毎年恒例となった10月のタバコ税の増税。加熱式タバコも例外ではなく、各加熱式タバコの専用タバコスティックの価格は、基本的に値上がりした。
ここでは、値上げ幅とともに、それぞれのコストパフォーマンスについて考察してみた。現行の加熱式タバコデバイスのタバコスティックを、ブランドごとに紹介していく。
レギュラータイプ4種、メンソールタイプ3種、フレーバーメンソールタイプ4種の全11種類で展開される
【シリーズの特徴】
最新の加熱式タバコデバイス「アイコス イルマ」と「アイコス イルマ プライム」専用のタバコスティック。「アイコス」の従来モデルとの互換性を廃して誕生した、フラッグシップモデル専用の高級タバコスティックで、重厚なデバイスデザインとともに、葉巻的な“とっておき感”がある。
【値上げ幅】
30円UP(改定前550円→改定後580円)
【コスパ】
スティック1本当たりの価格は、29円。喫煙時間は、1本当たり約6分間なので、1分間で換算すると価格は約4.8円。1本当たりの最大パフ数14回で掲載すると、1パフ当たり約2円となる。
喫味は、どのスティックも強め。後述の従来モデル「アイコス 3 デュオ」用の「マールボロ ヒートスティック」と同等の味や吸い応えを実現しているが、雑味がない分、「マールボロ ヒートスティック」よりも軽めに感じると言う人もいる。1箱(20本入り)が600円に迫る高価格だが、喫煙時間が現行デバイスの中では最長なので、コスパはそれほど悪くないと考えてもよいだろう。
【各味のレビューはこちら!】
全11種類レビュー! 「アイコス イルマ」専用「TEREA(テリア) スティック」吸い比べ
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レギュラータイプ4種、メンソールタイプ3種、フレーバーメンソールタイプ5種の全12種で展開
【シリーズの特徴】
「アイコス 3 デュオ」と「アイコス 3 マルチ」の専用タバコスティック。加熱式タバコを世に広めたシリーズで、ほかの加熱式タバコデバイスに切り替えても、結局ここに戻ってくるユーザーも多いという。
【値上げ幅】
30円UP(改定前550円→改定後580円)
【コスパ】
基本的には先述の「テリア」と同等だが、掃除などのメンテナンスが必要で、別途で掃除用綿棒「アイコス クリーニングスティック」を購入すると、多少高くつく。味わいに雑味がある分、タバコらしい吸い応えが強めと感じるユーザーは少なくない。
1箱吸うごとに、「アイコス クリーニングスティック」(30本入り480円)を1本使って掃除した場合
【各味のレビューはこちら!】
全種解説! アイコス「マールボロ ヒートスティック」は現在12種類
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レギュラータイプ4種、メンソールタイプ4種、フレーバーメンソールタイプ3種の全11種類で展開
【シリーズの特徴】
「アイコス 3 デュオ」と「アイコス 3 マルチ」で使用できる、「アイコス ヒートスティック」の廉価シリーズという位置付けの専用タバコスティック。加熱式タバコのためにブレンドされたタバコ葉の絶妙なバランスが特徴で、「マールボロ ヒートスティック」よりも、味わいはマイルドだ。
【値上げ幅】
30円UP(改定前500円→改定後530円)
【コスパ】
「アイコス クリーニングスティック」を考慮した価格は、1箱546円で、1本当たり27.3円。喫煙時間は約6分間なので、1分当たり4.55円。パフ数制限14回で考えれば、1パフ1.95円となる。
キック感は、「テリア」や「マールボロ ヒートスティック」よりもマイルドだが、満足感はそれほど引けを取らないのでコスパはよい。ただ、1度「アイコス イルマ」に切り替えた人は、掃除の面倒くささを考えると、コスパがよいからと「ヒーツ」に戻ることはあまり考えにくい。
1箱吸うごとに、「アイコス クリーニングスティック」(30本入り480円)を1本使って掃除した場合
【各味のレビューはこちら!】
“50円安い”「アイコス」専用スティック「HEETS(ヒーツ)」全11フレーバーを一気吸い
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レギュラータイプ1種、メンソールタイプ2種、フレーバーメンソールタイプ1種の全4種で展開
【シリーズの特徴】
別売の「リキッド カートリッジ」とともに味わう、中温加熱式タバコデバイスの「リル ハイブリッド」で使用。スティックが密閉されており、タバコ葉がこぼれないので、「テリア」と同じく掃除が不要なのも魅力だ。
【値上げ幅】
10円UP(改定前500円→改定後510円)
※別途「リキッド カートリッジ」(改定前60円→改定後80円)が必要
【コスパ】
20本入りの1箱が510円と、ほどよい価格設定のようだが、1箱につきひとつ必要な「リキッド カートリッジ」分の80円を追加すると、590円と加熱式スティックの中では高くつくことに。スティック1本当たりの価格は、29.5円。喫煙時間は、最長約4分20秒なので、1分当たりの価格は6.86円。パフ数制限14回で換算すると、1パフ2.1円だが、吸い応えがかなりマイルドで満足感を得にくく、掃除が不要だという点を除いても、コスパはよいとは言えない。
【各味のレビューはこちら!】
タバコ葉×リキッド×中高温の加熱式タバコ「lil HYBRID(リル ハイブリッド)」を体験!
