選び方・特集
まずはやる気を引き出してくれる1台を見つけよう

プロが解説する“初めてのギターアンプ”の選び方! 3つのシーン別にモデル例も紹介

こんにちは。ギタリストの高村です。今回は、エレキギターを始めるときに必ず必要になる「ギターアンプ」の選び方について、解説していこうと思います。

最初に頭に入れておいてもらいたいのは、エレキギターにおけるアンプの立ち位置。ギターアンプとは決して楽器周辺機器ではなく、「楽器(ギター)のうち」だということです。どんなにギター本体にこだわったところで、チープなアンプで出力すれば、決して満足のいくサウンドは得られないからです。

もちろん、ギターとセットで販売されるような初心者用アンプで始めるのも悪くありませんが(実際、私がそうでした)、いろいろな選択肢を知ることで「自分にとって最適なアンプとは何なのか?」を考えておいて損はないでしょう。また、すでに1台目をお持ちの方にとっても、これからのお話はステップアップの2台目を考える際の指針になるのではないかと思います。

はじめに。アンプ選びは使用用途から考えよう

まず考えておきたいのは、これからの音楽活動に合わせた「用途」です。簡単に言えば、練習だけで使うアンプなのか、スタジオやライブにも持ち込みたいのか、自宅レコーディングまで視野に入れるのか……つまり、何に使いたいのかということ。ここを考えずに適当に買ってしまうと、あとあと買い直さなければならなくなってしまいます。

たとえば、自宅で大きな音を鳴らすことができないのに、誰かにすすめられるがまま大型真空管アンプなんて買ってしまったら目も当てられません……。逆に、ライブで使いたいと思っているのに、練習にしか使えない小型アンプを買ってしまっても意味がありません。

実際、自宅練習用に大きなアンプを買っちゃう人って結構いるんですよ(汗)。楽器店での試奏時は「これくらいの音量なら大丈夫だろう」と思っても、いざ自宅で鳴らしてみると「うるさっ!」と感じるものです。店頭は基本的にガヤガヤしていてうるさい場所なので、その状況でしっかりと音が確認できたということは、実は結構な音量が出ているということなのです(苦笑)。

ちなみに、真空管アンプの場合、ある程度の音量を出さなければいい音になりませんから、自宅ではなかなかそのポテンシャルを引き出せません。長くギターを弾いている人の中には「真空管アンプじゃなきゃダメだ!」という考え方をお持ちの方も多くいらっしゃいますが、どんなにいいアンプであっても、練習用に買うからには、練習でしっかり使えなければ意味がありません……。

そう考えると、真価を発揮できない真空管アンプを買うよりも、真空管ではなくとも小音量でいい音の得られる小型アンプを購入したほうが幸せになれるというものです。このほうが、本領を発揮できない真空管アンプを使い続けるよりも、よっぽど練習が楽しくなるはず。固定観念にまどわされずに、自分らしい1台を選択する勇気を持ちましょう!

あなたはどのタイプ?

それではさっそく、用途別に必要なアンプの種類と概要を紹介していこうと思います。初心者の方にはイメージしづらい部分があると思いますが、「将来こんなふうにギターを楽しんでいきたい!」みたいな想像を膨らませながら読み進めていただければ幸いです。今回は、以下の3パターンに絞ってみました。

1.自宅専用
2.スタジオ/ステージ共用
3.アンプシミュレーター型

では、ひとつずつ順番に解説していきましょう。

▼1.自宅専用

このパターンは、自宅練習時はオールインワンの小型アンプで済ませるパターンです。もちろん、いくつかのコンパクトペダルを接続することもあるかもしれませんが、基本的にはアンプ1台で完結させる考え方です。このパターンのメリットは非常に多く、ギターと小型のアンプだけという最低限のシステムはコンパクトで場所をとりませんし、価格もかなり抑えられます。また、小音量でもいい音が得られるように設計されているので、気持ちよく練習を進めることができるなど、いいことだらけです。

