健康増進を図るなら、まずは睡眠の質改善から。睡眠対策にはさまざまな方法がありますが、毎日使う寝具を変えてみるのも、ひとつの近道と言えるでしょう。なかでもおすすめなのが、比較的安価な価格で購入できるマットレスです。そこで、マットレス選びのポイントをプロが徹底ガイド。さらに、価格.comマガジン編集部が4,000〜4万円前後のおすすめ8製品を紹介します。
<選び方解説、監修> 村野友明氏
バンタンデザイン研究所空間デザイン科卒業後、大塚家具などで約12年間、インテリアコーディネーターとして活躍。さまざまなテイストのインテリアを提案し、著名人や富裕層から支持を集める。「スリープアドバイザー」「整理収納アドバイザー」「エルゴノミックアドバイザー」有資格者で、インテリア全般に精通。自宅は趣味のサーフィンに合わせた「西海岸風」のインテリア。
毎日の睡眠を質を改善すれば、疲労やストレスを解消できるだけでなく、腰痛対策が図れたり、余計な食欲を抑えられたりと、健康面でさまざまなプラスの効果が期待できます。そこで、手軽に睡眠の質を改善できる寝具として注目したいのが、マットレス。比較的安価な価格で購入できて、床の上やベッドフレームに置いたり、敷布団や今あるマットレスの上に重ねたりと、自在に活用できるのが魅力です。最近では、高機能なマットレスが続々と発売され、プロのアスリートにも愛用されるなど、ますます注目度が高まっています。
マットレスの種類を大別すると、低反発タイプと高反発タイプ、そしてコイル式の3つに分けられます。低反発マットレスと高反発マットレスは、クッション素材にウレタンフォームやファイバーなどを採用している点で共通ですが、押し込んだ時の跳ね返り方が異なります。また、コイル式マットレスは、ウレタンフォームなどをコイルやスプリングで支えたもので、さまざまな構造のものがあります。マットレスの寝心地は、寝る人の体格や体質に左右されるので、一概にどれがいいとは言えません。自分の体に合ったものを選ぶことが重要なのです。
マットレスのタイプ別比較
低反発/高反発/コイル式
体圧の分散性 ◎ / 〇 / 〇
反発力の高さ △ / ◎ / ◎
振動しにくさ 〇 / △ / ◎
へたりにくさ △ / 〇 / ◎
通気性の高さ △ / 〇 / ◎
収納しやすさ ◎ / ◎ / △
低反発マットレスは、押し込んだときの跳ね返りが遅いものを指します。もともとは高機能な衝撃吸収材を寝具に流用したのが始まりで、体のラインによくフィットして圧力を分散するため、横向きでも寝やすく、包み込まれるような寝心地が好きな人におすすめです。ただし、体がマットレスに埋もれ、寝姿勢が崩れてしまうようだと、かえって疲れたり、腰に負担をかけたりしてしまうことも。また、低反発マットレスは高反発マットレスに比べて蒸れやすく、へたりやすいなど、通気性や耐久性の点で劣るのがデメリットです。
これに対して高反発マットレスは、押し込んだときの跳ね返りが速いものになります。体圧分散性は低反発マットレスに劣りますが、高反発マットレスは寝返りをしやすいのがメリット。寝ている時に腰が落ち込みにくく、よい寝姿勢を保ちやすいので、仰向け寝が多い人や、腰痛対策を図りたい人におすすめです。また、低反発マットレスと比べると通気性や耐久性にすぐれるものが多く、手洗いができるものもあります。最近では、新しい素材や製造技術を用いて体圧分散性を高めた製品が続々と発売されており、低反発マットレスより製品数が増加しています。また、低反発マットレスと高反発マットレスには、折りたためる製品が多いので、収納性の高さも大きな魅力です。
コイル式マットレスには、バネが連結して面で体を支えるボンネルコイルや、バネが独立して点で体を支えるポケットコイル、1列を1本のバネで作る高密度連続スプリングなどがあります。特に、ポケットコイルや高密度連続スプリングを用いたものは、高い体圧分散性と弾力、耐久性を兼ね備えており、寝返りをしても振動が伝わりにくいという特徴があります。夫婦やお子さんとなど、家族複数人で寝る人におすすめです。ただし、コイルの素材や加工形状、サイズによって、価格帯に大きな差があり、高級ホテルで採用実績のあるダブルサイズ以上の製品は、一般家庭向けとしては高額なものが多くなります。
