片桐仁の「あまりにも異常なガンプラの世界」
第1回

《ガンプラ》歴代のMG「RX-78-2ガンダム」の頭部だけを比較してみた!/前編

【PROFILE】
片桐 仁さん
1973年生まれ。大学在学中の1996年、小林賢太郎さんとともにコントグループ「ラーメンズ」を結成し、シュールな芸風でカルト的な人気を獲得。俳優としても映画、TVドラマ、舞台で活躍するほか、粘土造形作家やお笑いコンビ「エレキコミック」とのユニット「エレ片」のメンバーとして活動するなど、マルチな才能を発揮しています

ガンプラが大好きな片桐仁さんが、世界に誇る日本のホビー「ガンプラ」の“どうかしてる”としか思えない部分にスポットを当てて、あまり知られていない魅力を紹介するというユニークな新連載がスタート! 聞き手は、ホビーライターの河上拓。記念すべき第1回は、1/100スケールのマスターグレード(以下、MG)の「RX-78-2ガンダム」の頭部だけを並べて、その変遷をつまびらかにしていきたいと思います。

※今回の企画では、商品名は異なりますが、「RX-78-2ガンダム」に装甲を施した「MG 1/100 プラモ狂四朗専用モビルスーツ PF-78-1 パーフェクトガンダム」「MG 1/100 真武者頑駄無」「MG 1/100 フルアーマー・ガンダム Ver.Ka(GUNDAM THUNDERBOLT版)」も同時に並べて比較しました。いっぽうで、カラー違いや限定版は含みません。

全10種類のガンダムの頭部だけを比較!

まず、「ガンプラ」をあまり知らない読者に向けて簡単に説明すると、「MG」シリーズは今から25年前の1995年に登場した大人をターゲットにした、ちょっと豪華で高価なガンプラブランドのこと。サイズは、1/100スケールで統一されていて、スタンダードなガンプラ「ハイグレード(HG)」シリーズの1/144よりも少し大きめ。内部フレームや可動ギミックなどに最新の技術を取り入れて、日々進化を続けています。

なかでも人気の「ファーストガンダム」とも呼ばれるアニメ「機動戦士ガンダム」に登場した主人公機「RX-78-2ガンダム」のキットは、バージョンアップ版だけで「Ver.1.5」「Ver.2.0」「Ver.3.0」が発売されていて、それ以外にもさまざまなバージョンがリリースされています。「MG」で発売された「RX-78-2ガンダム」は、ベースになっているキットも含めると、全10種類にのぼります。

◇◇◇◇◇

河上 今回、「MG」の「RX-78-2」の頭部だけを時系列で並べたら、いろんなことがわかるんじゃないかってことで、全部集めてみました。

片桐仁さん(以下、片桐) ホント、こうして見ると圧巻ですね。

河上 片桐さんが所有しているモデルは持ってきてもらって、ないものだけこちらで作りました。

片桐 自宅にあったのを持ってきたから、いくつかスミ入れ(※)しちゃってるものもあるんですけど。あと、「MG」より前に出た「1/100 ガンダム」の旧キットと、「MSV No.34 1/100 RX-78 パーフェクトガンダム」という旧キットの頭部も持っていたので比較用に持ってきました。

※:「スミ入れ」……塗料をパネルラインなどのディテールに流し込むことで、彫刻をシャープかつ精密に際立たせる塗装テクニック

上段左から
「MG 1/100 RX-78-2 ガンダム」
「MG 1/100 RX-78-2 ガンダム Ver.1.5」
「MG 1/100 RX-78-2 ガンダム Ver.Ka」
「MG 1/100 プラモ狂四朗専用モビルスーツ PF-78-1 パーフェクトガンダム」
「MG 1/100 RX-78-2 ガンダムVer.ONE YEAR WAR 0079」
下段左から
「MG 1/100真武者頑駄無」
「MG 1/100 RX-78-2 ガンダム Ver.2.0」
「MG 1/100 RX-78-2 ガンダム Ver.3.0」
「MG 1/100 RX-78-02 ガンダム(GUNDAM THE ORIGIN版)」
「MG 1/100 フルアーマー・ガンダム Ver.Ka(GUNDAM THUNDERBOLT版)」

