ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンの「グロー・ハイパー」および「グロー・ハイパー・プラス」は、本体価格が安く、廉価版タバコスティック「ケント」がラインアップされていることから、最も気軽に紙巻きタバコから乗り換えできる加熱式タバコデバイス。「グロー・ハイパー・プラス」と同じく2021年に発売された、フィリップ モリス ジャパンの「アイコス イルマ」やJTの「プルームX」のような大胆改革は行わず、我が道を行くお手軽コスト路線が特徴だ。
ここでは、そんな「グロー・ハイパー」と「グロー・ハイパー・プラス」の専用タバコスティック現行全18種類を吸い比べてみた。
「グロー・ハイパー」と「グロー・ハイパー・プラス」専用タバコスティックの現行ラインアップ。レビューには、「グロー・ハイパー・プラス・リーフ・エディション」を使用した
★関連記事★
より刺激を求める人に!「グロー・ハイパー・プラス」は低価格で加熱温度UP
https://kakakumag.com/hobby/?id=16460
《2022年最新》加熱式タバコ全機種解説! アイコス、プルーム、グロー、リル ハイブリッドを比較
https://kakakumag.com/hobby/?id=9669
「加熱式タバコ」増税後のスティック価格まとめ! コスパ最強の組み合わせはどれ!?
https://kakakumag.com/hobby/?id=17570
「グロー・ハイパー・プラス」は、2021年1月に「グロー・ハイパー」のバージョンアップモデルとして登場。以降は、デザインバリエーションは追加されているものの、機能的な変化はない。太い専用スティックを使用するデバイスで、通常250℃の加熱温度を270℃まで高められる「ブーストモード」も楽しめる。加熱方式は、スティックを周囲から加熱する周辺加熱式だ。
吸える銘柄は、2021年11月に登場して話題を呼んだ「ラッキー・ストライク」と、喫味の強さが特徴のメインブランド「ネオ」、廉価版シリーズ「ケント」の3種類に分けられるが、「ネオ」内ブランドとして世界的なメンソールブランド「クール(・エックス・ネオ)」もラインアップしているので、実質4種類だ。
また、フィルターに仕込んだカプセルを潰すことで「味変」できるカプセルメンソール搭載スティックも用意。「グロー・ハイパー」と「グロー・ハイパー・プラス」専用スティックには5種類存在し、そのうち2種類は「ダブルカプセル」を搭載している。
ちなみに、以下のレビューにおいて、「ネオ・フローレセント・シトラス・スティック」は2021年5月より順次終売しているので、ラインアップに加えていない。
【筆者の独自評価】香り:●●●●●、コク:●●●●●、強さ:●●●●●
「マールボロ」と双璧をなす、アメリカンタバコの代表的ブランド「ラッキー・ストライク」のレギュラータイプ。「ダーク」と「リッチ」の2種類あり、パッケージが似通っているが、この「ダーク・タバコ」のほうが喫味は強い。
加熱式タバコ専用スティック初となる茶色のフィルターが気分を盛り上げ、レザージャケット的な野性感あるアロマとともに、濃厚でズシッとしたタバコ葉のうまみがやって来る。蒸気はいがらっぽい紙巻きタバコ的なニュアンスがあるが、クセの強いスモーキーさは人を選ぶだろう。
また、味を持続させるための「ジェルテクノロジー」を採用。タバコ葉を粉砕したまま成形しないことで自然な味わいを訴求しているほか、加熱式タバコと合うように、細くカットした「グリセロールシート」を混ぜ込むことで、より濃く長く味わえるようにしている。
なお、「ブーストモード」で味わうと、辛みが増してノドにビリビリと刺激が来る。うまみは増すが、いぶしたニオイがグンと強くなり、吸い殻も臭くなる。
【筆者の独自評価】香り:●●●●○、コク:●●●●○、強さ:●●●●○
「ラッキー・ストライク・ダーク・タバコ」のクセが強過ぎると感じたら、こちらの「ラッキー・ストライク・リッチ・タバコ」がおすすめ。スモーキー感が控えめで、ほどよい野性味がちょうどいい。バランスが取れている分、喫味はマイルドだがおいしい。こちらも「ジェルテクノロジー」採用で、味の持続性も高い。
