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挫折しないために大事なコト

初心者必見「ギターがうまくなるコツ」をプロが解説! 上達へのルーティーンとは?


こんにちは、ギタリストの高村です。ギター教室「ギターの処方箋TAKAMURA」(神奈川県藤沢市)を主催する私が、今回は初心者さんに向けて「ギター上達のコツ」をお伝えします。

上達のコツというと、「指をこう動かすと早く弾ける」とか「手首の角度をこうすると、もっと指が開く」みたいな具体的な方法をイメージされるかもしれません。ですが、そういった話はこれまで数多の教則本や動画サイトの中で語り尽くされていますので、そちらをご参照いただくとして……。今回はそういったノウハウではなく、もっと根本的な部分にメスを入れていこうと思います。

これから話すことは、ギターに限らず何かを習得する際に役立つ考え方だと思いますので、ぜひいろいろなシーンに役立ててくださいね!

解説サイトや動画はたくさんあっても……やっぱりギターに挫折する

さて、YouTubeなどの動画サービスが現れてからというもの、世界中のギタリストたちが上達法や演奏上のコツをインターネットで発信してくれています。おおよそ網羅されていない内容はないのではというくらい、あらゆる悩みに答えてくれています。そして、その流れは今後も勢いを増していくことでしょう。

ところが、情報量の増加に反して、ギター初心者さんの話を直接聞いたりSNSでの発信を見ていると、うまくならないと悩んでいたり、実際に挫折してしまう人の数は、情報が手に入りにくかった時代と比べてさほど変わっていないようです。なぜ情報が増えているにも関わらず、上達できないのでしょう?

YouTubeでギターを弾くコツを検索すると、解説動画がたくさん!(画像はYouTubeより。2020年2月28日時点)しかし情報の海に溺れて、「こうすればうまくなれるらしい」「いや、こっちの情報の方が正しいみたいだ」とノウハウ難民になってしまうことも考えると、情報の少なかった時代のほうがある意味よかった面もあるのかも……?

▼試される意志力!?

当たり前の話ですが、どんなことでも何かを習得するためには、一定時間を練習や勉強に費やさなければなりません。どんなにいい機材やすばらしい秘伝の書を手に入れたとしても、実際に取り組まなければ身につかないわけです。ひとつのスキルを極めるには1万時間必要だという「1万時間の法則」という有名な説がありますが、上達には「練習時間」が必要なのです。「効果的な練習法×練習時間=上達」というシンプルな公式です。

前述の通り、インターネットの進化も手伝って、練習法は掃いて捨てるほど手に入ります。それらの中から自分に合ったものを選び、ひたすら練習を重ねていけば必ず上達するはずです。こんな簡単なことなのに、多くの人が散っていってしまいます(汗)。それはなぜか? 答えは簡単で、上の公式の何かが足りていないからです。その足りていないものは、ズバリ「練習時間」です(笑)。

ギターを手に入れたら次に取り組むこと。そう、「練習」。しかしそれが大変なんです!

ギターを手に入れたら次に取り組むこと。そう、「練習」。しかしそれが大変なんです!

インターネット社会というのは、構造上どうしても意識が分散しやすいですよね。ちょっとスマホをいじれば世界中の情報に簡単にアクセスできますし、調べるつもりがなくても、情報のほうからこちらにアクセスしてくることもあります。また、スマホ1台あればゲームもできますし動画も楽しめます。たくさんの誘惑にさらされていますから、何かひとつのことに集中するのが難しい……。

ここで試されるのが「意志力」です。強い意志力を持って、さまざまな誘惑に打ち勝ち、ギターの練習を1万時間継続すれば勝ちなのです! ……って、できます?? 正直私には絶対ムリ。いろいろな誘惑に負けて、集中力が途切れちゃいます。

では、打つ手なしかと言えば、そんなことはありません。この問題を解決するために知っておきたい2つのポイントをご紹介します。少々長いのですが、大事な部分なのでお付き合いください。

挫折しないために押さえておきたい、2つのポイント

まず前提として、人間の意志力というのは、多少の差こそあれどたかが知れていると私は思っています。少なからず、意志力に頼らなくていいのなら、それに越したことはありません。では、意志力に代わる、スムーズに練習や学習を継続させるための力はないのでしょうか?