ひと昔前だと、アンプ1台でサウンドメイクのすべてをまかなうことは困難でしたが、昨今の練習用アンプの進化は目覚ましく、よほど特殊な音作りを望まない限り、1台で理想的な音を作ることができます。

実際、私が運営しているギター教室で備品として置いているVOXの「Valvetronix VT20X」というアンプも、1台で大体どのジャンルにも対応でき、とても重宝しています。VT20Xは発売から少し時間が経っていますが、いろいろなタイプのアンプがモデリングされており(アンプを着せ替えるようなイメージです)、エフェクターも複数同時がけ(3つまで)できますので、サウンドメイクで困ることは滅多にありません。

真ん中に設置されているのがVT20Xです

真ん中に設置されているのがVT20Xです

なお、2021年現在、ワイヤレスシステムまで搭載しているような製品や、練習を促進してくれるような機能を搭載した製品も存在します。このように、各社いちばん力を入れているのが「練習用小型アンプ」のような気がします。

たとえばNUX「Mighty Air」はワイヤレス接続可能な製品です。ギターとこのアンプさえあれば、すぐに練習が始められます! もちろん、アンプのタイプも変えられますし、アコースティックシミュレーターを搭載するなど、エフェクトも充実。本当にすごい時代になったものだと感心させられるモデルです。

専用アプリ「NUX MIGHTY Amp APP」を使用することで、スマホから簡単にサウンド調整などの操作も行えるMighty Air

専用アプリ「NUX MIGHTY Amp APP」を使用することで、スマホから簡単にサウンド調整などの操作も行えるMighty Air

また、1台完結型のコンパクトでハイエンドな自宅用ギターアンプブームを作り出したのが、ヤマハ「THRシリーズ」だと思います。スタイリッシュなルックスで、置いておくだけで絵になり、テンションが上がりそうですね! こちらも1台あればあらゆるシーンに対応できます。

コンパクトなので自宅に置きやすく、持ち運びも楽チンなTHRシリーズ

コンパクトなので自宅に置きやすく、持ち運びも楽チンなTHRシリーズ

そして、以前に価格.comマガジンでご紹介させていただいたPositive Gridの「Spark」も本当にすばらしい仕上がりのアンプです。よくTHRシリーズと比較されるのですが、Sparkは「練習」に特化している部分が大きく異なります。実際私も使ってみましたが、サウンドのすばらしさもさることながら、本当に楽しく練習することができました!

「最強の練習用ギターアンプ」と言っても過言ではない機能性を備えた「Positive Grid Spark」

「最強の練習用ギターアンプ」と言っても過言ではない機能性を備えた「Positive Grid Spark」

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最後に、この「自宅専用アンプ」のデメリットをお伝えしましょう。それは「せっかく作り上げたお気に入りのサウンドをスタジオ練習やライブに持ち込めない」のひと言に尽きます……。そう、あくまでも練習用なので、自宅用と考えれば十分に迫力のあるサウンドが得られるものの、スタジオやステージで使うには音量も音圧も足りません。

ただ、スタジオやステージでは、常設のアンプを使えばいいわけですから、この点はあまり問題にならないかもしれません(笑)。この場合、別途エフェクター類を用意する必要がある場合もありますので、注意しておきましょう。

▼2.スタジオ/ステージ共用

続いてはこちら。このパターンを選択できる人は限られています。そう、自宅にそれなりの音量を鳴らす環境がある、選ばれし者にだけ許された選択肢です(笑)。

メリットは、家で作ったサウンドをそのままスタジオ、ステージに持ち込めるということです。つまり、いつでもどこでも作り込んだ本格的なサウンドを得ることができるのです。音量の問題をクリアしているのであれば、自宅でも真空管アンプのポテンシャルを十分発揮させられます。本当にうらやましいっ!

