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ワクワクしながら練習しよう!

ピアノ上達のコツとは? 初心者が気づきにくい「大切なこと」をピアノの先生に聞いてみた

2020年は予期せぬ「おうち時間需要」で、近年まれに見るほど楽器の人気が高まった年でした。価格.comの楽器カテゴリーでも、いまだに品切れの製品があるほどです。「これを機に、前からやってみたかった楽器に挑戦しよう」と思った人が多かったのでしょう。

なかでもやはりピアノは人気が高くて、筆者の周りでも「電子ピアノを買った」という知人がちらほらいます。そこで今回は、おうち時間にピアノの練習にトライする皆さんに向けた企画!「ピアノ上達のために大事なこと」を、ピアノの先生に聞いてみました。

ちなみにこの記事を書いている筆者も、小さい頃にピアノを習っていたものの10年ほどブランクが空いてしまい、数年前に趣味で再開したカムバック組の大人です。皆さん、一緒にピアノ練習を楽しみましょう!

インタビューに答えてくださったのは、池川礼子先生。みずからたくさんの生徒を教えるだけではなく、一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(https://www.piano.or.jp/)の正会員として、ピアノ指導者を育成する講義も行っている大ベテランです。つまり、ピアノの先生の先生でもあるのです

インタビューに答えてくださったのは、池川礼子先生。みずからたくさんの生徒を教えるだけではなく、一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(https://www.piano.or.jp/)の正会員として、ピアノ指導者を育成する講義も行っている大ベテランです。つまり、ピアノの先生の先生でもあるのです

“楽しんで”ピアノ練習するために! 初心者が気づきにくいポイント

……とは言っても、基本的なピアノの練習方法の解説なら、教本もたくさん出ていますし、ネットで検索すればいろいろな情報がヒットします。楽譜の読み方などの基本や、「最初は右手と左手を片方ずつ練習しましょう」とか「手元ではなく楽譜を見ながら弾きましょう」といった練習のコツが、いろんな教本やサイトに書いてあります。

そういった一般論は、世の中にあまたある書籍や解説サイトに譲り、今回は池川先生に「ピアノ初心者がひとりでは気づきにくい練習のポイント」を中心に教えていただきました。練習がイマイチ楽しくなくて、弾けるようになる前にやめてしまうなんてことにならないよう、モチベーションを上げるポイントを学んでいきましょう!

「やさしい」「きれい」……自分が音をどんな風に感じているかに気づこう

「ピアノ上達のコツとは?」という筆者の漠然とした質問に対し、池川先生が大前提としてあげたのは、「音や楽曲を聞いたときに、自分の心がどんな風に感じたかを大切にすること」でした。

「“やさしい音”とか“きれいな音”とか“気持ちのいい音”といったように、実際に鳴っている音を自分の心がどう感じたか。それを把握することがまず大事です。これは、大人でも子どもでも同じです」(以下、カッコ内太字は池川先生のコメント)

筆者はさっそく「なるほど」と思いました。ピアノに限らず、どんな楽器にも言えることですが、1つひとつの音の響き、そしてそれが連続する旋律をどうとらえるかというのは、最終的に演奏の表現力にもつながる部分です。テクニックに入る前に、まずは音楽に対する自分の中の感覚に気づくことが大切なんですね。

「特に大人はどうしても頭で考えがちなので、楽譜に書いてある音が何か、それを正確にタッチできるかにとらわれて、楽譜が読めるようになっても感覚で弾くことが難しくなってしまう傾向にあります。大人の指には筋力がありますから、鍵盤を押せば最初からそれなりに音を響かせることができるのですが、感覚が付いてこないんですね。

子どもの場合はその逆で、指に筋力がないので、すぐに鍵盤を押すことができません。指の筋力を養うのに時間がかかります。しかし子どもは頭で考えすぎることはあまりないので、音楽に対する感覚的なもののほうが先に育つ傾向にあります」

楽譜は「線の音」と「間の音」を把握するのがコツ

さて、自分が音をどう感じたかを意識しつつ、ピアノ練習の実践に入るときは、楽譜を読まなくてはなりません。初心者のうちは譜読みが難しくて、ここで挫折してやめてしまう人も多いようです。そこで、初心者が押さえるべき基本を聞いてみました。音符の流れを感覚的にとらえることができると、飛躍的に上達できそうです。

「譜読みは、“線の音”と“間の音”をわかるようになることが大きなコツです」

簡単にいうと、「線の音」とは楽譜の中で五線譜の線の上にある音符のこと。「間の音」とは五線譜の線と線の間にある音符のことです。といっても、言葉にするとイマイチわかりづらいので、以下の画像をご覧ください。

