レビュー

キヤノン「EOS R5」がトランスフォーマーに!? カメラの再現度を実物と比べてみた

2022年8月10日、タカラトミーから、変形ロボットキャラクター「トランスフォーマー」のファンだけでなく、カメラファンもざわつかせるニュースが飛び込んできた。誰も想像していなかった、「トランスフォーマー」の変形ロボット玩具と、キヤノンのミラーレスカメラ「EOS R5」のコラボレーション商品が発表されたのだ。価格.comマガジンは、この注目商品の特徴を掘り下げるべく、タカラトミーに取材を敢行。試作品の仕上がりをチェックしてきた。

※本記事で紹介するのは試作品です。一部商品と異なる場合があります。

「トランスフォーマー」の変形ロボット玩具と、キヤノンのミラーレスカメラ「EOS R5」のコラボレーションが実現。各種メディアのニュース記事を見て、「トランスフォーマーがカメラとコラボ!? しかもキヤノン!?」と驚いた人も少なくないはずだ

「トランスフォーマー」の変形ロボット玩具と、キヤノンのミラーレスカメラ「EOS R5」のコラボレーションが実現。各種メディアのニュース記事を見て、「トランスフォーマーがカメラとコラボ!? しかもキヤノン!?」と驚いた人も少なくないはずだ

私にいい考えがある、キヤノン「EOS R5」とのコラボレーションだ!(コンボイ司令官談)

まずは、「『トランスフォーマー』×キヤノンのミラーレスカメラ『EOS R5』」という、異色の組み合わせを実現した、コラボレーション商品の概要を説明しよう。

「トランスフォーマー」は、言わずと知れた、世界中で大人気の変形ロボットキャラクターだ。タカラトミーは、アニメや映画に登場するキャラクターを中心に、大人から子供まで幅広い層が楽しめる、「トランスフォーマー」の変形ロボット玩具を数多く手がけているが、その中で、「トランスフォーマー」の世界観を広げる展開として力を入れているのが、他企業・他ブランドとのコラボレーション商品である。2005年からスタートしたプロジェクトで、これまでに、サントリーのコーラ飲料「PEPSI」やスポーツブランド「NIKE」、カシオ計算機の耐衝撃腕時計「G-SHOCK」など、意外な企業やブランドとのコラボを実現している。

その最新モデルとして、タカラトミーが2022年8月10日に発表したのが、「トランスフォーマー」の変形ロボット玩具と、キヤノンのミラーレスカメラ「EOS R5」のコラボレーション商品、その名も「Canon/TRANSFORMERS オプティマスプライムR5」だ。キヤノンのミラーレスカメラの中でも人気の高性能モデル「EOS R5」が、トランスフォーマーを代表するキャラクターである、「オートボット」の総司令官「オプティマスプライム(日本名:コンボイ)」に変形するという、斬新なロボット玩具である。メーカー希望小売価格は19,800円(税込)で、すでに予約受付が開始されている。発売は2023年2月下旬の予定だ。

まさかのコラボレーションで誕生した「Canon/TRANSFORMERS オプティマスプライムR5」。ロボットモード時は、レンズを強調したデザインが印象的だ

まさかのコラボレーションで誕生した「Canon/TRANSFORMERS オプティマスプライムR5」。ロボットモード時は、レンズを強調したデザインが印象的だ

カメラモード時は、キヤノンのミラーレスカメラ「EOS R5」をそのまま小さくしたようなデザインを採用。次項以降で詳細をレポートするが、カメラモード時の再現度は非常に高い

カメラモード時は、キヤノンのミラーレスカメラ「EOS R5」をそのまま小さくしたようなデザインを採用。次項以降で詳細をレポートするが、カメラモード時の再現度は非常に高い

「トランスフォーマー」の大まかなストーリーは、正義の「オートボット」と悪の「ディセプティコン」に分かれて、ロボット生命体が闘いを繰り広げるというもの。「オートボット」軍のカメラロボットが登場するなら、「ディセプティコン」軍も必要ということで、タカラトミー公式ショッピングサイト「タカラトミーモール」の限定商品として、「ディセプティコン」軍の光学情報兵「リフレクター」に変形するバージョン「Canon/TRANSFORMERS ディセプティコンリフレクターR5」も用意される。こちらもメーカー希望小売価格は19,800円(税込)で、発売予定は2023年2月下旬だ。