河上 こうして顔だけをじっくり見ると、それぞれ印象が変わりますね。

片桐 確かにそうですね。僕は「Ver.2.0」が好きだったんだけど、顔だけになると「Ver.3.0」もカッコいい。「Ver.Ka」はもっとシュッとしていると思ってたんだけど、今見るとデカくてちょっと馬面っぽいですね。

河上 同じ「RX-78-2ガンダム」なのにここまで異なるんですね。

片桐 への字口みたいな2本のラインの塩梅と、アンテナの基部と呼ばれる額の中心にある五角形の赤いパーツのサイズの違いによって、表情が変わりますね。でもこうして見ると、1番大きな違いはアンテナな気がするよね。角度も長さもこんなに微妙に全部異なる。これは、今日並べてみるまで知らなかったです。

横から見ると、アンテナの微妙な角度や位置の差がよくわかる

横から見ると、アンテナの微妙な角度や位置の差がよくわかる

河上 目の下の赤い歌舞伎の隈取(くまどり)みたいな部分の大きさも、それぞれ異なりますよね。

片桐 あと、斜めから横顔を見ると、ヘルメットのような頭部から、どれだけ顔面が前に出ているのかという違いもよくわかる。

河上 ほかにも、おでこの左右に付いてるバルカン砲の長さや、目の角度も微妙に異なりますね。

片桐 で、どれもやっぱりカッコいい! 斜めから見たガンダムは本当にカッコいいんですよね。

ハッチをオープンできる「Ver.1.0」は気合いが入りまくりだった!

「MG 1/100 RX-78-2 ガンダム」/1995年7月発売

「MG 1/100 RX-78-2 ガンダム」の頭部。ガンプラ「MG」の記念すべき第1弾だけあり、頭部もこだわりが満載だ

「MG 1/100 RX-78-2 ガンダム」の頭部。ガンプラ「MG」の記念すべき第1弾だけあり、頭部もこだわりが満載だ

モールドは浅め。目は大きくテカりが強め。シールは“シールっぽさ”が目立つ。メインカメラは透明

モールドは浅め。目は大きくテカりが強め。シールは“シールっぽさ”が目立つ。メインカメラは透明

ヘルメットのツバの位置が高く、外から目がしっかりと見える

ヘルメットのツバの位置が高く、外から目がしっかりと見える

ディテールは細かい。パーティングラインをうまくデザインに取り入れている。頭部ハッチの開閉用に切り込みあり

河上 ということで、ここからはそれぞれの頭部をクローズアップしていきます。25年前に発売された「MG」の第1弾から見ていきましょう。このあと「Ver.1.5」とか「Ver.2.0」とかアップデートされたバージョンが出てくるので、ここでは「Ver.1.0」と呼ぶことにします。発売当時はめちゃめちゃ話題になったんですよね。

片桐 そう。これが出るまで1/100スケールの「RX-78-2ガンダム」は10年以上、新作が出ていなかったんです。

河上 今回持ってきてもらった「MSV No.34 1/100 RX-78 パーフェクトガンダム」は1984年に発売されているのですが、そこから1/100スケールの「RX-78-2 ガンダム」関連のキットは出ていないみたいですね。だから11年ぶりだったんですね。

左が「MSV No.34 1/100 RX-78 パーフェクトガンダム」で1984年12月に発売。右が「1/100 ガンダム」で1980年7月に発売。第1弾「1/144 ガンダム」の次に発売された第2弾のガンプラです

片桐 「Ver.1.0」が発売されたのは、僕が大学4年生のとき。近所のダイエーに買いに行ったら売り切れちゃってた。価格が2,500円もして、そんなすんの? って驚きましたね。今考えると安いけど。

河上 プラモデルって、それまでは安価なイメージがありましたもんね。

片桐 「Ver.1.0」は、頭部のハッチがオープンしてバルカン砲やメインカメラなどのメカが見える仕様。これは「MG」の「RX-78-2 ガンダム」では「Ver.1.0」だけのギミック。で、その分、ちょっと頭はほかより大きくなっています。

河上 以降のモデルと比べると、だいぶ横幅がありますね。

片桐 このハッチが開く改造は、当時すごく人気があったんです。プロモデラーの人が作った改造例が雑誌によく載っていたんです。でも作るのがめちゃめちゃ難しくて、みんなマネするんだけど失敗してたんですね。素人には超難しかった改造が、まさかのオフィシャルのプラモに標準装備されたってことが衝撃でしたね。何度も挑戦して失敗したあの構造がついに自分のものに! っていうのは感動でした。でも今見ると、プラの厚みが分厚い!

