Fenderが、エフェクターぺダルの新シリーズ「HAMMERTONE(ハンマートーン)」をリリース! 基本的なエフェクトを網羅する9モデルを、手ごろな価格帯で揃えてきました。このラインアップと価格は、「初めてのエフェクター」を検討するエントリー&ステップアップ層にぴったりです!
実機をチェックしてみたら、マニア層も納得のクオリティに加え、ハイエンドペダルに迫る機能までちょい足し! エントリーユーザーはもちろん、エフェクター好きギタリスト全般にとって要チェックな製品です!
初めて揃えるエフェクターとしてもぴったり!
ラインアップが多いので前置きはすっ飛ばしていきますが、今回紹介するのはFender「HAMMERTONE」エフェクターペダルシリーズの全9モデル。まず注目すべきはその価格設定。Fenderオンラインストアでは8,800円〜11,000円です(税込、以下同)。
特殊系や変態系はさておき、基本的なエフェクトをおよそ網羅する全9モデルが一挙登場
2022年8月11日現在の、価格.comでの価格情報。各店舗では8,000円から10,000円程度の値付けが多いようです
「激安ペダルほどは安くないけど、ほかの定番ブランドよりはお手ごろ」という絶妙な価格! 激安ペダルに対しては「Fenderブランドへの信頼感」で、ライバルブランドに対しては「お手ごろ価格」で、それぞれ選ばれそう。今後「初心者も安心して購入できるエフェクター」の定番になってくるのではないでしょうか?
しかも「初心者向けってことは、中級者以上やエフェクターマニアはノーマークでOK?」というわけでもないんです。Fenderが手がけるだけに、そのクオリティは、さらに上の価格帯の製品にも負けていません。空間系のモデルに関しては、ハイエンド高機能ペダル的な機能も部分的に搭載しています。これらの機能がピンポイントにハマる人にとっては、さらに超お買い得と言えるでしょう!
改めまして、シリーズ勢揃いペダルボード! このペダルボードとパワーサプライも注目の新製品なので、後ほど紹介します
「HAMMERTONE」の9モデルは、下記のとおり。
このように、シリーズ9モデルで一般的なエフェクトはおよそ網羅しています。強いて言えば、「フェイザー」や「トレモロ」などが欠けていますので、そこは今後の追加に期待しましょう。
共通傾向として、アナログ回路による歪み系は、現代的というよりクラシカルなペダルのそれを踏襲したトーンを得意とする印象。デジタルによる空間系は、ミニスイッチでの「+α」の機能やトーンの豊富さが強みです。
ということでここからは、まずシリーズ共通の注目要素を確認したうえで、各モデルのポイントを、絶妙な下手さ加減のサンプル演奏音源を交えつつお伝えしていきます。
シリーズ共通の要素として最も大きいのはやはり筐体。オリジナル設計のこのケースは、無骨なハンマートーン仕上げと、Fenderらしいハット型カラーノブの組み合わせから生まれる「タフ&ポップ」的な雰囲気が独特です。
形状はシンプルですが、ノブや全体の配色で雰囲気を作り、モデルごとの個性が際立っています
Fenderらしいハットノブに、モデルごとのカラーアクセント。LED色やモデル名のフォントもそれぞれ異なります
細かなところではノブの回転範囲が「0〜10」ではなく「1〜10」なのもFenderっぽい。Fenderってギターのノブもこうですよね。
さこのケース、ルックス的な意味においてのデザイン性だけがすぐれているわけではありません。むしろ注目してほしいのは、これが「機能性にすぐれるデザイン」でもあること。
まずは、入出力と電源の端子を上側にまとめた「トップマウント」スタイル端子レイアウトの採用。端子を側面にレイアウトするサイドマウントと比べての利点は、並べる際にペダルとペダルの間にパッチケーブルが入らないので、ペダル同士の間隔を極限まで詰められることです。
こんな詰め詰め配置も可能!
