レビュー
ドラマー的に「アリ!」な電子ドラム

やはりコスパ最強! 大人気の電子ドラム入門機「V-Drums TD-1DMK」の魅力

ギターやベース、ピアノなどはメジャーで人気な楽器たち。いっぽう、メジャーな楽器仲間のわりにプレイヤーが少ないのが「ドラム」。筆者は学生時代からドラムを学んできたひとりなのですが、高校生の頃は軽音楽部でドラムプレイヤーが数人しか在籍していませんでした。そのため、ひとりでたくさんのバンドをかけ持ちし、腱鞘炎寸前まで追い込まれた過去が……。それほどドラムは不人気でした。

そんな悲哀に満ちたドラムですが、なり手が少ないいちばんの理由は非常に単純で、「家で練習ができない」。この一点に尽きると思います。自宅で簡単に練習ができるギター等と違い、わざわざスタジオまで足を運ばないと叩くことすらままならないドラムは、正直に言って最初に選ぶ楽器としてはハードルが高いはず。

ただこれは過去の話であり、現代には「電子ドラム」というビギナーにうれしい選択肢があるのです。近年は電子ドラム業界もかなりの盛り上がりを見せ、今では選択肢も豊富に存在します。そこでここでは、電子ドラムの基本を紹介しつつ、ドラム初心者の第一歩を支えてくれるローランドの人気モデル「V-Drums TD-1DMK」の魅力に改めて迫りたいと思います。

そもそも電子ドラムって?

では、そもそも電子ドラムとはどんなものなのでしょうか? アコースティックドラム(普通のドラム)と違い、電子ドラムは打面を叩いた衝撃を直接音にはせず、センサーによって信号に変換し、音源モジュールを通してスピーカーやヘッドホンなどから音を出力する電子楽器の一種です。

アコースティックドラムは、ドラムやシンバルを叩いて直接そのものの音を鳴らします。いっぽう電子ドラムは、ドラムやシンバルに該当するパッドを叩くと、そこに搭載されるセンサーによって、電子モジュールのドラム音が鳴ります

アコースティックドラムは、ドラムやシンバルを叩いて直接そのものの音を鳴らします。いっぽう電子ドラムは、ドラムやシンバルに該当するパッドを叩くと、そこに搭載されるセンサーによって、電子モジュールのドラム音が鳴ります

音を信号に変えることのメリットは、ズバリ「消音」。ドラムは非常に音が大きい楽器ですが、電子ドラムは直接音を出す必要がないので、叩いた際の音を最小限にとどめることができます(ちなみにアコースティックドラムの音量はdBで言うと130dBほど。ジェット機や落雷と同じくらいの音量です)。さらに、電子楽器なので、ヘッドホンを接続してそこから音を鳴らし、静かに練習することもできます。

また、普通のアコースティックドラムと比べてコンパクトなセットの機種もあり、設置スペースを抑えられるのもポイントです。

プレイ中の音をヘッドホンから出力することも可能

プレイ中の音をヘッドホンから出力することも可能

こういった電子ドラムの登場により、それまでスタジオや完璧な防音がされている部屋でしか叩けなかったドラムが、一般の家庭でも練習可能になりました。

しかし……電子ドラムにはデメリットもある

ここまでざっと電子ドラムについての説明を見て「いいことばかりじゃないか!」と思われた方も多いと思いますが、決してメリットだけというわけではありません。上でも書いたように、消音性がいちばんのメリットで、電源が引ける設置場所さえあればどこでも叩けるのが魅力の電子ドラムですが、「本当にどこでも大丈夫か」と言われると実はそうでもなかったりします。

ドラムの性質上、必ず「モノを叩く」という行為が必要なので、サウンド自体の音量は抑えられても、どうしても物理的な打撃音は鳴ってしまいます。たとえそれがゴムパッドだったとしても、スティックで叩けばそれなりの音がします。そして最悪なのがバスドラム。こちらは足でペダルを踏み込み、ビーターが強い力でパッドを叩くので、地面を伝う衝撃が隣の部屋や下の部屋に強く響いてしまいます。集合住宅で2階以上にお住いの方は、ご近所迷惑になってしまう可能性も。

