文具対談
文具ソムリエール・菅未里と色物文具ライター・きだてたくが語り尽くす

数秒で付く「爆速のり」&「紫外線硬化接着剤」に驚愕! 18年ベストバイ「接着剤」

本連載は、文房具の専門家2人がそれぞれお気に入りの新製品を互いにプレゼンし合う対談企画。専門家として対談を行うのは、テレビ番組「マツコの知らない世界」にたびたび出演する文具ソムリエール・菅未里さんと、文房具コラムサイト「森市文具概論」編集長のきだてたくさんの2人だ。

【プロフィール紹介】
●きだてたく(左)……1973年京都生まれのライター/デザイナー。自称「世界一の色物文具コレクション(3000点以上)」に囲まれながらニヤニヤと笑って暮らす日々を送る。文房具コラムサイト「森市文具概論」では、文房具魔改造講座などピーキーな記事を連発している
●菅未里(かん みさと/右)……Webサイト「STATIONERY RESTAURANT」を運営する文具ソムリエールとして活躍。大学卒業後、文具好きが高じて雑貨店に就職しステーショナリー担当に。現在は、文房具の紹介、コラム執筆、商品開発、売り場企画などの活動をしている

第15回は、きだてさんが昨年2018年に使いまくったという接着剤を2種類紹介。接着剤を選ぶのが面倒くさいという菅さんの心が揺れ動く!?

【連載バックナンバーもチェック!】
[第1回]「Spotlight プレゼンテーション リモート」
[第2回]「SAKURA craft_lab 001」
[第3回]「エクスシザース」
[第4回]「マルチスタンド」
[第5回]「ガラスカッターマット」
[第6回]「タイトルブレーン2」
[第7回]「3WAYガチャック」&「エアかる」
[特別編] 電子辞書
[第8回] クリアファイル
[第9回] 段ボール箱オープナー
[第10回] 電卓
[第11回] カッター
[第12回] 蛍光ペン
[第13回] ペンケース
[第14回] 修正テープ

きだて 今回はですね、僕の「2018ベストバイ接着剤」を紹介しようと思って。……って、菅さんはあまり接着剤に興味なさそうだな。

菅 いや、普段あんまり触らないジャンルなので、逆にきだてさんが推奨する製品を知りたいです。どんなスゴいのがあるのか。

きだて それ、プレッシャーですね。

工作が失敗しない爆速段ボールのり

きだて えーと、ベストバイと言いつつ、2点紹介します。用途は限定してるけど性能のスゴいヤツと、めちゃくちゃ万能なヤツ。用途が限定されてるモデルからいきましょうか。スリーエム ジャパンの「スコッチ 速く接着する工作のり」です。

名前の通り、接着速度がハンパない「スコッチ 速く接着する工作のり」

名前の通り、接着速度がハンパない「スコッチ 速く接着する工作のり」

編集・牧野 「接着剤」じゃなくて、「のり」なんですね。

きだて えーとね、接着剤ものりも「くっつける」という用途は同じなんだけど、一般的には、くっつける対象が異なると名称が変わる感じかな。のりは主に紙同士の接着用で、それ以外は接着剤って呼び分けがされています。

編集・牧野 へぇー

きだて で、今回の製品は工作のりなので、主に紙用なんですけども。最近の子どもたちにとって、工作用のメイン素材は段ボールなんですよ。

菅 そうそう。通販が一般的になってきたから、家庭に段ボールがいっぱいあるんですよね。

きだて となると、段ボールに最適なのりが必要になってきます。菅さんだったら段ボールの接着には何を使います?

菅 うーん、接着剤を使わない手に出ますね。接着剤っていろんな種類があるじゃないですか。どの接着剤がいいか考えるのが面倒くさいから。切れ目を入れて組み合わせたりして解決しちゃうと思います。

きだて そっちのほうが面倒くさいと思うんだけど(笑)。じゃあ今後は考えずに、この「速く接着する工作のり」を使ってみてください。まず何がいいかって、接着速度が爆速。

編集・牧野 爆速!

きだて たとえば、一般的な紙用ののりだと、段ボールで実用強度が出るまでに数時間。木工用ボンドとかだと30分から1時間ぐらいかな。

菅 そうですね。木工用ボンドは、くっつくまでしっかりと押さえて待っていないといけないですよね。あれは割と面倒くさいです。

きだて 子どもに工作をさせて失敗する最大の原因って、その“接着の乾燥が待てない”なんですよ。くっつくまで固定していなさいって言っても、1分も経たないうちに「もうくっついたかな?」ってめくってみたりして。

菅 私、大人だけど待てないです……。

きだて ところが「速く接着する工作のり」は10秒で間違いなくくっついちゃう。

編集・牧野 えー!! それが本当なら爆速だ。

菅 いやでも、いくら何でも10秒は言い過ぎでしょ。

きだて よいお客さんだなぁ(笑)。じゃあ、実際にくっつけてみましょうか。この段ボールの破片に「速く接着する工作のり」を垂らして……。

サラッとした液体のりを段ボールに数滴垂らす

サラッとした液体のりを段ボールに数滴垂らす

菅 あ、思ったよりシャバシャバの液体なんですね。

きだて くっつけますよ……はい、10秒数えて!

