加熱式タバコデバイス「IQOS ILUMA(アイコス イルマ)」専用のタバコスティック「SENTIA(センティア)」は、2022年4月のデビューから徐々にラインアップを拡充し、現在全13種類が展開されています。
なお、かつての「センティア」の銘柄は、旧デバイス「アイコス 3 デュオ」の「HEETS(ヒーツ)」(後述)で展開する11フレーバーとリンクしたものでしたが、拡充を重ねることで「ヒーツ」のラインアップ数より充実した内容に。本稿では、その全13銘柄を吸い比べ、各特徴を浮き彫りにしていきます。
パッケージ下部が白で統一された、「HEETS(ヒーツ)」にも通じるデザインの「センティア」。その全13種類のフレーバーを吸い比べます
「センティア」は、これまで「TEREA(テリア)」シリーズしかなかった「アイコス イルマ」専用スティックの新たな選択肢。最大の魅力は、「テリア」が1箱(20本入り)税込580円なのに対し、「センティア」は税込530円と、50円も安い価格です。
上から「センティア ディープ ブロンズ」、「テリア レギュラー」、「ヒーツ ディープ ブロンズ」。パッケージのサイズはどれもほぼ同じ
つまり「センティア」は、「アイコス 3 デュオ」などの「旧型アイコス」専用スティック「マールボロ ヒートスティック」(税込600円)の廉価版「HEETS(ヒーツ)」(税込550円)のようなポジション。「旧型アイコス」では「ヒーツ」を愛用していた「アイコス イルマ」ユーザーにとっては、待望のブランドと言えるでしょう。
なお、「センティア」は、「テリア」と同じように、「アイコス 3 デュオ」や「アイコス 3 マルチ」のような旧型の加熱ブレード搭載モデルでは吸えません。また、旧型加熱ブレード搭載モデルと、その専用タバコスティック「マールボロ ヒートスティック」と「ヒーツ」は2024年1月をめどに、店頭での在庫がなくなり次第終了します。
価格が安いのはいいのですが、気になるのは、「センティア」の味わい。全13フレーバーのラインアップは、「レギュラー」が5種類、「メンソール」が4種類、「フレーバー系メンソール」が4種類で展開されます。
メーカー公式の全13銘柄の味わい比較表。筆者が実際に吸って感じたレビューと合わせて、参考にしてみてください
「アイコス イルマ プライム」で「センティア」13フレーバーをじっくり吸い比べていきます
「センティア」のパッケージデザインが「ヒーツ」に似ていることは先述しましたが、各フレーバー名にもその面影が感じられます。たとえば、レギュラータイプの「センティア ディープ ブロンズ」は、「ヒーツ ディープ ブロンズ」とフレーバー名が同じで、パッケージのカラーも同じく濃いめのブラウン。この点も興味深いところです。
ということで、それぞれを吸い比べ、味の特徴や各ブランドからの乗り換え案内もレポートします。
「センティア ディープ ブロンズ」
【味わいDATA】香り:●●●●● コク:●●●○○ 強さ:●●●●○
「センティア ディープ ブロンズ」の味わいで印象的なのが、しっかりとしたボディ感。やや濃いブラウンカラーのパッケージも納得の、ワイルドでウッディな味わいです。それでいて、「アイコス イルマ」らしい雑味のなさも感じられます。
タフでストレートな喫味でありつつも、クリアなうえ、ネガティブなトゲはなし。吸った後のノドに残る余韻はマイルドながらふくよかで、紙巻きタバコにも匹敵するボリュームを感じさせます。王道のタバコテイストを求める人に最もおすすめなフレーバーと言えるでしょう。
[乗り換え案内]
「テリア リッチ レギュラー」
「マールボロ ヒートスティック リッチ レギュラー」
「ヒーツ ディープ ブロンズ」
を吸っている人におすすめ!
「センティア ピュア ティーク」
【味わいDATA】香り:●●●●○ コク:●●●○○ 強さ:●●●●○
「ヒーツ ピュア ティーク」同様、「やさしい味と香りの絶妙なハーモニー」がキャッチフレーズで、タバコらしい王道な喫味を持ちながらも、マイルドでやさしいテイストに抑えられています。
「センティア ディープ ブロンズ」ほど強過ぎず、いっぽうで「センティア クリア シルバー」ほどライトではありません。加えて、後述する「センティア バランスド イエロー」よりもタバコの味が正統派な印象。プレーンな味が好みで、軽過ぎず、ほどほどの吸い応えを楽しみたい人におすすめです。
[乗り換え案内]
「テリア レギュラー」
「マールボロ ヒートスティック レギュラー」
「ヒーツ ピュア ティーク」
を吸っている人におすすめ!
