バイク野郎 増谷茂樹の二輪魂

オフロードで本格的に遊べる“MTB×電動アシスト”「TAGETE27.5」の楽しさがハンパじゃない!

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ミニベロやクロスバイク、ロードバイクといったさまざまな車種の電動アシスト自転車が続々と登場する中、日本国内ではあまりリリースされていないのが、マウンテンバイク(MTB)仕様の電動アシスト自転車。MTBはオフロードでもアクティブに乗れる耐久性や強度が必要となるため、バッテリーやモーターを装備した電動アシスト仕様にするには一般的な電動アシスト自転車よりも手間がかかる。日本におけるMTB市場は小さいこともあり、MTBタイプの電動アシスト自転車をあえて手がけようというメーカーは少ないのが実情だ。いっぽう海外では、MTBタイプの電動アシスト自転車は数多くラインアップされている。しかし、残念なことに市場規模や規格の問題などから海外モデルが日本で流通することはほとんどない。しかも、MTB乗りが満足できるレベルで遊べるモデルとなると皆無と言っていい状況だ。そんな中、ついに本格的なMTBタイプの電動アシスト自転「TAGETE(タジェーテ)27.5」(Benelli)が日本に上陸した。2017年春発売予定の「TAGETE27.5」にいち早く試乗した乗り心地をお伝えしよう。

本格的なMTBに電動アシストを装備

1911年にバイクメーカーとして創業し、エンジン付きのバイクレースで輝かしい実績を数々残しているイタリアンブランド「Benelli(ベネリ)」が電動アシスト自転車を手がけ始めたのは、創立100周年を期とした2011年のこと。シティサイクルタイプをはじめ、クロスバイクタイプやMTBタイプといったスポーツ向け電動アシスト自転車を欧米で幅広く展開し、上々の評価を得ているというが、これまで日本国内では販売されず。今回試乗する「TAGETE27.5」は、アシストのプログラミングなどソフトウェアを改良して日本の規格に適合することで、日本初上陸を実現した。

「TAGETE27.5」の最大の魅力は、本格的なMTBに電動アシストを搭載し、オフロードのハードな登りでもアシストを利用できることだろう。価格は19万8000円(100台限定特別価格)となっており、アルミフレームにフロントだけサスペンションを搭載したハードテイルという車体構成のMTBとしては少々高めの価格設定のように感じる。しかし、装着されたパーツに注目してほしい。油圧式のディスクブレーキや信頼性の高いシマノ製「デオーレ」を採用したコンポーネントなど、押さえるべきところには山の中で不安なく遊べるレベルのパーツをしっかり装備。これにくわえ、電動アシストが付いていることを考えると、20万弱の価格も納得と言えるだろう。

サイズは1,790(長さ)×590(幅)mmで、サドル高は840〜1,040mm。ワンサイズのみのラインアップとなるが、165〜185cmの身長に対応するそう。重量は22kgと決して軽量ではないが、モーターと大容量のバッテリーを含んだ重量としては軽く抑えられている

ハイドロフォーミングという手の込んだ手法で成型された6061アルミ製のフレーム。ヘッドチューブはテーパー式で、最新スペックのフォークを搭載できる

近年MTBの主流となりつつある27.5インチのホイール径に、幅2.1インチのブロックタイヤを装着している。サスペンションは100mmストロークの、ロックアウト機構が付いたサンツアー製を搭載。エアスプリングではなくコイルスプリングモデルだが、ダウンヒルのような激しい下りにチャレンジするのでなければ、オフロードでも十分なスペックだ

前後ともに油圧式のディスクブレーキを採用し、少ない力でもすぐれたコントロール性を発揮する

前後ともに油圧式のディスクブレーキを採用し、少ない力でもすぐれたコントロール性を発揮する

リアの変速機は、エントリークラスのMTBによく使われるシマノ製の「デオーレ」というグレード。10段階に変速できる

フロントにはアシストモーターがあるため、変速機構は搭載されていない。近年、MTBの世界ではフロントに変速機を設けず、リアのギアを大きくすることで補う構造が増えてきているが、「TAGETE27.5」はこれを電動アシストでカバーするようだ

リアにサスペンションを装備しない、ハードテイルタイプ

リアにサスペンションを装備しない、ハードテイルタイプ

11Ah(36V)のバッテリーを搭載しており、最長100kmアシスト可能。バッテリーは取り外して充電することもでき、バッテリー残量ゼロの状態から満充電にするには最大7時間かかる

左のハンドルに装備されたスイッチでアシスト力を6段階に切り替え可能

左のハンドルに装備されたスイッチでアシスト力を6段階に切り替え可能

バッテリー残量やアシストレベル、走行速度などは液晶モニターで確認できる

バッテリー残量やアシストレベル、走行速度などは液晶モニターで確認できる

MTBとしての楽しさは健在? 山の中を走行してみた

MTBで山遊びをする場合、登った分を下って楽しむというのが基本スタイル。ゴンドラで登り、下りだけを堪能できるダウンヒルコースもあるが、そういう場所を利用しない限り“自力”が当たり前だ。「TAGETE27.5」であれば、電動アシストが登りの“ツライ”ところを助けてくれるわけだが、急斜面や凸凹としたオフロードでも効果を発揮できるのだろうか。まずは、山中における登りを試してみた(下の動画参照)。