菅 1、2、3……10秒経ったかな? 本当にくっついています? ……あっ、えっ! くっついてる!! 今結構力を入れて引っ張ってますよ。牧野さん、ほらほら。

たった10秒での接着に本気で驚く菅さん

たった10秒での接着に本気で驚く菅さん

編集・牧野 わっ、本当だ! ガッチリ接着できてる。

きだて 本当によいお客さんだなぁ(笑)。それ以上無理して剥がそうとしたら、たぶん段ボールの表面のほうが破れちゃうと思うよ。

編集・牧野 (バリバリ)うわっ、本当だ! 何で!?

きだて どんなに待てない子どもでも、とりあえず「10数えて」ぐらいはいけると思うんですよ。で、10秒待ったら、この通りガッチリと接着できています。

菅 これ本当にスゴいですよ。うわー!

きだて さっき牧野さんが「何で!?」って聞いてくれましたけど、その仕組みを説明しましょうか。最初に見てもらったときに、シャバシャバで水っぽかったでしょ。

菅 うん、水っぽい木工用ボンドみたいな感じでした。

きだて そのシャバシャバが、段ボールの紙の繊維にものすごく速く染み込むんですよ。繊維に浸透する力がめちゃくちゃ強く、水分が失われやすいので、爆速で乾燥するというわけ。

紙に水分が取られることで、乾燥までの時間を大幅に短縮している

紙に水分が取られることで、乾燥までの時間を大幅に短縮している

菅 そうかー。だから段ボールというか、紙専用なわけですね。

きだて ……いや〜、今日は本当によいお客さんだなぁ(笑)。ところがですよ。どっちかが紙なら、もう片方はガラスとか金属とか木材とか、だいたいいけるの。たとえば、段ボールとペットボトルも接着できちゃう。

菅 えー!

きだて さすがに10秒とは言わないですけど、1分も待てば大丈夫ですよ。……ほら!

貼り付けて約1分でこの通り、しっかりとペットボトルにも接着できた

貼り付けて約1分でこの通り、しっかりとペットボトルにも接着できた

菅 うわー、本当にくっついてる!

きだて ペットボトルも段ボールと並んで、最近の子どもの工作素材ですからね。この2つが接着できたら、ほぼほぼ問題ないよね。

菅 確かにそうですよ。

きだて これだけ速いと乾燥が待てずに失敗することがないから、製品名も「速く接着できて工作が失敗しないのり」にしたらよかったのに、ってスリーエム ジャパンの人には言っておきました。

4秒で固まる液体プラスチックの万能接着剤

きだて お次は、万能系の「BONDIC EVO(ボンディック エヴォ)」を紹介。2年ぐらい前に発売された紫外線硬化接着剤「BONDIC」の進化版です。

紫外線硬化樹脂の液体ボトル(下)とUVライト(上)が一体となった「ボンディック エヴォ」

紫外線硬化樹脂の液体ボトル(下)とUVライト(上)が一体となった「ボンディック エヴォ」

編集・牧野 進化版と言われても、元の「BONDIC」を知らないからいまいちピンときていません。

きだて そりゃそうか。菅さんは知っていました?

菅 発売されたときに、きだてさんの解説記事を読みましたよ。スゴい推していましたよね。

きだて うん。今は店頭でも売られていますけど、最初にアメリカのクラウドファンドでスタートしたときから激推ししていました。えーと、じゃあ元を知らない牧野さんに実演してみましょうか。

編集・牧野 なんか拳銃みたいでかっこいいですね。

きだて そう、この拳銃のバレルっぽい下のボトルから透明の液体が出るので、こんな感じで垂らしまして。で、付属のUV(紫外線)ライトを照射します。すると……。

やや粘性のある液体樹脂をペットボトルの側面に出して、同じくペットボトルのプラスチックのキャップを付ける

菅 おおー。もうくっついたー!

きだて 貼り合わせの接着だと、UVライトがうまく当たるように片方が透明素材のほうが都合がいいんですけれども。とにかく、この液体にUVを当てるとわずか4秒で固まるんですよ。

菅 これ、スゴいかも。

UVライトを4秒間照射すれと、しっかりと接着完了

UVライトを4秒間照射すると、しっかりと接着完了

きだて 瞬間接着剤とは言っても、やはり貼り合わせて10秒ぐらいは待つじゃないですか。これは本当に4秒でいけるから、相当に速い。で、もうひとつ面白いのが、これでパテ盛りみたいなこともできるんですよ。

編集・牧野 ん? どういうことですか?