こういうことです。つまり、線の音と間の音は隣り合っています。線の音から次の線の音に移動すると、ひとつ飛びになります。この楽譜の場合、「赤・青・赤・青……」という順なので、隣にしか動かない=鍵盤も隣同士に弾くということです

こういうことです。つまり、線の音と間の音は隣り合っています。線の音から次の線の音に移動すると、ひとつ飛びになります。この楽譜の場合、「赤・青・赤・青……」という順なので、隣にしか動かない=鍵盤も隣同士に弾くということです

これは、「音程=音と音の距離」を把握することにつながる大事なポイントです。音程は、「○度」という表記で表します。「線の音」から隣の「間の音」までの距離(音程)は2度、さらにその隣の「線の音」までの距離は3度、となります。こちらも、文字だとわかりにくいと思うので、以下の画像をご覧ください。

池川先生いわく、楽曲の90%は2度と3度の組み合わせ(1個飛び、または2個飛び)で旋律が成り立っているんです

池川先生いわく、楽曲の90%は2度と3度の組み合わせ(1個飛び、または2個飛び)で旋律が成り立っているんです

「線の音と間の音、この2種類が把握できると、かなり上達します。世の中のメロディは、その90%ほどが2度と3度の音の流れでできています。ピアノの場合、それは“隣の鍵盤、またはひとつ飛びの鍵盤を弾けばいい”ということ。それがわかると、メロディだけならすぐに弾けるようになるんですよ。2度と3度の読み分けができると、譜読みの90%ができたと言っていいと思います。

この切り口で練習をすると、本当に上達が早いんです。実際に、まったく楽譜を読めない大人がこの理論で1時間ほど練習したら、簡単なソナチネ7番1楽章くらいは弾けるようになりましたよ」

スムーズに指を動かすためには?

さて、ピアノレッスンするときのステップとして、よく「手元を見ないで、楽譜を見ながら弾きましょう」と言いますが、これって最初のうちはかなり難しいですよね? これについてもコツを教えてもらいました。

ピアノを習うときって、「親指は1、人さし指は2」といったように、まず指番号を覚えますよね。そして、楽譜に指番号を記入して練習をします。

親指から小指まで5つの指番号が振られます

親指から小指まで5つの指番号が振られます

初心者向けの楽譜では、1つひとつの音符に指番号が振ってあるものも多くあります

初心者向けの楽譜では、1つひとつの音符に指番号が振ってあるものも多くあります

「このとき、演奏中に頭の中で“4は、薬指だ”というように考えてしまうと、なかなかうまく指が動きません。そうではなく、楽譜と指番号を見たときに、該当する指が感覚で動くようになることが第一段階の目標です。

先ほど話に出た、2度の音と3度の音の関係といった理論はもちろん頭で把握するもの。しかし、演奏中の指の動作に対して頭を使ってしまうと、スムーズに弾けないわけです。私のレッスンでは、演奏練習に入る前の時間に、番号を見たらすぐに指が動くように頭と指をほぐす時間を取り入れたりしています」

これは確かに、大人がやりがち。「次の“ファ”は3(中指)で弾く!」……というように、指の動きを頭の中で考えてしまうと、旋律の流れに乗ることができないんですよね。そこで大事になるのが、上述の「線の音」と「間の音」。2度と3度の音の関係を、頭の中ではなく鍵盤上で把握することです。

この2つを意識しながら練習を行っていくと、「線の音」と「間の音」の組み合わせが、実際に鍵盤上ではどういう動きになるかわかるようになってきます。つまり、鍵盤を見ないでも2度の距離、3度の距離を把握でき、指がどれくらいの間隔で動けばいいのかわかってきて、メロディの流れの中で自然に鍵盤を押せるようになってくるのです。

練習するときに大事なことは?

ここまでの流れを踏まえて、池川先生に「練習するときに、ここだけは気をつけてほしい」というポイントを2点教えていただきました。

「本当に基本的なことですが、やはり指の形ですね。鍵盤から鍵盤へスムーズに指を動かすためには、やはり指をちゃんと鍵盤上に置いておくことが大事なのです。

もうひとつ、楽譜を見たときに、1音1音を個別ではなく“ミレド〜”のようにメロディの流れとして認識できるようになることも重要です。流れで把握することですね。そうしてとにかくたくさんの楽曲に触れていくと、徐々に楽譜の内面みたいなものがわかるようになってきます。楽曲によって異なる音楽の“表情”を知ることで、表現力の向上につながっていきます」

まずはやはり指の形! 特に小さい子どもの場合は、鍵盤に対して指をぺったり平たく置いてしまいがちなので、気をつけてレッスンするそうです。また、「ドレミ〜」という流れで「上がっていくメロディだな」とか、「ミレド〜」という流れで「下がっているメロディだな」と、楽曲の旋律や構成を認識しながら弾くことが大事なのですね。