ケースの大きさ自体は「BOSS的サイズ > 本製品 = MXR的サイズ」という感じ
あまり詰め詰めだと踏み分けにくいので、「いざとなれば詰め詰めにもできる」という余裕があればボード上での配置の自由度は高まりますよね。限度はありますが。
なおバイパス方式は、機械式スイッチによるシンプルなトゥルーバイパスです。
次に、背面カバー中央に注目。スクリューが1本ありますね? というか、1本しかありませんね?
MXRスタイルでは四隅にスクリューがあるのに対して、「HAMMERTONE」の背面カバーでは中央に1本のみ
ということでこのケース、スクリュー1本外すだけで背面カバーを開けられるんです!
ケース本体と背面カバーの接合部が十分な精度で噛み合うので、ちゃんと締めておけばスクリュー1本でもガタガタしません
本シリーズのうち、アナログ回路による歪みペダルは電池駆動にも対応。その際の電池交換がしやすいのも地味にありがたい! マニュアル的には「マイナスドライバーでカバーを取り外し」となっていますが、実際は指先でもどうにかなるのもありがたい!
また本シリーズのうちいくつかのモデルは、表に出ているノブに加えて筐体内のトリムポットでもサウンドを調整可能。その際にも簡単に空くこのケースは便利です。
青のトリムポットを精密ドライバー等で回して調整。合理的な基板共用にも注目
というように、ユーザー目線での使いやすさをググッと引き上げてくれている「HAMMERTONE」のケース。エフェクターマニア目線でチェックしても、「こいつはいいケースだ!」とうならされます。このケースってすごく「組み立てしやすそう」なんです。
いちばんのポイントは、前述のトップマウント周り。入出力と電源の端子は、ケースに開けた穴=◯に通すのではなく、ケースにあらかじめ入れられている切り込み=凹にハメる形で固定されています。
筐体の端子取り付け部は凹のスリット状
このカタチだと、端子類を基板にハンダ付けしてからその完成した基板をケース背面側からスッと入れる形でセットできるんです。
しかもその基板も、
1)エフェクト回路+電源端子のメイン基板
2)入出力端子基板
3)フットスイッチ基板
に分割されており、順々に組み込んでいけるので作業がしやすそう。
組み立てやすく、かつ組み立てミスが起こりにくい設計は、製造クオリティの底上げにつながりますし、製造効率も向上させてくれます。
また入出力端子とフットスイッチの基板は全モデル共通でしょうから、それもコストダウンに貢献しているはず。
つまり、本シリーズの「この価格帯にしてFenderクオリティ!」の実現に、このオリジナルケースも小さからぬ役割を担っていると想像できるんです。これはよい筐体だ!
……と、マニアックポイントも褒めたたえ終えたところで、以降はいよいよ各モデルの紹介です!
各モデルサンプル演奏音源の演奏・録音環境は下記のとおりです。
●Fender Road Worn 60's Stratocaster Mod(SSS配列)
●TRIAL B-1バッファ(トゥルーバイパス9機直列への対策)
●Hammertoneペダル各モデル(主役!)
●Strymon IRIDIUM(プレキシ設定のアンシミュ)
●オーディオインターフェイス経由で録音
●DAWで編集(切り貼りと最小限のリバーブ付加のみ)
カラーはパープル! ファズでパープルといえば……という期待に応えるクラシカルなトーン
「Hammertone Fuzz」は基本的に、強烈に潰れてムームーうなって音が伸びまくるタイプのファズペダルです。ですが、ギター側ボリューム操作への追従も比較的良好。ボリュームを絞れば、高域側のエッジを出した良質なクランチも得られます。また、前段にバッファペダルを置いても古典的なFuzz Faceほど音が激変してしまうことはありませんでした。使いやすい!
OCTAVEスイッチで、アッパーオクターブファズに変化!
