特別企画
ヤマハのオンライン演奏アプリ「NETDUETTO」を組み合わせたらイケた!

Zoom演奏会しよう! オンラインでリアルタイムセッションする方法


こんにちは、ギタリストの高村です。最近は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界中の人が外出自粛生活を余儀なくされています。多くの人が仕事や学校に行けない状態が続いていますが、我々ミュージシャンも演奏活動の場がほとんど奪われてしまい、ストレスフルな生活になっている人が多いと思います。我々の活動の場はスタジオやライブハウスといった「密閉空間」なので仕方ありませんが……。

そんな中、世間では「オンライン飲み会」がはやり始めていますね。外で会えないなら、家と家をオンラインでつなげて楽しんじゃおう! という発想ですが、やってみると思いのほか楽しいんですよね(笑)。仕事でもオンラインミーティングが一般的になってきていますし、今回のことをキッカケに世界中のオンライン化が加速しています。

ならば、我々ミュージシャンもオンラインの恩恵にあずかれないのか!? ということで、今回はオンラインで演奏活動する方法を考えてみようと思います。「考えてみよう」と書くとすごくライトな感じになりますが、私自身が自分の仕事をどう存続させるかという、わりと死活問題な事案だけに、結構ガチで考えました(苦笑)。ぜひご参考ください。

ZoomやSkypeはオンラインセッションに使える?

そもそも、私自身が普段ギター教室を運営しているので、今回の問題にはかなり頭を悩まされました。なんせ生徒さんと対面できないことにはレッスンができません(汗)。どうやったら外出できない生徒さんたちに、普段と変わらないレベルのレッスンを提供できるのかを必死に考えました。

こう書くと、「ZoomやSkypeを使ってレッスンすればいいのでは?」と思われるかもしれません。もちろんある部分ではその通りなのですが、演奏という特殊性において、これらのアプリを使ったオンラインレッスンは完全なものにならない場合があるのです。

それは、「レイテンシー(遅延)」が発生するからです。

ここで問題にする「遅延」とはもちろん、音の遅れのこと。現時点でオンラインでのやりとりには、ある程度の遅延が発生します。コンマ何秒のわずかな遅れですから、会話を楽しむ分にはその存在に気づかないかもしれません。

ただ、こと演奏においては、お互いの音をしっかり聴いて、正確なタイミングで音を鳴らさなければならないので、この遅延の存在は致命的なのです。複数人でバンド演奏するとなればなおさら。気になって演奏どころではなくなってしまうことでしょう。

レッスンの場合、私が模範演奏をして生徒さんに画面越しに見てもらう、逆に生徒さんが演奏する様子を私が見てアドバイスする、といった感じでも問題ないのですが、一緒に演奏をするという「音楽の醍醐味」みたいなものは味わうことができません。レッスン自体は成立しますが、どうしてもアンサンブルで得られるような「盛り上がり」に欠けてしまうのです。

遅延を乗り越える方法はコレ!

とは言うものの、状況的にどうしても本格的なオンラインレッスンをしなければならなくなったため、私はこの問題を解決できないままZoomやSkypeを使ったオンラインレッスンを始めることになりました。しかし思った通りで、教えることはできても、演奏を一緒に楽しむことができないストレスを、誰よりも私自身が感じるようになってしまったのです。

そこで、何とかできないかと思案する中で思い出したのが、ヤマハのオンラインセッションサービスの存在です。ヤマハの独自技術により、インターネット回線を介したオーディオデータの双方向送受信を極力小さな遅れで実現するというもの。これを使えば、オンラインでも遅延の少ない快適なセッションができるのではないかと思ったのです。

2020年6月に公開されるヤマハのオンラインセッションサービス「SYNCROOM」

2020年6月に公開されるヤマハのオンラインセッションサービス「SYNCROOM」

ヤマハのプレスリリース画像より。オンライン空間で、みんなでバンドセッションできる! というイメージですね

しかしこの「SYNCROOM」というサービス、2020年6月公開となっています。「まだ使えないじゃないか!」と思われるかもしれませんが、ご安心を。実はこれのβ版である「NETDUETTO」(ネットデュエット)というサービスが存在していて、こちらは今すぐ無料で使えるんです。

