特別企画
ルールを守って楽器演奏・練習しよう

自分でできる防音の工夫! 家でピアノやギターを弾くときに気を付けるコツ


最近、おうちで楽しめる趣味として「楽器」を始める人が増えているみたいです。価格.comでも電子ピアノやギターなどの需要が上がっていて、人気モデルは入荷待ちのショップが増加中! 楽器はコロナ禍が過ぎたあともずっと楽しめる趣味ですし、取り組んで損はありません。

しかし近所迷惑になる懸念もあり、家で大きな音を鳴らすのをためらう人も多いのでは? そこで今回は、「自宅で楽器練習するときの防音の工夫」についてまとめてみました。楽器は種類が豊富なので、ここでは据え置き型の楽器を代表して「ピアノ」、非据え置き型の楽器を代表して「ギター」を主な例にあげながらご紹介しましょう。

▼価格.comマガジンの楽器関連記事はこちらから!
https://kakakumag.com/ktag/?tagcd=kmag24

もちろん、自宅に防音室があればいちばんイイけど……

防音のキーワードは、大きく「遮音」「吸音」「防振」の3つです。ものすごく簡単に説明すると、「遮音」と「吸音」は空気を伝わって響く音(空気伝播音)を抑えるために、音を跳ね返して外に漏れないようにしたり、音を吸収して反響を抑えること。「防振」は、楽器自体の振動が建物の構造に伝わって生じる音(固体伝播音)を抑えることです。

もちろん、これらの特性を踏まえて設計された防音室があれば、それに越したことはありません。持ち家で室内環境を自由に変えられるなら、生活空間の壁・床・窓などを防音仕様に工事すればバッチリです。

室内に導入できる定型タイプの防音室

室内に導入できる定型タイプの防音室(画像はヤマハの「防音室・調音パネル」製品サイトより:https://jp.yamaha.com/products/soundproofing/index.html)

……が、そんなの現実的に難しい人も多いですよね(汗)。「ちょっとした趣味のために最低でも数十万いく出費はちょっと……!」と思いますし、賃貸に住んでいたら部屋を改造するのも不可能ですし。そこで今回は、業者さんに頼む以外で「自分でできる限り実行できる防音の工夫」がテーマです。

以下、世界的楽器メーカーのヤマハさん、価格.comマガジンでライターとしても活躍するプロギタリストの高村尚平氏(→高村氏の執筆記事はこちらから)にご協力いただき、音を響きにくくするポイントを教えてもらいました。

なお、防音は「ここまでやればOK」といった明確な基準があるわけではありません。あくまでも「自分でできる限りの工夫をする」という目線でご参照ください。

演奏時間に配慮するなど、まず基本のエチケットを守ろう

というわけで、防音仕様でない普通の住居で楽器演奏するなら、大前提として「住まいにおける最低限のエチケット」を守るのが大事。戸建てでも集合住宅でも、「早朝や夜遅い時間には弾かないようにする」とか「演奏時は部屋の窓やドアを閉める」など、最低限のルールは共通です。

なお賃貸住宅に住んでいる人は、今後引っ越しを考えるときに「楽器可」の物件を検討するのもいいと思います。24時間演奏できる防音マンションもあれば、一般的なマンションで楽器OKを売りにしているところもあります。物件によってOKな楽器の範囲や演奏ルールが異なりますが、それをしっかり守れば安心して楽器演奏を楽しめますよ。

楽器OKの賃貸は家賃が高め傾向なのが若干ネックですが、探せばお得な物件も……! ちなみに筆者もピアノやギターなどを所有しており、楽器可・ピアノ可のマンションに住んでいるのですが、演奏していいのは夕方17時までとルールが決められているのでまじめに守っております

ヘッドホンを接続する&消音機能を使う

さて、ここからは具体的な方法に入っていきましょう。まず、使用するのが「電子楽器」であれば、対策は比較的しやすいです。音量調整ができ、ヘッドホンを接続できる製品がほとんどなので、「時間帯によって演奏する際の音量を決めておく」とか「昼間以外はヘッドホン演奏する」など、自分なりに近所迷惑にならないようルールを作ることができます。