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「ネオ」は、レギュラータイプ2種とメンソールタイプ2種、フレーバーメンソールタイプ5種。そこに、「クール・エックス・ネオ」2種が加わった全11種類で展開
【シリーズの特徴】
「グロー・ハイパー」と「グロー・ハイパー・プラス」で使用できるフラッグシップブランド。最高の喫味を目指しており、デバイスの実力を引き出すのに適した専用タバコスティックだ。フレーバーメンソールタイプの選択肢が多いうえ、「グロー」ならではの「カプセルメンソール」を楽しめるのも魅力だ。
【値上げ幅】
「ネオ」:40円UP(改定前500円→改定後540円)
「クール・エックス・ネオ」:40円UP(改定前480円→改定後520円)
【コスパ】
「ネオ」は、1本当たり27円。喫煙時間は、約4分間(「ブーストモード」では3分間)と比較的短めなので、1分当たりは6.8円と少し高め。パフ数制限はないが、時間が短い分、「アイコス」並みに14パフ吸うのは難しいだろう。筆者が使用する時の平均的な回数11パフで計算すると、1パフ2.45円。1箱540円という安さに惹かれるかもしれないが、実は1パフ当たりの価格は高めだ。
喫味をアップする「ブーストモード」にすると、吸い応えは強まるが、1分当たり9円までコストが上がる。さらに、パフ数も通常モードより減ることは間違いない。吸い応えはよいのだが、1本の満足度はどうしても低くなってしまう。
いっぽう、紙巻きメンソールタバコでは人気を誇る「クール」ブランドの「クール・エックス・ネオ」は、1本当たり26円と多少コスパはよくなる。「クール」ブランド好きには魅力的な選択肢だ。
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脱・細スティックの「グロー・ハイパー(glo hyper)」はシリーズ史上最強喫味デバイスだ
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人気メンソール銘柄「KOOL」が加熱式タバコ「グロー」についに登場! 吸ってみた
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レギュラータイプ2種、メンソールタイプ2種、フレーバーメンソールタイプ1種の全5種で展開
【シリーズ特徴】
「グロー・ハイパー」と「グロー・ハイパー・プラス」で使用できる廉価版ライン。紙巻きタバコでも人気の高い「ケント」ブランドを冠している。
【値上げ幅】
20円UP(改定前480円→改定後500円)
【コスパ】
改定後もワンコインで手に入るシリーズ。1本当たりの価格は25円。喫煙時間は、約4分間(ブーストモードだと3分間)と短めなので、1分当たりの価格は6.25円(ブーストモードだと8.3円)と少々高くなる。パフ数制限は指定されていないが、時間が短い分、「アイコス」並みに14パフ吸うのは難しく、11パフで計算すると1パフ2.27円となる。吸い応えはそれなりだが、ケント独特の味わいが好きな人には魅力的なシリーズ。フィルター中央をくぼませた工夫で、キックも強い。
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レギュラーはかなり紙巻き感!「グロー・ハイパー」専用スティックに「ケント」登場
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限界まで濃いケント味!「ケント・ネオスティック」に“濃い”レギュラーとメンソール登場
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左が「ラッキー・ストライク・ダーク・タバコ・12 本」で、右が「ラッキー・ストライク・リッチ・タバコ・12 本」。12本入り290円(税込)という戦略的な価格設定だ
【シリーズ特徴】
「グロー・ハイパー」と「グロー・ハイパー・プラス」で使用可能な、レギュラータイプ2種のみの展開。「マールボロ」と比肩するアメリカンタバコの代表的ブランドがついに加熱式タバコで味わえる。
【値上げ幅】
