新傑作ウォッチで令和を刻む
第6回/オリエントスター「アヴァンギャルドスケルトン RK-AV0A03B」

入門モデルとして最適! オリエントスターの「無骨なスケルトンウォッチ」をレビュー

腕時計業界では、ここ数年、「スケルトン」がトレンドのひとつとなっています。

裏スケルトン仕様なのはもはや“当たり前”として、文字盤の小窓からテンプを見せるオープンワーク仕様も人気になりつつあり、さらに文字盤全体がシースルーの、いわゆるフルスケルトンも珍しいものではなくなってきました。

元来、スケルトンにはクラシカルでノーブルな印象がありましたが、昨今ではそうした伝統から脱したモダンなデザインも出現。今回取り上げるオリエントスター「アヴァンギャルドスケルトン」は、その名のとおり、モダン顔スケルトンの急先鋒とも言える注目作です。モータースポーツを意識したデザインたるや、既存のスケルトンでは「ありえない!」もので、そのコンセプトはまさに「アヴァンギャルド」と言えるのです。

オリエントスター「スポーツコレクション」のフラッグシップモデルとして、2020年9月10日にリリースされた「アヴァンギャルドスケルトン(AVANT-GARDE SKELETON)」。写真は、ブラック文字盤と、ブラックメッキのベゼル&ケース、パンチングレザー製バンドを採用する「RK-AV0A03B」。メーカー希望小売価格は、132,000円(税込)

オリエントスター「スポーツコレクション」のフラッグシップモデルとして、2020年9月10日にリリースされた「アヴァンギャルドスケルトン(AVANT-GARDE SKELETON)」。写真は、ブラック文字盤と、ブラックメッキのベゼル&ケース、パンチングレザー製バンドを採用する「RK-AV0A03B」。メーカー希望小売価格は、132,000円(税込)

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自社一貫生産の優位性がスケルトンの進化を生んだ!

オリエントスターの歴史は、1950年、東京都南多摩郡日野町(現・日野市)で多摩計器が設立され、その翌年の1951年にオリエント時計へと社名が変更されるとともに、「デザイン、パーツ、製造のすべてにおいて『輝ける星』と呼ばれる時計を作る」との決意から命名された初代モデル「オリエントスター」をリリース。以後、この製品名がブランド名になりました。

同社について特筆すべきなのは、クォーツが時計産業を席捲した1970〜1980年代においても、機械式時計の生産を堅持した点でしょう。一時期は、クォーツに必須である電池の入手が難しい状況にあったアジア地域などをメイン市場に、機械式製品を生産・輸出していたそうです。

そして2017年、オリエント時計は20数年間にわたって協力関係にあったセイコーエプソンと統合されるも、ブランドとしてのオリエントスターは存続。今なお、秋田県湯沢市にある工場にて、一貫生産体制によるメイド・イン・ジャパンの機械式時計を生産し続けています。

ところで、近年のオリエントスターに対し、「スケルトンウォッチのブランド」という印象を持つ人は少なくないと思います。確かに、今世紀に入ってからのコレクションを振り返ると、裏スケルトンやオープンワークなどのモデルが目立つようになり、ついにはムーブメントに微細な彫金が施されたクラシカルなスケルトンも登場。しかも、それらが比較的リーズナブルな価格とあって「スケルトン=超高級」との既成概念を打破し、スケルトンウォッチをより身近なものにしてくれました。

こうしたスケルトンモデルを大胆にコレクションの中核に添え、それらを“ブランドの顔”にし、かつ手ごろな価格で提供できるのは、時計の組み立てはもちろんのこと、ムーブメントにおいてもネジ1本から自社で調達できるという圧倒的優位性があるからです。ブランド誕生以来、たゆまず機械式時計の生産に努めてきたことが、今日、このブランドの強みとなり、ほかに類することのない個性の創造へと導いたのでしょう。

スケルトンの概念を覆した革新的意匠の問題作

モータースポーツのエッセンスをスケルトンデザインで表現

モータースポーツのエッセンスをスケルトンデザインで表現

今や、スケルトンウォッチの代表的ブランドとなったオリエントスターですが、伝統的なスケルトンに甘んじることなく、既存にはないデザインや機構にも積極的にチャレンジし、時計の世界に革新をもたらしています。そして、その象徴的存在のひとつが、ここに紹介する「アヴァンギャルドスケルトン」なのです。

元来、スケルトンとは無縁であったスポーツウォッチの世界で堂々デビューを果たしたこのモデルは、伝統的なスケルトンと一線を画した、力強く、精悍(せいかん)で、ダイナミックなデザインによって異彩を放っています。しかも、文字盤などの各所にクルマやバイクをイメージさせるデザインを取り込んでいて、このことから、本モデルがモータースポーツをテーマにした時計であることが理解できます。

