文具対談

「修正テープ」の正しい使い方とは!? 失敗せずにキレイに引ける優秀モデル3選

本連載は、文房具の専門家2人がそれぞれお気に入りの新製品を互いにプレゼンし合う対談企画。専門家として対談を行うのは、テレビ番組「マツコの知らない世界」にたびたび出演する文具ソムリエール・菅未里さんと、文房具コラムサイト「森市文具概論」編集長のきだてたくさんの2人だ。

【プロフィール紹介】
●菅未里(かん みさと/左)……Webサイト「STATIONERY RESTAURANT」を運営する文具ソムリエールとして活躍。大学卒業後、文具好きが高じて雑貨店に就職しステーショナリー担当に。現在は、文房具の紹介、コラム執筆、商品開発、売り場企画などの活動をしている
●きだてたく(右)……1973年京都生まれのライター/デザイナー。自称「世界一の色物文具コレクション(3000点以上)」に囲まれながらニヤニヤと笑って暮らす日々を送る。文房具コラムサイト「森市文具概論」では、文房具魔改造講座などピーキーな記事を連発している

第14回は、菅さんがお気に入りの修正テープ3モデルをきだてさんに紹介。最後には、「修正テープの正しい使い方」も教えてくれた!

【連載バックナンバーもチェック!】
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[第4回]40°の角度がミソ! “美しすぎるペン立て”「マルチスタンド」
[第5回]無抵抗感に目からウロコ! ガラス製「カッターマット」の知られざる実力
[第6回]ニッチ過ぎ! コクヨのインデックスプリンターは東京五輪で需要増?
[第7回]地味だけど歴史的進化! 綴じ具の定番「クリップ」と「ガチャック」の新モデル
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[第10回] 芸達者なカシオの「電卓」大集合! 2画面、丸洗い、余り計算!
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[第12回] 知名度は低いけどすこぶる有能だった! 傑作「蛍光ペン」4選
[第13回]専門家が長年愛用するモデルも! 「機能派ペンケース」は“面倒くさがり”にイチオシ

フリクション派? 修正テープ派?

菅 今回はまた地味なんですけど、私、修正テープが好きなんですよ。

きだて いや〜、僕は消すかもしれない文章を書く時は、基本的に“フリクション系”のペンを使うようにしているので、もう長らく修正テープを使わなくなってますね。

菅 確かに、パイロットの「フリクションボール」が日本で発売されたのが2007年なんですけども、修正テープの国内出荷量って、そのあたりを境にダーッと下がっていってるんですよ。ただ、私は「フリクションボール」はあまり使わない……というか、仕事で使えない時期が長かったので。

きだて ん? どういうこと?

菅 文房具店で販売員をしていたので、複写の伝票を書く時は、まず「フリクションボール」は使えないじゃないですか。なので、それ以外のシーンでも、字を消す時は修正テープだったんですよ。

きだて そうか。そうだよね。

菅 ほかにも、「修正するなら『フリクションボール』じゃなくて修正テープで」という人はおられまして、今でも文房具店に行くとそれなりの面積で修正テープの棚があるんです。

菅さんがすすめる、進化した修正テープ3選

菅さんがすすめる、進化した修正テープ3選

きだて 言われてみれば確かにそうかも。意外と言っちゃ怒られそうだけど、それなりに新製品も出てるし、動きのある市場なんだよね。

菅 いや、私も「修正テープって、こんなにいろんな製品が必要なのかな〜」なんて思ってたんですけど(笑)。

きだて 菅さんが1番怒られるやつだ(笑)。

菅 ところが、私とお仕事をしている編集者なんて、もう信じられないぐらいに修正テープが下手なんですよ! もう、引いた個所を「えっ!?」て2度見するレベルで下手。

きだて あー、いるいる! テープのりとか修正テープが致命的に下手な人。いるわ〜。テープが斜行したり、貼り終わりが欠けたりするんですよね。

菅 修正テープを使わない人の中には、テープを引くのが下手っていうのも理由としてあると思うんですよ。なので、まずはそういう人にも使いやすい修正テープから紹介してみようかな、と。

きだて 修正テープベタな人用の製品ですね。

横引きタイプは修正ベタでもキレイに引ける!