河上 当時の技術的に、この薄さが限界だったんでしょうね。

片桐 そうだよね。だから中身が小さい。ホントはもっとギュッと詰まっていてほしいんだけど、そうしちゃうと頭が大きくなり過ぎて全体のバランスがおかしくなる。2008年に出た「Ver.2.0」以降はもっとガワが薄くなって、たっぷりギリギリまで詰まっています。

頭部の内部にメカが! しかしちょっと小さめ

頭部の内部にメカが! しかしちょっと小さめ

河上 最近だと、カプセルトイの「ガンダムヘッド」なんかもガワはかなり薄いですもんね。プラスチックの成形技術が、この25年で進化し続けていることがわかりますね。

片桐 頭部だけでパーツが12個も用意されている。今見ると、ちょっと顔面の幅が狭いのに、側部と後部のヘルメット部分が、大きくボコッとふくらんでいますね。TVアニメ「機動戦士ガンダム」に出てくる最初のガンダム、俗に言う「ファーストガンダム」のビジュアルに近い気はします。その後に出たほかのバージョンと比べても、かなり似てるいるほう。当時は気づかなかったけど。

河上 頭部だけ見ても、気合いの入り方がすごいですね。

片桐 これだけはちょっと別格ですね。本気で作っている。気合いの入り方が違うというか。頭頂部にあるメインカメラが透明なんだけど、後部は透明じゃないとか。

河上 後方にも同じ形状にデザインされているんですけど、作りが違いますね。

片桐 ほかと比べて、口の2つのへの字の溝が浅いですね。で、目の下の赤い歌舞伎の隈取みたいな部分が大きい。だから目元が大きく見える。

河上 目の塗装をシールでうまく表現してるのも画期的ですよね。

片桐 目の周りの赤い部分を塗らなくていいっていうのには驚きましたよ。それまでって、ガンダムのプラモデルは目の周りの塗装がすっごい大変だったんですよ。何が塗れないって顔が塗れないんですよね。赤いところがうまく塗れても、今度は黒の塗装がはみ出しちゃうとかね。

河上 それをシールにしたことで、一気にハードルが下がった。

片桐 そう。「少年時代にうまく作れなかった人も作れます。接着剤も塗料もいりません」というのが、このキットのウリだったんです。

河上 そういった部分も大人向けなんですね。

片桐 これ以降のキットと比べると、いろいろ野暮ったく見えるけれど、それ以前のガンダムのプラモと比べるとえらい進化ですね。

赤い五角形の部分がまさかのシール仕様に!

「MG 1/100 RX-78-2 ガンダム Ver.1.5」/2000年6月発売

「Ver.1.5」の頭部正面。「Ver.1.0」に比べて、かなり強面(こわもて)。帽子を目深にかぶったようなデザインで、目の部分が影になる仕様でした

アンテナの基部(赤い五角形)はシールを貼るタイプに。写真のように、はがれやすいのが玉にキズか……

アンテナの基部(赤い五角形)はシールを貼るタイプに。写真のように、はがれやすいのが玉にキズか……

真横から見ると、初期のガンプラのような前後真っ二つのパーティングラインが目立つ

真横から見ると、初期のガンプラのような前後真っ二つのパーティングラインが目立つ

「Ver.1.0」にあった細かいモールドがなくなってツルツルに。えりの部分も「Ver.1.0」のようにまっすぐではなく、ヘコんでいる

片桐 価格もパーツ数もとんでもない1/60スケールの「パーフェクトグレード(PG)」の「RX-78-2」を挟みつつ、「Ver.1.0」から5年後に発売されたのがこの「Ver.1.5」です。