「アヴァンギャルドスケルトン」には現在、全5型が存在し、その内訳はレザーバンドタイプ3型とメタルバンドタイプ2型。ここでは、ブラック×レッドのカラーリングによりレーシングテイストを最も濃厚に感じさせる「RK-AV0A03B」をメインに取り上げました。

では、以下、同モデルの“見どころ”を検証していきましょう。

意匠がクルマのパーツを彷彿とさせる斬新な文字盤

意匠がクルマのパーツを彷彿とさせる斬新な文字盤

意匠がクルマのパーツを彷彿とさせる斬新な文字盤

「アヴァンギャルドスケルトン」の文字盤は、フルスケルトンとセミスケルトンの中間的な構造。文字盤内に2枚のオープンワークを重ねたうえで、それらのすき間からムーブメントの一部が垣間見えるデザインに仕上がっています。しかも、その上層と下層で異なるカラーリングを採用して立体感と奥行き感を強調し、さらに、そこにクルマやバイクなどのメカをイメージさせるデザインを取り入れている点が斬新でユニークです。

まず、このうちの上層において文字盤全体をめぐるように設けられたパーツが、ギア(歯車)の形状にデザインされているのがわかります。また、ブランドマーク&ロゴ、および「AUTOMATIC」の文字がプリントされた上層部3時位置のパーツは、クルマのフロントグリルを彷彿(ほうふつ)とさせ、6時位置のスモールセコンドはブレーキローターやホイールのようなデザイン。9時位置に時計の心臓部であるテンプがうかがえますが、それを支持するパーツはまるでドライブハンドルのようです(12時位置のミニダイヤルについては後述します)。

ところで、伝統的なスケルトンの場合、ムーブメントの複雑な構造により、必然的に視認性が犠牲になってきました。もっとも、一般的な時計以上に宝飾品としての性格が強いものですから、それはそれでいいわけですが、いっぽう、「アヴァンギャルドスケルトン」は実用時計としての面を訴求しています。ドライビング中でも瞬時に時刻が読み取れなくてはなりませんから。ということで、この点でも文字盤に巧みな配慮がなされているのです。

先述したクルマなどのメカをモチーフにした各パーツは、実はムーブメントの複雑な姿を適度に隠す役割も担っています。そのうえで、針やインデックスに太く無骨なものを採用し、そこに明瞭なトリミングを付けています。そして、こうした工夫に絶妙な配色が相まって、スケルトンでありながら高い視認性を実現しているわけです。

ちなみに、「RK-AV0A03B」では、文字盤はブラック×レッドの配色ですが、筋目仕上げによってツヤが抑えられたブラックメッキのベゼル(これもメカをイメージさせるデザイン!)とケースの間に鮮烈なレッドカラーのアルミパーツを挟み込むことで、文字盤とマッチングさせています。

速度メーターをイメージしてデザインされたパワーリザーブ

速度メーターをイメージしてデザインされたパワーリザーブ

12時位置のミニダイヤルは、ゼンマイの巻き上げ残量を表示するパワーリザーブインジケーターです。レトログラード(針が回転せず、扇状の動作によって表示する機構のこと)式で、しかもまるでクルマなどの速度メーターを思わせるデザインなのが小粋です。

なお、搭載されているキャリバー「F6F44」では、そのパワーリザーブにおいて50時間以上、すなわち2日以上のロングリザーブが実現されています。

通常蓄光仕様により、暗い場所でも時刻の視認は楽勝です

通常蓄光仕様により、暗い場所でも時刻の視認は楽勝です

針、並びにインデックスのトリム部分には、暗所でも鮮やかに光る蓄光性の塗料を採用。ちなみに、この「RK-AV0A03B」を含むレザーバンド付き3型では通常蓄光が採用されていますが、メタルバンド付き2型では明度がさらに高く、発光時間が長く持続する蓄光塗料「ルミナスライト」が導入されています。

ローターの軽快な動作が鑑賞できるシースルーバック

ローターの軽快な動作が鑑賞できるシースルーバック

ローターの軽快な動作が鑑賞できるシースルーバック

文字盤側のみならず、ケースバックもスケルトンなので、小刻みに動くテンプはもちろん、クルクルと軽やかに回転するローターの動作も目の当たりにできます。しかも両面スケルトンでありながら、10気圧の防水性能が確保されているのも頼もしい点でしょう。

ちなみに、ガラスを取り囲んでいる裏ブタには、実は外周に向かってゆるやかに傾斜が付けられています。そのため、腕に快適にフィットし、ケース径43.2mmとやや大ぶりでありながらも、手首などの動きを干渉しないのです。

ドライビンググローブを思わせるパンチングレザーバンド

バンドは、時計本体と同じ黒×赤のコンビカラーで、スポーティーさを主張

バンドは、時計本体と同じ黒×赤のコンビカラーで、スポーティーさを主張

「RK-AV0A03B」に採用されているバンドは、ドライビンググローブやクルマのシートなどを想起させるブラックのパンチングレザー製。しかも閂止め(かんぬきどめ)の縫製糸、および切り目のコバ仕上げをビビッドなレッドカラーにしたことで、時計本体とのマッチングカラーとなり、それが“ドライブ気分”をさらに高めています。使用されているレザーはほどよくしなやかで、使い始めから腕に快適にフィットします。

カラー違いタイプも魅力的で、つい目移りします!