菅 その、信じられないぐらい修正テープベタな編集者さんでも上手に使えたのが、こちら。プラスの横引きタイプ「ホワイパースイッチ」です。横引きタイプっていうと、トンボ鉛筆のイメージが強いんですが、比較的に新製品ということでこちらを紹介します。

横引きタイプのボディが修正テープベタでも使いやすい「ホワイパースイッチ」の「6mmタイプ」

横引きタイプのボディが修正テープベタでも使いやすい「ホワイパースイッチ」の「6mmタイプ」

編集・牧野 ん? 横引きタイプって、どういうことですか?

きだて あ、そもそもそこからの説明が必要ですね。修正テープって“縦引き”と“横引き”があるんですよ。要するにボディの持ち方の話なんですが、ヘッドが紙に触れるように握った状態で人差し指が下を向くように持つのが「縦引き」、横に向くのが「横引き」という分類です。

写真左が、縦引きタイプ、右が横引きタイプ

写真左が、縦引きタイプ、右が横引きタイプ

編集・牧野 なるほど。これが横引きなんですね。個人的には、縦引きよりも横引きのほうが引きやすい気がします。

菅 縦引きタイプで横書きの文字を消そうとすると、手首やひじの角度がちょっと不自然になっちゃう。その編集者さんも、手首をどういう角度にすればキレイにテープが引けるのかわかんないらしくて。

きだて そうかー、それなら横引きタイプのほうがしっくりくるかもですね。

菅 そうなんですよ。横引きタイプを使ってもらうと、キレイに引けるようになってました。

編集・牧野 僕も使ってみていいですか? はー、なるほど。これは確かに手の角度が自然ですね。ラインをスムーズに引けますね。

きだて もちろん縦引きタイプのほうが使いやすいという人もいるんで、「どっちがすぐれている」という話ではないんですが、縦引きを使っていて修正テープを苦手に感じている人なら、いったん横引きに変えてみるのはひとつの手ですよね。

菅 あと、最近、プラスはテープも新しくしたんですよ。「薄さらテープ」と言いまして、白色層の厚みが11%薄くなりました。修正後に上から書き直す時に、ペン先でテープの端を削ったりはがしたりするトラブルが起きにくいんですよ。

きだて 薄くなったことで紙との段差が少なくなった、っていうことでしたっけ。細かいところも地味に進化してますよねー。

菅 もうひとつ、プラスの修正テープで好きなのが、「リバースモード」が使えるところなんです。

きだて あっ、それがあった。「リバースモード」はすばらしいよね。

編集・牧野 「リバースモード」? なんか必殺技みたいなやつですか?

通常の方向(左から右)とは逆方向(右から左)にヘッドを動かしても修正できる「リバースモード」

通常の方向(左から右)とは逆方向(右から左)にヘッドを動かしても修正できる「リバースモード」

菅 プラスの修正テープの中で、先端ヘッドに金属のローラーを採用しているモデルは、ボディを裏返しにすると右から左へテープが貼れるんですよ。

きだて つまり、修正終わりの位置から前に向かって押すように引けるんです。通常の方向に引く場合、右利きの人だと、修正テープのボディに隠れて文章の続きが見えにくいでしょ?

菅 つまり普通の修正テープだと、ヘッドがどこまで進んでるのか確認しづらいんです。でも「リバースモード」だと、それがひと目でわかるので、正確に修正できるというわけです。

裏から透けて見えない修正テープ

菅 では、もうひとつプラスの製品をいっときましょうか。私が文房具店の販売員時代からずっと愛用している「ホワイパー 裏から見えない修正テープ」です。

特殊なテープを採用しており、裏から透かしても修正した内容が見えない

特殊なテープを採用しており、裏から透かしても修正した内容が見えない

編集・牧野 これ、見たことあります! 修正した跡が裏から透かしても見えないやつですよね!

