文具対談
「フリクション」や「ジェットストリーム」が牽引!

2020年は「細字ボールペン」が流行る! 次世代モデル3本が優秀過ぎ

本連載は、文房具の専門家2人がそれぞれお気に入りの新製品を互いにプレゼンし合う対談企画。専門家として対談を行うのは、テレビ番組「マツコの知らない世界」にたびたび出演する文具ソムリエール・菅未里さんと、文房具コラムサイト「森市文具概論」編集長のきだてたくさんの2人だ。

【プロフィール紹介】
●菅未里(かん みさと/左)……Webサイト「STATIONERY RESTAURANT」を運営する文具ソムリエールとして活躍。大学卒業後、文具好きが高じて雑貨店に就職しステーショナリー担当に。現在は、文房具の紹介、コラム執筆、商品開発、売り場企画などの活動をしている
●きだてたく(右)……1973年京都生まれのライター/デザイナー。自称「世界一の色物文具コレクション(3000点以上)」に囲まれながらニヤニヤと笑って暮らす日々を送る。文房具コラムサイト「森市文具概論」では、文房具魔改造講座などピーキーな記事を連発している

次世代細字ペンが2019年後半から年末にかけて登場!

きだて 今月は、きだてからの紹介ターンと言うことなんですが……、年末になると、僕や菅さんみたいに文房具の仕事をしていると、「来年以降に流行る文房具」みたいなのをいろんなところで聞かれるじゃないですか。

菅 聞かれますねー。

きだて で、僕は「これから、細字ボールペンが流行るんじゃないか」と答えてるんですよ。

菅 ほほう。

きだて ここ10年以上の間、ボールペン界隈は低粘度油性インクが人気なんですよね。「ジェットストリーム」(三菱鉛筆)以降のヌルヌル系というか、なめらかな書き味のヤツ。で、そろそろその反動が来るんじゃないかなー、と。

菅 おー、反動ですか。私が中学生ぐらいの頃って、細字がスゴいブームで。「ハイテックC 」(パイロット)なんかがテレビでたくさんCMを放映していた時期なんですよ。あのカリカリした書き味が流行ってたのが十何年前で……いや、考えるのやめよ(笑)。

きだて ただ、その頃のカリッカリな書き味そのままじゃなくて、細字なんだけど適度になめらかで、カリカリし過ぎず書きやすい。そういう最新の次世代細字ボールペンが、2020年は来るんじゃないかと思ってるのね。まさにそういったモデルが2019年後半から年末にかけて発売されているので、今回はそれを紹介しましょう。

書き味まですぐれた最新「フリクション」

きだて 発売された順に紹介してみましょうか。こちらは菅さんご存知ですかね。

菅 はい、買いました!

書きやすく進化したフリクションボール「フリクションポイントノック04」(パイロット)

書きやすく進化したフリクションボール「フリクションポイントノック04」(パイロット)

きだて 2019年9月に発売された、パイロットの「フリクションポイントノック04」です。おなじみの“こすって消せるボールペン”の最新版ですね。使ってみてどうでしたか?

菅 私はまず、“ビジュアル買い”なところはあったんですよ。そこまで細字にこだわってたんじゃなくて、見た目がカッコいいなー、って。

きだて あー、はいはい。クリップや先端コーンが樹脂から金属パーツに変更されて。価格は20円アップしただけなんだけど、高級感が出たというか。

菅 印象、だいぶ変わりましたよね。でも、メインはそこじゃないんですよね。

きだて そうそう。書き味がねー、スゴくよくなっているんですよ。今までにもフリクションシリーズにはキャップ式の「フリクションポイント」って0.4mmモデルや、ほかにも0.38mmモデルなんてのがあったんですが、あれ……言っちゃなんですが、書きにくかった。

菅 はい……(苦笑)。

きだて 従来の「フリクション」シリーズのペン先には、細いパイプの先端のボールからインクが出る「パイプチップ」を採用していたんですけど。細いパイプを通る構造上、インクの出が悪いんですよ。なので、素早くシャッとペンを走らせるとインクが途切れちゃったりとか。