タカラトミーモール限定で販売される「Canon/TRANSFORMERS ディセプティコンリフレクターR5」。「トランスフォーマー」ファンならご存じだと思うが、1980年代のテレビアニメ『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』に登場した「リフレクター」がベースの商品だ

タカラトミーモール限定で販売される「Canon/TRANSFORMERS ディセプティコンリフレクターR5」。「トランスフォーマー」ファンならご存じだと思うが、1980年代のテレビアニメ『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』に登場した「リフレクター」がベースの商品だ

テレビアニメの「リフレクター」は3体が合体してカメラになるキャラクターだった。その特徴を踏まえ、「Canon/TRANSFORMERS ディセプティコンリフレクターR5」には、3分割可能なミニチュアカメラが付属する

テレビアニメの「リフレクター」は3体が合体してカメラになるキャラクターだった。その特徴を踏まえ、「Canon/TRANSFORMERS ディセプティコンリフレクターR5」には、3分割可能なミニチュアカメラが付属する

筆者は価格.comマガジンの「カメラ」カテゴリーを長年担当しており、15年以上、カメラメーカーやカメラ商品を取材しているが、キヤノンのカメラがこういう形で他メーカーのキャラクター商品と絡むのを見るのは初。過去に例がないコラボレーションで、カメラファン/キヤノンファンにとっては、それだけでも注目に値する商品と言えよう。

驚異の再現度! これは精巧なカメラのフィギュアだ!

続いて、「Canon/TRANSFORMERS オプティマスプライムR5」の試作品の画像をいくつか掲載しながら、その特徴を紹介しよう。

特に注目したいのは、カメラモード時の再現度だ。「EOS R5」の実物と並べて、どのくらい似ているのかを確認してみたが、「本物のカメラ」と見間違えるくらい、ほぼ完ぺきに「EOS R5」のデザインが再現されていた。

※試作品のため印刷の剥離が見られる箇所があります。

画像左が、カメラモード時の「Canon/TRANSFORMERS オプティマスプライムR5」で、右がミラーレスカメラ「EOS R5」の実物(※これ以降に掲載する比較画像も同じ配置)。カメラモードは80%スケールで設計されているため実物よりひと回り小さいが、正面のシルエットはほぼ同じだ。「Canon」や「EOS R5」のロゴが正確に再現されているうえ、カメラ本体を覆うラバーのシボ加工までしっかりとデザインされている

画像左が、カメラモード時の「Canon/TRANSFORMERS オプティマスプライムR5」で、右がミラーレスカメラ「EOS R5」の実物(※これ以降に掲載する比較画像も同じ配置)。カメラモードは80%スケールで設計されているため実物よりひと回り小さいが、正面のシルエットはほぼ同じだ。「Canon」や「EOS R5」のロゴが正確に再現されているうえ、カメラ本体を覆うラバーのシボ加工までしっかりとデザインされている

グリップの微妙な凹みや、カードスロットカバーの形状など、細かいところまで本当によく作られている。右手でカメラを構えるようにホールドしてみても、本物のカメラのようなグリップ感があって驚いた

グリップの微妙な凹みや、カードスロットカバーの形状など、細かいところまで本当によく作られている。右手でカメラを構えるようにホールドしてみても、本物のカメラのようなグリップ感があって驚いた

左側面に配置されているインターフェイスカバーのデザインも同じ(※USB端子のマークなどは権利上、表記していないとのこと)。レンズ側面のAF/MF切り替えスイッチや、手ブレ補正スイッチなど、細かい操作系も再現されている。なお、カメラモード時のレンズマウント部(カメラとレンズを接続する部分)は、グレーの金属部分が少し明るくなっているが、これは試作品のため。商品では実物に近いトーンに抑えるとのことだ

左側面に配置されているインターフェイスカバーのデザインも同じ(※USB端子のマークなどは権利上、表記していないとのこと)。レンズ側面のAF/MF切り替えスイッチや、手ブレ補正スイッチなど、細かい操作系も再現されている。なお、カメラモード時のレンズマウント部(カメラとレンズを接続する部分)は、グレーの金属部分が少し明るくなっているが、これは試作品のため。商品では実物に近いトーンに抑えるとのことだ

