「旅館鍋」でご当地鍋グルメ紀行!
外出を控えるようになった頃、
こんなアイテムをネットで購入した。
「ストロングマーブル懐石 いろり鍋16cm」である。
「驚異の強さ!」のキャッチコピーが頼もしい
旅館の夕食などで出てくる「ひとり用のいろり鍋」(以下、旅館鍋)である。
なかなか旅行できない昨今、こいつを使えば、旅への渇望がいくらか満たされるかもしれない。そこで今回は、これで全国の「ひとりご当地鍋」を作り、グルメ旅気分を味わいたいと思う。
味のある木の土台やふたもセット
購入した旅館鍋には土台のほか、木台や木ぶたまで付いていて、思いのほか本格的。
(※写真の火消しふた別売り)。
あとは固形燃料とチャッカマンを用意すれば完璧
そして、固形燃料。旅館の鍋といえばコレ。
仲居さんがチャッカマンで火をつけ、「火が消えたら食べ頃です」と言われるアレ。
なかなか火が消えずにイライラするアレ。
今となっては、あのイライラすらも懐かしい思い出だ。
固形燃料を爆買い
しかし、勢い余って買いすぎてしまった。業者か。
さあ、作るぞー
なお、今回は3つのご当地鍋を再現しようと思う。
パソコンの前に食材が並ぶと、違和感がすごい。
まずは秋田名物の「きりたんぽ鍋」だ。
【材料】(1人前)
あたたかいご飯 200g
鶏もも肉 100g
長ねぎ (白い部分) 半分
舞茸 50g
焼豆腐 1/4丁
春菊 25g
スープの水 400ml
しょうゆ 大さじ2
料理酒 大さじ2
みりん 大さじ2
鶏ガラスープの素 大さじ1
きりたんぽ鍋の材料
今回はせっかくなので、きりたんぽもコメから作った。稲作をしたわけではなく、炊いたご飯から作ったという意味である。念のため。
手順は以下。
すり鉢にごはんを入れ、すりこぎでつぶす
ごはんの粒が半分残り、粘りが出てきたら、手に水をつけて俵型に成形
割りばしを持ち、ごはんを握りながら上から下へと伸ばしていく
手に水を付けながら形を整える。割りばしの下部分は残しておく
フライパンで転がしながら20分ほど焼く。火力は中火
全体に焼き目が付いたら、きりたんぽの完成
割りばしから、きりたんぽを抜く。形が崩れないよう慎重に。祖熱が取れたら2等分の斜め切りに
鍋に盛り付け、土台にセットすれば準備完了
盛り付け完了。うん、下手!
うん、雰囲気は出ていると思う。盛り付けが絶望的に下手なのが残念だが、鍋の力のおかげでなんとかなっている気がする。
というわけで、待ちに待った着火タイム。ふたをして10〜15分。固形燃料の火が燃え尽きたら、ちょうど食べごろだ。鶏肉など生煮えが不安な食材は、あらかじめ火を通しておくといい。
火が消えた。完成〜!
だしがしっかり染みて美味しそう。
きりたんぽ鍋って、わりかし簡単にできるんだな。
いただきます
うん、きりたんぽだ。思いのほか、ちゃんときりたんぽ。
固形燃料でも、割とちゃんとできるもんですね。
だしシミシミ&食感で「うめがったんし!」(秋田の方言で「美味しい」の意)
続いては、大阪発祥の「ハリハリ鍋」。
名前は聞いたことあるが、どんな鍋かは知らなかった。で、調べてみたら僕が大好きな水菜をたっぷり使うとのこと。即採用。
【材料】(1人前)
鯨ベーコン 80g
豚肉 50g
水菜 1/2束
しめじ 1/4パック
油揚げ1枚
白だし 40ml
スープの水 400ml
しょうゆ 大さじ1
料理酒 大さじ1
砂糖 小さじ1
おろし生姜 少々
ハリハリ鍋の材料
なお、「ハリハリ」とは、水菜のシャキシャキという食感に由来しているそうだ。ならシャキシャキ鍋じゃないの?という疑問は置いといて、さっそく作ろう!