上の動画だと、傾斜はそれほどきつくないように思われるかもしれないが、先に行くと下の写真のような急勾配の登りとなる。電動アシストをオフにしても登ることはできるが、オンにした時のラクさはハンパじゃない。ペダルを強く踏んでもいないのに、スルスルと進んでいく。撮影のために10回以上チャレンジしたが、脚の疲れはゼロ。長めの登りで体力を使ってしまうのはもったいないので、アシストがあることのありがたみを感じた。ただ、少し気をつけたいのはペダルの踏み込み具合。急坂だとついつい力強くペダルを踏みたくなってしまうが、ペダルを踏み込んでからアシスト力が立ち上がるまでに一瞬だがタイムラグがあるため、慣れていないと違和感を覚えることも。一定の速度でペダルを回してさえいれば自転車が勝手に登っていってくれるように走れるので、とにかく同じ速度でペダルを回すことに集中しよう。

直線の登りがラクなだけでなく、アシスト力があることでコーナーを曲がる時の安定性がアップ! 体力と気持ちに余裕ができたおかげだろう。また、フロント側の変速がない機構はギア比の選択範囲が狭くなるが、アシストがパワフルなため、まったく問題なし!

続いては、トレイルライドで一番楽しい下りにチャレンジ♪ ちなみに、下りでは電動アシストは働かないため、純粋なMTBとしての性能がわかる。

シングルトラックを一気に駆け抜けてみた

シングルトラックを一気に駆け抜けてみた

27.5インチのタイヤと100mmストロークのフロントサスのおかげで、普通のMTBと遜色なく楽しめた。ブレーキが油圧式ということもあり、コントロール感も上々。ただ、ハンドル幅はもう少し広さがほしい。「TAGETE27.5」に装備されているハンドルはMTBとしては少々狭めの580mmなため、急勾配を下る際に不安に感じることもあった。もちろん好みの部分なので、純正パーツがあわない時には自分にマッチするものに交換しよう。

ハンドル幅が広いほうが車体を抑え込みやすく、安定性が増す。「TAGETE27.5」のハンドルクランプ径は一般的な31.8mm。ブレーキワイヤーの取り回しなどにも余裕があるので、幅の広いものへの交換に十分対応可能だ

バッテリーやモーターがある分、同クラスの普通のMTBと比べて10kgほど車重は多い。取り回しがしにくそうな印象を持たれるかもしれないが、実際に木々の間を走り抜けたり、方向を変える際も自然に行える。落ち葉が溜まってちょっと抵抗になるような場所も走ってみたが、アシストのおかげでスイスイ走れ、ハンドルを取られることもなく自然に曲がれた(下の動画参照)。

また、木の根っこなどギャップを乗り越える際も基本設計がしっかりしているため、不安感はゼロ(下の動画参照)。倒し込みも重さは感じないので、普通のMTBのように振り回して遊ぶこともできそうだ。ただ、ウィリーしたりリアタイヤを上げたりするのは、少し難しいかもしれない。

これくらいの段差ならば、なんなくクリア! 里山でのMTB遊びには十分使える性能を備えている

これくらいの段差ならば、なんなくクリア! 里山でのMTB遊びには十分使える性能を備えている

試乗を終えて

実は、これまでもMTBタイプの電動アシスト自転車と称するモデルは存在した。しかし実情は、オフロードは走ることができない“ルック車”で、どうしても山の中で使える電動アシスト自転車が欲しい人は、クロスバイクタイプの製品にMTB用のタイヤやサスペンションを装着するなど、改造するしかなかった。「そこまでして、アシスト機能は必要なのか?」という疑問の声もあるだろうが、MTBはロードバイクのように長距離移動が得意なものではない。山へ向かうにしても、山を登るにしても体力の消耗や脚への負荷は大きくなってしまう。そこも含めて好きな人もいるが、MTBの最大の楽しさは“下り”であると感じている人は多い。つまり、「TAGETE27.5」はMTBの楽しいところだけを堪能できる逸品! 体力が温存できるため、これまでは1日に1、2本しか走れなかった区間を3本、4本走るなんてことも可能だ。

そんな可能性を感じつつ試乗してみたところ、予想以上の仕上がりのよさに感動した。バッテリーをはじめとするアシスト機構の搭載位置がよく配慮されているようで、重心配置に違和感を覚えることもなく、普通のMTBと同じように乗ることができた。オフロードでペダルを強く踏み込んだ際の剛性感や木の根や段差を越えた時の安定性、下りでのハンドリングなどもきちんと山道を走れるように設計されている。筆者がMTB好きであることもあるが、とにかく楽しい! これほど楽しめるとは正直想像していなかったので、きっとMTBベテランライダーから初心者まで期待以上の満足を得られるはずだ。海外では「TAGETE27.5」のような“MTB×電動アシスト”モデルが、たくさんリリースされている。「TAGETE27.5」の日本国内販売を期に、もっとMTBタイプの輸入販売が増えることに期待したい。

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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2017.4.26 更新
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