基本の3ノブに加え、「OCTAVE」スイッチを装備。元の音程にオクターブ上の音がミックスされる、アッパーオクターブファズのサウンドも得られます。典型的な、「ネック側ピックアップで単音を弾けばちゃんとオクターブ上の音が出る→コードを弾くと音程が破綻したグシャグシャな音になる」系なので扱いにくさもありますが、それを意図的に使うノイズプレイもありですよね。ほか、内部トリムポットで超高域を抑える調整も可能。
サンプル演奏はLUNA SEA「I for You」風のフレーズ。冒頭エフェクトオフ→オン→ギター側ボリュームダウンから、ギター側ボリュームを下げてのクランチでのコードプレイ→ボリューム全開での伸びやかな音での単音、という流れです。
この演奏でのGAINセッティングは8。ストラトとの組み合わせではこのあたりが、ボリュームを絞ったクランチからボリューム全開のロングトーンまで、バランスよい感じです。ロングトーンの伸びや、倍音へのひっくり返りっぷりが気持ちいい!
カラーはレッド! ドライブ系で赤というとアレが思い浮かびますが、別にそれっぽいわけではなく、優秀なドライブペダル
「Hammertone Overdrive」は、基本的にはスタンダードなオーバードライブペダル。なのですが、GAINを上げるとかなりハードかつ深く歪んでくれますし、「PRE-MID BOOST」ノブによってこれ単体でミッドブーストなトーンも得られますし、音作りの幅広さは抜群です。
右上のPRE-MID BOOSTノブに注目。「PRE」なので、歪み回路の前段から中域をプッシュしてくれます
さらに、「Hammertone Fuzz」と並んでギター側ボリューム操作への追従も十分。「このペダルをオンのまま、バッキングからソロまで、ボリューム操作で歪み具合を調整していく」みたいなプレイスタイルにも対応してくれます。内部トリムポットで超高域を抑える調整も可能。
サンプル演奏はLUNA SEA「JESUS」風のフレーズ。全開までまだ少し余裕を残すGAIN=8のセッティングでも、十分ハードな歪みっぷりですよね。Road Worn StratocasterのTexMexピックアップの出力は「シングルコイルとしてはやや強め」程度ですから、もっとハイパワーなギターと組み合わせれば、もっと歪ませることもできるでしょう。
このカラーは……カプリオレンジ? ディストーションのあの名機にも似た色ですが、こちらはイコライザーが強力!
「Hammertone Distortion」も、基本はスタンダードなディストーションペダル。現代的でタイトなディストーションというよりは、80〜90年代のクラシカルなディストーションペダルのサウンドをイメージしてもらったほうが近いかと思います。
低域と高域、それぞれをカット/ブーストできるアクティブ式トーン
アクティブ方式、かつTREBLE/BASSの2バンドのトーンコントロールを装備。さらに内部トリムポットで中域と超高域の調整も可能。ノブとトリムを合わせると低域/中域/高域/超高域と、全帯域を調整できるようになっており、音作りの幅はグンと広げられています。
サンプル演奏はLUNA SEA「ROSIER」風のフレーズ。このようにストラトのネックピックアップと組み合わせると、オルタナティブやラウドではなく、あえて「グランジ」という言葉で表現したくなるような、ファズテイストも感じさせるワイルドなディストーションを生み出してくれます。
カラーはブラック、あるいはチャコール!? ザーザード・ザーザード的なあの時代のスラッシュサウンドも再現できそう
「Hammertone Metal」はその名のとおり、ヘヴィメタル系のサウンドを得意とするディストーションペダル。ジャリッ、あるいはジリジリとしたエッジ感のメタルディストーションが欲しいとき、コレを選べば勝利確定です。
こちらも2バンドのアクティブトーンを装備。なお、LEDを黒く輝かせるのはさすがに無理だったようです……
「Hammertone Distortion」と同じく、豊富なトーンコントロールを装備。すなわちアクティブ方式かつTREBLE/BASSの2バンド構成のトーンノブ、中域と超高域の内部トリムポットです。そのうち特にGAINとTREBLEは、全体的には素直な効き具合でありつつ、全開ポジションではいきなり過激な変化を与えてくれる印象。切り札的にも使えそうです。
サンプル演奏はLUNA SEA「The End of the Dream」風。セッティングは思い切ってGAIN全開! ストラトのシングルコイルとの組み合わせでも、十分にメタリックなサウンドを得られました。
カラーは……オーシャンターコイズ? コーラスの音は「水面の揺らぎ」ともたとえられますから、納得
「Hammertone Chorus」は、スタンダードなコーラスからもっとゴージャスなサウンドまでをカバーするコーラスペダル。コーラスとして基本的な3ノブに加えて搭載された、2つのミニスイッチに注目です。
TONEスイッチで切り替えられる音の明暗は、曲や好みに合わせての調整に大活躍
「TYPE」の3ポジションスイッチでは、上から単音コーラス/2声コーラス/4声コーラスの切り替えが可能。単音は、原音+エフェクト音の最もスタンダードなコーラスサウンド。2声は、効果をより強調するエフェクト音が追加された原音+エフェクト音×2。4声は、原音+エフェクト音×4でさらにゴージャス!