鍵盤楽器なら電子ピアノや電子オルガンがそうですし、アコースティックピアノでも消音機能が付いたサイレントピアノなら、音量を調節することができます。

アコースティックピアノと比べてコンパクトなため、リビングなどにも設置しやすい電子ピアノ。インテリア性の高いモデルも増えています

ピアノを始めようとするとき、ヘッドホン演奏できることを最優先に電子ピアノを選ぶ人も多いと思います

ピアノを始めようとするとき、ヘッドホン演奏できることを最優先に電子ピアノを選ぶ人も多いと思います

音量が調整できるのもポイント

音量が調整できるのもポイント

ちなみにヤマハさんによると、弦楽器ではエレクトリックバイオリン、管楽器では「サイレントブラス」といった音量調整できる楽器製品が、今まさに自宅での練習・演奏用として人気が上がっているそうです。サイレントブラスを例に取ると、2020年3〜4月は前年の4倍も売れているとのこと。スゴい!

これがヤマハの「サイレントブラス」。ピックアップミュートを金管楽器のベルに取り付けることで消音するとともに、独自のデジタル技術「ブラスレゾナンス モデリング」を搭載したパーソナルスタジオを組み合わせることで、まるでミュートを付けていないかのようなリアルな響きをイヤホンなどで聴きながら演奏できる機器です。トランペット・コルネット用、フリューゲルホルン用、テナー・テナーバストロンボーン用、ユーフォニアム用、チューバ用などなど、いろいろな種類があります

エレクトリックバイオリンやサイレントバイオリンは、いわゆるエレキギターと同じで、弦の振動を電気信号に変換し、アンプで増幅させて鳴らすことができるバイオリンです

また、電子ドラムもヘッドホンが使えます。ほとんどの場合、生ドラムを自宅で練習するのは難しいと思いますが、電子ドラムであれば省スペース性もあって導入ハードルが下がりますね。なお、ドラムやピアノは「防振」もポイントになるので、こちらは後述します。

普通の生ドラムはスタジオなど専用施設に行かないとなかなか練習できませんが、電子ドラムなら自宅で叩けます

ギターの場合は、エレキであればアンプにヘッドホンを接続して使えます。部屋に大きなアンプを設置するスペースがなくても、ヤマハ「THR-II」シリーズなどデスクトップサイズの製品を選べば問題なし。また、VOXのヘッドホンギターアンプ「amPlug」シリーズや、BOSSのヘッドホン型ギターアンプ「WAZA-AIR」など、ヘッドホン演奏に特化したアンプを選ぶのもアリです。

弦の振動を電気信号に変えて増幅させるエレキギターなら、音量調整できてヘッドホンも使えます

弦の振動を電気信号に変えて増幅させるエレキギターなら、アンプ側で音量調整できてヘッドホンも使えます

デスクトップで自由に使える第3のアンプ」として国内外で高い評価を受けてきた大人気ギターアンプ、ヤマハ「THR-II」シリーズ

予算を抑えたいならVOXのヘッドホンギターアンプ「amPlug」シリーズに注目。電池駆動する手のひらサイズのアンプで、エレキギターに直接接続すると、ギターの音を増幅してヘッドホンにワイヤレスで飛ばしてくれるものです。プロギタリスト高村氏も「値段のわりにいい音が得られる」とオススメ!