「センティア バランスド イエロー」
【味わいDATA】香り:●●●●● コク:●●○○○ 強さ:●●●○○
王道なレギュラータイプであるものの、ほんのり爽やかな香りと酸味を感じるのが「センティア バランスド イエロー」。この、どこか果実味を思わせる酸味が、イエローのネーミングやパッケージで表現されているのかもしれません。
味わいとしては、酸味のほかにマイルドな旨味が立っていて、「バランスド」の名称にもうなずける絶妙な立ち位置です。レギュラー派だけど爽やかさがほしい、でもメンソールは苦手、という人にぴったりだと言えるでしょう。
[乗り換え案内]
「テリア バランスド レギュラー」
「マールボロ ヒートスティック バランスド レギュラー」
「ヒーツ バランスド イエロー」
を吸っている人におすすめ!
「センティア スムース ゴールド」
【味わいDATA】香り:●●○○○ コク:●●○○○ 強さ:●●○○○
「センティア スムース ゴールド」は、レギュラータイプらしい堂々としたスモーク感がありつつ、アタックはマイルドでまろやかな吸い心地が特徴。香りにはかすかな甘みがあり、全体的にやわらかく“温かい”喫味に仕上がっています。
[乗り換え案内]
「センティア バランスド イエロー」
「センティア クリア シルバー」
「テリア ウォーム レギュラー」
「マールボロ バランスド レギュラー」
「ヒーツ クリア シルバー」
を吸っている人におすすめ!
「センティア クリア シルバー」
【味わいDATA】香り:●●○○○ コク:●●○○○ 強さ:●●○○○
「センティア クリア シルバー」は、レギュラータイプ特有の心地よいロースト香を持ちながら、かすかな酸味があってライトかつクリアな印象。全体的な喫味のトーンは抑えつつも、トップから余韻まで王道タバコらしいテイストは十分感じられます。
吸い応えがやさしく爽やかで、マイルド〜ライト系の紙巻きタバコが好きな人向け。「テリア」シリーズで言えば、「スムース レギュラー」に相応する味わいだと思います。
[乗り換え案内]
「テリア スムース レギュラー」
「マールボロ ヒートスティック スムース レギュラー」
「ヒーツ クリア シルバー」
を吸っている人におすすめ!
「センティア アイシー ブラック」
【味わいDATA】香り:●●○○○ コク:●●●●○ メンソールの強さ:●●●●●
「センティア アイシー ブラック」は、トップで広がるウッディなタバコ感を、鮮烈なメンソールが後追いしてくるメンソールタイプ。「アイシー」というネーミングにふさわしい、ヒンヤリ感は絶大。吸ったあとは、まるでミント系のタブレット菓子を食べたときのような爽快さです。
クール刺激はありながらも、辛さはなく、それでいてタバコの吸い心地もしっかり。とにかく、豊かな喫味とメンソールの冷涼感をシンプルに楽しみたい人に最もおすすめな1本です。
[乗り換え案内]
「テリア ブラック メンソール」
「マールボロ ヒートスティック ブラック メンソール」
「ヒーツ アイシー ブラック」
を吸っている人におすすめ!
「センティア フロスト グリーン」
【味わいDATA】香り:●●○○○ コク:●●●●○ メンソールの強さ:●●●●○
「センティア フロスト グリーン」は、たくましいメンソールフレーバーと、マイルドなタバコ感が両立したメンソールタイプ。吸った後に抜けていく爽快感が心地よく、ペパーミントを思わせるフレッシュな味わいが特徴です。
先述の「センティア アイシー ブラック」のような、キンキンなまでのメンソール感はなく、その分喫味はしっかりめ。とはいえ、クールさは鮮烈なので、ボディのある厚みと、しっかりしたメンソールを求める人におすすめです。
[乗り換え案内]
「テリア メンソール」
「マールボロ ヒートスティック メンソール」
「ヒーツ フロスト グリーン」
を吸っている人におすすめ!
「センティア クール ジェイド」
【味わいDATA】香り:●●○○○ コク:●●●○○ メンソールの強さ:●●○○○
適度な喫味とメンソール感が特徴の、「センティア クール ジェイド」。ミントのフレーバーやハーバル感はありながら穏やかで、それでいて物足りなさは感じません。立ち位置としては、「センティア フロスト グリーン」と「センティア フレッシュ エメラルド」の中間ぐらいのキャラクターです。
まさに「ヒーツ クール ジェイド」のポジションであり、十分なタバコ味と、クセのないライトなメンソールを求めている人には最適と言えるでしょう。
[乗り換え案内]
「マールボロ ヒートスティック ミント」
「ヒーツ クール ジェイド」
を吸っている人におすすめ!
「センティア フレッシュ エメラルド」
【味わいDATA】香り:●○○○○ コク:●●○○○ メンソールの強さ:●○○○○
「センティア フレッシュ エメラルド」は、心地よいハーバルなメンソールに、マイルドなタバコ感が調和したメンソールタイプ。全体的にやさしいフレーバーながら、喫味とミントがバランスよく仕上がっています。
昨今、鮮烈なメンソールタイプの人気が高まるいっぽうで、そのパワーが苦手な人も少なくないはず。その点、爽快感も抑えられたこのフレーバーは、ライトタイプの愛煙家にはちょうどよいボリューム感。メロウなメンソールタバコを求める人におすすめと言えるでしょう。
[乗り換え案内]
「テリア ミント」
「ヒーツ フレッシュ エメラルド」
を吸っている人におすすめ!
