーベルにチェンジ。さすがにスタンドがないと持てない大きさです
ビームソードを外し、「ハイメガボウガン」という弓矢形態にもチェンジ可能。これまた迫力があります
スーパーロボットならまだしも、リアル系のガンダムでこういう大きな剣を持って戦うのってちょっといいですよね。
νガンダムではフィンファンネルとして使われていた部分は、「ケープスラスター」という名前でマントのように背中に装備されています。これは4機のテリブルファンネルというパーツで構成されており、それぞれ分離、合体が可能。テリブルファンネルは別売りのスタンドを使えば展開状態も再現できます。
フィンファンネルとは異なり、肩から下に向けてファンネルが装備されます
真横にまっすぐ伸ばすとかなり大きな印象になります。どことなくマントっぽいですね
ケープスラスターは分離でき、4つのテリブルファンネルというパーツになります
別売りのスタンドを使えばテリブルファンネル発射状態を再現。巨大なジオニックソードも相まって迫力のあるポージングで飾ることができますね
ジオニックソードは背面に装着可能
そのほかの武装は、近接戦闘武装のコンバットナイフが2本付属
正直なところ、最初にこのガンプラを見たときはイロモノ好きのためのガンプラかなと思っていました。しかし実際に作って動かしてみると、νガンダムのいいところにサザビーっぽいアクセントを入れ、豪快な武装で立ち回れる、非常におもしろいガンプラだと気付かされました。ベースとして、可動やスタイルに定評のあるHGUCのνガンダムを使っているため、作りやすく見栄えがいいのも特徴です。
ベースがHGUCのνガンダムなので、ランナーが流用されており、使わないパーツも多々出てきます。νガンダムで使用する武装はほぼ余剰パーツに。赤いバズーカやビーム・ライフル、シールドなどは魅力的なので、使ってみるのもありかと
大きなアクションでνガンダムの概念をぶち壊すポージングもできるガンプラです
シャア専用機のようなカラーリングが印象的
ビルドダイバーズのアニメを見ていない人でも、νガンダム好き、サザビー好きの方ならきっと楽しめますし、ガンプラの改造案としてもいいお手本となりそうです。ガンプラって奥が深いなと改めて感じさせられるキットでした。
「月刊PCエンジン」誌で編集ライターデビュー。「64DREAM」誌デスクを経て前職はXbox 広報のゲーム漬け人生。猫とガンプラとaqoursが存在理由のホビー担当。