きだて えーとね、こうやって本体ボトルから液体を垂らすでしょ。こんもりと盛り上がるように出したら、UVライトを当てて……ほら、盛り上がったままの形でカチカチに固まっちゃう。

編集・牧野 あっ、本当だ! プラスチックみたいに固まってる!

きだて そう。これ、言わば液体プラスチックなんですよ。1回固まっちゃえば削ったり、ドリルで穴を開けたり、塗装もできたりするんですよ。牧野さん、「価格.comマガジン」でガンプラも担当しているでしょ。これでパーツのすき間を埋めるのも簡単ですよ。

編集・牧野 わー、なんかほかにもいろいろと使い道ありそうじゃないですか。

きだて いけますよー。そもそも「ボンディック」って、アメリカの歯科技工士さんが歯の補修に使ってた、口に入っても安全な成分。だから欠けた食器のフチに盛って硬化させて復元する、なんてことも可能です。金継ぎならぬ“プラ継ぎ”。

食器のフチの透明な部分が、「ボンディック」で新しく継ぎ足したところ。割れた破片がなくても、直せるのがうれしい

菅 そうだ。普通の接着剤だと食器NGと書いてあったりしますもんね。自宅にちょうど欠けたお茶碗あるんですよ。

きだて ちょうどあるのか(笑)。じゃあ補修してみるといいですよ。

菅 きだてさんは、ほかにどんな感じで使ってるんですか?

きだて 僕、実はアクセサリー作りも趣味でやってるんだけど、これラクですよ。ビーズとか貼り付けるのも速いし、ガッチリ接着できるし。

菅 アクセサリー作り、意外すぎる……! あ、でもいいかも。私のイヤリングの耳に付けるリングの部分が、なぜか勝手に開くようになっちゃっていて困っているんですけど、それを固めて固定したいんですよ。

きだて できるできる。アクセサリーの補修とか、ちょっとした改造には最適ですよ。

菅 ヤバい。これ便利じゃないですか。

きだて で、今お見せしてるのが進化版の「ボンディック エヴォ」だって言いましたよね。元のノーマル版「ボンディック」は、この液ボトルのお尻にUVライトがくっついているタイプだったんです。それだと、液体を垂らしてからボトルにフタをして、くるっと回してUVライトを当てる、みたいな無駄な動作があったんですよ。

編集・牧野 あー。そうか! 新しいほうの拳銃型だと、液体垂らしてすぐにUVライトを当てられるんだ。

樹脂を硬化させる作業が片手で行えるのは、かなり気軽だ

樹脂を硬化させる作業が片手で行えるのは、かなり気軽だ

きだて そう。しかもその作業が片手でできちゃう。接着するときって、どうしても片手でパーツを押さえながらになるでしょ。そこでボトルのフタを回してライト当てて……とかやっていると、手がもう1本欲しい状況になるから。

接着剤は悩ましい

きだて 以上が、私的2018年ベストバイ接着剤ですかね。やはり接着するのって待つのがとにかくイヤなんですよ。だから、爆速でくっつくこの2つはとにかく2018年に使いまくりました。

菅 いや、でも接着剤の話を聞いていると、なんかスゴく工作したくなりますね。

菅さん、すっかり段ボール接着が楽しくなってきたご様子

菅さん、すっかり段ボール接着が楽しくなってきたご様子

きだて 接着剤は奥が深いんですよ。今回、菅さんは冒頭で面倒だって言っていましたけれど、僕はホームセンターの接着剤売り場で「うーん、あれとこれを接着するには、どれがベストだ?」とか考えているのが楽しくてたまんない(笑)。

菅 接着剤のメーカーさんに取材したときも、あれは○○系で、これは△△系の接着剤で……みたいな話を聞いていると,頭がこんがらがりますよ。

きだて わからない場合は、売り場の人に相談するのが結局1番早いですね。あとは、僕みたいな「接着剤の話をしたくてたまらん人」を探すか。

菅 (それも面倒くさいことになりそうだな……)

【本日の逸品をおさらい】

スリーエム ジャパン「スコッチ 速く接着する工作のり」

紙や段ボールなどの紙同士を約10秒で強力接着できる工作のり。乾燥後はかなり強度が出るので、大がかりな紙工作にも使いやすい。また、水性タイプなので、手についても水で簡単に洗い落とせるのもポイント。

オリエント・エンタプライズ「ボンディック エヴォ」

紫外線硬化型の液状接着剤。付属のUVライトを照射することで、液状から約4秒でプラスチックのように硬化する。プラスチック/金属/木材/PVC/ゴム/皮革など、幅広い素材に対応。また、少しずつ盛りつけることでパテのように穴埋めも可能だ。

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[第1回]「Spotlight プレゼンテーション リモート」
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[第12回] 蛍光ペン
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きだてたく

きだてたく

最新機能系から雑貨系おもちゃ文具まで、何でも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は大手文房具店の企画広報として企業ノベルティの提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。

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