菅 あー、はいはい! わかります。そうですよね。

従来の「フリクション」シリーズ(上)と「ポイントノック04」(下)のペン先。「シナジーチップ」はキュッと先端が細くなっている

きだて インクの出が悪いので、すべりも悪い。だからスゴくカリカリしちゃうんです。ところが「フリクションポイントノック04」は、「シナジーチップ」という新しいペン先を採用してるんです。

菅 同じパイロットの「ジュースアップ」ってボールペンで初めて使われたチップですよね。0.3mmと0.4mmで、あとから0.5mmも出ましたけども。

きだて そう。「パイプチップ」と、あと最も多く使われている円錐型の「コーンチップ」を合わせて“いいとこ取り”したのが「シナジーチップ」でして。「パイプチップ」みたいに細い字が書きやすく、「コーンチップ」のようにインク流量がたっぷり。だから、スゴく書きやすい。

菅 実は私、「ジュースアップ」の愛用者なんですよ。で、これと同じ「シナジーチップ」の「フリクション」が出るぞ、という話を聞いて、興味を持ったというか……(黙々と書き始める)。

対談中にも関わらず試し書きに集中し出す菅さん

対談中にも関わらず試し書きに集中し出す菅さん

きだて いきなりめっちゃ細かいの書いてんなー(笑)。

菅 細書き系のペンって、5mm方眼のひとマスに何文字書けるかって、やりません?

きだて やるやる(笑)。

菅 うん、全然カリカリしない。

きだて 0.4mmぐらいだと、だいたいカリカリ感が気になるという人が出てくるんだ。でも、これはインクがたっぷり出るからか、細字なのにスルッと書ける。でもすべりすぎず、適度にコントロールが効く感じっていうか。……菅さん、夢中で5mm方眼を埋めるのやめて(笑)。

菅 でも、5mm四方のスペ―スの中に、横の線を細かく引いていっても、線が全然つぶれないのはスゴいですよね。楽しいですよ。

0.4mmの細さを生かして、シャープでくっきりとした線が書ける

0.4mmの細さを生かして、シャープでくっきりとした線が書ける

きだて 僕は基本的に細字が好きなので、普段はゲルインクの0.38mmを使ってるんですが、「フリクション」で書くときは0.5mmだったのね。「消せるから使いたいんだけど、『フリクション』の細いのは書き味がアレだしな……」って。でも、「フリクションポイントノック04」があればもう大丈夫ですよ。書き味を我慢しなくていい“細字フリクション”って、最高じゃないですか。

選べる多色「コレト」も「シナジーチップ」を搭載

きだて 続いてもパイロットなんですが、「ハイテックCコレト」の新色ですね。「コレト」って、多色軸に自分の好きなリフィルを選んでセットできるタイプのペンでして、今までも普通に0.5mm〜0.3mmのゲルインクリフィルがラインアップされていました。で、そこに新色が追加されたんですが、これが0.4mmの「シナジーチップ」搭載ということで。

「シナジーチップ」で書き味がアップした「ハイテックCコレト」新色リフィル

「シナジーチップ」で書き味がアップした「ハイテックCコレト」新色リフィル

菅 おおー。

きだて 菅さんも愛用してる「ジュースアップ」って、0.4mmの細字なのに、「金」「銀」のメタリックインクがラインアップされているじゃないですか。メタリックインクって粒子が大きいので、細字は難しいんですが、「ジュースアップ」の「金」「銀」はキラッキラなきれいな発色で人気になっているんですよね。で、それが「コレト」にも入ったということで、メタリック6色、蛍光色6色、パステルカラー6色の18色がラインアップされています。割と特殊カラーがそろった感じかな。

菅 これは……パイロットさんがドヤ感を出すために発売した、っていう解釈でいいのかな。「我々はこんなこともできるぞ!」的な(笑)。

きだて 技術アピール的な。「メタリックブルー」とか「メタリックパープル」とか、確かに「どこで使うねん?」みたいな色ですけども。

菅 だってこれ、スゴくないですか? このメタリックとか、詰まったりしないのかな……。

超極細字でも、キラキラに光るメタリックカラーに驚きが隠せない

超極細字でも、キラキラに光るメタリックカラーに驚きが隠せない

きだて あとは、ラインマーカーみたいな蛍光色とパステルカラー。最近は、ぺんてるが「ハイブリッドミルキー」を復刻させたということで、パステルカラーもちょっと話題ですよね。