こちらが現在使用できるβ版の「NETDUETTO」。基調カラーは違いますが、上述のSYNCROOMと共通のUIであることがわかると思います。ちなみに、今回の状況でNETDUETTOはかなり注目されているようです。自宅にいながら手軽に合奏を楽しめるというのは魅力的ですからね

実は、このNETDUETTOのほうは古くからあったので、私も存在だけは知っていました。……が、「セッションは会ってするもの」と思い込んでいた私は興味を持つこともなく、ほとんど調べることもありませんでした。でも、このような状況になったことで都合よくその存在を思い出し(笑)、このアプリをなんとかレッスンやセッションに利用できないかと考えたわけです。

2つのアプリのイイとこ取りで、リアルタイムセッションを実現!

しかしここで私の前に、大きな問題がひとつ立ちはだかりました。オンラインセッションサービスは、映像を配信できないという根本的な問題です。映像が扱えないということは、レッスンをするうえでとても大切な情報源である「生徒さんの指の動き」が見えないということ。これでは、運指に関しての指導が一切できなくなってしまいます。

そこで考えたのが、映像に関してはZoomなどの一般的なオンライン会議アプリを使うという方法です。つまり、「オンライン会議アプリとオンラインセッションアプリを組み合わせる」というわけ。レッスンではなくバンド演奏の場合でも、ほかのメンバーの動きを見られるに越したことはありませんので、ここから書く方法を取り入れることでスムーズに練習を進めることができると思います。

こういう状態です。オンライン会議サービス「Zoom」と、オンラインセッションサービス「NETDUETTO」、それぞれのアプリを同時に立ち上げて使います

注意点としては、2つのアプリを同時に立ち上げると、音声がバッティングします。ズレた音声が二重に聞こえてしまうだけでなく、ピー!と強烈なハウリングを起こすことも考えられます。実際、私はこの状況に陥ってかなり焦りました(笑)。

でも、ご安心ください。この問題は簡単な設定で解決できます。今回はZoomにしぼって解説しますが、Skypeでも同じように設定できますので、どちらのアプリを使っても全く問題ありません。

その方法は簡単で、Zoom側の音声を完全にカットしてしまえばいいのです。Zoomの設定画面を開き、「設定」内の「オーディオ」から「コンピューターでオーディオに参加」のチェックを外す、または「Speaker」と「Microphone」の項目にある出力音量と入力音量のパラメータを完全に0に設定します。こうすることでZoom側の音声入出力が無効になります。これでZoom側は映像のやり取り専用になります。

ひとまず、「コンピューターでオーディオに参加」のチェックを外しておけばパソコン内蔵マイクとスピーカーはオフになります。人によっては、この項目にチェックを入れた状態で音声だけミュートしたい場合もあるかもしれませんので、そのときは音声入出力の音量をどちらも0にするのがよいでしょう

オンラインセッションサービスの使い方

さて、次にオンラインセッションサービスについて紹介しましょう。以下、現時点で利用できるβ版のNETDUETTOを例にご紹介しますが、アップグレード版のSYNCROOMも、機能はほぼ同じとのことなので、以下の内容はそのまま参照いただけると思います。2020年6月以降にSYNCROOMが正式リリースされ、新たな特徴と使い勝手が出てきたら、追加でレポートしたいと思います。

※ヤマハ担当者に確認したところ、SYNCROOMはNETDUETTOの基本機能をほぼそのまま受け継ぐそうです。リニューアルポイントとしては「アカウント登録制」になり、「メトロノーム機能」「録音機能」「リバーブ機能」が追加されます。そのほか、UIは基調カラーと細部変更のみで使い勝手に大きな変更はなく、NETDUETTOユーザーはこれまでと同じ感覚で便利に使えるとのことでした。

▼必要な回線と機材環境をチェック

まずNETDUETTOを快適に使うには、ネット環境と機材環境を整えることが大切です。推奨されているネット環境は、光回線かつPCとの有線接続。そして「オーディオインターフェイス」という、歌声や楽器のようなアナログ音声をデジタルに変換してPCに取り込むための機材が必要になります(Windows PCで使う場合はASIOドライバー対応のもの)。これらの条件が揃うことで、高音質かつ低遅延で演奏を楽しむことが可能になります。

