JTは、加熱式タバコデバイスの新ブランド「with(ウィズ)」を立ち上げ、2023年8月7日より「CLUB JTオンラインショップ」で新製品「with2(ウィズ2)」を発売しました。同年9月5日からは、全国のコンビニエンスストアやタバコ販売店などでも発売されます。
「ウィズ2」は「ブラック」と「ホワイト」の2色展開で、価格は各1,980円(税込)。充電時間は約60分
いっぽうで、同年6月、JTは「プルーム・テック」「プルーム・テック・プラス・1.5」「プルーム・テック・プラス・ウィズ」の販売終了を発表。実質的に「ウィズ2」は、それらの後継機であるとともに、専用タバコカプセル「メビウス」シリーズはそのまま「ウィズ2」でも使用できます。
「プルーム・テック」専用タバコカプセルは「ウィズ2」向けにパッケージの表記などが若干変更となるものの、「ウィズ2」と互換性があり、継続使用可能。写真左端の「メビウス・プレミアム・ゴールド・シルク・レギュラー」は新作で、9月5日から全国で販売が開始されます。これによりラインアップは計5種類。各580円(税込)
そんな「ウィズ2」ですが、どのような背景から生まれ、デバイスにはどんな特徴があるのでしょうか。先行体験会に参加し、明らかにしてきました。
新ブランド「ウィズ」とデバイス「ウィズ2」は、コロナ禍を経て、多様的な価値観がより重視されるなか、よりよい人間関係のための周囲配慮や共存に寄り添う想いから生まれました。周囲配慮や共存への考え方は「プルーム・テック」でも発信されてきましたし、数ある加熱式タバコブランドの中でも、JTの製品はニオイの少なさにおいてすぐれていると言えるでしょう。
体験会が実施された「大衆酒場ネオトーキョー下北沢店」
そのうえで、改めて「タバコを楽しむ」「周囲に配慮する」という相反する2つのニーズに応えるべく生まれたのが「ウィズ」と「ウィズ2」です。なお、この「2」は「1に対する2」といった数字の累進性に伴うものではなく、「ウィズによって2つを実現できる」という意味合いとのことです。
アクセサリー類も充実(写真のTシャツはイベント限定品)
「ウィズ2」の特徴は、大きく分けて3つ。
ひとつ目は、加熱の待ち時間がゼロで、オン/オフ自由自在であること。いつでも好きなときに吸い始め、自分のタイミングで止められます。
2つ目は、タバコのニオイをほぼ感じず、燃焼に伴う副流煙が発生しないこと。周囲への配慮はもちろん、自分の服や部屋へのニオイ移りが気になる人にとってもうれしいポイントです。
3つ目は、雑味のないフレーバーと澄み切った味わい。これは、霧化したリキッドがタバコ顆粒の入ったカプセルを通ることで味や香りベイパー(蒸気)を発生させる、「ウィズ」独自の「インフューズドテクノロジー」によるものです。
公式サイトより
とはいえ筆者の感想としては、これら3つの特徴は「プルーム・テック」シリーズを知っている人にとっては大げさなものではないと言えます。味わいを左右する「インフューズドテクノロジー」に関しても、過去シリーズとの大差は感じませんでした。
ただ、見逃せないポイントがひとつ。それは「ノーマルモード」と「ハイモード」2つの加熱モードを搭載していること。そして「ハイモード」にすると、いっそう際立つクリアなフレーバーが楽しめるのです。個人的には、このデュアルモードこそが「ウィズ2」の独自性だと思いました。
2つのモードは加熱温度が異なり、「ノーマルモード」の40度(「プルーム・テック・プラス・ウィズ」と同様)に対し、「ハイモード」は60度。モードの切り替えはボタン1つで可能です
デバイスのデザインに関しては、一見「プルーム・テック・プラス・ウィズ」とそっくり。ただ、並べて比べてみると、サイズや仕様、液晶画面のレイアウトなどに若干の違いがあることがわかりました。
左が「ウィズ2」で、右が「プルーム・テック・プラス・ウィズ」
操作方法も、「ウィズ2」は新たにモード切り替えができることを除けば、ほかに大きな違いはありません。ただ、専用タバコカプセルのリキッドを入れる場所が異なり、「ウィズ2」では底面のパーツをスライドしてリキッドの交換を行います。
「プルーム・テック・プラス・ウィズ」では上部でしたが、「ウィズ2」では底面からリキッドを交換する仕様。カプセルホルダーも不要になりました。なお、カプセルの装着口は、ともに上部です
なお、デバイスのデザイン面に関しては、「プルーム・テック・プラス・1.5」のような細いストレートタイプは用意されていません。こちらについての見解をJTの担当者に聞くと、扱いやすさ(ストレート型は転がりやすく、スクエア型のほうが手のフィット感がよいうえに、ポケットに入れやすいなど携帯性にすぐれている)や機能面(スクエア形状のほうが、加熱技術などを効率的に盛り込みやすい)などを鑑みたうえでの判断とのことでした。また、形状の異なるデバイスを今後発売するかという点についても、今のところ予定はないそうです。
細くて丸い従来モデル「プルーム・テック・プラス・1.5」(写真左上)は転がりやすく落としやすいのです
では、「ノーマルモード」と「ハイモード」の味の違いはどの程度か。実際に吸い比べてチェックしました。
「ノーマルモード」は、「プルーム・テック・プラス・1.5」や「プルーム・テック・プラス・ウィズ」と同様の吸い応え。これは予想どおりでしたが、改めて感じるのは、ニオイをほぼゼロに抑えながら、上品なスモーク感を満喫できる製品クオリティの高さです。
同社の「プルームX」など、高温加熱式タバコよりはやさしい味わいですが、「これぐらいの軽さがちょうどいい」という人も少なくないでしょう
そして「ハイモード」をチェック。
おぉ〜! 確かに「ノーマルモード」よりもボリューミーなアタックとコクの強さがあり、余韻の残り香も長く感じます。なお、そこで気になるのが、吸い応えが強くなる分、消費するリキッド量も増えるのではないかという点。こちらはそのとおりで、1カプセル当たりのパフ回数は「ノーマルモード」で約50回(1箱5カプセル入りなので1箱で計250回)、「ハイモード」で約30回(1箱計150回)です。
「ハイモード」は、味わいが全体的にブーストされる感覚があります。聞けば、ベイパーの量が「ノーマルモード」の1.3倍になるのだとか
また、9月発売の新作タバコカプセル「メビウス・プレミアム・ゴールド・シルク・レギュラー」の味は、まろやかなウッディー感が伸びやかなうえ、クセや雑味はクリアでやわらかい印象。「レギュラータイプが好きだけど強すぎる味は苦手」という人には特におすすめです。
専用タバコカプセル全5製品の、スペック目安一覧はこちら
低温/中温加熱式タバコは、同社の「プルームX」やフィリップ・モリス・ジャパンの「アイコス」シリーズ、BATの「グロー」シリーズといった高温加熱式タバコと比べて喫味が弱くなる半面、ニオイが少ないというメリットがあり、また「高温加熱式は喫味が強すぎる」という人にとっても重宝するデバイスです。
「CLUB JTオンラインショップ」では、「ウィズ2」を1,000円オフで購入できる「のりかえ応援割」キャンペーンを実施中(予告なく終了する場合があり)!
いっぽう、市場に目を向ければ、メジャーな低温/中温加熱式タバコは「ウィズ2」とフィリップ・モリス・ジャパンの「リル ハイブリッド」のみ。今後のシェア争いも気になるところです。
食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とWebメディアを中心に編集と撮影をともなう取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。