加熱式タバコの中でもっともニオイの低減を意識しているのが、JTの低温加熱式タバコ「プルーム・テック」だ。周囲の人間に「くさい」「けむい」と言わせないその特徴は、タバコ臭さを嫌う同居家族がいる場合や、ニオイがついてほしくない車中での喫煙などにも役立っている。
そんな「プルーム・テック」の新リフィルとして登場した季節限定フレーバー「メビウス・抹茶・クーラー」「メビウス・あずき」「ピアニッシモ・さくら・クーラー」のコンセプトは、“日本の春を感じるお茶会”だという。いったい、どんな味に仕上がっているのだろうか。
季節限定フレーバーシリーズ第3弾。写真左から、「メビウス・抹茶・クーラー」「メビウス・あずき」「ピアニッシモ・さくら・クーラー」。それぞれカートリッジ1本とたばこカプセル5個入りで、各490円(税込)
これまで、「プルーム・テック」専用リフィルの季節限定フレーバーシリーズは、第1弾の「メビウス・マスカット・クーラー」「ピアニッシモ・レモン・ライム・クーラー」、第2弾の「メビウス・バニラ・アロマ」「ピアニッシモ・ブルーベリー・ヨーグルト・クーラー」と、フルーツ・スイーツ系路線だった。
しかし、ここに来て登場したのが、「メビウス・抹茶・クーラー」(メンソール系)「メビウス・あずき」(レギュラー系)「ピアニッシモ・さくら・クーラー」(メンソール系)という、たばこフレーバーとしては新しい和風味の3種類である。
手前左のたばこカプセル、中央の蒸気発生用のカートリッジ、本体(バッテリー)を合体させて使う「プルーム・テック」。カプセル+カートリッジで味を作っているので、途中で味を変更したい時は、カートリッジごと交換するのがおすすめだ
和風味は、ノンニコチンでフレーバーを楽しむタイプのベイプ用リキッドでも珍しいフレーバーだ。しかも、“日本の春を感じるお茶会”というコンセプトで商品化という時点で、タバコ感はあまり期待できないことが予想される。
ただ、もともと「プルーム・テック」は、紙巻きたばこのタール値で1〜3mg程度の軽やかさが特徴。タバコ感よりもアロマを中心に楽しむタバコデバイスである。そう考えれば、このラインアップの登場は自然なことのかもしれない。
まるでお菓子のような、カラフルな箱の内部
「メビウス・抹茶・クーラー」は、インバウンド客人気がひときわ高い抹茶味のフレーバーに、メンソールを加えたフレーバーだ。“爽やかな新芽の旨味を感じる”とのことだが、深く吸い込むとたしかに緑の茶葉の香りを感じられる。
それと同時に、ほどよいやわらかなメンソールの清涼感がやってくる。辛味のない、爽快感を際立たせるための添加だろう。それが、春のまだどことなく冷たい風のような雰囲気を醸し出し、茶葉の新芽のフレッシュな味わいを感じる。
ただ甘みも感じるので、純粋な抹茶というよりガムシロップ入りのグリーンティーか、抹茶味キャンディーのような味わい。ニコチン感は意識しなければわからない程度だ。深く吸えば吸うほど清涼感が増して、リフレッシュ感がある。
海外人気も高い抹茶味に、メンソールをプラス。カートリッジは黒
「プルーム・テック」は、紙巻きタバコのように口内にいったん蒸気をためるMTL方式よりも、深呼吸のように一気に肺に吸い込むDL方式に向いている
“ふくよかで繊細な小豆の香りが漂う”という「メビウス・あずき」は、なかなか味の想像がつきにくい。しかもレギュラータイプときた。あずき風味でレギュラータバコというのは、いまだかつて巡り合ったことがない。
いきなり深く吸ったところ、味をよく感じられなかったので、短く軽く吸って吐き出し、蒸気が出始めたところでグッと深く吸う二段階吸いを行ってみる。鼻で感じるのは「これがあずき?」という香りだが、ゆっくり蒸気を吐き出すと、そこに和菓子店に来たときのかしこまった香りを感じるので、これががあずきなのだと思う。
通常は香ばしく焼いたお餅などと一緒に嗅ぐことが多い香りなので、わかりにくいかもしれないが、落ち着いて地味ながら、癒やしの香り・味わいと言えるだろう。ニコチン感はやはり強くない。
あずき風味のレギュラータイプ。カートリッジは「メビウス」ブランドなので黒だが、写真のように白い本体でも問題なく吸える
「和菓子風味を吸う」という不思議
春になるとお菓子やフレグランス製品などにもさくら味が増えるものだが、これがけっこう難しい。酸味が強いと同じバラ科の梅、もしくは梅干しの香りになってしまうし、濃すぎるとバラの香りに感じたり、アメリカンチェリー特有のケミカル臭がしてくることも。
では、メンソールを加えた「ピアニッシモ・さくら・クーラー」は、どんな味に仕上がっているのか。ひと吸いで感じたのは、華やかなアロマ感。小じゃれたフレグランスのような上品なフローラル系の香りだ。そこに涼風のようにメンソールの清涼感が加わる。
アロマ感が強すぎると吸いにくいものだが、これはちょうどいい。5mくらい離れた位置でそよ風とともに嗅ぐ程度のさくら感は絶妙だ。甘酸っぱい印象もあるので、やはり女性向けの味仕立てなのだが、男性でもスイーツ好きなら十分おいしいと感じるはずだ。ニコチン感はほぼない。
今回発売される3つの中で唯一の「ピアニッシモ」ブランドで、カートリッジの色は白
ひときわ難しいさくらフレーバー
タバコというものは嗜好品で、喫味が強ければいいというものでもない。紙巻きタバコでもタール1mg製品を愛用している人は、そのくらいのニコチンがちょうどいいと感じているのだ。したがって、タバコ臭さが苦手だったり、香りを主体に銘柄を選んでいる人にとって、「プルーム・テック」はよい選択肢なのである。
そして、今回のようにシーズナルな専用リフィルがあることで、生活にアクセントを付けることができる。のどに対するキックが弱いというのも、のどに不要な刺激がないと考えればメリットだ。今回の季節限定フレーバー3種は、ニオイがないだけでなく、ふんわりと上品な香りを楽しむのに最適だろう。なかでも「ピアニッシモ・さくら・クーラー」はほどよいフローラル感が好ましく、後味もいい。実に秀逸な出来だと感じた。
元「月刊歌謡曲(ゲッカヨ)」編集長。今はめおと編集ユニット「ゲッカヨ編集室」として活動。家電や雑貨など使って楽しい商品のレビューに命がけ!