いっぽう、「ブーストモード」で味わうと、前半は喫味がアップするだけなのでおいしいが、後半はバランスが崩れてしまうためか、喫煙中も吸い殻もニオイが強くなる。
★関連記事★
加熱式タバコ「グロー・ハイパー」専用「ラッキー・ストライク」を吸ってみた
https://kakakumag.com/hobby/?id=17649
【筆者の独自評価】香り:●●●●●、コク:●●●●●、強さ:●●●●●
「ネオ・タバコ・オーク・スティック」は、オーク樽特有の深みのある樹木アロマが特徴で、ウイスキーに近い印象。国産蜂蜜を加えて仕上げており、濃厚で重いタバコ味だ。とにかく、キツめが吸いたい人用だが、クセは強いので吸う人を選ぶ。
「ブーストモード」で味わうと、辛みとうまみが強くなるが、同時にニオイが凶暴に。吸い殻もとても臭い。
【筆者の独自評価】香り:●●●●○、コク:●●●●○、強さ:●●●●○
コーヒーとハニーで仕上げた濃厚系。焙煎豆のような香ばしさが、タバコ葉本来の香ばしさと合わさり、ほどよい酸味とともにウマさを演出している。
ただ、「ブーストモード」で味わうと、辛みがグンと前に出てノドの奥がビリビリ。熱がスティック全体に回った後の、ふくらみのあるうまみがおいしいのだが、「ブーストモード」なので3分で終了してしまうのが惜しい。
【筆者の独自評価】香り:●●●●○、コク:●●●○○、メンソールの強さ:●●●●●
「ジェルテクノロジー」を採用したカプセルメンソールタイプ。ノドの奥に一気に到達するクリアなメンソール感は、カプセルを潰すと苦みが加わり、さらにワイルドなメンソール感へと変化して驚かされる。
「ブーストモード」だと、メンソールとタバコ葉の辛みをミックスした味わいが強化される。そこでさらにカプセルを潰すと、ノックアウト級の刺激感が味わえる。
【筆者の独自評価】香り:●●●○○、コク:●●●●○、メンソールの強さ:●●●●●
北海道で収穫された国産ミントを使用。甘さを抑え、わずかな苦みを感じるキリッとした味わいが特徴だ。メンソールをシンプルに吸いたい時におすすめ。
「ブーストモード」で味わうと、清涼感と苦みがアップして、切れ味のよさが際立つ。
【筆者の独自評価】香り:●●●○○、コク:●●●●○、メンソールの強さ:●●●●●
北海道産ミントを使用したカプセルメンソールタイプ。辛みよりも冷感を中心とした、重めのメンソール感が楽しめる。カプセルを潰すと、味の厚みも出て、タバコ葉のうまみとマッチする。
「ブーストモード」で味わうと、ノドの奥が痛くなるほどの強烈な刺激の圧がやって来る。さらにカプセルをはじけさせた後のほうが、マイルドに感じた。
【筆者の独自評価】【筆者の独自評価】香り:●●●●●、コク:●●●○○、メンソールの強さ:●●●●○
人気のベリー系カプセルメンソール。パッケージを開けた瞬間、ブルーベリーのアロマが飛び出してくる。そこに福岡産のいちごのフレーバーも加えられているのだとか。蒸気を吸い込むと、フレッシュなフルーティーさが感じられてウマい。
「ブーストモード」で味わうと、フルーティーさが飛び気味になるが、カプセルを潰せば、ジューシーなベリー感を味わうことができた。この組み合わせは、意外とアリ。
【筆者の独自評価】香り:●●●●○、コク:●●○○○、メンソールの強さ:●●●●○
トロピカルフルーツをベースに、山梨県産の桃フレーバーを加えたカプセルメンソールタイプ。辛みのある清涼感に、ほどよいフルーティーなアロマをバランスよく組み合わせており、異国感は控えめで吸いやすい。カプセルを潰すと、桃感が一気に強まる。
「ブーストモード」で味わうと、フルーティーさが飛んでしまう。さらにカプセルを潰すと、ミントの苦みが強まり、大人のおいしさに。
【筆者の独自評価】香り:●●●●●、コク:●●●○○、メンソールの強さ:●●●●○
パインにベリー、さらに和歌山県産の梅という組み合わせが斬新なダブルカプセルメンソールタイプ。カプセルを次々と潰して楽しめる。
最初は、ほんのりベリー味。カプセルをひとつ潰すと、少しケミカルな強めのパインが加わる。もうひとつのカプセルを潰すと、梅の風味が加わり、全体がまとまっておいしくなる。
「ブーストモード」だと、パインのケミカルさは消えるのだが、複雑で人を選ぶ味わいに。