BOSS「WAZA-AIR」はヘッドホン型のギターアンプという究極の省スペース性を実現したモデル

また、エレキギターの音をiPhoneに入力して音作りができるオーディオインターフェイス「iRig」シリーズも便利です。iPhoneの専用アプリでサウンドを作ってギター練習することが可能になるもので、iRig本体にヘッドホンを接続して演奏できます。

自身のギター教室を運営する高村尚平氏によれば、「うちの生徒さんでアパート暮らしの方は、このiRigを使って練習している人が多いですよ」とのこと

遮音・吸音・防振の専用アイテムを使用する

では、音量調整もできずヘッドホンも使えないアコースティック楽器はどうしたらいいのか? まず思いつくのは、響きを抑えられるアイテムを導入することです。

▼室内環境にひと工夫

まずは、室内に専用アイテムを設置するやり方。窓であれば「防音カーテン」を吊したり、テープで隙間を留める方法があります。

インターネット上を検索すると、吸音効果が期待できる段ボールや卵のパックなんかを使って、防音壁を自作している人も多いですね。このあたりはDIYのセンスも必要なので、苦手な人は自分で壁に貼れるタイプの「防音パネル&シート」を購入して試してみるといいと思います。ただ賃貸で使用する場合は、あとから剥がしやすいかどうかを必ずチェックしておきましょう。

そのほか、10万円台からラインアップされる「簡易防音室」なんていうのもあります。室内スペースと予算のバランス的にアリなら、設置を検討してみてはいかがでしょうか。

簡易防音室。ユニットの組み合わせを選べたり、自分で組み立てられるものまでいろいろあります

簡易防音室。ユニットの組み合わせを選べたり、自分で組み立てられるものまでいろいろあります

▼使用する楽器にひと工夫

続いては、楽器本体に響きを抑えるアイテムを使うやり方。スタンダードなのは、音の響きを抑えてくれる「弱音器」を取り付ける方法です。弱音器は、吹奏楽器用や弦楽器用などいろいろな楽器向けに種類があります。

楽器に合わせていろいろな弱音器があります。こちらはアコギ用で、弱音器とホールカバーのセット

楽器に合わせていろいろな弱音器があります。こちらはアコギ用で、弱音器とホールカバーのセット

また、演奏に使用するアイテムを音が響きにくいものに変更するのもアリです。たとえばギターの場合は、普段使っているピックを「サイレントピック」に変えるだけで、通常よりも音量を抑えることが可能になります。

ギターを弾く音を手軽に抑えられる「サイレントピック」

ギターを弾く音を手軽に抑えられる「サイレントピック」

なお、ピアノのように床や壁にくっつけて据え置きする楽器は、遮音に加えて「振動対策」も重要になります。というのも、特にマンションなどの集合住宅では、楽器本体の振動が建物の構造体を通して上下階や左右の部屋へ伝わる「固体伝播音」が生まれてしまうからです。ピアノでいうと、「コトコト」と鍵盤の動く音(打鍵音)だけでも周囲に響くことがあるんです。これは、ヘッドホンを使用して電子ピアノを演奏する場合でも同じ。電子ドラムもそうですね。

固体伝播音の程度は、建物の構造によっても異なるため効果は一概に言えませんが、市販の防振・防音マットやインシュレーターなどを使えば、楽器本体の振動を建物の構造体に伝わりにくくできます。

ピアノ用のインシュレーターは、振動を吸収するほか、床が傷つきにくいなどのメリットも

ピアノ用のインシュレーターは、振動を吸収するほか、床が傷つきにくいなどのメリットも

ヘッドホンが使える電子ピアノでも、振動対策のために防振・防音マットを敷くなどの配慮があるとより安心

ヘッドホンが使える電子ピアノでも、振動対策のために防振・防音マットを敷くなどの配慮があるとより安心

ちなみに電子ドラムは、防振・防音マット付きで販売されている場合もあります

ちなみに電子ドラムは、防振・防音マット付きで販売されている場合もあります

超簡単! 日用品でできる防音

続いては、手持ちの日用品でできる対策をご紹介しましょう。簡易的ではありますが、「これから楽器を始めよう」と思ったときに手っ取り早く実行できますよ。

まず据え置きの楽器は、その下に敷物を配置するという工夫ができます。ヤマハさんによれば、ピアノを設置するスペースに「厚めのカーペットやじゅうたん」を敷くだけでも、吸音・防振が期待できるそう。なお、電子ドラムはピアノより振動が大きいので、敷物を重ねるなど特に注意が必要となります。そのほか、楽器を設置する部屋の窓に「厚手のカーテン」を付けておくのも、多少なりとも有効だと思います。