河上 「PG」は、1998年に出た「MG」のさらにもうひとつ上の最上位クラス「ガンプラの最高峰ブランド」と言われるシリーズですよね。

片桐 「PG」では内部メカが再現されていて、ガンプラファンが1番やりたいけどできなかった改造ができるようになった。それが、身体中の外装が全開になった状態“フルハッチオープン”です。

河上 さっき見た「Ver.1.0」の頭部のハッチが開くギミックのさらに進化形ですね。

片桐 あこがれの改造の最終形態みたいなのが、オフィシャルキットで作れちゃう。作るのめちゃめちゃ大変ですけどね。で、「Ver.1.5」は、足の関節やプロポーションにおいて「PG」の影響を受けてるところもあるんですけど、顔に関してはぜんぜん違う。だいぶ簡略化されてますね。

河上 「PG」 は頭部にも内部フレームが搭載されているんですけど、それを1/100スケールでやるのは当時の技術だと難しかったんですかね。巨大なサイズだからできるというか。

片桐 また厚みが出ちゃうから。でも、「MG」の「Ver.1.0」でパーツ数が12個だったのが「Ver.1.5」では7個に減っている。なぜ、ここまで頭部を簡略化したのかは謎ですよね。ハッチも開かなくなってるし、内部のメカもない。横から見ると、パーティングラインが一直線で入ってるし……。これって、旧キット時代に逆戻りしている。「Ver.1.0」から5年間が経過しているのに、頭部に関しては進歩が実はあまりないんですね。

左が「Ver.1.0」で、右が「Ver.2.0」。後者は内部のメカがなくなり、構成パーツも大幅に少なくなった

左が「Ver.1.0」で、右が「Ver.2.0」。後者は内部のメカがなくなり、構成パーツも大幅に少なくなった

河上 「Ver.1.0」とは、明らかにコンセプトが違いますよね。

片桐 でも「Ver.2.0」は、パッと見はカッコいい。あと作っていて驚いたのがアンテナの基部。

河上 額のアンテナの付け根、赤い五角形の部分ですね。

片桐 このキットだけ唯一、シールを貼る仕様なんです。「MG」なのにこの部分のパーツがシールっていうのは驚きでしたね。しかも赤でなくて、ちょっとだけメタリックが入っている。

赤い五角形の部分がまさかのシール仕様に! 貼るのはかなり難しい……

赤い五角形の部分がまさかのシール仕様に! 貼るのはかなり難しい……

河上 メタリック感を出すために、やむなくシール仕様を採用したって感じなんですかね。

片桐 シールの材質が変わって使いやすくなったから、この部分もあえてシールで表現してみたのかもしれないですね。シールは、「Ver.1.0」のときは透けた薄っぺらいビニールっぽかったんですけど、「Ver.1.5」では進化して、少しだけ伸縮するタイプになりましたし。

河上 目の部分がすごくきれいに貼れるんですよね。

片桐 目には細かい凸凹があるけど、つまようじか爪で立体部分に沿って押していくと、シール感が薄れていくんですよね。

河上 目のパーツが透明になるのも「Ver.1.5」からですね。

片桐 これは完全に、電飾へのあこがれから来るものですよね。当時、「1/100 HY2M-MG Vol. 01」という電飾用の顔だけのキットが売られてたんですよね。「ガンダム」と「ガンキャノン」と「ザク」の顔が入ってるの。それは最近の「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」のガンプラのLEDユニット(別売り)とは違って、ピタッとハマらなくて、買ったけど使わなかったな〜。