【筆者の独自評価】香り:●●●●●、コク:●●●○○、メンソールの強さ:●●●●●
シトラス(柑橘)とメロンのダブルカプセルを搭載し、徳島県の柚子で仕上げたフレーバーメンソールタイプ。最初はほんのりフルーティーな酸味を感じるメンソール。カプセルをひとつ潰すと、フレッシュなシトラス感が加わっておいしい。そして2つめのメロンのカプセルをはじけさせると、温かいメロンという難しい味になり、ちょっと後悔……。
「ブーストモード」で味わうと、メンソール感はMAXに。ただ、カプセルを潰した後の味の感想は同じだった。
【筆者の独自評価】香り:●●●●○、コク:●●●●●、メンソールの強さ:●●●●●
「ネオ」のブランドのひとつとして展開されているのが、世界的なメンソールタバコブランド「クール(KOOL)」。「ネオ」の中では、価格が安いシリーズだ。
「クール・エックス・ネオ・マックス・メンソール」は、北海道産ミントを使用したカプセルメンソールタイプで、パッケージを開けると、スティックから実に甘い香りがする。
実際に吸うと、あまり甘みは強くない、ハーバルなメンソール味。カプセルを潰すと、さらにメンソールは強力になり、同時にケミカル臭も感じてしまうが、全体的には重みとうまみのある味わいだ。
「ブーストモード」では苦みが強くなり、シャープな味わいに。ノドから鼻まで涼しくなる。タバコ葉のうまみもあり、「クール」的なおいしさを感じることができた。
【筆者の独自評価】香り:●○○○○、コク:●●●○○、メンソールの強さ:●●●●○
北海道産ミントを使用した、キリッと落ち着いたメンソール味。シンプルで飾り気のない清涼感とタバコ葉のうまみのバランスが見事で、フレッシュ感も備わっている。きちんとタバコ味のするメンソールタイプが好みな人におすすめ。
「ブーストモード」で味わうと、苦みが加わって清涼感がノドに食い込むように強くなる。
★関連記事★
人気メンソール銘柄「KOOL」が加熱式タバコ「グロー」についに登場! 吸ってみた
https://kakakumag.com/hobby/?id=17035
【筆者の独自評価】香り:●●●●●、コク:●●●○○、メンソールの強さ:●●●●●
「クール・エックス・ネオ」シリーズに追加されたカプセル付きフレーバーメンソールタイプで、メンソールには北海道産ミントを使用。トロピカルな風味で人気のサマーカクテル「モヒート」をテーマに、ベリーを加えて仕上げている。「通常モード」ではミントが強く、ライムやミント、ベリーの味は感じにくかった。しかし、カプセルをつぶすと、一気にジューシーなライム感が加わり、清涼感とともにモヒート味に。
「ブーストモード」で吸うと、冷感タイプの辛いミントの刺激がアップ。そこにライム感が加わるが、ベリーはやはり感じにくい。ところが、カプセルをつぶすと、カクテル感が一気に炸裂。メンソール、ライム、ラム酒感が一気にコントラストを上げて襲いかかる。タバコ葉のうまみを含んだ鮮烈なライムの酸味と、ミントの辛みがどこかアルコールっぽくも感じ、実にウマい。
【筆者の独自評価】香り:●●●●○、コク:●●●●○、メンソールの強さ:●●●●●
「クール・エックス・ネオ」シリーズに追加されたカプセル付きフレーバーメンソールで、人気のベリーメンソールタイプ(北海道産ミントを使用)。「通常モード」では、シンプルなメンソールタバコ味でベリー風味は控えめ。カプセルをつぶすと、ベリー感が広がるのはよいが、少々香料が強過ぎるのか、ケミカルな印象だ。
いっぽう、「ブーストモード」では、ペパーミントな辛さがガツンと来て驚いた。刺激がかなり強いのでむせないように注意。吐き出す蒸気にいい感じでベリー感が含まれおり、息がキレイになるガムのような味わいに。クライマックスは、カプセルをつぶした後にやって来る。ジューシーな紫色のぶどう感が広がるが、果皮感強めで甘みは少ないという大人の味わいがいい。おそらく高温で香料のクセが揮発したのだろう、ケミカル感も減り、一気に吸いやすくなった。後味もさわやかで、優秀なリフレッシュタバコ味だ。
【詳しいレビューはこちら!】
「グロー・ハイパー」の人気メンソール「クール・エックス・ネオ」に“味変カプセル入り”が仲間入り!