▼モチベーション

ひとつ目のポイントが「モチベーション」=やる気です。やる気に満ちあふれていれば、意志力を使わずとも集中して練習に取り組めますよね。休日に好きな場所に遊びに行くのに意志力は必要ありません。むしろ前のめりに「行きたい!」となるはずです。この感覚をなんとか練習に応用できないものでしょうか。

モチベーションは充電池のようなもので、朝起きた段階で充電100%の状態で始まり、1日を過ごす中で少しずつ目減りしていきます。しかし、このモチベーションを自分で急速充電させる方法があります。たとえば、あるバンドに憧れてギターを始めたとします。その場合、練習前にそのバンドのライブ映像を観たり、音源を聴いたりすると、初心に戻ってワクワクしてくると思います。そして、次第に「ギター弾こー!」とやる気がみなぎってくることでしょう。その勢いで練習を始めると、かなりはかどるはずです。憧れの力、あなどることなかれ(笑)。

しかし、さすがに毎日「練習したい!」と思い続けるのは難しいですよね……。上達にはたくさんの地味な繰り返しが必要になってきますから。でも、質の高いモチベーションを自分で作り出す方法もあるのです。

それは、「達成感」を上手に活用する方法です。自分の理想に向かって、課題をひとつずつクリアしていっている感覚というのは、何にも変えがたい快感があるものです。この感覚を練習に取り入れられれば、苦しさを味わうことなく、スターを取ったマリオ状態で上達できてしまいます。これについては後述します。

ちなみに、「モチベーション維持の第一歩はギター選び」ということを書いた過去記事↓もあります。こちらもぜひ参考になさってください。

【関連記事】
プロが教える「初めてのギター」の選び方! 後悔しないギター購入のポイント

▼ルーティーン

次のポイントが「ルーティーン」です。ルーティーンというのは、日常的に繰り返す「決まった行動」といったところでしょうか。たとえば、朝ご飯を作って食べるとか、通勤するといった行動は、ワクワクはしませんが、意志力をほとんど消費することなく行えます。これは生活の一部に組み込まれている「当たり前」の行動だからです。

一見するとなんてことのない話に思うかもしれませんが、「行動する」という心理的な負荷を「当たり前にすることで突破する」というのは、うまく使えば大きな武器になるのです。歯磨きするくらいの感覚で練習に入っていけたら、とてもスムーズでいいですよね!

この「モチベーション」と「ルーティーン」の2つを有機的に組み合わせた練習法が、私の考える上達法なのです。

結果につながる高村流ルーティーン

ルーティーンは、自分の性質を差し置いては組めません。性質というのは、たとえば朝に強い人であれば、モチベーションがフル充電されている朝のうちに1時間ほど練習するルーティーンにするとか、逆に朝に弱い人であれば、休日にまとまった練習をするみたいなこと。これらを考慮して自分に合ったルーティーンをカスタマイズしていくとよいです。以下、参考までに「高村流ルーティーン」をご紹介しましょう。おそらく多くの人に当てはまるのではないかと思います。

週に2日間休日がある前提でお話を進めます。まず、休日と平日を分けて考えることが重要

週に2日間休日がある前提でお話を進めます。まず、休日と平日を分けて考えることが重要(画像はクリックで拡大)

▼休日の練習

高村流ルーティーンでは、モチベーションがフル充電されている休日の午前中に1〜2時間ほどのまとまった練習をします。ここで何を練習するかがポイントになります。

モチベーションが満タンの状態ですので、ここでは集中力を必要とする練習にあてます。たとえば、新しいテクニックの習得、難解なフレーズや新しいコードの練習、教則本を先に進めることなどが主に集中力を必要とする練習です。休日というリラックスした状態も手伝って、結構はかどるはずです。間違ってもこの時間に、考えなくても簡単に弾けてしまう曲やフレーズを、ダラダラと惰性で弾いていてはいけません! 頭を使う練習以外は避けるようにしてください。