色味が調整されたカトキハジメ先生監修モデル

「MG 1/100 RX-78-2 ガンダム Ver.Ka」/2002年12月発売

顔は、面が増えて角張った印象を受ける。こちらは片桐さんの私物のため、スミ入れされています

顔は、面が増えて角張った印象を受ける。こちらは片桐さんの私物のため、スミ入れされています

瞳の色が緑色に。目の下の赤い隈取のような部分にもモールドが入り、メカっぽさがアップしました

瞳の色が緑色に。目の下の赤い隈取のような部分にもモールドが入り、メカっぽさがアップしました

パーティングラインの位置は、「Ver.1.5」と変わらないが、頭頂部にはその線に沿ってモールドを入れることで、パーティングラインを目立たせない工夫が施されている

後頭部下部は「Ver.1.5」で刈り上げたようにヘコんでいたが、「Ver.Ka」ではまっすぐに戻った

後頭部下部は「Ver.1.5」で刈り上げたようにヘコんでいたが、「Ver.Ka」ではまっすぐに戻った

河上 そして「Ver.Ka」について。メカニックデザイナーのカトキハジメ先生が監修したバージョンがついに登場します。このキットも当時、かなり話題になりましたよね。

片桐 模型雑誌「モデルグラフィック」で「ガンダム・センチネル」という企画をやっていて、そこでカトキ先生がデザインした「ガンダム」のイラストと一緒に、立体化した模型の写真が掲載されたんです。それがセンセーショナル過ぎて、みんなが欲しがった。そこでバンダイが製品化したのが、このキットなんです。

河上 これも、頭部に関しては「Ver.1.5」を踏襲してるのかパーツ数は少ないですね。

片桐 パーツの構成もほぼ一緒ですね。おでこのパーツが2個に分かれた以外は変わっていない。パーツ数は8個ですね。

左が「Ver.1.5」で右が「Ver.Ka」。パーツ構成や構造はほぼ同じ。ガワパーツの造形や各部の角度や長さが微妙に異なります

河上 でも、見た目は結構違いますね。「Ver.Ka」のほうがすごく細かく見える。

片桐 そこが面白いですよね。でも実はモールドによってそう見えているだけっていう。側面に一直線のラインが入るのを避けるために、パーティングラインに合わせて新しい線がデザインされてる。それに全体のラインがかなり変わってますね。メインカメラの角度や、後頭部の丸みが違ったり、ラインもガタガタしていて情報量が多くなったりしています。面の数が増えて、口の両隣にはダクトも搭載されました。

河上 ホントだ! これまでなかった縦長のダクトが搭載されていますね。

片桐 目が緑色なのも、このキットの特徴ですね。

片桐 これ以降の「ガンダム」も含めた系譜を見ていくと、緑目のほうが多いんだけど、「RX-78-2ガンダム」では珍しいですね。あと、全体のカラーも異なります。

河上 確かに白の部分がほんのり茶色っぽいですね。

片桐 これ、スミ入れしちゃっているんだけど、色は塗ってないからね。白が若干、茶色っぽくて、赤がオレンジで、青がちょっと紫色なんです。つまり、全体的に赤系に振っているんですね。

なぜこの色になったかっていうと、アニメ「機動戦士ガンダム」に出てくるモビルスーツの中で唯一、リアリティのない色をしてるのが「ガンダム」なんです。元は子供向けのおもちゃってことでこの色になったけど、赤と青と白ってバラバラの色だから、どうしてもガチャガチャする。せめてもうちょっと色味を整えようってことでカトキ先生が調整してこうなったんです。

河上 兵器としてのリアリティを求めたらこの色味になった?

片桐 そう。あとアンテナを時計の針のように見たとき、ほかのモデルよりもアンテナの角度が狭いよね。

河上 確かにほかのキットのアンテナは、10時10分ぐらいの角度ですけど、「Ver.Ka」のアンテナは少し狭まって10時8分ぐらいな気がします。

「Ver.1.5」とは微妙に異なる「プラモ狂四郎」登場モデル

「MG 1/100 プラモ狂四朗専用モビルスーツ PF-78-1 パーフェクトガンダム」/2003年12月発売

一見、ほぼ「Ver.1.5」だが、よく見るとアンテナ基部の赤い部分に成形色を採用している。隈取部分のカラーや口元のへの字のモールド、アゴの尖り具合も微調整された

斜めから見ると、「Ver.1.5」よりもだいぶアゴ周りが細くなっている

斜めから見ると、「Ver.1.5」よりもだいぶアゴ周りが細くなっている

口元のマスク部分が、「Ver.1.5」よりも奥に引っ込んでいる

口元のマスク部分が、「Ver.1.5」よりも奥に引っ込んでいる

後部は「Ver.1.5」にしか見えない!

