今広がってきている在宅ワークでは、「仕事をしながら、その場で一服」という昭和の会社的な働き方をしている人も多いと思う。ひとり暮らしならそれこそ紙巻きタバコでも何も問題ないが、家族や同居人がいる場合は、やはりニオイの問題が持ち上がってくる。
そこで、数ある加熱式タバコとカートリッジの組み合わせで、周囲に迷惑をかけにくい組み合わせをセレクトしてみた。もちろん、今回もあくまで個人的な主観であることはご容赦いただきたい。
※製品写真のパッケージ、デザインは、現状と異なる場合があります。
デバイスは「プルーム・テック」「プルーム・テック・プラス」「グロー・センス」「プルーム・エス」「グロー・ハイパー」をセレクトした
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「タバコ葉を加熱することでニコチンを気化させる」というのが、加熱式タバコの仕組みだ。そして加熱式タバコには、加熱温度が約200℃を越える高温加熱式と、加熱温度が約40℃以下の定温加熱式がある。
タバコ葉は高温で熱するほどニオイは強くなると言われており、高温加熱式タバコにニオイは一般的につきものだ。それに比べて、低温加熱式は喫味が弱い半面、ほとんどニオイがしないのが特徴である。極端に言えば、隣の席で吸われていても気付かないほどだ。
ということで今回は、約40℃以下という低温加熱式を採用している「プルーム・テック」および「プルーム・テック・プラス」(JT)、「グロー」(BAT)シリーズからスピンアウトした「グロー・センス」(加熱温度は公表されていない)を中心に組み合わせをセレクトした。
いずれも、内部にリキッドタンクを備え、加熱することで生まれた蒸気を、タバコ葉を詰めたカプセル(ポッド)を通すことで気化させ、ニコチン摂取を可能にしている。
低温加熱式は喫煙中断、再開が自由自在という利点もある
これが黄金の組み合わせ。「メビウス・ゴールド・ロースト」500円(税込)。「プルーム・テック・プラス」本体は春限定カラーのロゼピンクだ
JTが日本初の低温加熱式タバコとして2013年に誕生させた「プルーム・テック」は、ニオイのなさの評価は高かったものの、その喫味の軽さを物足りないと感じる人が多かった。その弱点を克服するため、リキッドを増量して蒸気量を増やし、蒸気を通すカプセル内のタバコ葉を増量させて2019年に誕生させたのが「プルーム・テック・プラス」だ。
現状では低温加熱式の中で最高レベルの喫味を誇りつつ、「プルーム・テック」にも引けを取らないニオイのなさを実現しているデバイスである。
そして、JTの長い歴史を背景に開発されたのが、数千品種の中から選んだたばこ葉を、特殊な栽培⽅法で育てたという「ゴールド・リーフ」だ。それを採用したレギュラー味がこの「メビウス・ゴールド・ロースト」である。
実現したのは紙巻きタバコのようなエッジのきいたキレと、ロースト感とともに生み出しているタバコの旨味である。最初に軽く2回ほどふかしてからグッと蒸気を吸い込むと、丸みと重厚感を感じるほんのり甘いタバコ味がやってくる。
ニオイはふんわり香るがすぐに消えてしまう。そのあとはほぼ無臭だ。
紙巻きタバコユーザーからの切り替えにもっとも向いている味仕立ての「メビウス・マイルド」。500円(税込)
1位の「メビウス・ゴールド・ロースト」では味が濃すぎると感じる人なら、この組み合わせをおすすめしたい。「メビウス」らしい、ほどよく酸味のある香りがマイルドに広がり、タバコらしい後味を残してくれるのが特徴だ。
少し軽いが、シンプルなタバコ味としてのバランスは最高。ニオイはもちろんほぼ無臭。蒸気を吐いた瞬間にタバコ感を感じるが、すぐに消えてしまう。
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「グロー・センス」はタバコ感のないベイプ的ルックスが特徴。その数少ないレギュラータイプ「ネオ・メロー・ブレンド・ポッド・N」500円(税込)
香りを楽しむ新習慣をコンセプトに生まれた「グロー・センス」。その数少ないレギュラータイプが「グロー・センス×ネオ・メロー・ブレンド・ポッド・N」だ。ニオイもほぼない。
ただ、うまさを感じるためには、ちょっとした工夫が必要だ。紙巻きタバコや「アイコス」を吸う時のように、いったん煙(蒸気)を口に溜めてから吸い込むのではなく、ベイプデバイスでよくやるように、深呼吸のように一気に肺まで入れるDL方式で吸うことで、甘みの少ないストイックなタバコ味を堪能できるのだ。
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軽めの紙巻きタバコを吸っていた人の切り替えにおすすめな「メビウス・ブラウン」490円(税込)
「軽い、物足りない」と言われがちだが、もともとタール値1〜3mg程度の軽い紙巻きタバコを吸っていた人なら、むしろ自然に感じるのが「プルーム・テック」である。細身のルックスはスマートで、胸ポケットに入れておいても、ボールペンだと思われるような気軽さも人気だ。
そうした「プルーム・テック」の中で、軽さと旨味の濃さを両立しているのが「メビウス・ブラウン」だ。コーヒーに通じるロースト感がありながら、シャープな旨味も感じるバランスのよさがいい。ほぼ無臭。これも2回軽くふかしてから、3回目で吸い込む方式でおいしく味わえる。
女性人気が高いが、男性もきっと旨いと感じるはずの「ピアニッシモ・アリア・メンソール」490円(税込)