菅 「ハイブリッドミルキー」、私も買っちゃった。

きだて 僕も買っちゃった。あれに近い、黒の紙に書いてもきっちり発色するパステルカラーが、しかも自分で色を選べる「コレト」に入ったというのがポイントですよねー。

菅 いやー、ホント、この多色軸に自分の好きなメタリックとかパステルが入るんだと思うと、驚きますよね。

きだて 細字でカラフルにしたい用途としては手帳かな。バレットジャーナルとか、徹底的に手帳のページを装飾したいって需要があるでしょ。

菅 あ、すっごい細かい柄をぶわーっと書き込む人、いますね。アートの世界に近いヤツ。なるほどー。

きだて これも「シナジーチップ」を搭載しているので、素早くシャッと線を引いても途切れないし、やっぱり書き味は秀逸。

菅 うん、気持ちいいですね。あと、これだけ細字でもきっちりメタリックは光ってますね。「金だ!」ってわかる発色してますよ。

きだて このカラフルさと書きやすさがマッチすると、楽しさはアップしますよね……って、だから黙々と5mm方眼に線を書くな(笑)。

5mm方眼ひとマスにびっしりと線が書き込める

5mm方眼ひとマスにびっしりと線が書き込める

菅 見てください見てください! ほら、5mm方眼に1、2、3……8本! ちゃんと線がつぶれずに書けてますよ。しかも光ってるー!

きだて 楽しそうだなー。

次世代細字の大本命? 「ジェットストリーム」の0.28mm

きだて パイロットだけが次世代細字をやってるわけじゃないぞ、ってことで、やはりゲルインクでこれまでも0.28mmとか0.38mmを出し続けてる三菱鉛筆も黙ってないわけですよ。というわけで……。

菅 来ましたね。これ、すっごい楽しみにしているんですが、まだ触ってないんですよ。

きだて 三菱鉛筆と言えば、これまで「ジェットストリーム」で低粘度油性インクブームを牽引してきたわけですが、その「ジェットストリーム」シリーズでついに超極細0.28mmを出してきたんですよね。はい、これが12月20日発売の「ジェットストリームエッジ」です。

油性ボールペンで世界最小径0.28mmの「ジェットストリーム エッジ」

油性ボールペンで世界最小径0.28mmの「ジェットストリーム エッジ」

菅 2019年9月の展示会では、試作品を触らせてもらったんですが、11月の段階でまだ「最終調整しています」って三菱鉛筆さんから聞いてて。だから最終版は今初めてですね。

きだて はい、これが発売された完成版ですよ。……どう? 低粘度油性0.28mmの威力は。

菅 ……すっごい!

きだて ゲルとか水性よりも油性のほうがにじみが少ないので、ゲルインクの0.28mmよりもさらに線は細く感じると思うよ。で、さっきも言った通り、三菱鉛筆はゲルインクで超極細ペンを出しているんだけど、さすがに0.28mmとなるとカリッカリすぎて使いづらいなと思ってたんだ。そこが低粘度油性インクになると、かなりカリカリ感が少ない。

菅 カリカリ感は少ないというか、ない。ほら、5mm方眼に「あいうえおかきくけこ」まで書けましたよ。10文字も入った!

きだて こっちがしゃべっている間に黙々と書いてるかと思えば……。おっ、今度は線ですか? 何本入るかな?

菅 14本!

きだて 入ったねー(笑)

ついつい、どこまで小さく書けるのか試したくなる細さ

ついつい、どこまで小さく書けるのか試したくなる細さ

菅 しかも無理なく入りましたよ。スッスッて書いただけだから、慎重に書いたら絶対もっと入る! そして、線を書いてる間にインクが途切れないから、きれいに書けますよね。インクが切れないし、溜まらないし。で、ひっかかりもないのがとにかくスゴい。

きだて 細字でここまでスルッと気持ちいいのは、さすがに今まで見たことないですよね。「ジェットストリーム」の低粘度油性インクって、サラサラ&スルスルが身上のインクじゃないですか。だから、それがわかりやすい太字のほうは理解できるんだけど、まさか超極細でここまで効果的だとは思ってもなかったのね。

