こんにちは、ガンプラマニアのポッチです! 今回は、HGシリーズで発売されている「ゲルググ」タイプのガンプラに焦点を当て、それぞれどのような特徴があるのかを検証していきます!
HG 1/144スケールで発売されている「ゲルググ」タイプのガンプラは、こんなにラインアップされています
ご存じのファンも多いと思いますが、まずは「ゲルググ」の基本設定をおさらいしておきましょう。「ゲルググ」は、初代「機動戦士ガンダム」に登場するジオン公国軍のモビルスーツ。第二期主力MS開発計画の一環で、「ザクII」に代わる主力機として開発された経緯を持ちます。ジオン軍において初めてビーム兵器を標準装備しているのが特徴で、武器も「ビーム・ライフル」「ビーム・ナギナタ」と、ビーム兵器が主体の最新MSという位置付けです。
「ゲルググ」には機体のバリエーションが多く、「シャア専用ゲルググ」や「ジョニー・ライデン専用ゲルググ」あたりは有名かと思いますが、「マリーネ」や「イェーガー」、「ウェルテクス」と聞くと「なんじゃこりゃ?」と思われる方も多いのでは? 今回はそのあたり、じっくりと解説していきますよ!
左が「HGUC 1/144 シャア専用ゲルググ」(メーカー希望小売価格:1,650円/税込)で、右が「量産型ゲルググ」仕様で組んだ「HGUC 1/144 量産型ゲルググ/ゲルググキャノン」(メーカー希望小売価格:1,760円/税込)
「シャア専用ゲルググ」は、頭に指揮官機用のブレードアンテナが付いていて、パーソナルカラーである赤を基調に塗装されているのが特徴。ガンプラ的には、2006年に「シャア専用ゲルググ」が発売され、翌年の2007年にその金型を流用する形で「量産型ゲルググ/ゲルググキャノン」が発売されました。
頭部を比較。「シャア専用ゲルググ」は、ブレードアンテナ付きのパーツのみ付属します。いっぽう「量産型ゲルググ」は選択式で、画像はツノなしの一般機仕様で組んだ状態ですが、ブレードアンテナ付きのパーツも別途付属します
両モデルは、頭部と成形色以外はまったく同じ仕様。腰部リアスカート内部とカカト付近の装甲内にはスラスターが組み込まれているなど、作りは細かいです(画像では、装甲内部を黒で塗装しています)
付属する武器も同じです。「ビーム・ライフル」と「ビーム・ナギナタ」が同梱されます
シールドは背中に取り付けたり、腕に装着したりできます
バンダイスピリッツから発売されている「アクションベース2」にも対応しており、浮かせた状態で展示できます
並べると、いい感じですね……!
「HGUCシャア専用ゲルググ」と「量産型ゲルググ」の違いは基本的に色だけですが、頭部の比較パートで軽く触れたとおり、「量産型ゲルググ」のほうは「ゲルググキャノン」との選択式キット。そのあたりをもう少し解説していきます。
左が先ほど紹介した「量産型ゲルググ」で、右が「ゲルググキャノン」仕様で組んだ状態
「HGUC 1/144 量産型ゲルググ/ゲルググキャノン」は、2形態を再現できるのが最大の特徴です。選択式なので、最初にどちらかを選んで組んでいきます。
「ゲルググキャノン」は、頭部が通常の「ゲルググ」とは異なるデザイン。右腕には「3連ミサイルランチャー」を、左腕には「バックラー・シールド」を装備しています。また、背部に、その名前の由来でもある「キャノン・パック」を装備しているのが特徴
「量産型ゲルググ」と「ゲルググキャノン」を、同時にディスプレイ
2体同時に飾るには2個買い必須なので、その点はご注意を!