そんな条件を満たしているあなたは、好きなアーティストと同じ大型アンプを選択するもよし、憧れのMarshallやFender、Mesa/Boogieなどを導入するもよし、好きにやっちゃいましょう(笑)。

ただ、このパターンにもデメリットがあります。それは、大型アンプは「場所をとる」ということと「重い」ということです。また、これ1台でサウンドメイキングが完結しないため、別途エフェクター類をそろえなければならずシステムが大がかりになりますし、それに付随して機材の勉強が必要になるという点にも注意が必要です。もちろん、ここは逆にロマンを感じる部分でもありますので、こういう部分を楽しめる人にとっては、逆にメリットとも言えます(笑)。

ちなみに、スタジオ、ステージともに、定番のローランド「Jazz Chorus JC-120」を使う人も多いと思います。どこに行っても置いてあるし、使用環境や使われ方によってはへたってしまっている真空管とは異なり、ソリッドステートであるJC-120は比較的音質が安定しているため、安心して使えますよね! そのため、このJC-120を中心にシステムを組む人も多いと思います。

私のギター教室に設置しているJC-120です。20年以上使っていますが、とても頑丈でいまだに故障ひとつありません!

私のギター教室に設置しているJC-120です。20年以上使っていますが、とても頑丈でいまだに故障ひとつありません!

ただ、このJCというアンプ、クリーンのサウンドは絶品なのですが、アンプ単体で望みどおりの歪みを作ることが困難です。また、最新のアンプとは異なり、搭載エフェクトの数も最小限です。こういったことからも、あくまでも外部機材で味付けする前提のアンプだと言えるのです。これだけ書くと、とてもネガティブなイメージを持たれるかもしれませんが、日本中どのスタジオ、ライブハウスに行っても必ず置いてあるので、一度JC用にシステムを組んでしまえば、日本中どこに行っても「いつものあの音」を鳴らすことができます! これはとっても大きな魅力です。

そこで、今回オススメしたいのが、自宅用アンプにJCを導入するという方法です。家にJCがあれば、本番用のセッティングや音作りをすることが可能になります。こう書くと、「120Wもあるアンプを自宅で鳴らすなんてムリ!」と言われそうですね(苦笑)。確かに、いくら真空管より体感音量が低いソリッドステートアンプとはいえ、大型アンプであることには変わりありません。なかなか自宅運用は難しそうです……。実際、デカイし重いし、個人宅に置くのは現実的ではありません。

しかし、そこはご安心ください! JCシリーズには、サイズや出力の異なるいくつかのバリエーションが存在するのです! その中でも一番小型な「Jazz Chorus JC-22」は、自宅に置いても圧迫感のないサイズ感ですし、小音量でも十分楽しめます。背面に設置された端子類もJC-120を踏襲しており、音作り対策も万全。JC-22を使ってしっかり音作りをしておけば、スタジオやステージでもすぐに同等の音を鳴らすことができるでしょう!

出力30Wの小型サイズで、シリーズ特有のクリーンサウンドを再現するJC-22

出力30Wの小型サイズで、シリーズ特有のクリーンサウンドを再現するJC-22

▼3.アンプシミュレーター型

最後にご紹介するのがこちら。このタイプはある意味、上記2パターンの間と言えるかもしれません。昨今、アンプシミュレーターとエフェクターが一体になった製品が多いのですが、そういった製品にスピーカーやヘッドホンを組み合わせて使うパターンです。

前述の「自宅専用アンプ」は、このアンプシミュレーターとエフェクターとスピーカーが一体になったようなものです。このスピーカー部分がないのが、単体のアンプシミュレーターだと思っておいてください。アンプシミュレーターのいいところは、自宅専用アンプと同じで、小音量でもいい音を得られることなので、自宅練習にとても向いています。