「TONE」スイッチは2ポジションで、通常のコーラスサウンドと高音域を適度に抑えた温かみのあるコーラスサウンドをサクッと切り替えられます。
サンプル演奏はLUNA SEA「JESUS」風のフレーズ。TYPEはややゴージャスな2声にしつつTONEで高域を抑えて「コーラス効果を強調しつつなじみもよいサウンド」を狙いました。この「TYPEは派手に、TONEは地味に」セッティングは汎用的に使いやすそうです。
カラーはたぶん、シーフォームグリーン! フランジャーにしてはさわやかな色合いですが、その実力は?
そもそもフランジャーというエフェクト自体、セッティング次第でさまざまな効果を得られるものであるうえに、「Hammertone Flanger」はミニスイッチでその幅広さがさらに拡張されているフランジャーペダル。ということで、こちらもミニスイッチに注目です。
スイッチの組み合わせでMAX過激なフランジャー効果からトーンへの味付け効果までをセレクトできます
「RES」スイッチには3つのポジションがあり、フランジャー音のフィードバック量=レゾナンスを、上からヘヴィ/ミディアム/ライトに切り替え。ヘヴィにすればいちばん過激なフランジャー効果がかかり、ライトではコーラス的なさわやかサウンドを得られます。
「TYPE」スイッチは2ポジションで、フィードバック極性が変わります。上ポジションで正、下ポジションで負になるのですが、「フィードバック極性の正負って何?」となるかもしれません。ですが、「とにかく上ポジションのほうがフランジャー感が派手になる!」と理解しておけばOKでしょう!
サンプル演奏はLUNA SEA「gravity」風のフレーズ。基本トーンを「Hammertone Overdrive」で作ったうえで、「Hammertone Flanger」をオンにしています。RESもTYPEも上ポジションという派手なセッティングで、空間ごと音をグニャらせてみましたが、フレーズが聴き取れないほどグシャグシャになったりはしていません。過激に効かせても「音楽的な過激さ」をキープしてくれます。
カラーはストレートなブルー! ここまでの空間系は青〜緑系ですが、はたして残りの2モデルは……
「Hammertone Delay」は、基本的な使い勝手と必要十分なサウンドバリエーションを備えたディレイ。こちらも、2つのスイッチで拡張された音作りの幅がポイントです。
2つのミニスイッチによる、複雑すぎないコントロールで、さまざまな音作りができます
「TYPE」スイッチは3ポジションで、ディレイ音の音色を、上からデジタルディレイ/アナログディレイ風/テープエコー風に切り替えられます。
「MOD」スイッチは2ポジションで、上にするとディレイ音にモジュレーション、つまりコーラス的な揺れを加えられます。なおその揺れの速さと深さ、コーラスで言うところのRATEとDEPTHも内部トリムポットで調整可能。
多機能ハイエンドディレイまでは必要ないが、シンプルすぎるディレイも、それはそれで使いにくいかも……みたいな感じってありませんか? 使いやすさ含めて、これくらいがちょうどよくないでしょうか?
