2023年春は、「スギ花粉特盛り! 昨年比5倍の大サービス中」キャンペーンが開催中とのことで、外に出る→目と鼻とノドがエグいことになる、という人も多いのでは。少なくとも筆者はエグいです。つまり、このキャンペーン終了期間までは自宅にこもってジッとしてる、というのが正解で間違いなさそう。
とはいえ、それでヒマを持て余してしまうのももったいないわけで……。そこで今回は、家の中で楽しく遊べて、かつ(物理的に)「自分磨き」できる、というカードゲームを紹介します。外に出られない時間はこのカードゲームで遊んで(物理的に)心と身体を研ぎ澄ませる、というのが有意義な時間の使い方ってもんじゃないでしょうか。
そのカードゲームというのが、2023年1月に発売された「やすり神経衰弱」(MONYA)です。
こちらは、クリエイターのもにゃゐずみさんが開発したもので、神経衰弱というおなじみのゲームがベースながら、ある意味、ハードでエッジの効いたゲームに仕上がっています。
活版印刷で指紋の凹凸感を表現したケースもかっこいい「やすり神経衰弱」(MONYA)
ケースの中には、本物の紙やすりをカード化したものが計30枚入っています
指紋を模したデザイン(その理由はすぐわかります)のケースを開けると、中にはルール説明書と注意書きカード各1枚、プレイヤーの遊び方を決める「能力カード」2枚、そしてメインとなる「やすりカード」15種×2枚が入っています。
「やすりカード」は、文字どおり紙やすりをカードの形に成形したもので、#80から#120/150/180/220/240/320/400/500/600/800/1000/1200/1500、そして#2000までの15種類それぞれが2枚1組用意されています。
おそらく世界で最も摩擦係数の高いプレイカードでしょう。めちゃくちゃ扱いづらいです
裏面には、見覚えのある番手表記が。P80=#80(80番)の紙やすりということ
ゲームのタイトルとこの“2枚1組”という部分でピンと来た人もいるでしょう。そう、「やすり神経衰弱」は、この紙やすりの番手を神経衰弱よろしくペアで揃えていくゲームなんです。目と指先の指紋をフル活用して。
遊ぶ際には、まず「やすりカード」をシャッフルして、やすり面を表にして机に並べてください(このとき、紙やすりは超絶シャッフルしづらい、という気づきも得られるでしょう)。
そうしたら、プレイヤーはそれぞれ裏返した能力カードを引き、プレイスタイルを「色覚」か「触覚」のどちらかに決めます。
各プレイヤーは「目隠し(触覚)」か「お手つき禁止(色覚)」か、どちらかの縛りを選択します
プレイスタイルを決めたら、カードを机に広げて対戦開始!
プレイスタイルにはそれぞれ制限があります。
「色覚」プレイの場合は、カードにお触り禁止。やすり面の色味や凹凸の見た目だけを頼りにカードをマッチングさせていきます。「触覚」プレイの場合は、目隠しして視覚情報をシャットアウトする、というストロングスタイル。指先でやすり面に触れて、その感触だけでやすりの番手を合わせていかねばなりません。ぶっちゃけ、「色覚」がビギナーモードで、「触覚」がルナティックモード、という判断で間違いないでしょう。
紙やすりは番手によって表面の色味が違うので、慣れれば何となく見分けられるはず
#1000同士をめくってマッチング成功!
「色覚」でプレイする場合、やすり面は目の粗さによって色味がかなり変わってきますし、視点を下げてやると粒のキラキラ感なども見分けるポイントとして使えます。
で、「このカードとこのカードは、色と粒の雰囲気が同じだな」と思ったら、裏返しましょう。番手の数字が合えばマッチング成功ということで、自分の取り札に。このあたりのルールは一般的な神経衰弱と同じです。
対して、指先の感触だけでやすりの粗さを触り分けるの、想像していた以上に激ムズ! 筆者は工作が趣味ということもあって、紙やすりには日常的に触れていますし、カードで使用されているやすりの番手もほぼ手元に揃っています。なので正直、「言うても触りゃ何となくわかんだろ?」ぐらいの舐めプ気味でトライしたのは認めます。
なんですが、指で触るだけだと、こんなに判別がつかないとは……。自分でも#1000と#2000の区別がつかなかったときは愕然としました。
スリスリと指の腹で摩擦を感じて「これ同じでしょ!」と思っても……
#1000と#2000で大違い! 多少の自信はあっただけにショックも大きい……
指の腹をやすり面に滑らせて抵抗感と粒度を感じ分けるんですが、いわゆる粗目から中目(#80〜240)にかけては、粒のサイズ差が大きくわかりやすいんです。さすがに1つ触っただけで「これは○番手!」と言い当てるのは難しいですが、いくつか触り比べて「これとこれは同じ番手」という判断はつけられそう。
逆に#1000以上の極細目は表面の粒が細かすぎるため、判断には相当な熟練か、もしくは指先の鋭敏な感覚が求められます。
触覚プレイの場合は、色覚プレイヤーに取られる前に、判別しやすい粗目カードを取っていくのがコツかも
しかし、やすり面をなで続けることで指の皮膚がうっすらと削られていくためか、しばらくガチでプレイしていると、指の感覚がちょっと鋭敏になっていくような……単なる慣れかもしれませんけども。
少しずつ「あっ、この極細目の感触、さっき触ったのと近いな」みたいなのがわかるようになってきて、かなりテンション上がる!
写真ではわかりづらいですが、2ゲームほど遊んだ時点で早くも指の腹がヒリついています
これこそがまさに(物理的に)心身ともに研ぎ澄まされた状態、というわけです。
スーッと心を静めてやすり面をスリスリしていると、とてもクリアな気分になること間違いなし。外で鼻水と涙にまみれてベショベショになるよりも確実に有意義だと思いますので、ぜひ遊んでみてください。指は若干ヒリヒリしますけども。
最新機能系から雑貨系おもちゃ文具まで、何でも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は大手文房具店の企画広報として企業ノベルティの提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。