「ニオイは少ないが、タバコらしい旨さ」ということでセレクトしている今回なので、どうしてもレギュラー味が中心になってしまう。しかしこの「プルーム・テック」×「ピアニッシモ・アリア・メンソール」の組み合わせだけは別格だ。
強すぎないメンソール、そのほどよい凛々しさとタバコ感、「プルーム・テック」ならではの軽い喫味が極上のハーモニーを奏でてくれる。ニオイは無臭どころか軽い爽やかなミントのよい香りを感じる。
ダイエット目的にも使えそうな強い甘みが特徴の「ネオ・シルキー・ブレンド・ポッド」500円(税込)
glo公式オンラインストア限定販売だが、レアなレギュラー系の「ネオ・シルキー・ブレンド・ポッド」もおすすめだ。レギュラーと呼ぶにはかなり甘いデザート系なのだが、その甘さもストレートで嫌味がないのが特徴だ。スイートなタバコ味として、かなり優秀である。
ニオイは隣で誰かケーキを食べたような風味があるが、すぐに消える。
トロピカルな風味、リゾート感たっぷりの「ネオ・ココナッツ・パンナコッタ・ポッド」500円(税込)
これもglo公式オンラインストア限定販売品で、同じくデザート系だ。ポイントはココナッツの甘やかな風味。好き嫌いは分かれると思うが、筆者はココナッツ好きなので、これは旨いと感じた。ニオイは南国カクテルのような香り立ち。だがすぐに消えてしまう。
もっと評価されてもいい「プルーム・エス」と、「キャメル・レギュラー」460円(税込)
高温加熱式タバコはニオイが自然と強くなるもの。ただJTはひたすらニオイを抑える路線を走っている。高温加熱式を採用しつつも、タバコ葉からニコチンが揮発し始める最低温度の約200℃に設定し、ギリギリのラインを突く。
実際に吸うと、高温ならではのパンチをしっかり感じ取ることができ、フワッと甘いアロマとともに、伝統の「キャメル」を味わえるのだから、気分は上がる。
世間的に「プルーム・エス」はあまり評価が高くないように感じるが、ゆっくりていねいに吸い込むと、ふんわりとしたタバコの旨味が広がって、実に上品なおいしさが開花する優秀なデバイスである。
ニオイは、一瞬加熱式特有の「ポップコーン臭」を感じるのだが、すぐに消える程度。「アイコス」と比べると、加熱温度に100℃以上の差があるだけに、同じ高温加熱式でありながら、まったくの別物と感じるくらいのレベルまで抑えている。
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1番スーツに似合う組み合わせかも。「メビウス・レギュラー」490円(税込)
日本人の紙巻きタバコのスタンダードとして愛されてきた「メビウス(旧・マイルドセブン)」。その味は、よくも悪くも標準的で、毒々しさやクセのない旨さで人気がある。
それを加熱式タバコで非常にリアルに再現したのが、この「プルーム・エス」×「メビウス・レギュラー」という組み合わせだ。どちらもコンサバティブでありながら、きちんと上質という理想的な組み合わせである。
むしろ紙巻きタバコよりもタールの雑味が少ない分、「メビウス」の抑えた甘みとほどよい旨味のバランスをよりくっきりとわからせてくれるくらいだ。ニオイも少しだけ窓を開けておけば、気にならない程度にまで抑えられている。
ニオイはあるけれど気になりにくい「ネオ・テラコッタ・タバコ・スティック」500円(税込)
もうひとつ、ギリギリのラインでニオイが気になりにくい高温加熱式タバコを紹介したい。4月に発売されたばかりの新製品「グロー・ハイパー」の標準モード(約250℃)で味わう「ネオ・テラコッタ・タバコ・スティック」だ。「ブーストモード」で温度を上げることもできるが、ニオイ対策を考え、ここはあえて「標準モード」で味わいたい。
紙巻きタバコからアンモニア臭などのいやなニオイを除いた、ストイックで甘くないタバコ味。喫煙者のレギュラー派で、このふくよかなタバコ味を嫌う人はいないと思う。
また、普段から「グロー」を愛用しており、加熱式タバコ用に開発された「ネオ」ブランドの味が好みなら、完全に上位互換の高品質な味わいである。
ただ、ニオイがないといえば嘘になる。ただ「ポップコーン臭」はかなり抑え込まれているうえ、ニオイ残りが少なく、気になりにくいというレベルだ。同室の人間がさほどニオイにうるさくないのなら、これは最上の選択になるだろう。
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紙巻きタバコのニオイは、ものが燃焼するときに発生するタールがおもな原因だ。そこには鼻にツンと来るアンモニア臭を中心に、さまざまなニオイが混じり、悪臭となる。
「アイコス」などの高温加熱式タバコも紙巻きタバコよりはニオイは抑えられているが、高温加熱を行う分、いぶしたような独特の酸味のあるポップコーン臭がある。そこで今一度見直したいのが、低温加熱式タバコである。実はニオイの問題はすでにそれで解決しているのだ。あとは自分が求める喫味の強さとのバランスである。今回はどうしても高温の強い喫味を譲れない人のために選んだ組み合わせもランクインさせている。周囲の人間の意見も参考にして、どうかベストな選択をしてほしい。
加熱式タバコデバイスとして、筆者がニオイが弱いと感じる順に並べるとこの通り。左から「プルーム・テック」「グロー・センス」「プルーム・テック・プラス」「プルーム・エス」「グロー・ハイパー」
元「月刊歌謡曲(ゲッカヨ)」編集長。今はめおと編集ユニット「ゲッカヨ編集室」として活動。家電や雑貨など使って楽しい商品のレビューに命がけ!