▼平日の練習

いっぽう平日は、帰宅して食事をしたら、休日に覚えたテクニックや内容を「惰性で」繰り返します。時間の目安は30分〜1時間ほど。ここでは逆に「頭を使わないこと」がポイントになります。とにかくダラダラと繰り返しましょう(笑)。なんならテレビを観ながらでも構いません。ストレスを溜めないことが重要なのです。平日練習の主旨は、あくまでも「体に定着させるためのもの」だと理解しましょう。

こうやって、ポテンシャルを最大限発揮できるタイミングで頭を使い、それ以外のときは、頭を使わずに繰り返すのです。こうすることで、最小限のストレスで効率的に上達することができるはずです!

なお、練習場所の確保に苦労している方は、価格.comマガジンで過去に取り上げたカラオケチェーン「まねきねこ」をチェック! 一部店舗では、無料でアンプやギターを貸し出してくれるサービスを行っています。休日も平日もがっつり練習できますよ(詳細はこちら→https://kakakumag.com/hobby/?id=13027

▼ちなみに……
1番よくないのはムリなルーティーンを組むこと。たとえば、「毎日夜22時から2時間練習して、休日は5時間必ず練習する!」みたいなやつです(笑)。よほど強靭な精神力を持っていないかぎり、数日で心が折れてしまうことでしょう。

達成感のマジック!「ゴール」の設定ステップを伝授

さて、ここからは「達成感」について説明していこうと思います。人は、ゴールが見えない状況下ではなかなか全力を発揮できないものです。逆にゴールが見えていれば、ポテンシャルを発揮しやすくなります。たとえばマラソンの場合、42km先にゴールがあるからこそペース配分も考えられるし、最大限のポテンシャルを発揮できるのです。

これはギターでも同じです。何かしらのゴール設定がなければ、「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」とせっかくのポテンシャルを分散させてしまい、結局すべてが中途半端に終わってしまいます。このようなことにならないよう、ゴールの設定方法をご紹介しましょう。基本は以下の3ステップです。

【1】書店か楽器店に足を運び、初心者向けのギター教則本の中で、最も薄いものを探す。

基準は1〜2週間あれば終わりそうな分量と内容のものです。しかも、簡単な言葉づかいで書かれたものを選択します。仮に薄くても内容を理解できなさそうだと感じたら、その教則本はそっと棚に戻しましょう。

【2】このギター教則本を、余裕を持って1か月で終わらせる。

1か月あれば、「ていねいに」進めることができるはずです。もちろんていねいに進めたうえで、早く終わってしまったなら、それでOKです。この段階でこう感じるはずです。「1冊やり抜いた」と。これが達成感なのです。

【3】この小さな達成感があるうちに「次の1冊」を手に入れ、1か月以内にやり切る。

これも極力薄いものにします。前に購入した教則本と内容がかぶっていても「それだけ重要な部分なのだ」と信じ、また1か月以内にやり切ります。そして、また達成感を味わってください。

この3ステップを繰り返して、4〜5冊も初級者向けの教則本をクリアすれば、大きな達成感と自信を手に入れているはずです。そして確実に実力もついてきているので、簡単な楽曲なら独力で演奏できるようになっているはず。こうやって、短期間で乗り越えられるゴールを設定し続けることで、道に迷うことなくスムーズに上達することができるのです。

▼ちなみに……
いかにもすべての内容を網羅してそうな、分厚い教本を見つけてしまうかもしれませんが、初心者のうちはできるだけ買わないようにしてください。「お得!」と思うかもしれませんが、これこそが、初心者を挫折に誘う罠なのです。読んでも読んでも先が見えず、また、進めば進むほど難解な内容と用語で埋め尽くされていく地獄が待っています。がんばるほどに苦しくなっていくという、報われない苦行なのです(苦笑)。