きだて 初めてこれ見た時の素直な感想は、「えー、それ、気にしたことなかったなー」なんですけども。間違いをいちいち透かして見るやつなんているの? って。

菅 実際にプラスの営業さんが、修正した個所を透かして見られるのがイヤで、裏面にも修正テープを貼っていたらしいんですよ。それが開発のきっかけだとかで。

テープの裏側には、アルファベットの文字パターンが印刷されている

テープの裏側には、アルファベットの文字パターンが印刷されている

きだて プラスは以前、DM(ダイレクトメール)の宛名をハンコで隠す個人情報保護スタンプ「ケシポン」がヒットしたからね。その技術がベースになっているんですよ。

菅 テープ裏に「ケシポン」と同様の特殊な文字パターンが印刷されていて、透かしても修正した文面が読み取りにくい、という仕組みです。本当に読み取れなくなるんで、おもしろいですよ。

きだて うん、よくできてるのはわかるんですよ。でも、これを発売したことで、逆に「そうかー、普通の修正テープなら、裏から透かせば修正前の文言が見えるのか」って気づいちゃった人もいると思うんだ。罪なことをするなぁ、プラスは(笑)。

編集・牧野 ……本当だ。普通の修正テープだと紙を裏から透かせば丸見えですね。「裏から見えない」ほうは、確かにほとんど読めませんね。

普通の修正テープ(上)は、裏から透かすと修正前の内容が丸見えに。「ホワイパー 裏から見えない修正テープ」(下)であれば、読み取りが困難になる

きだて じっくりと読もうとすると判読できるかもしれませんが、パッと見た限りはまず大丈夫ですね。のぞき見することに対しての抑止力にもなります。

菅 販売員時代に使っていたのは、ギフト用の製品パッケージに価格が印刷されてる場合、上からこれを引いて消し込んじゃう。油性マーカーで塗りつぶしたぐらいだと価格が読めちゃうんですけど、これなら絶対に大丈夫。

きだて なるほどー! 修正テープをそういう使い方もするんですね。

菅 普段は「贈り物テープ」っていう銀色の透けないテープを貼るんですが、「ホワイパー 裏から見えない修正テープ」も使ってました。自宅でギフトのラッピングをするのにも使えますよ。

空気のように軽〜く引ける革新的な修正テープ

菅 最後はトンボ鉛筆の「MONO AIR」です。

軽い力で修正できる「MONO AIR」

軽い力で修正できる「MONO AIR」

編集・牧野 やっぱり「消す」となるとトンボ鉛筆の「MONO」のイメージが強いですね。

きだて この青白黒の3本ラインが本体に入っているだけで、よく消えそうな気がしますからね。ブランドの強さ、半端ないです。ちなみにこの「MONO AIR」は2年前に発売された製品だけど、当時、文房具好きの間では「すげぇの出たらしいぞ」って、割と騒ぎになりました。キャンペーンもやってたし。

菅 さっき、きだてさんが「修正テープが裏から透けて見えるなんて教えないほうがよかった」的なことをおっしゃってたじゃないですか。私にとってはこれがそうで。「修正テープを引く感触が重い」なんて教えないでほしかったんですよ。

きだて わはは! そういうことかー(笑)!

菅 普通の修正テープの引き心地が重いなんて、言われるまでは感じたこともなかったのにね。トンボ鉛筆のスタッフから「従来の製品は重いですよね? ところがこの「MONO AIR」を試してみてください。……すごく軽いでしょ!」って言われたら、「あっ、言われてみれば、前のは重かった!」ってなっちゃうじゃないですか。

スルスルスル〜と、どこまでも軽いタッチでテープが貼れる感覚が楽しい

スルスルスル〜と、どこまでも軽いタッチでテープが貼れる感覚が楽しい

編集・牧野 重いってどういうことなんですか?