非据え置きの楽器の場合、すぐにできる簡易的な吸音策としてギタリストの高村氏がオススメするのは、「やわらかいモノを身の回りに置き、そこに向かって演奏する」という方法です。「布団やベッドのようにやわらかいものは音を吸収してくれるので、そういうものに向かって演奏すると、音の反響を抑える効果が期待できます」(高村氏)。

手っ取り早く、身の回りの「やわらかいモノ」に頼るのもアリ! 壁に布団などをかけておいて、演奏するときはそっちに向くという手法です

それこそ、洋服かけに向かって演奏するだけでも吸音効果を期待できます。これは実際に高村氏が、ギター教室の生徒さんたちにオススメしている自宅練習法なんだとか。もちろんギター以外の弦楽器や、管楽器など持ち運べる楽器であれば応用可能なので、お試しください!

演奏する部屋・場所を工夫する

主にマンションなどの集合住宅では、楽器を演奏する「場所」に配慮するというのもポイントです。たとえばリビングなど、「階下に住む人の在室時間帯が長いと思われる部屋の真上では、長時間演奏しない」などですね。

ピアノなどの据え置き型楽器の場合は、これを念頭に置いて設置場所を決めるといいと思います。ヤマハさんによると、「周囲の住戸と隣接する壁側への設置を避けて、自室内の間仕切りとなる壁側へ設置したほうがよい」とのこと。これは、マンションの外壁を通して上下階に振動音が伝わる可能性を、極力減らす配慮となります。

筆者宅でも一応、アップライトピアノを自室内の間仕切り壁側に設置しています

筆者宅でも一応、アップライトピアノを自室内の間仕切り壁側に設置しています

余裕があったら「調音」にも気遣うとよりよい

なお、上記で触れた「吸音」についてちょっと補足。音を吸収することで反響を抑えるのが吸音ですが、やりすぎると音がデッドになるという問題があります。楽器練習用としては少々デッドになるくらいがちょうどいいと思いますが、吸音しすぎると逆に音楽を楽しみにくくなる面もあります。

そんなときは、室内の響きを整えてくれる「調音パネル」などを使用すると、心地よい音響空間を作れますよ。防音に加え、「調音」についても工夫してみると、よりよい演奏環境が構築できます!

自立式で手軽に設置できるヤマハの調音パネル「ACP-2」。オーディオ用途にも使える調音パネルとしてヒットしました

まとめ:普段からのご近所付き合いも大切に

というわけで、自宅で楽器演奏するときに自分で工夫する方法を、簡単ですがまとめてみました。

ちなみに今回取材に協力してくださったヤマハさんは、「ご近所に普段から声をかけ、心通うお付き合いの中で、周囲に住むご病人や受験生などの存在を知っておいて、防音に配慮するのも大事です」とコメント。確かに、ソーシャルディスタンスが叫ばれる中でもご近所さんと心のお付き合いをしっかりしておくことが、最も大きなポイントかもしれません。

なお、おうちでの楽器練習を重ねて「そろそろ誰かとセッションしたいなー」と思い始めたら、ぜひ以下の記事をご参考ください! Zoomとヤマハのセッションサービスでオンライン演奏する方法を解説しています。

【関連記事】
Zoom演奏会しよう! オンラインでリアルタイムセッションする方法

それでは、ルールを守って楽器と音楽に親しみ、おうち時間を豊かに楽しみましょう!

※本記事は、取材先のメーカー、専門家および執筆者個人の見解を含みます。当社は、本記事において提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも、当社、メーカー、購入店も一切の責任を負わないものとします

杉浦 みな子(編集部)

杉浦 みな子(編集部)

オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
ページトップへ戻る