ウィスキーにワインにビール、いろんなお酒で試してみた

いつものお酒が高級酒のような味に? 自宅で“樽熟成”ができる「オークボトル」を検証!

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ウィスキーやワインの価格を決める時に重要な指標のひとつとなるのが、樽熟成期間だ。一般的に短いほど価格は安く、長いほど高くなる。味も、熟成の足りないワインを“若い” と表現するように、短いものは深みが足りないことが多い。そんな“樽熟成”が、気軽に自宅でできるというのが、セラヴィ「オークボトル」だ。その名のとおりオーク材でできたボトルで、熟成年数の足りないお酒を入れると、数時間〜2日程度で深みが増しておいしくなるのだとか。本当だとしたら、なんと画期的! さっそく試してみよう。

今回は、ウィスキー、ワイン、ビールを用意。もっとも「オークボトル」と相性がいいのはどれだ?

今回は、ウィスキー、ワイン、ビールを用意。もっとも「オークボトル」と相性がいいのはどれだ?

「小さいボトルに入れれば香りや味わいが移りやすいだろう」というコロンブスの卵的発想

そもそも、ワインやウィスキーを熟成させる樽は大きい。したがって、そこに詰められた酒にまんべんなく樽の味や香りが移るまでは、当然、時間がかかる。ならば、容器のサイズを小さくして、樽とお酒の触れる面積の割合を増やしてしまえば、年数をかけることなく味や香りが移るだろうというのが、「オークボトル」の理論だ。もちろん、樽熟成はただ香りや味が移ればおいしくなるというものではないのだが、それでも重要度は高いので大いに期待できる。

「オークボトル」のサイズは、355mlタイプの「CLV-298-M」と、750mlタイプの「CLV-298-L」の2種類。どちらもアメリカンオーク材を使用しているが、生産は中国だ

しっかりとした作りだが、素材は天然の樫なので個体差があり、色合いが違うことも

しっかりとした作りだが、素材は天然の樫なので個体差があり、色合いが違うことも

ふわりとした自然の樹木のいい香りがする「オークボトル」だが、ポイントとなるのはその内部。木材そのままではなく、本格的なワイン樽やウィスキー樽と同じように、内部を焼き焦がしているのだ。確かに、内側からいい感じに焦がされた香りがする。

お酒を入れるときに結構苦労した狭いボトル口。不器用な人はじょうごを使うといいかも

お酒を入れるときに結構苦労した狭いボトル口。不器用な人はじょうごを使うといいかも

酒を注ぐ前に「スウェッティング」を忘れずに

「オークボトル」は、さあ使おう! と思って、いきなりお酒を入れていいわけではない。下準備として、「スウェッティング」という作業が必要なのだ。最初に使う場合、「オークボトル」は乾燥している状態なので、そこにお酒を入れると木目の隙間からもれ出してしまう。なので、事前に水を入れて木を膨張させ、もれないようにする必要がある。これが「スウェッティング」だ。スウェッティングの必要時間は4〜24時間で、たっぷり1日水を入れたまま放置した後、その水を捨てる。

水を入れると最初は結構盛大にもれるので、注意

水を入れると最初は結構盛大にもれるので、注意

焼き焦がした木材の色素なのか、もれ出てくる水は茶色いので、着色して困るものの上には置かないこと

焼き焦がした木材の色素なのか、もれ出てくる水は茶色いので、着色して困るものの上には置かないこと

水を捨てると、茶色い水とともに細かく黒い焦げた木材の粒も出てくる。神経質な人は、何度か水を入れ替えて捨てたほうがいいだろう

スウェッティング中に下に敷いていた皿には、こんな感じに黒い汚れが

スウェッティング中に下に敷いていた皿には、こんな感じに黒い汚れが

スウェッティングを繰り返しても水もれが収まらない場合は、付属のワックス(写真右)を表面に塗る。今回は必要なかった

どれがおいしい? 3種類のお酒で検証!

スウェッティングが終わったところで、いよいよ「オークボトル」にお酒を入れていくことになる。今回はウィスキーとワイン、そしてビールで挑戦してみた。なお、1本のボトルに種類の違うお酒を入れると味移りの懸念があるため、推奨されていない。事前に何を入れるか決めておいたほうがいいだろう。ちなみに、「オークボトル」を洗う際、洗剤使用は厳禁。土鍋と同じように染み出す成分が重要なので、お湯か水での洗浄のみとなることも頭に入れておきたい。

ウィスキーは、ものすごく高そうな風合いに格上げ

「樽熟成」と聞いて、真っ先に思い浮かぶのがウィスキーだ。筆者の一番好きな酒でもある。選んだのは、高過ぎず安過ぎない「ジャック ダニエル ブラック(Old No.7)」。これに深みが加わるとどうなるのだろうか。