2021年11月8日発売
12本入りで290円
【コスパ】
12本入りというお試しサイズでの展開だが、1本当たりに換算すると24円と、「ケント」並みに安い。喫煙時間は、ほかと同じく約4分間(ブーストでは3分間)なので、1分当たり6円(ブーストでは8円)。パフ数制限11回で考えれば、1パフ2.2円となる。
レギュラータイプ2種、メンソールタイプ2種、フレーバーメンソールタイプ2種の全6種類で展開
【シリーズ特徴】
「グロー・プロ」と「グロー・プロ・スリム」で使用できる細いタイプの専用タバコスティック。限界まで喫味を高めている。
【値上げ幅】
40円UP(改定前520円→改定後560円)
【コスパ】
1本当たりの価格は28円。喫煙時間は約4分間(ブーストでは3分間)なので、1分当たり7円(ブーストでは9.3円)。パフ数制限11回で考えれば、1パフ2.5円となる。喫味は強いのだが、気流が細いので、満足度は高くなりにくい。どうしても旧世代感が漂い、割高に感じてしまう。
【各味のレビューはこちら!】
味のビジョンが見える! 完成度が高い「グロー」専用ネオスティックTOP6
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レギュラータイプ2種、メンソールタイプ4種、フレーバーメンソールタイプ2種の全8種で展開
【シリーズ特徴】
「グロー・プロ」と「グロー・プロ・スリム」で使用できる「ケント」ブランドのスリムタイプ。
【値上げ幅】
20円UP(改定前480円→改定後500円)
【コスパ】
1本当たり25円。喫煙時間は約4分間(ブーストでは3分間)なので、1分当たり6.25円(ブーストでは8.3円)。パフ数制限11回で考えれば、1パフ2.3円となる。メンソールタイプを味わうための細身タバコとしての完成度は高いが、コスパとしてはよろしくないようだ。
【各味のレビューはこちら!】
味のビジョンが見える! 完成度が高い「グロー」専用ネオスティックTOP6
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レギュラータイプ2種と、メンソールタイプ2種の全4種で展開
【シリーズ特徴】
新型デバイス「プルーム・エックス」で使用可能な、日本タバコのスタンダードブランド「メビウス」(旧「マイルドセブン」)のタバコスティック。保守的だが、完成度の高い味わいが特徴だ。
【値上げ幅】
30円UP(改定前540円→改定後570円)
【コスパ】
1本当たり28.5円。喫煙時間は、約5分間なので、1分当たりは5.7円。パフ数は無制限だが、筆者が使用する時の平均的な回数13パフで考えれば、1パフ2.2円となる。吸い応えは強めで、マイルドだがキックに重量感がある。「ラミナ」というタバコ葉の葉肉部分を使用している分、濃い目のうまみが出る傾向があり、満足度も高いが少々お高め。メンソールも100%天然のものを使用するなど、高級感のあるシリーズだ。
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新型「プルームX」用スティックの「メビウス」&「キャメル」全12種を吸い比べレビュー!
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レギュラータイプ2種、メンソールタイプ2種、フレーバーメンソールタイプ4種の全8種類で展開
【シリーズ特徴】
「プルーム・エックス」で使用可能。著名な海外タバコブランドとして知られるが、加熱式タバコでは廉価版スティックとして販売されている。
【値上げ幅】
0円(500円)
【コスパ】
2021年10月の増税で、唯一、価格が据え置きに。1本当たりの価格は25円。喫煙時間は約5分間なので、1分当たり5円。パフ数は無制限だが、13回で想定すると、1パフ1.9円となる。ワンコインで手に入るコスパのよさ、吸い応えは軽やかだが、香ばしくてウマいので、満足度もそこそこ高い。「キャメル」という人気ブランドがワンコインで吸えるというのも、お得感がある。
【各味のレビューはこちら!】
新型「プルームX」用スティックの「メビウス」&「キャメル」全12種を吸い比べレビュー!