「EOS R5」など「EOSシリーズ」の上位モデルに搭載されている、背面のサブ電子ダイヤルやマルチコントローラーなどの操作系も忠実に再現。右手親指を引っかけておけるサムグリップあたりも凝ったデザインだ。ファインダー周りの再現性も高く、アイセンサーや視度調整ダイヤルまで形作られている

「EOS R5」など「EOSシリーズ」の上位モデルに搭載されている、背面のサブ電子ダイヤルやマルチコントローラーなどの操作系も忠実に再現。右手親指を引っかけておけるサムグリップあたりも凝ったデザインだ。ファインダー周りの再現性も高く、アイセンサーや視度調整ダイヤルまで形作られている

ボディ上面では、スピードライト(ストロボ)などを装着するためのアクセサリーシュー(中央の金属部分)や、各種撮影情報を表示する「表示パネル」(中央右側のサブ液晶)もしっかりと再現。選択されている撮影モードは「M(マニュアル露出モード)」だ。なお、試作品では、「表示パネル」がシールで再現されているが、商品では印刷されるとのこと。レンズマウント部と同様、アクセサリーシューのトーンも抑え気味に調整するとのことだ

ボディ上面では、スピードライト(ストロボ)などを装着するためのアクセサリーシュー(中央の金属部分)や、各種撮影情報を表示する「表示パネル」(中央右側のサブ液晶)もしっかりと再現。選択されている撮影モードは「M(マニュアル露出モード)」だ。なお、試作品では、「表示パネル」がシールで再現されているが、商品では印刷されるとのこと。レンズマウント部と同様、アクセサリーシューのトーンも抑え気味に調整するとのことだ

ボディ底面もチェックしたが、バッテリー室カバー、細かいネジ穴、三脚用のネジ穴まで再現されていた。滑り止め用の凹凸パターンまで同じだ。さすがに三脚用のネジ穴はシルバーカラーのデザインではないとのことだが、細かいところまでこだわった作りなのが伝わってくる

ボディ底面もチェックしたが、バッテリー室カバー、細かいネジ穴、三脚用のネジ穴まで再現されていた。滑り止め用の凹凸パターンまで同じだ。さすがに三脚用のネジ穴はシルバーカラーのデザインではないとのことだが、細かいところまでこだわった作りなのが伝わってくる

さらに驚かされるのは、本物の「EOS R5」と同様、カメラ本体部からレンズ部を取り外せるように設計されていること。「EOS R5」のようなレンズ交換式カメラの最大の特徴は「レンズを交換できること」だが、この重要な機能をしっかりと再現している点から、タカラトミーの本気度がうかがえる。しかも、詳細は次項で紹介するが、取り外したレンズ部は、ロボットモード時に上半身として機能。単に「取り外せるだけ」にとどまらないのだ。

本物の「EOS R5」のように、レンズ部は取り外しが可能。取り外したレンズ部は、ロボットモードへの変形・合体ギミックで重要な役割を担う

本物の「EOS R5」のように、レンズ部は取り外しが可能。取り外したレンズ部は、ロボットモードへの変形・合体ギミックで重要な役割を担う

レンズ部のフロントキャップも取り外せる。取り外したキャップは、手持ちの盾として装備可能

レンズ部のフロントキャップも取り外せる。取り外したキャップは、手持ちの盾として装備可能

カメラモードからロボットモードへの変形・合体ギミックが面白い!