「ジャック ダニエル ブラック(Old No.7)」は、本国アメリカでは「安酒」と称されることも少なくないが、独特の甘やかな香りのおいしいウィスキーだ。素材としてはバーボンの範疇に入るのだが、サトウカエデの木炭でウィスキーをろ過するチャコール・メローイング製法で作られたテネシーウィスキーと呼ばれる

どくどくと注ぎ込む。こぼさず入れるのは結構難しい。7割がた注ぎ込んでキャップを閉め、熟成だ

どくどくと注ぎ込む。こぼさず入れるのは結構難しい。7割がた注ぎ込んでキャップを閉め、熟成に移る

ウィスキーなどスピリッツ(蒸留酒)を熟成するには24〜48時間「オークボトル」に入れておく必要があるのだが、ひと晩経った時点(およそ24時間)で、待ちきれなくなって飲んでみた。色も若干濃くなったような気がする。香りも幾分まろやかになったようだ。

24時間で少々スモーキーさが増したようだ。これなら、俄然48時間のフル熟成が楽しみになってきた

24時間で少々スモーキーさが増したようだ。これなら、がぜん48時間のフル熟成が楽しみになってきた

そして翌日、48時間熟成させた「ジャック ダニエル ブラック(Old No.7)」を飲んでみる。グラスにそそぐと、とろっと濃い色のウィスキーで驚いた。ものすごく高そうなウィスキーの風合いに格上げされている。

熟成前(右)と48時間熟成したもの(左)。もはや色の違いは歴然

熟成前(右)と48時間熟成したもの(左)。もはや色の違いは歴然

念のため、妻の手を借りてブラインドテストしてみるが、その差は歴然。炭の強い香りですぐわかってしまう。ストレートで飲んでみると、アルコールのとげとげしさが取り去られ、マイルドな口当たりになり、香りは複雑怪奇なえも言われぬスモーキーな香り。スモーキーなウィスキーの代名詞「ボウモア」「ラフロイグ」を連想させる強烈な仕上がりだ。味もまた炭の味わいが多少ざらついて複雑になり、アッサムなどの濃厚な紅茶のよう。

本来の甘やかさにまったりとした滋味が加わった新生ジャックダニエル。これはこれでおいしい!

本来の甘やかさにまったりとした滋味が加わった新生ジャックダニエル。これはこれでおいしい!

赤ワインはよくも悪くもフルボディ風に

ワインは赤と白、それぞれで試す。まずは赤ワイン。選んだのは「ボデガス・マツ」というスペイン・トロ産のオーガニックワインだ。なぜ選んだかというと、見てわかる通り、「わんぱく小僧」と「働き盛り」というふうに熟成期間を顔で表現しているから。

若者の顔がついているほうが、3か月熟成の「エル・ピカロ (わんぱく小僧)」で、老けているほうが14か月熟成の「エル・レシオ(働き盛り)」。ちなみに、この上にはちょっと手を出しにくい価格の「エル・ビエホ (長老)」というのもある

つまり、わんぱく小僧顔ワインが「オークボトル」を使うことによって働き盛り顔ワインのようになるのかを確認したかったのだ。2本の熟成期間差は11か月。果たしてその差は埋まるのか? ワインの熟成期間はウィスキーに比べて短めで、通常2〜4時間とのこと。

どくどくと注ぐワインは血液色。きりりとした酸味のある香りが広がる

どくどくと注ぐワインは血液色。きりりとした酸味のある香りが広がる

新しい「オークボトル」は味がにじみ出やすいということで、今回は3時間経ったところでテイスティングしてみた。まず、そのままのわんぱく小僧顔と、「オークボトル」で急速成長させたわんぱく小僧顔をブラインドテストしてみた。これは簡単。フレッシュさ満点のわんぱく小僧に対してオークボトル経由は、大人しく丸みを帯びた舌触りに。味わいはよくも悪くもフルボディ化。ザラザラした味わいが加わり、渋みが増した。

そして、本来の熟成方法で作られた14か月熟成の「エル・レシオ(働き盛り)」と比べてみると……。うわ、なるほど、こうなるのか。艶のある透明感とともにふくよかに花開く香り立ち。ボディ感は弱いものの、実においしいワインだ!

それに比べると、促成栽培的アプローチの「オークボトルわんぱく小僧」は、分が悪い。一見大人びて見えても、若造がカッコつけて大人のスーツを着てしまったような、とっちゃん坊や的な味わいだということがわかってしまった。

「オークボトルわんぱく小僧」は渋みの底が浅く、フレッシュさを失ってしまったことで魅力半減。濃い紫色の水色(すいしょく)もあまり美しくない

元のままのわんぱく小僧味のフレッシュさのほうが、アラが目立ってもおいしいと感じた

元のままのわんぱく小僧味のフレッシュさのほうが、アラが目立ってもおいしいと感じた

白ワインは、フレッシュさが損なわれる……?