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レギュラータイプ2種、メンソールタイプ5種、フレーバーメンソールタイプ8種の全15種類で展開
【シリーズ特徴】
JTのみが展開する低温加熱式タバコ「プルーム・テック・プラス」と「プルーム・テック・プラス・ウィズ」で使用する、喫味が強いほうの銘柄。雑味はなし。
【値上げ幅】
30円UP(改定前550円→改定後580円)
【コスパ】
高温加熱式タイプの「プルーム・エックス」と異なるのは、1箱に5カプセルが入っており、1カプセルにつき、約50パフ吸えること。1箱で250パフ吸える計算になり、時間制限はなし。1パフあたり2.3円と標準的だが、喫煙中に突然呼ばれて使用を中断した場合、高温加熱式タイプでは残りのパフ数をムダにしてしまうが、「プルーム・テック・プラス」と「プルーム・テック・プラス・ウィズ」は中断したところから再開することができるため、1パフたりともムダにしないのが優秀だ。
吸い応えは独特で、徹底的にクリアだが、油断しているとむせてしまうことがあるほどキックが強い。この特徴に納得できるのなら、かなりお得と言える。
左が「ピアニッシモ・キンモクセイ・ミント」で、右が「ピアニッシモ・ベルガモット・ミント」
【シリーズ特徴】
加熱温度40℃の低温加熱式タバコデバイス「プルーム・テック・プラス」と「プルーム・テック・プラス・ウィズ」の使用できるフレーバーメンソールタイプ2種を展開。
【値上げ幅】
2021年10月4日発売
580円(期間・数量限定)
【コスパ】
時間制限はなしで、1パフ当たり2.3円と、コスパは「メビウス」と同じ。香りを強調する「ピアニッシモ」ブランドに魅力を感じられるかどうかがポイントだ。
レギュラータイプ3種、メンソールタイプ2種、フレーバーメンソールタイプ2種の全7種で展開
【シリーズ特徴】
加熱温度30℃の低温加熱式タバコデバイス「プルーム・テック」で使用可能。ひたすら軽やかで「ベイプ」に近いが、ニコチンは入っている。
【値上げ幅】
30円UP(改定前540円→改定後570円)
【コスパ】
「プルーム・テック・プラス」と同じく、1箱に5カプセルが入っており、1カプセルにつき、約50パフ吸えるので、1パフ当たり2.28円。喫煙時間は無制限で、中断も再開も自由。喫味がとてもマイルドなので、軽いタバコとしての完成度は高いが、吸い応えがどうしても物足りなく、コスパがよいとは言いづらい。
写真左が「ピアニッシモ・アリア・メンソール」で、右が「ピアニッシモ・ピンク・クーラー」
【シリーズ特徴】
「プルーム・テック」で使用可能。メンソールタイプ1種とフレーバーメンソールタイプ1種の全2種で展開される。その名のとおり、喫味は“きわめて弱い"のが特徴。
【値上げ幅】
30円UP(改定前540円→改定後570円)
【コスパ】
1パフ当たり2.28円。喫煙時間は無制限。ふんわりとした吸い応えが特徴で、キックも弱いが香りはよい。紙巻きタバコでも人気の高い「アリア・メンソール」を吸えることが、アピールポイント。
吸い応えと6分という喫煙時間の長さを考えると、「アイコス 3 デュオ」と「アイコス 3 マルチ」用の「ヒーツ」は、相変わらず捨てがたいのだが、やはり530円では高く感じてしまう。千円札で1個しか購入できないというのは、感覚的に抵抗があるという人も多いのではないか。
その点、最新モデル「プルーム・エックス」と、価格をワンコインに据え置いた「キャメル」の組み合わせは、今いちばんコスパがよい組み合わせだと思う。「グロー・ハイパー・プラス」用の「ケント」も魅力的なのだが、喫煙時間が4分というのは、「プルーム・エックス」の5分に比べると、短いと感じざるを得ない。
「プルーム・テック・プラス」と「プルーム・テック・プラス・ウィズ」のように吸い応えを強化した低温加熱式タバコは、クセがなさ過ぎるところがクセのような部分があるので、誰にでもすすめられるものではない。しかし、パフをムダなく吸えるという点は、ほかにない魅力だ。
元「月刊歌謡曲(ゲッカヨ)」編集長。今はめおと編集ユニット「ゲッカヨ編集室」として活動。家電や雑貨など使って楽しい商品のレビューに命がけ!