先述したとおり、「アヴァンギャルドスケルトン」は全5色で展開中。ほかのカラーバリエーションも、ブラック×レッドとは大きく異なる雰囲気があって、どれもがなかなかに個性的です。

ということで、以下では、それら4色を紹介。使うシーンや合わせたいスタイルなどから、お好みの色をどうぞ!

シルバー×ブラックメッキのハイコントラストなコンビネーションが、手元にアクティブで若々しい印象をもたらすブレスレットモデル「RK-AV0A01B」。公式サイト価格は、121,000円(税込)

シルバー×ブラックメッキのハイコントラストなコンビネーションが、手元にアクティブで若々しい印象をもたらすブレスレットモデル「RK-AV0A01B」。メーカー希望小売価格は、121,000円(税込)

全5色のうちで最もドレッシーな印象の、オールシルバーのブレスレットモデル「RK-AV0A02S」。ガラス越しにうかがえるムーブメントの視認性も高いです。公式サイト価格は、115,500円(税込)

全5色のうちで最もドレッシーな印象の、オールシルバーのブレスレットモデル「RK-AV0A02S」。ガラス越しにうかがえるムーブメントの視認性も高いです。メーカー希望小売価格は、115,500円(税込)

「RK-AV0A04B」は、ストーングレー文字盤やブラックメッキベゼル、ブロンズ色メッキケースなどが相まってヴィンテージライクなたたずまいに。レザーバンドを採用。メーカー希望小売価格は、132,000円(税込)

「RK-AV0A04B」は、ストーングレー文字盤やブラックメッキベゼル、ブロンズ色メッキケースなどが相まってヴィンテージライクなたたずまいに。レザーバンドを採用。メーカー希望小売価格は、132,000円(税込)

全国に展開されるオリエントスター公式ショップ「プレステージショップ」限定モデル「RK-AV0A05B」。このタイプのみ、ブレーキローターをイメージし、ブラックメッキベゼルにドットの螺旋装飾が施されています。レザーバンドを採用。メーカー希望小売価格は、132,000円(税込)

全国に展開されるオリエントスター公式ショップ「プレステージショップ」限定モデル「RK-AV0A05B」。このタイプのみ、ブレーキローターをイメージし、ブラックメッキベゼルにドットの螺旋装飾が施されています。レザーバンドを採用。メーカー希望小売価格は、132,000円(税込)

【まとめ】スケルトンウォッチの入門編としてベスト!

スケルトンデザインは、これまで「古風」「宝飾性が高い」「超高級」といった認識から、一部の富裕層が愛好する時計と認識されてきたものの、今や時計デザインの新たな可能性として、さまざまなブランドがコレクションに取り入れるようになりました。この流れを先読みすれば、スケルトンウォッチはもはや“特別な時計”ではなくなりつつあり、やがては誰もがシースルーをデザインとして気軽に楽しみながら、デイリーで使用できるようになると思われます。

そんなトレンドの先駆け的存在が、このオリエントスター「アヴァンギャルドスケルトン」です。スケルトンの繊細なイメージを一掃するカジュアルでラギッドなデザインは、さまざまなスタイルの手元に違和感なくマッチするはずですし、日本の職人の手仕事がもたらす高い信頼性と堅牢性にこなれたプライスが相まって、ガシガシ使い倒せる実用時計に仕上がっているのです。

ということで、このモデルはモータースポーツに親しんでいる人たちにはもちろんのこと、そうではない人々にとってもスケルトンのエントリーモデルとして最適。トレンドに乗り遅れぬよう、まずはこのモデルから!

●写真/篠田麦也(篠田写真事務所)

【SPEC】
「アヴァンギャルドスケルトン」全型共通
●駆動方式:機械式(手巻き付き自動巻き)
●キャリバー番号:「F6F44」
●機械式駆動時間:50時間以上
●防水性能:10気圧
●ベゼル&ケース材質:ステンレススチール
●ガラス:表/サファイアクリスタル(ARコーティング)、裏/無機ガラス
●ケース径:43.2mm
●ケース厚:13.7mm
●表示機能:時・分、スモールセコンド、パワーリザーブ
●バンド材質:レザー(「RK-AV0A03B」「RK-AV0A04B」「RK-AV0A05B」)、ステンレススチール(「RK-AV0A01B」「RK-AV0A02S」)
●製造国:日本

山田純貴

山田純貴

東京生まれ。幼少期からの雑誌好きが高じ、雑誌編集者としてキャリアをスタート。以後は編集&ライターとしてウェブや月刊誌にて、主に時計、靴、鞄、革小物などのオトコがコダワリを持てるアイテムに関する情報発信に勤しむ。

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