また、スタジオやステージに持ち込んで、PAやパワーアンプに接続することで(パワーアンプ搭載モデルはキャビネットに直接接続可能)、作り込んだ音を大音量で楽しむこともできます。実際、昨今では多くのプロギタリストがKemperやFractal Audioのアンプシミュレーターを愛用していることからも、実用に足りうるサウンドクオリティを実現していることがうかがえます。ちなみに、練習用アンプは1台で完結しているため、アンプシミュレーターのようにスタジオやステージで使うことができないものがほとんどです。

なお、私もPositive Gridの「BIAS Mini Guitar」というアンプシミュレーターを愛用していますが、BIAS Mini Guitarにはパワーアンプが搭載されているので、キャビネットに直接接続できて便利です。アンプの使い勝手と最先端のテクノロジーが融合しており、完全に手放せない存在になっています。

BIAS Mini Guitarはとてもサイズがコンパクトなので、ほかの機材と重ねて置いておけます

BIAS Mini Guitarはとてもサイズがコンパクトなので、ほかの機材と重ねて置いておけます

デメリットとしては、家用小型アンプと比べて少し値が張るということと、アンプのように使うなら別途スピーカーを用意しなければならないことがあげられます。ただ、ひとつのシステムで練習からライブまでをシームレスに完結できることを考えれば、逆にコスパがいいと言えるかもしれません。

そのほかでは、アンプシミュレーターを「使える」イメージに押し上げたのがKemperの製品です。実在のアンプサウンドをプロファイリングするという画期的なアイデアで一躍有名になりました。その後、プロファイリング機能を搭載したアンプが他社からも続々と発表されましたが、元祖のKemperは今でも頭ひとつ抜きん出た印象です。

Kemper製品はプロ使用率もかなり高く、プロの現場でも使えるクオリティだということがわかります。

Kemper製品はプロ使用率もかなり高く、プロの現場でも使えるクオリティだということがわかります。

また、Line 6の製品もかなり人気があります。予算や用途に合わせてさまざまなタイプが用意されており、ハイエンドな「Helix」に始まり、コンパクトな「HX Stomp」、価格を抑えた「POD GOなど」、バリエーションが豊富です。

こちらは、価格.comのエフェクターカテゴリーでも長年売れ筋となっているHelix Floor

こちらは、価格.comのエフェクターカテゴリーでも長年売れ筋となっているHelix Floor

そのほか、ハイエンドなFractal Audioや、アンプに特化したPositive Grid、1万円台で購入できるような安価帯のモデルまで、この分野の製品は現在各メーカーが力を入れているところなので、あなたにピッタリの1台にきっとめぐり会えることでしょう!

まとめ:まずは練習用アンプから始めてみよう

このようにギターを使う用途によって、選ぶアンプは変わります。絶対の正解というのはありませんし、活動によってどんどん変わっていくものとも言えます。

ただ、今あなたがギターを始めたばかりで、今後の演奏活動がどうなっていくのかイメージすらできないようであれば、まずは小型の練習用アンプから導入してみるといいでしょう。この場合、「上達すること」が目下の目標だと思いますので、いかに「いい音」で気持ちよく練習できるかが鍵になるからです。練習用アンプは比較的シンプルにできていますので、短時間で気持ちいい音を作ることができるのも、初期段階でのモチベーション維持に貢献することでしょう!

特に初期の段階で大事なのは、そのギターアンプが「いかにやる気を引き出してくれるか?」ということです。この観点でいきますと、最新の練習用アンプの多くは、その要素を満たしてくれていて安心です。ですので、はじめの1台をどうしようか悩まれている方は、だまされたと思って最新の練習用アンプを使ってみてください。ギターライフが楽しくなること請け合いですよ!

ということで、ぜひ本記事を参考に、今後の活動に夢をふくらませながらアンプ選びを楽しんでくださいね! それでは最後までお読みくださり、ありがとうございました!

高村尚平

高村尚平

藤沢市のギター教室「ギターの処方箋TAKAMURA」を運営するギタリスト兼講師。ギターと機材が三度の飯より好き。過去には機材メーカーに在籍し、全国で実演セミナーを開催していたほど。

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