サンプル演奏はLUNA SEA「MOON」風のフレーズ。基本トーンを「Hammertone Overdrive」で作ったうえで、「Hammertone Delay」でフレーズを追いかけています。こういった「ディレイ込みで成立するフレーズ」には、クリアなデジタルディレイサウンドが合いますね。逆に、アンサンブルになじむやわらかなディレイがほしい場合には、アナログ風またはテープエコー風のサウンドが合いそう。このモデルなら、そういった使い分けもできるわけです。
カラーは……クラプトンシグでの採用が印象的だったピューターでしょうか? テープの磁性体の色合いなどを意識したのかも
「Hammertone Space Delay」は、ビンテージ機材であるテープエコーやディスクエコーを、音色だけではなく特徴的なディレイパターンまで含めて再現してくれる、テープエコーシミュレーター系ディレイ。ディレイはディレイですから、コントロール系は「Hammertone Delay」とほぼ共通ですが、唯一異なる「PATTERN」スイッチがきわめて特徴的に働きます。
この価格帯のディレイでは搭載例が少ない、ディレイパターン切り替え機能に大注目!
「PATTERN」スイッチは3ポジションで、上ポジションは普通のディレイ。しかし中央ポジションと下ポジションでは、ディレイ音が返ってくるリズムパターンが変化します。たとえば以下の()内の音をディレイをオンにすると……。
普通「タン(タン )(タン )」
変化「タン(タタン)(タタン)」
みたいな独特のリズムになるんです。
これはテープエコーやディスクエコーの「マルチヘッド」機構を再現したリズムなのですが、由来はどうあれ、単に「面白いリズムのディレイ」としても魅力的じゃないですか? もうひとつのスイッチは「Hammertone Delay」と同じく「MOD」で、内部トリムポットの調整も同様に行えます。
サンプル演奏はLUNA SEA「IN SILENCE」風にしたかったのに、全然そう聴こえなかったフレーズ。基本トーンを「Hammertone Overdrive」で作ったうえで、「Hammertone Space Delay」で「タン(タタン)」リズムのディレイを追加しています。音源冒頭でディレイをオンにした直後にその「タン(タタン)」を確認しやすい1音を鳴らしているので、要チェックです!
カラーは……アンティークオリーブを少し明るくした感じ? これまでのリバーブのイメージにない、面白い色合わせです
「Hammertone Reverb」は3タイプのリバーブモードを搭載したリバーブペダル。シマーリバーブなどの強烈なモードは備えていませんが、使いどころの多い「普通のリバーブ」をノブとスイッチの組み合わせで細やかにセッティングできる、汎用性の高いリバーブペダルです。
DAMPノブとTONEスイッチの組み合わせがキーポイント!
「TYPE」スイッチは3ポジションで、上からホール/ルーム/プレート。リバーブの基本3種類って感じですね。スプリングリバーブはないの?と思うかもしれませんが、Fenderは「スプリングリバーブはうちのアンプの基本装備なんで、そっちを使ってください」ってことかもしれません。「TONE」スイッチは2ポジションで、ノーマルモードと、高域を抑えたダークモードを切り替えられます。
コントロール周りでもうひとつ特徴的なのは、残響の長さそのものを設定する「TIME」とは別に、主に高域成分の減衰具合の変化を設定する「DAMP」ノブも用意されること。たとえば「TIMEを長く、DAMPを強く」というセッティングなら、「残響自体は長く続くが、残響の高域成分は先に減衰していく、まろやかなリバーブ感」を得られます。残響全体の明暗を切り替えるTONEスイッチとの組み合わせもポイントです。
サンプル演奏はLUNA SEA「LOVELESS」風。「Hammertone Chorus」で12弦ギター風にダブらせた音色に、「Hammertone Reverb」をオン。プレートモードでTIME長め=残響長め/DAMP低め=高域減衰少なめ/TONEノーマル=音色明るめという、リバーブ感をかなり派手に出すセッティングにしてみました。これとは逆にもっと落ち着いたリバーブを響かせることも当然可能。その響きの色合いの幅広さこそ「Hammertone Reverb」の強みです。
さて今回、Fender社にこの「Hammertone」シリーズの貸し出しをお願いしたところ、冒頭に掲載のように、“その一式が”ペダルボードに組まれ、パッチ&電源配線も済んだ状態で配送されてきました。しかもこれ、同じくちょっと前に発売されたばかりのFender製ペダルボード&パワーサプライなのです!
