キッチンのあらゆる汚れの中で、一番の大敵といえば“油”ではないでしょうか。料理後、コンロ周りに飛び散った油、フライパンに残った油……普通に拭いただけではなかなかキレイにならず、非常にやっかいな存在です。
しかし、そんな油の処理の救世主となりそうなモノを発見しました!
それがこちら、エム・テックスの「ベルサイユのわた」!
パッケージからはなかなか想像できませんが、高性能な“油吸着材”なんです。
中身はこんな感じ。わたのようです
これは、直径1〜1000nmの超極細繊維「ナノファイバー」を使った「マジックファイバー油吸着材」。20gで約1Lの油を吸着する素材です(業務用の場合)。油のみ吸着して水は弾(はじ)くという特性を持つことから、災害時の油流出事故などでも使用されています。ちょうど現在は、インド洋モーリシャス沖で発生した「わかしお座礁石油流出事故」の支援として、この素材を提供するプロジェクトも進行しているようです。
その家庭用製品が、今回ご紹介する「ベルサイユのわた」。こちらは20gで約500mlの油を吸収します。業務用と比べると吸着力は半分ほどですが、それでも自重の25倍もの油を吸うのはすごいですよね。
ちなみにこのパッケージには秘密が……
なお、パッケージには名作漫画「ベルサイユのばら」のイラストが使われています。コラボの理由は、「ベル採油(さいゆ)」というダジャレからきているそうです。
見た目はわたっぽいですが、手芸用のわたのような感触ではありません。少し紙っぽいような手触り。
一箱に入っているのがこの量(20g)です。簡単にちぎることができます
油だけを吸って水は弾く、というのがにわかには信じられないので、ここでちょっと実験をしてみましょう。
水の入った容器に大さじ1(15cc)の油を注いで、ベルサイユのわたを浸してみたいと思います
ベルサイユのわたをブクブクと沈めます
ある程度浸してから引き上げてみると、ベルサイユのわたが油の色に染まって出てきました
容器を見てみると、わずかに油の粒が残っていますが、ほとんどの油が吸収されています。真横から見てみると、油の層がなくなっているのがわかりますよね
ちなみに、水だけが入った容器に沈めるとこのようになります。水を弾いているのがわかりますでしょうか?
水を弾く理由は2つ。ナノファイバーに使われているPP(ポリプロピレン)という素材がそもそも水をほぼ吸わないことと、1本1本の繊維が細いことによるハスの葉効果(表面の微細な凹凸により、水が水滴となって転がり落ちる)で水を弾いているのだとか。
水を弾くのはすごいですが、正直、家庭で使う分には水を弾くことはあまり重要ではありません。大事なのはやはり、どれぐらい油を吸いとってくれるかということ。本当に自重の25倍もの油を吸ってくれるのでしょうか?
今回は、市販の吸油パッドとベルサイユのわたを使って、同じ量の油を吸わせて比べてみようと思います。
左が一般的な吸油パッド、右がベルサイユのわた。同じ重さになるようにしました
油は、6gの25倍にあたる150mlを用意
それでは、油を吸わせる様子を動画で撮ってみましたので、ご覧ください!
結果は、驚くほどの差となりました!
このように、吸油パッドは油を吸いきることができなかったうえに、持ち上げるとパッドからポタポタと油がしたたり落ちてしまいます
いっぽう、ベルサイユのわたはほとんどの油を吸い取り、持ち上げても油がしたたり落ちることもありませんでした。ゼリーっぽい感じになっていて、しっかり油を吸着しています
水を弾くことも、油をめちゃくちゃ吸着することも本当でした。今回の実験では、ベルサイユのわたをかたまりの状態で使いましたが、ほぐして使うとより多くの油を吸い取ってくれるそうです。
それではここからは、我が家でベルサイユのわたをどんなふうに使っているかをご紹介します!
油を使った料理はおいしいですが、フライパンに残ったギトギトの油の処理はストレスですよね……。そんなシーンでベルサイユのわたがあれば、後処理がかなりラクになります。
油を多めに使って、揚げ焼きのようにして唐揚げを作りました
調理後のフライパンがこちら……。油はもちろん、調味料もからめたのでかなり汚れています
このタイプの汚れを拭うには、普通だと何枚もキッチンペーパーを使うことになり、大変ですよね。
キッチンペーパーの代わりにベルサイユのわたを使います
すると、こんなにキレイに油を回収できるんです♪
少量でも十分に拭き取れるので、コスパ的にもなかなかよさそう!
油分の多い料理の日は、フライパンだけでなく、お皿も当然ギトギトになってしまいますよね。洗う際に洗剤が余計に必要だったり、スポンジが極端に汚れてしまったりと、何かと負担が大きいです……。これまでは汚れを先に拭ったり、予洗いしたりしていましたが、今はベルサイユのわたを使っています。
こんなギトギトの汚れも……
少量のベルサイユのわたで拭うとヌルつきがなくなって、食器洗いがグンと楽になります!
油を使う料理のときは、調理器具や食器だけでなく、油ハネによってキッチンのあらゆる場所に油汚れが付いてしまうのも避けられません。特にコンロ周りは想像以上に油で汚れてしまいますが、布巾で拭いてもなかなかベタつきがとれないんですよね。
こんな油ハネにも、ベルサイユのわたが便利です
ちぎったベルサイユのわたでこすると……
油を吸い取ってピカピカに!
油は冷えると白く固まってしまうので、そうなる前にさっと拭き取ってあげるのがコツです。
高性能油吸着材というだけあって、「ベルサイユのわた」は油の処理に強く、キッチン周りでかなり活躍してくれる頼れるアイテムでした! 好きな量をちぎって使えるというのも便利ですね。
なお、使用後のベルサイユのわたは、地域のゴミ収集ルールに従って適切に処理をしてください。筆者の地域では燃えるごみとして捨てられています。
うちでは「ベルわた」と呼んでキッチンに常備しています
油汚れはキッチンの宿命。これまで油の処理に頭を悩ませてきましたが、「ベルわた」を使い始めてからはストレスが減り、揚げ物をする機会も増えました! キッチン周りの大掃除でも活躍しそうなので、ガンガン使っていきたいと思います。