ということで、赤ワインは微妙な結果になってしまった。ひょっとして、赤だからクセが強くてよくないのだろうか。続いて、白ワインを試してみる。選んだのは超王道の、激安ではないがコスパ抜群の標準的においしい白ワイン「サンライズ シャルドネ」だ。

シャープでフレッシュな酸味と程よく甘いフルーツ感が特徴の「サンライズ シャルドネ」。どう変化するか

シャープでフレッシュな酸味とほどよく甘いフルーツ感が特徴の「サンライズ シャルドネ」。どう変化するか

ボトルに注ぐのもだんだん慣れてきたので、あまりこぼさないで入れられるようになった

ボトルに注ぐのもだんだん慣れてきたので、あまりこぼさないで入れられるようになった

3時間の「オークボトル」熟成を経て、飲んでみる。うーん、これはまた微妙。角が取れてまろみを帯びたといえばいいが、オリジナルと比べると、すっかりフレッシュさが失われてしまった。

しかも、赤ワインの時よりも変化の度合いが少ない。残念

しかも、赤ワインの時よりも変化の度合いが少ない。残念

そして、ビールは惨敗……

気を取り直して、最後にビールに挑戦だ。ビールは樽での品質保持が難しいためか、現在ではスチールタンクで作られるものが多い。しかし、近年は原点回帰のようにわざわざ樽熟成で作るバレルエイジビールも流行しているので、念のため挑戦してみたかったのだ。

選んだのは、「銀河高原ビール 小麦のビール」。小麦麦芽を使用したスッキリまろやかな味わいのヨーロッパ風ビールで、余計な混ぜ物をしていない品質のよさが魅力だが、時々物足りなく感じるところがなきにしもあらずのビールだ。

「銀河高原ビール 小麦のビール」はヨーロッパでは「ヴァイツェン」と呼ばれ、別名・貴族のビールと呼ばれる品のよい味わいが特徴

スルスルと中に流し込んでいたら、途中で逆流してきた。炭酸だから当たり前だが、ちょっとあわてた

スルスルと中に流し込んでいたら、途中で逆流してきた。炭酸だから当たり前だが、ちょっとあわてた

ビールもワインと同じくスピリッツではないので、3時間ほど経過したところでテイスティングすることに。だがここで問題が。もはやブラインドテストをするまでもなく、大いなる失敗が判明。そう、グラスに注いではみたが、すっかり炭酸が抜けてしまっていたのである。

よく考えたら、水が沁み出すような木製ボトルで、炭酸をキープできるわけがない

よく考えたら、水がしみ出すような木製ボトルで、炭酸をキープできるわけがない

そしてどんなにおいしいビールでも、炭酸が抜けてしまえば台なしだ。やる前に気づけというところだが、一応味わう。香りは飛ぶし、水色は濁るし、まろやかになった気はするが、根本的に飲めたものではない。

惨敗だ……

惨敗だ……

「オークボトル」の威力を最大限に発揮するのなら、スピリッツ系がおすすめ

ウィスキー、ワイン2種、ビールと試してきたが、正直1勝3敗だった。ウィスキーは確実に深みとスモーキーさを高めることができて、おいしくなる。ところが、ワインは赤白ともに今ひとつの結果で、ビールは惨敗。

敗因を分析してみると、蒸留して雑味を排しているスピリッツに使用するのに「オークボトル」は適しているように感じた。ウィスキーなどのスピリッツなら、雑味がない分、「オークボトル」からにじみ出た成分と喧嘩しないのではないか。

ワインで特に感じたことだが、雑味はボディ感を高めるのにひと役買うのだが、同時に本来持っている雑味と過剰に反応し、フレッシュな果実感を消してしまう傾向があるようだ。焦がしたオーク材はスモーキーさに秀でている。ワインにはあまりスモーキーさは求めにくいものだから、合わなかったのではないか。

なので、「オークボトル」を使用するなら、ウィスキー、ジン、ウオッカ、テキーラなどのスピリッツ系を選ぶことをおすすめしたい。2日程度待つだけで、低価格帯の商品では求めにくいスモーキーさを簡単に味わうことが可能になるからだ。まあ、失敗も含めて一連の実験は楽しかったので、あえて冒険してみるというのもいいかもしれないが。

清水りょういち

清水りょういち

元「月刊歌謡曲(ゲッカヨ)」編集長。今はめおと編集ユニット「ゲッカヨ編集室」として活動。家電や雑貨など使って楽しい商品のレビューに命がけ!

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2017.6.23 更新
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