最近はオンラインレッスンも! ピアノ教室で学ぶ大切なこと

ピアノを始める場合、正式にピアノ教室に通う方法がスタンダードですが、大人が趣味でやるときは、まず自宅での独学を選ぶ人も多いんじゃないでしょうか? それに対して池川先生は、ピアノ教室に通う最大のメリットは「マイナスの練習をしないこと」だと言います。

「独学でピアノを練習する場合、1回間違えると、その間違えた形を覚えてしまって、何度も同じことをしてしまいがちです。これがマイナスの練習。間違いを指摘してくれる人がいないと、何回も間違いのまま繰り返して練習することになってしまうんです。

先生につかないで回り道をするなら、先生に習って簡単なコツを教えてもらったほうが早くステップアップできるでしょう。それに、週に1回くらいのサイクルでレッスンがあったほうが、そのために練習をがんばるので上達しやすいというのもあります」

なお、楽器のレッスンは密空間になりやすいため、コロナ禍で一時期はお休みしている教室もあったようですが、最近はオンラインレッスンも増えてきました。

「Zoom」などのオンライン会議アプリを活用して、オンラインでピアノのレッスンや講座も行われているんです

「Zoom」などのオンライン会議アプリを活用して、オンラインでピアノのレッスンや講座も行われているんです

「コロナ禍がなければ、オンラインで講座をやることはなかったと思います。実際にやってみると、意外とできるものだなあという印象です。メリットとしては、カメラで手元をズームして配信することによって、先生と生徒がお互いに指を集中して見ることができて、指導がしやすい面もあります。

もちろん、どうしても難しいことはあります。ピアノの場合、低音が長く伸びないといったように、生で聞く場合との聞こえ方の違いは出てきてしまいますから。しかしそれを踏まえても、ある程度はオンラインでもレッスン可能なのだというという感覚です」

このタイミングでピアノの練習を始めた皆さん、最新の選択肢として、オンラインレッスンを検討してみるのもいいのではないでしょうか?

電子ピアノで練習するときの注意点

趣味でピアノを始める場合、まずは電子ピアノを買う人も多いですよね。池川先生は、「生ピアノと電子ピアノは、根本的に音の質がまったく違うものだというのは大前提です」としながらも、「電子ピアノが普及することで、多くの人がピアノに触れる機会が増えるのはうれしいですね。何もしないよりは、電子ピアノでも練習したほうがいいですから」と言います。

ただ、電子ピアノで練習するときの大きな注意点として、「鍵盤のタッチ感」や「音の余韻」について語ってくださいました。

「住宅事情でどうしても電子ピアノしか設置できないなら、できるだけ弾いたあとの感覚があるようなグレードの高いものを選んだほうがいいですね。それにピアノ練習では、音の余韻・残り方も重要です。そこで演奏者の耳が鍛えられるわけです。その再現性が低い電子ピアノを選んでしまうと、耳の練習にならないのです。ちなみに、サイレントピアノでしたら、音の余韻も含めて十分勉強できるという印象です」

電子ピアノで音の余韻・残響も生ピアノに近づけるべくハイグレードなモデルを各メーカーとも開発しています! もちろんお財布と相談しつつ、生ピアノの再現性の高さを重要視して選びましょう

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まとめ:平面に書いてある音符を、本当の音にするワクワク感を味わおう

いかがだったでしょうか? よく言われることですが、ピアノに限らず楽器を練習するときは「自分の演奏をいかに楽しめるか」が、最も上達に近づく方法です。しかし、その楽しさに気づくまでに時間がかかってしまい、挫折してしまうことも多いわけです。今回は、それに気づくヒントとコツを教えていただくことができました。池川先生は、こんなこともおっしゃっていました。

「楽譜は紙で、その平面に音符が書いてありますよね? 平面に書いてある記号を音にするというのは楽しいんだということ。その感覚に気づくとワクワクします。このワクワク感が、ピアノの練習を楽しくさせます」

この言葉に、筆者はハッとさせられました。楽譜に書かれている音符が、自分の手で現実の音に変換されるという魅力。これは、楽器を演奏するうえでの根本的なおもしろさと言えるでしょう。このワクワク感に気づいた瞬間に、自分がやっている練習が心躍るものになるのではないでしょうか。

池川先生は、「思った音を出せることが真のテクニック」と語ります。音に対する印象は人それぞれ。自分の目標とする音を出せるよう、楽しみながらピアノ練習をしていきましょう!

▼取材協力
一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)
https://www.piano.or.jp/

杉浦 みな子(編集部)

杉浦 みな子(編集部)

オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。

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