「できない」を続けない

よく「Fの壁」みたいな言葉を聞くと思います。人体構造を無視したかのようなフォームのコードがFです。

これがFコード。明らかに人間工学をガン無視したカタチ

これがFコード。明らかに人間工学をガン無視したカタチ

まず、よほど指や手がやわらかくなければ、初めてFコードを押さえたときにキレイなサウンドは得られません。このようにギターという楽器には、「根性では超えられない壁」というのが、いくつか存在するのです。これを気合いでなんとかしようというのはナンセンスです。最悪の場合、手を痛めてしまい、せっかくほかのテクニックを習得できたであろう貴重な時間を棒に振りかねません。 

そこで大切なマインドセットをひとつお伝えします。それは、「ギター用の体作りを怠らない」というもの。何を言いたいのかというと、たとえば、仮に私の知識をそっくりそのまま初心者の脳にインストールすることができたとしても、一発でFコードを鳴らすことはできないと思います。神経回路ができていないため、体が脳の指令通りに再現できないからです。

そこで、日常的な練習に取り入れてほしいのが、いわゆる「基礎練習」なのです。基礎練習は、指を少しずつ開くようにしてくれるものや、徐々に手首をやわらかくしてくれるものばかりです。こうして作られていく「ギター用の体」があれば、Fコードだって「壁なんかあった?」というくらい簡単にクリアできてしまいます。逆に基礎練習をしていない人たちにとって、Fコードはしっかり「壁」となって立ちはだかるのです。

なお、基礎練習は型さえしっかりマスターしてしまえば、「ながら」でもできますので、練習前の準備体操くらいの気楽な気持ちで取り組んでくださいね!

ギターはスタンドに飾っておくのがイイ

最後に「環境」について書いてみようと思います。

よく高級なギターを買った人が言うセリフに、「毎日キレイに磨いてケースにしまっています」というものがあります。これ、個人的には結構危険だと思っています。なぜかと言いますと、ケースから出すというひと手間が、近い将来「面倒くさい」に変わる恐れがあるからです。確かにケースにしまっておけばギターは守られて安心です。しかし、ケースから出すのがおっくうになって、練習から遠ざかってしまっては本末転倒です。

最近では安全性が高く、ギターへの負担が少ないギタースタンドもありますので、毎回ケースにしまわなくても安心して置いておけると思います。また、スタンドに飾ったギターを見てモチベーションが上がったりもしますので、いいことだらけだと個人的には思っています。

ちなみに、私が個人的に好きで使っているのが、「HERCULES GS414B PLUS」というギタースタンドです。このスタンドは、ギターの自重でネックをロックしてくれますので、大切なギターを倒してしまうことがありません。また、一般的な立てかけ式の場合、常にギター本体の重量がネックに乗っていることにより、反りの原因になることがあるのですが、このスタンドのはギターを吊り下げるタイプなので、ネックへの負担がかなり軽減されます。

ギタースタンド「HERCULES GS414B PLUS」にギターを立てかけたところ。少しお高めですが、高級なギターをお持ちであれば、スタンドもこれくらいしっかりしたものがよいでしょう

最後に

ギターは、自分の感情をストレートに表現できるすばらしい楽器です。ただ、決して簡単な楽器ではありません。だからこそ、やりがいがあるのです。そして練習を続けた先には、最高に気持ちいい世界が待っています。今回の記事を通して、ひとりでも多くの初心者さんが、挫折することなく自己表現できるようになることを心より願っています。最後までお読みいただき、ありがとうございました!

高村尚平

高村尚平

藤沢市のギター教室「ギターの処方箋TAKAMURA」を運営するギタリスト兼講師。ギターと機材が三度の飯より好き。過去には機材メーカーに在籍し、全国で実演セミナーを開催していたほど。

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