マットレスは硬すぎてもやわらかすぎても、体に負担をかけてしまいます。マットレスの硬さが自分の体に合っているかどうかは、マットレスに仰向けになった状態で、腰やお腹の位置から判断しましょう。このとき、背中の下から腰にかけての部分にスペースができる場合は、腰に負荷がかかっているので、マットレスが硬すぎると考えられます。いっぽうで、深呼吸をした時に、お腹に力が入る場合は腰が沈み込んでいるので、マットレスがやわらかすぎると考えられます。
自分に合ったマットレスをしっかりと見極めるのなら、店頭で寝心地を確かめることも重要です。もちろん試すのは、店員さんの了承を得てからにして下さい。このとき、ジャケットなどの上着や靴を脱ぎ、リラックスして5分間、まず仰向けの状態で休んでみましょう。さらに、そのまま寝返りをしたり、横向きになったりして試します。新調したマットレスを1週間ほど使用してみて、腰や肩のつらさが少しでもやわらいだと実感できれば、その後の体への負担がかなり違ってくるはずです。また、マットレスと枕や掛けふとんの組み合わせも重要。店頭にある枕や掛け布団の中から、普段使っているものに近い仕様のものを使って、寝心地を確かめてみてください。
ここでは、4,000〜4万円前後で買えるおすすめのマットレス8製品を、価格.comマガジン編集部がピックアップ。シングルサイズの各製品について、見どころを徹底解説します。
(※製品価格は、2020年5月15日時点の価格.com最安価格などを基にしています)
通気性の高い固わたを使用した高反発マットレス。4,000円で購入できるという安価な価格ながら、折りたたみができて収納にも便利です。初めてマットレスを購入する人や、今あるほかの寝具との組み合わせで寝心地を高めたい人におすすめ。ニトリのマットレスはコストパフォーマンスにすぐれているので、同じ価格の他社製品よりワンランク上の機能を備えた製品が購入できます。
サイズ:シングル(セミダブル/ダブルもあり)
クッション素材:ウレタンフォーム
タイプ:高反発
厚さ:約5cm
重量:約2.55kg
その他:折りたたみ(3つ折り)
体を包み込むようなフィット感と高い弾性力、復元力を兼ね備えた低反発素材「ウルトラヴィスコエラスティック」を採用した「トゥルースリーパー プレミアム」のリニューアルモデル。従来の抗菌・防カビ機能※1、に加え、マットレス本体とインナーカバーに防ダニ仕様※2が施されるなど、衛生面がさらに進化しました。本体を保護するインナーカバーは、通気性のよいメッシュ面を春夏用として、なめらかなスムース面を秋冬用として使い分けられるリバーシブル仕上げになっています。マットレス本体は日本製なので品質も安心。
※1 すべてのカビを防ぐものではありません。
※2 第三者機関でJISL1920を参考にした自主試験を実施。
サイズ:シングル(セミダブル/ダブル/クイーンもあり)
クッション素材:ウレタンフォーム
タイプ:低反発
厚さ:約5cm
重量:約5.2kg
その他:抗菌、防カビ、防ダニ
アスリートにも人気の高機能モデル。約1200個の凹凸が体圧を効果的に分散し、その下のベース部分が体をしっかりと支えて理想的な寝姿勢を保持します。中間層に通気性の高い新素材「レフレフォーム」を採用してクッション性を高めているほか、体圧のかかる肩口部分に通気孔「クロスホール」を格子状に配置し、4×4個のブロック状にすることで、肩のラインにもしっかりフィット。「エアー」シリーズ最軽量で、持ち運びも便利です。
サイズ:シングル(セミダブル/ダブル/80cmサイズ/90cmサイズもあり)
クッション素材:ウレタンフォーム
タイプ:高反発
厚さ:約8cm
重量:約5.3kg
その他:通気孔(上下・左右方向)