こう書くと、なんだか環境を整えるだけでも大変そうに感じるかもしれませんが、家に光回線があれば、Wi-FiではなくLANケーブルを使って有線にするだけですし、オーディオインターフェイスも1万円程度から入手できますから、自粛生活で浮いたスタジオ代や交際費を資金にすれば(笑)、すぐに環境を整えられると思います。

また欲を言えば、安価なもので構いませんので、マイクを用意できると最高です。会話を楽しみながら演奏をすることができますからね! もちろん、ボーカルや管楽器、アコギなどの生楽器に関してはマイクが必須となります。

▼NETDUETTOの設定

では、環境が揃っているとして、NETDUETTOの設定の話に進みます。まずはNETDUETTOのサイトから専用アプリをダウンロードし、インストールします。完了したらアプリを開き、ユーザー名を設定した後(Twitterと連携も可能です)、アプリの左下にある設定ボタンをクリックします。

ちなみにアップグレード版のSYNCROOMでは、アカウント登録制になるそう

ちなみにアップグレード版のSYNCROOMでは、アカウント登録制になるそう

設定画面に入ると、オーディオの設定画面が現れます。重要なのはオーディオデバイスの設定です。Macの場合は「Core Audio」というものを選び、Windowsの場合は「ASIOドライバー」を選択します。基本的にはこれだけで設定完了なのですが、もっと突っ込んだ設定をしたい場合は、公式サイトをチェックしてみてください。

▼オーディオインターフェイスに楽器を接続するときの注意点

次にオーディオインターフェイスに楽器を接続しますが、ベースやキーボードなどの電気楽器はそのまま接続してしまって問題ありません。また、ボーカルや管楽器、アコギなどはマイクで直接音を拾えばOKです。ただエレキギターの場合、アンプを通さずにそのままインターフェイスに接続してしまうと、エレキギターらしくないペラペラなサウンドになってしまいます。これではいくら遅延がないといっても演奏を楽しめません。

この場合、いくつか方法はありますが、アンプの前にマイクを立てて直に音を拾う方法と、アンプシミュレーターなどの機材を通すという方法が一般的です。またPC内にアンプシミュレーターなどのソフトを入れている場合、それを使うのも手だと思います。

以前ご紹介した「BIAS Mini Guitar」もアンプシミュレーターなので、こういう機材を持っていればいっぺんに問題が解決します。ハードを直接つないでもいいですし、本体に付属する「BIAS AMP 2」というソフトだけで音作りをしてもいいでしょう(https://kakakumag.com/hobby/?id=14952)

ちなみに、昨今のマルチエフェクターにはアンプシミュレーターが搭載されているものが多いので、お持ちの機材をチェックしてみてください。案外、最初から搭載されていて余計な出費を抑えられるかもしれませんよ! 運がよければ、オーディオインターフェイス機能まで搭載されているかもしれません。

オンラインでセッション相手とつながる方法

ここからは、どのようにして「演奏したい相手」とオンラインでつながるかを説明しましょう。NETDUETTOには、「ルーム」と言う概念があります。スタジオの部屋を想像してもらうのがいちばんわかりやすいと思います。それをオンライン上に作った感じです。

このルームには1度に5名まで入ることができます。ちなみに、実際のスタジオとは異なり、部屋と部屋をくっつけてしまうことが可能で、5名+5名=10名のように拡張することが可能です。このルームにメンバーを招いてセッションをするのです。

では、どうやってルームを作るのかという話ですが、アプリの右上に「ルーム名」と「パスワード」という項目があるので、ここに好きなルーム名とパスワードを入力します。

ルーム名、パスワードを設定します。たとえば私の場合は「ギターの処方箋オンラインレッスン」などと入力

ルーム名、パスワードを設定します。たとえば私の場合は「ギターの処方箋オンラインレッスン」などと入力

次に「公開設定」という項目で、誰でも参加できるようにしたいなら「公開」、身内だけで使用したいのであれば「非公開」を選択します。私の場合、オンラインレッスン中に見知らぬ人が急に入ってきたら困りますので(というか、怖すぎます!)、非公開を選択することになります。そして最後に、いちばん右上にある「ルームを作る」ボタンをクリックしたら、作業完了です。