https://kakakumag.com/hobby/?id=18269
【筆者の独自評価】香り:●●●○○、コク:●●●●●、強さ:●●●●●
廉価版「ケント」シリーズの中で最高喫味なのが、「ケント・ネオスティック・トゥルー・リッチ・タバコ」だ。辛めのタバコ味がベースで、ほどよい酸味がうまみを感じやすくしている。蒸気からは不思議と、ケムリ感を感じられるのも特徴だ。
「ブーストモード」で味わうと、辛さはそのままに、うまみと深みが加わった。紙巻きタバコから乗り換えるのに適した味わいだと思う。
【筆者の独自評価】香り:●●○○○、コク:●●●○○、強さ:●●●●○
「トゥルー・リッチ・タバコ」のクセをそぎ落とした印象を受けたのが、「ケント・ネオスティック・トゥルー・タバコ」。全体的にマイルドではあるが、タバコ葉の酸味やうまみを感じられてウマい。
「ブーストモード」で味わうと、蒸気にいがらっぽさが加わり、紙巻きタバコ感が楽しめた。
【筆者の独自評価】香り:●●○○○、コク:●●●●○、メンソールの強さ:●●●●●
スペアミント的な甘さが感じられるのが、「ケント・ネオスティック・トゥルー・リッチ・メンソール」。苦みが際立つメンソールタバコ味で、ストレートにノドの奥を直撃するミント感が潔い。
「ブーストモード」で味わうと、そこにビリビリしたシャープな刺激が加わった。
【筆者の独自評価】香り:●●○○○、コク:●●●○○、メンソールの強さ:●●●●○
冷涼感と清涼感のバランスがよいのが、「ケント・ネオスティック・トゥルー・メンソール」。メンソールの刺激は少々弱いのだが、その分、タバコ味とのバランスがとてもよい。
「ブーストモード」で味わうと、ミント感が強力になり、目の覚める1服に。
【筆者の独自評価】香り:●●●○○、コク:●●●●○、メンソールの強さ:●●●●○
廉価版「ケント」シリーズで唯一のフレーバーメンソールタイプ。引き締まった苦みのあるメンソールとタバコ味をメインに、ほんのりベリー風味を付け足した、バランスのよい味仕立てだ。
「ブーストモード」で味わうと、ノドの奥が痛いくらいに刺激的。ただ、ベリー感はいささか飛び気味に。
★関連記事★
限界まで濃いケント味!「ケント・ネオスティック」に“濃い”レギュラーとメンソール登場
https://kakakumag.com/hobby/?id=16764
デバイス代の安さに定評がある「グロー・ハイパー」シリーズは、専用タバコスティックに関しても、中間的な価格帯である520円の「クール・エックス・ネオ」や、20本入りとしては業界最安値500円の「ケント」がラインアップされている。さらに、最新シリーズ「ラッキー・ストライク」は、12本入りという変則的な本数だが、20本入り換算すると480円となり、こちらもお財布にやさしい。
このことからわかるのが、「グロー・ハイパー」は気軽に利用できるということ。他社のハイエンドモデルを選び、高いスティックを吸うのも楽しいが、やはりコストはかさむので、気軽に1服とはいかなくなってしまう。
「グロー・ハイパー」シリーズ専用スティックは、最近の潮流でいくと、ニオイは多少キツめに感じるが、“とにかく気軽にタバコを楽しみたい人”にとっての有力な選択肢のひとつと言える。
また、フィルター内のカプセルをつぶして喫煙途中で味変できる「カプセル・メンソール」は、グローのお家芸。これが楽しめるからグローを選ぶ、という人も多い。バリエーションも8種類と選択肢も多い。
もちろん、「ラッキー・ストライク」や「クール」、「ケント」という古きよき時代から続くブランドを愛する紙巻きタバコユーザーとっては、加熱式タバコへの乗り換え先として、最有力候補になるだろう。
元「月刊歌謡曲(ゲッカヨ)」編集長。今はめおと編集ユニット「ゲッカヨ編集室」として活動。家電や雑貨など使って楽しい商品のレビューに命がけ!