菅 きだてさん、三菱鉛筆さんの展示会を見たあとにTwitterで「これは好き嫌い分かれるかもだけど、スゴいの出るらしいぞ」って言ってましたよね。

きだて うん、言いましたね。細字好きの人って、「徹底的にカリッカリな書き味だから好き!」って人も結構いるのね。なので、そういう人からしたら、このなめらかさは納得できないかもなー、と思ったの。

菅 あー、逆に。

きだて 逆に。ただ、細字のカリカリが好きじゃないという人は、これで細字の面白さに目覚めるかもしれない。それくらいのポテンシャルは持ってるんですよ。あと、ビジュアル買いの菅さん的には、このデザインはどうですか? 割と特殊なルックスですけども。

菅 カッコいいと思いましたよ。いいなーと思ったのが、細い感を出してきてるこのワイヤークリップ。あと、軸全体も後部が細くて、だんだん太くなって、最後がまたキュッと絞ってきてるこの感じ。これもカッコいい。あ、ほら見てください。「あいうえおかきくけこさしすせそ」まで入りましたよ。15文字!

きだて 菅さん、器用だね。

菅 いや、落ち着いて書いたらもっといけそうだなと思って。

きだて ちなみに、さっきのパイロットの「シナジーチップ」とはちょっと違うんですけど、こちらも「ポイントチップ」という新開発のチップを採用してます。インク流量は増やしつつ、先端は細く、みたいな……、菅さん、だからホント、黙々と細字チャレンジやめて(笑)

5mm方眼ひとマスに「あ」〜「と」まで20文字書き入れることに成功! それでも字は、つぶれずにきちんと可読性を保つレベルだ

菅 やりました。5mm方眼に「たちつてと」まで、20文字いけましたよ。

きだて どこまでいくんだ。

【まとめ】細字ボールペンの時代、来るか?

きだて どう? 菅さん的には今回の3本を見て、細字は2020年来ると思う?

菅 うん、来そうですね。細字はカリカリしてイヤだ、って言っている人ほど、今の細字ボールペンを試してみてほしいですね。感動するから。全然違う。

きだて あと、僕が「細字が来るぞ」って言っているもうひとつの理由があって。コクヨの手帳「ジブン手帳」のダイアリーが、2020年度版から紙が変更になるのね。従来の「トモエリバー紙」から、コクヨ自社開発の新しい「シンペーパー」っていうヤツに。

菅 はいはい、そうですよね。

きだて で、前の「トモエリバー」はコシが弱いからカリカリ感が強調されて、細字と相性悪かったんだ。ところが「シンペーパー」は細字でもしっかりと受け止めてくれて、スゴく書きやすいの。

菅 へぇー! そうか、「ジブン手帳」のあの細かい3.5mm方眼にも細字でびっしり書きやすくなるんだ。

きだて 手帳ってやっぱり細かい文字を書きたいじゃないですか。そういう意味で、手帳側からも細字を受け入れる下地ができたように思うんだ。

菅 これはセットで使ってほしいですね。流行るな、これは。

本日の逸品をおさらい

パイロット
「フリクションポイントノック04」

おなじみの消えるボールペン「フリクションボール」シリーズ最新版。細字でもたっぷりのインクフローを確保できる「シナジーチップ」により、文字がかすれることなく、くっきりと書くことができる。書き味もなめらかさが大幅アップし、快適になった。

パイロット
「ハイテックCコレト 0.4mm 新色レフィル」

色が組み替えられる多色ボールペン「ハイテックCコレト」の新色リフィル。0.4mmの「シナジーチップ」搭載で、従来であれば難しかったメタリックの細字も、インク詰まりなく書くことが可能。ラインアップは「メタリックカラー」「パステルカラー」「蛍光カラー」各6色の合計18色で展開。

三菱鉛筆
「ジェットストリーム エッジ」

油性ボールペンとしては世界最小径となる超極細0.28mm径の「ジェットストリーム」。スルスルとなめらかな低粘度油性インクと組み合わせることで、ここまで細くてもカリカリせずスムーズな書き込みができる、まさに新世代の細字ペンだ。

きだてたく

きだてたく

最新機能系から雑貨系おもちゃ文具まで、何でも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は大手文房具店の企画広報として企業ノベルティの提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。

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