作業が完了したら、ルーム名とパスワードをセッションしたいメンバーに、メールやメッセージでお知らせします。メンバーは各自NETDUETTOを立ち上げ、知らされたルーム名とパスワードを入力し、ルームに入るというボタンを押すだけで、作成したルームに参加できるのです。あとはみんなで演奏を楽しむだけです。

なお、ルームに参加すると、参加者全員のプロフィールが縦に並びます。そこでは各自の通信状況や遅延状況がリアルタイムに表示されるので、お互いのネットの状況について把握をしやすく、誰に問題が発生しているのかまで一目瞭然。音が途切れたり、遅延が気になるなどしてセッションがうまくいかない場合でも、どこに原因があるのか把握しやすく、対策もしやすいんです。ここまで優秀なアプリがβ版とはいえ無料で使えるというのは、本当にありがたい!

参加メンバーの接続状況がわかりやすいイラストで表示されます。このあたりの機能は、SYNCROOMでも引き継がれることを期待

ちなみに、NETDUETTOはオンラインレッスンやバンド練習に使ってもおもしろいのですが、なんと見知らぬ人たちとのセッションも楽しめてしまうのです! これがこのサービスの売りのひとつです。

アプリ上の「ルーム一覧」というボタンをクリックすると、公開設定を「公開」にしているルームの一覧を閲覧することができ、気に入ったルームに自由に参加できるのです! 多くのルームは、どんなセッションをしているのか説明書きを出してくれているので、それを読んで興味を持ったルームに参加すればいいです。しかも、ごていねいに「仮入室」と言うボタンまで用意してくれていて、そのルームを30秒間見学することができるので、内容を確認したうえで安心して参加することまでできてしまう。まさに至れり尽くせりといった感じですね。

最高のオンラインセッション環境を構築!

ということで、ZoomやSkypeとNETDUETTO(SYNCROOM)という2つの無料アプリを組み合わせることで、高音質かつ低遅延で映像付きオンラインセッションを実現することができます。

実際これを実現するには、この仕組みを全員が理解しておく必要があるので、最初はうまくいかないかもしれません。しかしZoomに標準装備されている「画面共有」などを利用して、実際に画面を見せたりしながら解説すれば、なんとかなると思います。

私も環境が整っている生徒さんとオンラインレッスンをするときは、ここに書いた内容を画面で見せたりしながら説明しているのですが、今のところ全員うまく設定できています。最初の設定さえ完了すれば、そのあとはかなり快適にセッションできます。

私がこの2つのアプリを使って実際にオンラインレッスンをしている画面が以下です。

実際にオンラインレッスンをしているときの画面をキャプチャーしたもの。Zoomで生徒さんの動きを視覚的に確認しつつ、NETDUETTOを通じてサウンドも確認できます

Zoomを使えば楽譜やデータもリアルタイムに共有できますし、NETDUETTOには自分のPC内にあるカラオケ音源などを、お互いに聴きながら一緒に演奏できるプレイヤーが標準装備されています。実際に会って行うレッスンと遜色なく、レッスンを進めることができてしまうのです!

オンラインでもちゃんとセッションできる! すごい時代がやってきた

このように、自宅にいながら離れた場所にいる人とアンサンブルを楽しめる時代がやってきました。小額の投資でこれだけの環境が手に入れられるなんて、本当にいい時代になったものです。

これから5Gが一般的に普及してくれば、こういった環境はもっともっと進化するはずですから、10年後には演奏の楽しみ方はガラっと変わっているかもしれません。今回を機に、そんな未来を少し垣間見られたような気がします。

ということで、せっかくなら「Stay Home」している時間を活用して、みなさんもオンラインで演奏にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

高村尚平

高村尚平

藤沢市のギター教室「ギターの処方箋TAKAMURA」を運営するギタリスト兼講師。ギターと機材が三度の飯より好き。過去には機材メーカーに在籍し、全国で実演セミナーを開催していたほど。

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