ちなみに、作り方は超簡単。
材料を切って入れる。
以上。
材料を切って入れた状態。3分でできる
完成。鯨ベーコンと水菜の色どりがいい。水菜を多めにと欲張ったらバランスが悪くなったが、またも鍋のおかげでそれっぽくなった。
ファイヤー!
固形燃料に着火。この瞬間が一番ワクワクする。
完成。鯨ベーコンから脂が出てきておいしそう
なお、正式なハリハリ鍋は鯨肉の「本皮」という部位を使うそうだが、普通のスーパーではなかなか手に入らないので今回は鯨ベーコンで代用。それだけだと物足りなさそうなので豚肉も入れた。
うんめえ〜
鯨ベーコンのジューシーな脂を、水菜がスッキリさせてくれる。シャキシャキの食感も楽しく、いくらでも食べられそう。鯨と水菜の組み合わせを発明した人、天才かよ!
鯨ベーコンが思ったより存在感あるので、豚肉いらなかったかもな。
ちなみに、紹介した材料で作るとやや薄味になるので、ポン酢などをつけてもいいかもしれない。
最後は、福岡のご当地鍋「もつ鍋」。ご当地鍋界の超人気者。不動の4番バッター。
そして筆者のナンバーワン好物鍋である。あ〜福岡行きたい……。
【材料】(1人前)
シロコロホルモン(豚モツ) 100g
にら 1/2束
もやし 1/4袋
キャベツ 1/4玉
焼豆腐 1/4丁
すりごま 大さじ1
〆の麺 1玉
鷹の爪 適量
にんにく 1かけ
鶏ガラスープの素 大さじ1
スープの水 400ml
しょうゆ 大さじ3
みりん 大さじ1
料理酒 大さじ1
砂糖 小さじ1
もつ鍋の材料
これも材料を切って入れるだけなので作り方は割愛。というか、鍋とはだいたいそういうものだ。
今回は上手に盛り付けられましたよ
それにしても美しい。
真ん中にニラを並べ、鷹の爪とゴマを散らす。
この盛り付けを考えた人は、センスありすぎだと思う。
うっとりする香り
本日3杯目だが、にんにくの香りと鷹の爪のピリ辛に食欲が刺激されまくる。
丸々としたシロコロ
博多のもつ鍋は牛の小腸を使うのが一般的らしいが、今回は一度食べてみたかった豚のモツ、いわゆるシロコロを使用。厚木と博多の、ご当地ハイブリッド鍋である。(※厚木はシロコロホルモンが名物)
脂ののったプリプリのモツ、モヤシ、ニラ、全部うまい。
香り、味、食感、全てを兼ね備えた完璧な鍋だ。
ここらでシメましょう
もう腹ははちきれんばかりだが、シメもいってしまおう。
少し具を残した鍋に中華麺を投入し………
新しい固形燃料に着火!
麺が好みの硬さになったら、火消しぶたで消火し、完成。
……ああ、うま〜
いやあ、地域の食文化って最高ですね。早く現地で食べたいなあ。
というわけで、「旅館鍋」でご当地鍋を堪能した。ほんのり旅気分が味わえ、どこへも出かけられないストレスもやや解消されたように思う。もちろん本物の旅館で食べるほうが断然いいのであるが……。
緊急事態宣言は解消されたが、今のところ大手を振って旅行はしづらい状況(※撮影日は5月18日)。平穏な日常が戻るまでは、これでいろんなご当地鍋を食べて旅行欲をなんとかごまかしたい。
1991年生まれ埼玉育ち。編集プロダクション「やじろべえ」所属。服飾大学を出るも服が作れず、ライター・編集者を志す。https://twitter.com/onoberkon