次に、カメラモードからロボットモードに変わっていく様子を見ていこう。変形・合体のギミックがとても凝っていて、取り外したレンズ部は上半身(頭と腕)、カメラ本体部は下半身(ボディと脚)として機能し、これらを合体することでロボットに変形する仕組みだ。

レンズ部の中にロボットの頭と腕が格納されている

レンズ部の中にロボットの頭と腕が格納されている

レンズ部を展開している様子。キヤノンの高性能レンズ「Lレンズ」の象徴であるレッドラインが入った部分(レンズの先端部)は、ロボットモードでもそのままデザインに生かされる

レンズ部を展開している様子。キヤノンの高性能レンズ「Lレンズ」の象徴であるレッドラインが入った部分(レンズの先端部)は、ロボットモードでもそのままデザインに生かされる

レンズ部は最終的に上半身に変形する。オートボット軍の総司令官に受け継がれる、リーダーの証し「マトリクス」はレンズの中に装着する仕組みだ

レンズ部は最終的に上半身に変形する。オートボット軍の総司令官に受け継がれる、リーダーの証し「マトリクス」はレンズの中に装着する仕組みだ

カメラ本体部は下半身として機能。カメラの右側を引き伸ばすことで脚が出てくる

カメラ本体部は下半身として機能。カメラの右側を引き伸ばすことで脚が出てくる

背面の液晶モニターは、「EOS R5」の実物と同様にバリアングル方式で、横に開く仕組み。開閉部(ヒンジ部)が用意されており、きちんと可動式モニターとしてデザインされているのがにくい

背面の液晶モニターは、「EOS R5」の実物と同様にバリアングル方式で、横に開く仕組み。開閉部(ヒンジ部)が用意されており、きちんと可動式モニターとしてデザインされているのがにくい

引き出した脚を90°回転することで下半身に変形する

引き出した脚を90°回転することで下半身に変形する

レンズ部をカメラ本体部に装着して変形・合体が完了。胸の位置に大きくレンズを配置しているのが特徴的で、まさにカメラロボットという印象のデザインだ

レンズ部をカメラ本体部に装着して変形・合体が完了。胸の位置に大きくレンズを配置しているのが特徴的で、まさにカメラロボットという印象のデザインだ

レンズ部のフロントキャップは、手持ちの盾として装備できる

レンズ部のフロントキャップは、手持ちの盾として装備できる

後ろ姿も魔改造感があって面白い

後ろ姿も魔改造感があって面白い

「オプティマスプライム」の手に持たせられるミニチュア「EOS R5ハンドヘルド」が付属。マウント部やアクササリーシューなど細かいところまで手を抜いていない作りだ

「オプティマスプライム」の手に持たせられるミニチュア「EOS R5ハンドヘルド」が付属。マウント部やアクササリーシューなど細かいところまで手を抜いていない作りだ

「EOS R5ハンドヘルド」を手に持たせてポーズを決めてみた

「EOS R5ハンドヘルド」を手に持たせてポーズを決めてみた

なぜカメラ? なぜキヤノン? タカラトミーの担当者にいろいろと聞いてきた

今回のコラボレーションは、なぜカメラなのか? なぜキヤノンなのか? など、疑問は尽きない。タカラトミーの商品担当者に直接話をうかがった。

株式会社タカラトミー ホビーキャラクター事業部 企画マーケティング課 課長補佐の白井貴彦さん(左)と、同フェローの大野光仁さん(右)。白井さんは今回のコラボレーション商品の全体的な進行を担当。大野さんは商品の開発を担当した

株式会社タカラトミー ホビーキャラクター事業部 企画マーケティング課 課長補佐の白井貴彦さん(左)と、同フェローの大野光仁さん(右)。白井さんは今回のコラボレーション商品の全体的な進行を担当。大野さんは商品の開発を担当した

――ニュースリリースを見た時は、とても驚きました。なぜカメラとのコラボレーションだったのでしょうか?

白井 弊社は、「トランスフォーマー」の世界観を広げることを目的に、2005年から「トランスフォーマー」と他企業・他ブランドとのコラボレーション商品を積極的に展開しています。これまでに、飲料(コーラ飲料「PEPSI」)やデジタルオーディオプレーヤー、腕時計(耐衝撃腕時計「G-SHOCK」)など幅広いジャンルとのコラボを実現してきましたが、実は、カメラとのコラボ は“悲願”だったんです。
というのも、「トランスフォーマー」の原形となる「ミクロチェンジ」シリーズでは、ガンロボ、ラジカセロボ、カメラロボ、顕微鏡ロボ、ウォッチロボという、インパクトのある5つのキャラクターが特に人気でした。これらは弊社にとっても、「トランスフォーマー」のファンにとっても特別な存在です。そのひとつであるカメラロボの世界観は、本物のカメラとのコラボレーションによって、どうしても実現したかったんです。