「センティア・アイシー・パープル」
【味わいDATA】香り:●●●●● コク:●●●○○ メンソールの強さ:●●●●●
「アイシー」の名称どおり、「センティア アイシー ブラック」のような力強い冷涼感を楽しめるのが「センティア・アイシー・パープル」です。印象的なのは、冴えわたるミントフレーバーの中に感じる、ベリーのほのかな果実味。フルーティーで鮮烈なフレーバー系メンソールに仕上がっていて、「テリア ブラック パープル メンソール」に最も近しい味だと思います。
なお、基本的に「センティア」は、「ヒーツ」の各フレーバーを踏襲した味わいが出揃っていますが、「センティア・アイシー・パープル」だけは「ヒーツ」にない独自のテイスト。ベリー系を好むユーザーにとっては、うれしい選択肢と言えるでしょう。
[乗り換え案内]
「テリア ブラック パープル メンソール」
「テリア フュージョン メンソール」
「マールボロ ヒートスティック パープル メンソール」
を吸っている人におすすめ!
「センティア フレッシュ パープル」
【味わいDATA】香り:●●●○○ コク:●●●●○ メンソールの強さ:●●●●○
パープルとエメラルドグリーンのグラデーションを生かした、パッケージデザインが印象的な「センティア フレッシュ パープル」。味わいとしては、ベリータイプのフレーバーで、ブドウ系の果実味と、豊かなミントのニュアンスを感じます。
印象としては、メンソールの爽快感にベリーの甘やかなアロマが寄り添い、心地いい吸い応え。ベリーが持つリラックスの要素と、ミントが持つリフレッシュの要素をシンプルに調和させた1本だと思います。
[乗り換え案内]
「テリア パープル メンソール」
「マールボロ ヒートスティック フュージョン メンソール」
「ヒーツ フレッシュ パープル」
を吸っている人におすすめ!
「センティア・シトラス・グリーン」
【味わいDATA】香り:●●●○○ コク:●●●●○ メンソールの強さ:●●●●○
「センティア・シトラス・グリーン」は、すっきりとした後味のシトラス系メンソール。「ヒーツ シトラス グリーン」同様に、メンソールのキャラクターを立たせたシトラスフレーバーなのが特徴です。
ただ、「センティア・シトラス・グリーン」のほうが雑味の少ない印象で、これは「アイコス イルマ」のメリットによるものなのか、いずれにせよ進化を感じます。よりピュアに、ほのかな柑橘の酸味を持ったフレーバーメンソール。それが「センティア・シトラス・グリーン」です。
[乗り換え案内]
「テリア イエロー メンソール」
「マールボロ ヒートスティック イエロー メンソール」
「マールボロ ヒートスティック ブライト メンソール」
「ヒーツ シトラス グリーン」
を吸っている人におすすめ!
「センティア トロピカル イエロー」
【味わいDATA】香り:●●●●○ コク:●●○○○ メンソールの強さ:●●●●○
南国フルーツやリゾート感をイメージさせる、アッパーなフレーバーが「センティア トロピカル イエロー」。しっかりしたメンソールとともに、マンゴー、ココナッツ、パイナップルを思わせるジューシーなフルーティーさが共存した、リッチなフレーバーメンソールに仕上がっています。
トロピカルと言っても、甘さは控えめでタバコ感はしっかり。“香料的なケミカルさは感じないが、南国的な風味は楽しめる”という、これまでのトロピカルフレーバーを踏襲した完成度で、初心者や女性にも好まれそうな味わいだと思います。
[乗り換え案内]
「テリア トロピカル メンソール」
「マールボロ ヒートスティック トロピカル メンソール」
「ヒーツ トロピカル イエロー」
を吸っている人におすすめ!
1箱530円の「センティア」が仲間入りしたことで、「アイコス イルマ」の人気はさらに高まっています!
今回、上位ブランドの「テリア」と廉価ブランドの「センティア」を吸い比べてみました。そこで最も感じたのは、全体的に「センティア」は若干吸い応えがライトなところ。とはいえ、「アイコス イルマ」の魅力である“違和感あるニオイ(いわゆるポップコーン臭)”の低減は、「テリア」同様健在で、なおかつ「アイコス イルマ」ならではのクリアなテイストも感じられました。
50円分の差をどう感じるかは、個人によるかと思いますが、「センティア」にチープさは皆無です。筆者は、ランニングコストを抑えるため、「テリア」から乗り換える選択肢として「センティア」は十分にアリだと思いました。
現在のラインアップは13フレーバーですが、「テリア」は18種が展開されているので、さらなる拡充が気になるところ。フレーバーが追加されたあかつきには、本稿にも追記したいと思っているのでチェックしてみてください。
食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とWebメディアを中心に編集と撮影をともなう取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。