というわけで、ペダルボード「Professional Pedal Board S」の裏面に、パワーサプライ「ENGINE ROOM LVL12 POWER SUPPLY」が装着されたセットです。
ペダルを並べて固定してある台座的なやつがペダルボード
「Professional Pedal Board」はS/M/Lサイズ展開。今回セットされてきたのは最小のSサイズ
「ENGINE ROOM POWER SUPPLY」はLVL5、LVL8、LVL12の3規模展開ですが、今回セットされてきたのは最大の「LVL12」
ボード形状は「アングルド・スノコ」型。後方を高くして角度を付けたことによる踏みやすさと視認性の向上、スノコの隙間からケーブルを裏面に通すことによる配線の取り回しやすさと見た目のスッキリ感向上がポイント。そして、後方を高くしたことで生まれた裏側のスペースに、パワーサプライを合体させることもできるわけです。
配線を裏通しにできます
「UNIVERSAL POWER-SUPPLY MOUNTING」とのことで、他社のパワーサプライも装着できそうですが、同社製品の組み合わせは一体感がダンチ!
LVL12の場合、高品位9V出力×10に加えて……
9/12/18Vの選択出力×2、さらにUSB-TYPE AとTYPE Cの電源出力も装備! スマホも充電できるペダルボード、爆誕!!
特に驚きなのは「Professional Pedal Board S」のコスパです! ボード本体だけ見て「このクオリティで直販13,750円なら文句なし!」と納得していたのですが、確認してみると、貸し出し配送キットかと思っていたキャリングケースも付属! さらにペダル固定のファスナーテープに、ケーブル固定の留め具まで付属しているのです!
ボードをしっかり固定するためのバンドやシールドケーブルなどを入れる収納スペースなども装備され、使いやすそうなこのキャリングケースがさらっと付属!
ペダル固定のファスナーテープやケーブルタイなど、地味に必須な小物も付属!
裏面でのケーブル取り回しを確実にしてくれる留め具にも注目!
これ、コスパ高すぎでしょ……。
以上、今回はFenderペダルの新シリーズ「Hammertone」全9モデルを、スパパパパーンと紹介させていただきました。
筆者個人としては、エッジ感のあるハードな歪みまでカバーしてくれる「Overdrive」と、この価格帯で稀有な、リズミカルなディレイパターンも選択できる「Space Delay」が気になる!
というように、ラインアップを見渡すと、みなさん何かしら気になるペダルが見つかるのではないでしょうか? 歪み系は王道を押さえたバリエーションが揃えられていますし、空間系モデルは音作りの幅がエントリークラスの枠を超えており、中級者以上も、マニアの方も、研究して使い込める楽しみがありそうです。
ということは、です。エントリーユーザーは、これを買っておけば、これから中級者になっても、うっかり沼に落ちてマニアになってしまっても、愛用し続けられる可能性が高い!
初めてのエフェクターだからこそ、目先のコスパだけではなく、ずっと愛着を持って使い続けられるものを選びたい。そんな方にこそぜひチェックしてもらいたいシリーズです。
オーディオ界隈ライター。現在はポータブルやデスクトップなどのパーソナルオーディオ分野を中心に、下からグイッとパンしていくためにてさぐりで活動中。