大野 カメラは、写真を撮る道具としてだけでなく、“モノ”としても魅力があります。メカニカルな部分などはロボットに通じるものがあると感じていて、本物のカメラとのコラボレーションは長年のテーマでした。個人的には、タカラトミー社内でお世話になった先輩が、「ミクロチェンジ」シリーズのカメラロボを設計したということもあって、「いつかは自分の手でカメラとのコラボを実現して恩返しがしたい」という思いを強く持っていました。

――キヤノンとのコラボレーションはどういった経緯で決まったのでしょうか?

大野 このプロジェクトが始動したのは2020年の6月頃です。どのカメラをベースに企画をまとめるか悩んでいたところ、2020年7月に、世界を代表するカメラメーカーのキヤノンさんが「EOS R5」を発表しました。すぐに製品ページをチェックして、「とてもかっこいいカメラなので、このカメラをベースにアイデアをまとめてみたい!」と思いました。それで、「EOS R5」をベースにしてラフイメージを作成したんです。キヤノンさんとのコラボレーションを進めるという話も出ていない、まっさらな段階から「EOS R5」をベースに検討していたわけです。

白井 大野が「EOS R5」をベースにした叩き台の企画書をまとめてから約1か月後、「本格的に商品化を進めよう」という段階になった時に、実は、キヤノンさんから別の案件でご連絡をいただきました。キヤノンさんが展開するプリントコンテンツサイト「キヤノンクリエイティブパーク」に、「トランスフォーマー」の迷路コンテンツを掲載したいというお話をいただいたんです。すごいタイミングですよね?
迷路コンテンツのやり取りを進める中で、「実は、『トランスフォーマー』とキヤノンさんの『EOS R5』のコラボレーションを考えているんですけど、いかがでしょうか?」とお話させていただきました。そこからはとんとん拍子で話が進んでいきましたね。キヤノンさんからは「ぜひ進めてほしい」と言っていただき、商品が完成するまで、とても柔軟に対応していただきました。

――試作品の完成度の高さにびっくりしました。具体的にどのように開発を進めたのでしょうか?

白井 開発は、実物の「EOS R5」をスキャニングしたデータと、外観を撮影した写真を組み合わせて、玩具用の図面を作成して行っています。スキャニングだけだと、どうしても細かいところがわからないため、写真を撮影して調整する作業が必要になるんです。

大野 実物から形を作っていく場合、写真を撮影して、そこから3D図面に落とし込んでいくのがとても重要です。実物をそのままスケールダウンするのではなく、微妙なところの形状を少し変えることで印象が大きく変わるんです。「実物と違いがある」と言うほどではないんですが、凹凸部分を本当にちょっと調整することで完成度が高まります。
これは長年の「トランスフォーマー」の商品開発で培ってきた技術と言えます。細かいところでは、変形する部分の境界線上に数字やマークの印刷が重なってしまう場合あるので、それらの位置を少しズラすという調整も行っています。

――カメラモードを1/1スケールにすることは難しかったのでしょうか?

白井 1/1スケールにすることもできたのですが、どうしてもロボットモードになった時にサイズが大きくなるのと、販売価格が高くなってしまうので、80%スケールにしています。ファンの間では知られているのですが、「トランスフォーマー」の変形ロボット玩具のサイズ展開は、小さい順に「デラックス」「ボイジャー」「リーダー」の3つが基本で、30年以上変わっていません。今回は中間の「ボイジャー」のサイズのイメージで仕上げていますが、これは、企画の初期段階から決めていました。キヤノンさんからも、1/1スケールよりも少し小さいほうがよいですね、とのコメントもいただきました。

――本物のレンズ交換式カメラのように、レンズ部を取り外し式にするのも最初から決めていたのでしょうか?