後部は「Ver.1.5」にしか見えない!

河上 「パーフェクトガンダム」は、1980年代に「コミックボンボン」で連載された、ガンプラを改造するマンガ「プラモ狂四郎」に登場したガンダム。主人公は、「RX-78-2ガンダム」のプラモデルを改造してガワ(外装)を付けたガンダムです。その状態を再現しているので、キットも「RX-78-2」に外装を付けたり外したりできるようになっています。

片桐 マンガでは、腕時計のバンドを使って、シールドを留めたりするんですよね。ところで、この顔は「Ver.1.5」にすごく似てる。

河上 ベースは、確実に「Ver.1.5」な気がしますね。

片桐 でもほんのちょっとだけ小顔になってる。僕は今日まで同じだと思ってたんだけど、並べるとちょっと違いますね。むちゃくちゃ似ているけど、横顔が微妙に違う。「Ver.1.5」よりもメインカメラが若干小さくなっていたり、額の左右のバルカン砲の長さがちょっと変わっていたりしますね。

左が「Ver.1.5」で、右が「パーフェクトガンダム」。こうしてみると、後者が小顔になったのがわかる

左が「Ver.1.5」で、右が「パーフェクトガンダム」。こうしてみると、後者が小顔になったのがわかる

河上 「パーフェクトガンダム」はボディにガワを付ける分、小顔なんですかね?

片桐 確かに身体にガワを付けて大きく見せるために、顔を小さくしてるってことはあるのかも。

河上 「Ver.1.5」との頭部の違いは、並べないとわからなかったですね。

片桐 これは発見ですよね。パッと見は気がつかないレベルで変わってますね。

「空気遠近法」を取り入れたゲーム登場モデル

「MG 1/100 RX-78-2ガンダム Ver.ONE YEAR WAR 0079」/2005年3月発売

成形色が淡い色合いに。また、アンテナ基部がディテールアップされている

成形色が淡い色合いに。また、アンテナ基部がディテールアップされている

バルカン砲周りや頭頂部なども、ディテールが追加されている

バルカン砲周りや頭頂部なども、ディテールが追加されている

後頭部にかけての美しいモールドは、ロボット感をよりリアルに表現

後頭部にかけての美しいモールドは、ロボット感をよりリアルに表現

後部にも、しっかりとモールドが表現されている

後部にも、しっかりとモールドが表現されている

片桐 「MG 1/100 RX-78-2ガンダム Ver.ONE YEAR WAR 0079」は、「PlayStation 2」用3Dアクションゲーム「機動戦士ガンダム 一年戦争」に出てくるガンダムのキットなんですが、「Ver.1.75」とも呼ばれています。

河上 これもカラーがほかと異なりますね。全体的に淡い。

片桐 色が独特なのは「空気遠近法」を取り入れてるから。巨大な物体の全身を見るときには、離れた場所から見る必要がありますよね。でも、離れた場所から見ると物体はかすんで見える、ってことでこういう色になってるんでしょう。

河上 え〜っと、つまり実物大ガンダムを見たときのかすみ具合を表現しているってことなんですかね。

片桐 そこは真剣に考えると、よくわかんなくなるんですよね。そもそも「RX-78-2 ガンダム」はそんなに大きくないですし。

河上 まあ、ざっくり言うと巨大に見えるように色味を変えているってことですね。

片桐 キット的には「Ver.1.75」と言われてるだけあって、上半身にもフレームが内蔵されるなど、結構進化しているんですが、頭部の構造に関してはほぼ変わりがないですね。「Ver.1.5」よりも側頭部や後頭部のモールドが増えてますが、パーツ数は同じです。

「Ver.Ka」の反省を踏まえて小顔にした“リアルサイズSDガンダム”

「MG 1/100 真武者頑駄無」/2008年6月発売

ヘルメット部分が兜(かぶと)仕様なのでわかりにくいが、口の横のダクトなどのディテールを見る限り、「Ver.Ka」に似ている

バルカン砲は短めなど、よくよく見ると「Ver.Ka」とは異なる部分もある

バルカン砲は短めなど、よくよく見ると「Ver.Ka」とは異なる部分もある

頭頂部のモールドはなし。後頭部の出っ張りは大きめで、「パーフェクトガンダム」に近い

頭頂部のモールドはなし。後頭部の出っ張りは大きめで、「パーフェクトガンダム」に近い

後頭部はほぼ兜!