「HGUC量産型ゲルググ/ゲルググキャノン」は2形態が再現できるお得な内容の割に、「HGUCシャア専用ゲルググ」より110円高いだけなので、コスパにすぐれたガンプラと言っていいでしょう。
左が、2000年にHGUCシリーズ16番目のモデルとして発売された「HGUC 1/144 MS-14F ゲルググマリーネ」(メーカー希望小売価格:1,320円/税込)。右は、その後2002年に発売された「HGUC 1/144 MS-14Fs ゲルググマリーネシーマカスタム」(メーカー希望小売価格:1,650円/税込)
「ゲルググマリーネ」は、1990年制作のOVA「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY」に登場するジオン残党の「ゲルググ」です。「海兵上陸部隊仕様」に改修されており、機体名称も「マリーネ(海軍)」から取られています。数ある「ゲルググ」の中で、HGUCシリーズとして最初に発売されたのはこのキットでした。
「シーマカスタム」も、「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY」に登場する機体。「ジオン公国軍突撃機動軍」所属の女性将校「シーマ・ガラハウ中佐」の専用機で、色が紫とカーキに塗装されています。また、頭部ブレードアンテナとスラスターが追加され、背中にはプロペラントタンクを4基装備しているのが特徴です。
アップで比較。頭部のブレードアンテナの有無だけではなく、胴体や腰部のデザインも異なります。どちらも2000年あたりに発売された古いガンプラなので、モノアイを動かすなどのオシャレなギミックは搭載されていません
背部を比較。「シーマカスタム」(画像右)は、バックパックがスラスターやプロペラントを増やした強化版なのが特徴
両モデルともに、武器は「MMP-80 90mmマシンガン」が付属します(画像上)。加えて、「シーマカスタム」のほうには「大型ビーム・ライフル」が追加で同梱されます(画像下)
左腕に装備する武装として、「ゲルググマリーネ」には「スパイク・シールド」が、「シーマカスタム」には「シールド」が付属します
「ゲルググマリーネ」と「シーマカスタム」については差異が多く、成形色のみならず装甲や武装などが大きく異なります。ちなみに、最初にご紹介した「HGUCシャア専用ゲルググ」とは別物のランナー構成で、同モデルからの流用もありません。
この2体は、今回紹介する「ゲルググ」タイプのガンプラの中ではいちばん古いため、可動域が狭かったり、合わせ目が多かったりと不満点も多いモデルです。今のガンプラ目線で見た場合、「ある程度いじれるモデラーさん向け」なキットと言えるでしょう。
左が2004年に一般発売された「HGUC 1/144 ゲルググJ」(メーカー希望小売価格:1,320円/税込)。右はその仕様変更キットで、公式オンラインショップ「プレミアムバンダイ」限定販売の「HGUC 1/144 シン・マツナガ専用ゲルググJ」(メーカー希望小売価格:1,650円/税込)
「ゲルググJ」の「J」は、「イェーガー」と読み、ドイツ語で「狩人」を意味する言葉。ガンダムシリーズ初のOVA作品である「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」に登場したジオン軍の汎用量産型モビルスーツで、エースパイロット向けに少数のみ生産された機体です。「シン・マツナガ専用機」は、「プレミアムバンダイ」限定品で、成形色が変更されつつ、シン・マツナガ専用のマーキングシールが付属するのが特徴です。
「ゲルググJ」の特徴は、「ビーム・マシンガン」と、バックパックに「プロペラントタンク」と「ロッドアンテナ」を装備している点です
「ゲルググJ」と「シン・マツナガ専用機」の主な違いは、色とマーキングシール。細かな点では、「シン・マツナガ専用機」には追加で「HGUCゲルググマリーネ」の「ハンドパーツ」と「ビーム・サーベル」が付属するものの、色とシール以外はほとんど同じ仕様と言っていいでしょう
並べてディスプレイ
ここからはオマケで、「HGUCシャア専用ゲルググ」のランナーを使った仕様変更モデルをザザッと見ていきます。どれも「プレミアムバンダイ」限定で発売されていたものばかりなので、今から入手したい場合は、再販を待つか中古で手に入れる必要がある点だけはご注意を!