きだて えーとですね。普通の修正テープって、使い終わりにテープを切る時に、テープを送り出す供給リール側から引っぱるような形で切ってるんですよ。つまり、供給リールからテープに常に負荷がかかってるわけです。テープの進行方向とは逆向きから引っぱられてるみたいな感じですね。

菅 対して「MONO AIR」は、本体のヘッドが紙に触れている間は供給リールがフリーで回転して、ヘッドが離れた瞬間にロックがかかってテープを引っぱり切るんです。だから引いてる感触がスイーッと軽い。

トイレットペーパーでたとえた図。どちらが軽く出てくるかは一目瞭然だ

トイレットペーパーでたとえた図。どちらが軽く出てくるかは一目瞭然だ

編集・牧野 なるほど、言われてみると明らかに「MONO AIR」のほうが軽いですね。うん、めちゃくちゃ軽いわ。あと、音も静かですよね。

菅 そう、ギリギリギリッて音がしないですよね。「MONO AIR」は静音設計なので、そういう音も鳴らないんです。今まで普通だと思っていた修正テープが、実は重かったしうるさかった、なんて気づかせないでほしかったんですよね。

きだて いらんことしやがって、と(笑)。

菅 静かなオフィスだとこの音って割と響くんだけど、でもそういうものだと思ってたんですよ。なのに、音がしないモデルがあるとわかっちゃったら、改めて気になるようになっちゃった。

きだて ちなみに、今回は菅さんが持ってきてくれたモデルは初代の縦引きタイプなんですが、最近になって横引きタイプも出たんですよね。

菅 そうなんです。なので、その辺は好みに合わせてなんですけど、まずはこの軽さと静かさは試してみてほしいですね。

修正テープの上手な使い方

きだて 今回は、話の出だしが「修正テープを使うのが下手な人」だったじゃないですか。で、最新モデルを使うと上手に使えるかもしれませんよ、ということなんですが……、本当に大丈夫? これで失敗はなくなる?

菅 えーと、一応修正テープの使い方にはコツもありまして、それも覚えておいてほしいんですよ。

きだて おっ、それはぜひ聞かせてもらいましょう。

菅 ここまで修正したい、という個所までヘッドを動かして、そのまま本体をスッと持ち上げちゃうとテープの端っこが浮いたり、欠けてはがれることがあるんですね。なので、ここで貼り終わり、という場所でいったんヘッドを紙に軽く押し当てるんですよ。それから持ち上げると端がまっすぐに切れるので、修正跡も美しくなります。

軽く押しつけてから離したテープ。まっすぐキレイに切れている

軽く押しつけてから離したテープ。まっすぐキレイに切れている

きだて そのまま持ち上げちゃうと、テープの端が浮いちゃってうまく貼れないこともあるから。1度ヘッドを押し当てて、テープを紙に密着させるのは大事ですね。

菅 あと、今の修正テープってどのメーカーのもだいたい「手振れ吸収機能」が搭載されているので使いやすいんですよ。昔に使っていた感覚で苦手に思ってる人は、新しい修正テープを試してみてほしいです。

きだて そうそう。サスペンションみたいにヘッドがグラグラ揺れるんですよね。なので、ちょっとぐらい不自然な角度で使っても、ヘッドがきちんと紙に密着して、失敗が少ない。

菅 地味なんだけど、使いやすいように日々進化してるんですよ。

【本日の逸品をおさらい】

プラス「ホワイパースイッチ」

横引きボディに、薄くてペン先で削れにくい「薄さらテープ」を搭載したモデル。狙った個所を消しやすい「リバースモード」を採用するなど、修正テープが苦手という人にも使いやすいモデルだ。テープ容量も15mと、たっぷりサイズでコスパも高い。

プラス「ホワイパー 裏から見えない修正テープ」

新開発の3層テープを採用するモデル。テープ裏面に特殊な文字パターンが印刷されており、修正跡を裏面から透かしても判読しづらくなっている。また、本体ヘッドがスライドレバーで出し入れできる構造を採用。片手で扱いやすいだけでなく、常にテープがピンと張られているため、キレイに修正しやすい。

トンボ鉛筆「MONO AIR」

革新的な「エアータッチシステム」により、使い始めから使い終わりまで常に軽いフィーリングで修正可能。また、静音設計により、リールのギリギリという音も大きく軽減されており、静かな場所でも気にせずに修正作業が行える。

【連載バックナンバーもチェック!】
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きだてたく

きだてたく

最新機能系から雑貨系おもちゃ文具まで、何でも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は大手文房具店の企画広報として企業ノベルティの提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。

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