後頭部はほぼ兜!

片桐 パッと見、兜をかぶってる以外は、「Ver.Ka」と同じ顔に見えるんですけど、「Ver.Ka」のボディにハメようとした……ハマらない!

河上 ヘルメット部分が同じ幅なのに、顔が少し狭まってますね。

片桐 「Ver.Ka」の反省を踏まえて、小顔にしたんじゃないかな。「Ver.Ka」は顔の評判はよくなかったんですよね。もっと丸くて下がすぼまってなきゃいけないって、顔だけゼロから自分で作る人が結構いたんです。俺たちが欲しかった顔は「Ver.Ka」のパッケージの顔だっていう人が多かった。

河上 じゃあそこを微調整した感じですかね?

片桐 並べて見ると「Ver.Ka」は、実は顔が大きいことがわかる。「真武者頑駄無」は、アゴの部分がすぼまってますね。あと口のへの字の角度も違う。

河上 ほかと比べると「真武者頑駄無」の顔はかなり位置が低いですね。

片桐 そもそも存在自体が“変”ですからね。冷静に考えたら、「真武者頑駄無」って何なんだって話で。「リアルサイズSDガンダム」って説明されていて、もう意味がわかんない。頭部の構成パーツ数は、13個と1番多いけど、甲冑分も含むからね。

河上 で、「真武者頑駄無」が2008年6月に発売されて、その翌月7月に「Ver.2.0」が発売されてます。

片桐 改めて「Ver.1.0」から通してみると、どんどんロボット感が強まっていって、「Ver.Ka」からはさらにメカニカル感が強まっていくんですけど、このあとの「Ver.2.0」でアニメ仕様に戻るんですよね。

河上 その流れは、どういうことなんでしょうね?

片桐 情報量を増やしまくる「Ver.Ka」っぽい進化は、めちゃくちゃ流行った分、古くなるのも早かったのかもしれないですね。それにしても、「Ver.1.5」からすでに5年間もこの形が続いてるってことだよね。

左から「Ver.1.5」「Ver.Ka」「パーフェクトガンダム」「Ver.1.75」「真武者頑駄無」(甲冑は取り外した状態)の頭部パーツをバラした状態。構成がほぼ同じなのがわかる

河上 これだけ続けいたというのは、何かしらの正解がこの形にあったってことなんでしょうね。

片桐 まあ、簡単に作れるのは魅力ですけどね。

河上 あと、ヘルメットのような頭部の外装部分が帽子のように目深にかぶるような感じで、「Ver.1.5」からは勇ましい顔つきというか、目つきの悪い顔になっていますよね。

片桐 この帽子を深くかぶってるような顔は、「Zガンダム」とか「ν(ニュー)ガンダム」から来てるんですよね。モデラーの改造でも、ツバの部分を長くして深めで悪そうな顔であればあるほどカッコいいという時代があったんです。

河上 あと、目が奥まることで、シールを貼ってる目元が目立ちにくくなったというのはありますよね。

片桐 確かにそれはあるかも! 全体が見えづらいから、雑に貼っちゃってもカッコよく見える。いっぽうで「Ver.1.0」は浅めですもんね。

さすがの片桐さんでも「これは知らなかった!」という新たな発見が、比較することで次々と見つかりました。次回は、残りの4モデルをチェックしていきます

◇◇◇◇◇

後編はこちら!
《ガンプラ》「Ver.2.0」以降、“狂気”を感じる! 歴代MG「ナナハチ」頭部比較/後編

河上拓

河上拓

「日経エンタテインメント!」から「月刊ムー」まで、エンタメやホビーを中心に幅広く活躍するマルチライター。トランスフォーマーなどの変形玩具、海外ボードゲームに詳しい。

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