左から「HGUCゲルググ(ユニコーンVer.)」、「HGUCガトー専用ゲルググ」、「HGUCヴィッシュ・ドナヒュー専用ゲルググ」。基本的には「ゲルググ」の色替えモデルですが、細かな変更点があります
まずは、付属するライフルの変化。「ガトー専用ゲルググ」(画像上)には「試作型ビーム・ライフル」が、「ユニコーンVer.」(画像中央)には「ギラ・ドーガタイプのビーム・マシンガン」が追加で付属します。「ヴィッシュ・ドナヒュー専用機」(画像下)には追加武装はなし
画像上の「ユニコーンVer.」は、前腕部が「袖付き」のデザインなのが特徴的。胸部に貼るシールも同梱されます。いっぽう、画像下の「ヴィッシュ・ドナヒュー専用機」には、ドクロのマーキングシールが付属します。また、両モデルは同じグリーン系のカラーですが、色合いが異なるのがわかります
こちらは、「HGUCジョニー・ライデン専用ゲルググ」。「高機動型ゲルググ」とも言われるジョニー・ライデン専用の「ゲルググ」ですが、本体は基本的に「HGUCシャア専用ゲルググ」の色替えバージョンです
異なっているのは「ロケット・ランチャー」と「B型バックパック」が新規造形で付属する点。高機動型らしく、強化されたバックパックのデザインが特徴的ですね
こちらは、「機動戦士ガンダムZZ」に登場する「HGUCリゲルグ」(画像左)と、その仕様変更モデルで、「機動戦士ガンダムUC」に登場した「HGUCリゲルグ(ユニコーンVer.)」(画像右)
両モデルともに「HGUCシャア専用ゲルググ」の仕様変更キットですが、「HGUCリゲルグ」は肩パーツが巨大な「ウイング・バインダー」に変更されており、バックパックも新規造形です。いっぽう「ユニコーンVer.」(画像下)は、それに加え、腕部に袖付きのデザインを採用しています
武器は専用「ビーム・ライフル」が付属しますが、「ユニコーンVer.」では「ビーム・マシンガン(ギラ・ドーガタイプ)」が追加で付属します
そして今回紹介するモデルの中でいちばんマニアックだと思われるのが、「ゲルググ ウェルテクス」。設定的には、「一年戦争」でジョニー・ライデンが所属していたキマイラ隊専用の「ゲルググ」タイプとのこと
バックパック左右にある巨大な「アクティブ・バインダー」は、先ほどの「リゲルグ」の肩パーツと同じデザインが採用されています
ガンダム世界には莫大な量の設定があるので、このようなマニアックな「ゲルググ」を調べつつ、ガンプラとして揃えるのも面白いですよ。
今回14体を比較してみて、「ザク」とも「グフ」とも「ドム」とも異なる、この独特な「ゲルググ」というモビルスーツが、これだけのバリエーションで発売されていることに改めて驚きました。まとめてみると、一般販売で入手できる「ゲルググ」のガンプラは、おおまかに分けて「HGUCシャア専用ゲルググ」、「HGUCゲルググマリーネ」、「HGUCゲルググJ」系の3タイプに分類できます。
限定品を除くと、発売年のせいもあり「HGUCシャア専用ゲルググ」か「量産型ゲルググ/ゲルググキャノン」のクオリティが比較的高い印象。ただ、正直どれも最新フォーマットで作られていないので、今のガンプラクオリティに近づけるには、合わせ目消し(パーツとパーツの結合部を接着剤とヤスリを使って消す)作業などが必要そうです。
今回紹介したゲルググの中で私がいちばん好きなガンプラは、ズバリ「HGUC量産型ゲルググ/ゲルググキャノン」です。2形態が再現できるのはもちろん、シャア専用の指揮官用ブレードアンテナ(頭部のツノありパーツ)も同梱されるので、非常に遊びの幅が広いガンプラに仕上がっていると思います。マニアックでケレン味あふれる「ゲルググキャノン」が、一般発売されているガンプラで再現できるため、「ファースト」ファンにはたまらないアイテムに仕上がっているのではないでしょうか!
今回は14体の「ゲルググ」を紹介しましたが、今後のリリースにも期待しています!
ガンプラレビューサイト「ポッチのガンプラ+」の管理人でガンダムマニア。都内で出版・コンサル系の会社を経営しております。【ポッチのガンプラ+】https://gunplapocchi.com/