また、さすがにアコースティックドラムと比べると叩き心地が違います(これはほかの電子楽器にも共通することですが)。これにより、電子ドラムで練習すると叩けているのに、いざスタジオに入ってアコースティックドラムを叩いてみたら音の強弱を付ける技術が不足していたり、自宅練習で打撃音を気にしすぎた結果、そもそも演奏の音量が小さすぎるなんていうこともしばしば。

さらにさらに、電子ドラムは決してお値段が安くない! もちろんピンキリですが、10万円以上するのが当たり前の世界です。家でも練習ができる反面、やはりそれなりの技術を使ったものなので、本体自体の値段もバカになりません。

と、悪口をたくさんかいてしまいました……が、実はこれらすべてをちょうどいい塩梅でまとめてくれた名機こそが、今回ご紹介するローランド「V-Drums TD-1DMK」なのです。

初めての電子ドラムにぴったりなローランド「V-Drums TD-1DMK」

まずは仕様をチェックしていきましょう。太鼓はスネアとタム×3のオーソドックスな配置に、分離式のハイハット、シンバルが2枚、そしてバスドラム。シンプルながら必要十分な装備が整っています。

扇状に開く可変式のスタンドと各部のジョイントによって、見た目よりも自由なセッティングができるのも魅力的。またシンバルの留め具がボール状になっているので、さまざまな角度のセッティングに対応しています。バスドラムがツインペダル対応なのも、ロック系メタル系ドラマーにはうれしい仕様。

省スペースながら必要十分な充実したセット

省スペースながら必要十分な充実したセット

こちらがシンバルの留め具です。球体になっているので、さまざまな角度に調整がききやすい

こちらがシンバルの留め具です。球体になっているので、さまざまな角度に調整がききやすい

幅広の打面で、ツインペダルも問題なく使用できる

幅広の打面で、ツインペダルも問題なく使用できる

太鼓類のヘッドは、メッシュ素材を二層構造にしたダブルメッシュヘッドになっています。これにより、先ほどお話ししたデメリット「パッドを叩いた際の打撃音」と「アコースティックとの打感の違い」をしっかりとフォローしています。

叩く際に最も力の入る太鼓類は、ゴムパッド等だとかなり音量が出てしまいますが、ダブルメッシュヘッドにより強力な消音性を誇りつつ、アコースティックのような跳ね返りを持つ打感も担保。実際にチューニングキーで張り具合を調整できるすぐれものです。スネアはオープンリムショット(スネアの真ん中とリムを同時に叩く奏法)にも対応しています。

張り具合も調整できるメッシュパッド。なお、下部にセンサーがあるので水気に注意

張り具合も調整できるメッシュパッド。なお、下部にセンサーがあるので水気に注意

金物類は2つのセンサーとベロシティによって、エッジとボウさらにはカップまでしっかりと対応。しかもここで終わらずチョーキングまでできちゃいます。入門機と聞いて触っていたものの、チョーキングとカップ対応には驚きました! しっかりと作り込まれています。

実際に叩く個所はゴムパッドになっていて消音性も◎

実際に叩く個所はゴムパッドになっていて消音性も◎

ハイハットは本体とペダルが分離した構造で、ペダルの踏み具合により音切れが変わるようにできています。ほとんどの場合、ハイハットはスタンドでセッティングをするので、実際の演奏を視野に入れる場合はハイハットのなるべく真下にペダルをセッティングするように注意が必要。

手前側のペダルがハイハットペダル。裏にセンサーがついていて踏み具合を感知している

手前側のペダルがハイハットペダル。裏にセンサーがついていて踏み具合を感知している

そして最後は音源モジュール。こちらは15種類のプリセットから音色を選びプレイすることができます。シンプルで見やすく初心者にも扱いやすいですし、メトロノームや電子ドラムならではのプレイバック機能も搭載さていて練習には持ってこいでしょう。パソコン用の練習アプリも公式配布されているので、自分で練習メニューが浮かばないときには活用してみるとよいと思います(https://melodics.com/landing/partners/roland/vdrums-jpn)。

シンプルで扱いやすい音源モジュールのパネル

シンプルで扱いやすい音源モジュールのパネル

実際に叩いてみると……

実際に叩いて見て最初の感想は「しっかりしている!」でした。大変失礼ながら「入門機」という視点から入っていたし、見た目のコンパクトさも相まって、正直もっとショボイ叩き心地を予想していましたが、いい方向に裏切られました。