復元率約96%という高い反発力を実現した国内メーカー製マットレス。寝返りがしやすく、そのうえ自分の体に合った硬さが選べるので、睡眠時の腰への負担を軽減できます。メーカー独自の体圧分散測定に基づき、体重が45kg以下の人のための「ソフト」、 46〜80sの人のための「レギュラー」、81s以上の人のための「ハード」の3つの硬さが用意されています。また、耐久性が高いのもうれしいポイント。期間限定の90日間交換・返金保証キャンペーンや、購入後180日間のメールサポートが受けられるのも見逃せません。
サイズ:シングル(セミダブル/ダブルもあり)
クッション素材:ウレタンフォーム
タイプ:高反発
密度:31D
硬さ:170N
厚さ:約10cm
重量:約7.5kg
その他:硬さ3種類(ソフト 140N/レギュラー 170N/ハード 280N)
東洋紡の高反発素材「エアロキューブ®」をチューブ状にして絡み合わせた、2層構造の高反発マットレス。厚さ約11cmと肉厚ながら、中材のエアロキューブ®を中空構造とすることで、高い体圧分散性と通気性を両立。表面は肌触りのよいニット生地、裏面は通気性のよいメッシュ生地で包み込まれており、1年中快適に使用できます。コンパクトに収納できる折りたたみ式で手洗いもできるなど、使い勝手も抜群。
サイズ:シングル(セミダブル、ダブルもあり)
クッション素材:合成繊維、ポリエステル
タイプ:高反発
厚さ:約11cm
重量:約8.2kg
その他:折りたたみ(3つ折り)、洗える、抗菌、防臭
宇宙飛行士の身体をサポートする目的で1970年代にNASAにより開発された「テンピュール®」を寝具向けに再設計し、約半世紀にわたりその品質が支持されてきた老舗ブランドのひとつです。人の重さと体温に反応し、体のあらゆる曲線や角度にぴったりとフィットし、理想的な寝姿勢を維持。体への負担を徹底して低減するため、寝返りをする回数そのものも減らせるという独自の特徴も。何度使用しても元の形状に戻るようになっているため、耐久性も申し分なしです。
サイズ:シングル(セミダブル、ダブルもあり)
クッション素材:テンピュール®素材
厚さ:約6cm
重量:約6.9kg
イタリアの老舗寝具メーカー、マニフレックスが誇る世界的なベストセラー製品。厚さ約11cmの肉厚高反発フォーム「エリオセル」が、負荷のかかる腰をしっかりとサポートし、人が直立している時のような理想的な腰のS字カーブを維持しながら眠ることができます。また、通気性にすぐれており、睡眠時の汗など湿気がこもりにくいのも、長年にわたり支持されてきた理由。折りたたみ式でキャリーハンドルがついているので、収納や持ち運びもラクラク。安心の10年保証つき。
サイズ:シングル(セミダブル、ダブルもあり)
クッション素材:エリオセル
タイプ:高反発
厚さ:約11cm
重量:約7kg
その他:折りたたみ、10年間保証
適度な弾力性とすぐれた体圧分散性で、理想的な寝姿勢を維持する高密度連続スプリング式マットレス。世界で初めて、連続スプリング列への一括電気テンパー処理「DET」(ダイレクトエレクトリックトリートメント)加工を施し、スプリング強度の均一化や加工ひずみの除去、耐久性の向上を実現しました。線径1.85mmの国産シルバースチールワイヤーを用い、2つの支持面で体圧を分散するミラーコイル方式となっています。コイル式マットレスの高品質モデルが3万円台で購入できるというのは要注目。ダブルサイズでも5万円以下という価格で購入できるので、初めてのコイル式マットレスにうってつけです。
サイズ:シングル(SS/ワイドシングル/セミダブル/ダブル/ワイドダブルもあり)
クッション素材:ZELT高密度連続スプリング、詰め物 ウレタン・フェルト、側生地 ダブルニット生地
タイプ:高反発
厚さ:約22cm
重量:約18Kg
その他:衛生マットレス、防ダニ・抗菌防臭加工、通気孔
※本記事の内容は、筆者個人の感想に基づくものです。
パソコン・家電からカップ麺に至るまで、何でも自分で試してみないと気が済まないオタク(こだわり)集団。常にユーザー目線で製品を厳しくチェックします!