大野 そこは最初から決めていた部分ですし、最もこだわった部分です。やはり、レンズ交換式カメラのロボットですから、「レンズを装着する」という遊び心をどうしても入れたかったんです。レンズとカメラ本体のカップリングで、本物のようにレンズを装着するギミックを楽しんでほしい。そういう思いで設計しました。
あわせて、ロボットモードへの変形・合体のギミックにもこだわりました。レンズ部がロボットの上半身(頭と腕)に、カメラ本体部が下半身(ボディと脚)になるように工夫しています。これは、「レンズ部の形や色を変えることで、違うキャラクターに仕上げられるのではないか?」という発想から生まれたものです。結果、バリエーションモデルとして「リフレクター」をベースにした「Canon/TRANSFORMERS ディセプティコンリフレクターR5」をご用意できました。

白井 タカラトミーモールの限定商品になりますが、「リフレクター」を選んだのは、「トランスフォーマー」だからこそのこだわりです。「トランスフォーマー」のキャラクターでカメラと言えば、「リフレクター」は外せない存在です。通常のコラボレーション商品は、正義が「オプティマスプライム」で、悪が「メガトロン」という、お互いのリーダーが出てくるのが定番なんですけど、そういった理由で今回はあえて「リフレクター」にしました。

大野 デザインでは、カメラロボットであることを強調したかったので、ロボットモード時にレンズのデザインを大きく取った点にも注目してほしいです。“カメラらしさ”の原形を残すことで、アイデンティティーのあるロボットにしたかったのです。

――商品に対するユーザーの反応はいかがでしょうか?

白井 大変ありがたいことに、今回のコラボレーション商品は、これまで「トランスフォーマー」をご購入されたことのない人からも多くの予約をいただいております。「EOS R5を持っているので予約しました」という、キヤノンさんのユーザーからの声もいただいており、本当にびっくりしています。

――最後に、価格.comマガジンの読者にひと言お願いいたします。

大野 「トランスフォーマー」は、「世界がどんどん広がっていく」という考え方をとても大事にしています。今回のコラボレーション商品は、レンズとカメラ本体に分けた形での変形・合体に仕上げましたが、たとえば、レンズを交換するように、長い望遠レンズを装着できても面白いですし、スピードライト(ストロボ)を追加するというアイデアも出てきますよね。実現できるかどうかは別として、こうした遊び心が、テーブルの上で広がっていくのが、「トランスフォーマー」の面白いところです。今後の展開にも期待していただきつつ、今回のコラボレーション商品の世界観を楽しんでいただければと思います。

白井 「トランスフォーマー」ファンにはおなじみだと思うのですが、コラボレーション商品は、オリジナルの設定とストーリーが用意されるのも特徴です。今回は、敵軍を調査するスパイという設定で、「オプティマスプライム」と「リフレクター」にカメラを融合させました。スパイとして誰よりも早く写真を撮る任務を行うため、ロボットモード時にカメラを持っているわけです。詳細は商品パッケージや説明書などに記載しますので、ぜひ、設定とストーリーにも注目して楽しんでいただければと思います。

まとめ 「トランスフォーマー」らしい遊び心や所有欲をくすぐる逸品

タカラトミーが、「トランスフォーマー」とキヤノンのミラーレスカメラ「EOS R5」のコラボレーション商品を発売するというニュースを見て、カメラファンの多くは驚いたことだろう。同時に、「複雑なデザイン・形状のカメラを再現するのは難しいのでは?」と疑問に感じた人もいるはずだ。筆者もまさにそのひとりである。

ただ、今回の取材で試作機を見て疑問は払拭された。細かいところまで忠実に「EOS R5」のデザインを再現していたのである。しかも、レンズを取り外せて変形・合体のギミックにもつながるという、「トランスフォーマー」らしい遊び心や所有欲をくすぐる、ユニークな変形ロボット玩具に仕上がっていた。中途半端なところは一切なく、その完成度の高さに感動すら覚えたほどだ。

発売は2022年2月下旬と少し先だが、すでに予約受付は開始されている。人気が集中すると発売開始時に手に入れられない可能性もあるので、本記事を読んで「手に入れたい!」と感じた人は、ぜひ早めに予約してほしい。

© TOMY
協力:キヤノン株式会社

真柄利行(編集部)

真柄利行(編集部)

フリーランスから価格.comマガジン編集部に舞い戻った、カメラが大好物のライター/編集者。夜、眠りに落ちる瞬間まで、カメラやレンズのことを考えながら生きています。

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