スツールに座り叩いてみると、満足感のあるプレイが可能で、ドラムを叩いている気分になんら不足感を感じることなく演奏を楽しめます。

画像で見るとサイズ感は少し小さめですが、叩いていて窮屈さは感じません

画像で見るとサイズ感は少し小さめですが、叩いていて窮屈さは感じません

やはりポイントはダブルメッシュヘッド。このヘッドのおかげで、かなり本物に近い感触が得られ違和感なくプレイできます。跳ね返り具合が強すぎるパッドだと、ダブルストロークなどの手技がぶれることがあるのですが、それがかなり少ない印象。実際の打面も張り具合によって差はあれど、ゴムのように跳ね返ることはないので、練習と実際の演奏とのブレが少なく済むのは非常に好評価です。

シンバルに関しては金属とゴムなので打感はかなり差があります。ですがこれはどんなに上級のモデルを買ったとしても素材が金属になることはないので、電子ドラムとはそういったものだと割り切り、技術の進歩を祈るほうがいいでしょう。

センサーとベロシティ感知によって、叩く場所による音色はしっかりと変わるので、ちゃんとした練習が可能です。それに、本物のシンバルと違って金属ではないので、シンバルチョークも指を切ることがなく積極的に挑めるはず(実際筆者はシンバルチョークで何回か指を切っています……)。

音源モジュールは非常にシンプルで使いやすく、説明書とにらめっこする必要はなさそうです。音色が多すぎたり、いじれる項目が多いと、かえって初心者のやる気はそがれるもの。難しい設定も操作もいらないシンプルイズベストです。

バスドラムはやはり地面への振動を感じますが、ここにもひと工夫。別売の防振ボード「NE-10」を下に敷くことによって大きく振動を抑えることができます。実際に少し離れたところに立って、NE-10がある状態とない状態を両方試しましたが、足に伝わってくる振動がかなり抑制されているのがわかります。

これが、バスドラムの下にNE-10を敷いたところ。多少高さが出てしまいますが演奏には全く支障なし

これが、バスドラムの下にNE-10を敷いたところ。多少高さが出てしまいますが演奏には全く支障なし

惜しむらくは、このモデルではハイハットスタンドが使えないこと、そしてクローズリム(スネアの上にスティックを寝かせてリムだけを叩く奏法)とブラシ奏法ができないことでしょうか。クローズリムやブラシを多用するジャズドラムの練習を考えている方は、慎重になる必要がありそうです。

やっぱりコスパ最強の入門機!

ここまでで、V-Drums TD-1DMKがいかにドラムとしての基本機能が凝縮された1台かおわかりいただけたと思いますが、何せ驚くのはその値段。「いくら性能がよくても、10万円を超えるようなものを買って本当に続くのか」と不安になる人も多いと思いますが、V-Drums TD-1DMKはここまで盛り盛りの電子ドラムでありながら、なんと実売8万円台という衝撃の安さなんです。学生のアルバイト代でも十分射程圏内ですね。

ちなみに、これ以下の値段の製品もローランドのラインアップとしてはありますが、筆者は最初の1台・練習用にというのであればV-Drums TD-1DMK強く推したいです。理由は、ひとことで言って「コスパの高さ」。

全面ダブルメッシュヘッド、カップまで使うことのできるシンバル、ペダルが使えるバスドラムと練習に必要な要素をほぼ押さえているにも関わらず、手の出しやすいこのお値段は1度でも電子ドラムを触ったことがある人なら衝撃を受けるはず。スタジオに通う交通費やスタジオ代金、そして何と言っても時間が買えるのであれば決して損はしないでしょう。

これからドラムを始ようかと考えている方はもちろん、すでに叩き始めているが練習場所の問題に直面しているドラマーも要注目の電子ドラムです。それに、電子ドラムで本当に練習になるのかと不安になっている方にこそ、強くお勧めしたい。そんなドラムセットです!

戸井田満樹

戸井田満樹

平成生まれ。趣味で生きてきたい系男子。東京都出身。学生時代はアメリカの音楽学校にてドラムを専攻。母の影響で家電を使った料理を提案中。料理、ドラム、バイク、スノーボード、犬が生きてく糧です。

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