「筆ペン」と聞くと、年賀状や宛名書きの道具か……と思われる人は多いかもしれません。
しかし、最近の筆ペンはスゴいのです。美しい手描き文字を書く「モダンカリグラフィー」を趣味とする人たちが筆ペンを使い始めたことも後押しし、インクの色や穂先の種類が一気に多様化しました。
また、ここ数年の「手書き手帳」ブームでも使われるため、筆ペンは年末だけでなく、通年売れる商品になりました。以下では、最新の筆ペン5本紹介します。
ぺんてる「筆タッチサインペン」。写真は、2020年2月発売の新色6色です
「筆タッチサインペン」は、筆ペンではなく、あくまで筆のようにしなるペン先を採用した“筆タッチ”のペンです。
一般的な毛筆タイプの筆ペンよりしなりが少ないため、ボールペンばかり使っている人でも違和感なく書けることでしょう。しかし、ボールペンとは異なり、しなるペン先によって線の太さに微妙な強弱がつけられます。
ペン先は硬めで、筆ペンに慣れていない人も使いやすいです
「黒」は、金封の表書きに便利ですが、「ライトグレー」や「バーガンディ」といった微妙なニュアンスのインクも多く用意されているため、モダンカリグラフィーにも適しています。プロの作家さんも使っているそうです。
2020年発売の新色は、いずれもひと味違うニュアンスカラー。上から「オリーブグリーン」、「ブルーブラック」、「ライトグレー」、「ペールピンク」、「ターコイズグリーン」、「バーガンディ」です
ラメ入りのインクを採用した、ぺんてるの「デュアルメタリックブラッシュ」
「デュアルメタリックブラッシュ」は、ラメ入りインクを採用した、ギラギラの線が描ける筆ペン。最近は黒い紙を使った製品が少しずつ増えていて、手帳にも使われていたりするのですが、そんな紙にも最適です。紙の色が白以外だと、インクの色も変わって見えます。
白い紙では染料インクが、黒い紙ではラメが目立つため、同じインクでも異なる色に見えます
穂先は毛筆タイプでやわらかいです。細かいニュアンスも出せます
ペンの後方をノックしてインクを出す「ノック式」
トンボ鉛筆「ABT」。写真は、筆者お気に入りの5本です
「ABT」は、海外での人気も高い全108色(!)のカラーペン。正確に言うと、107色+色を混ぜ合わせるブレンダーで108色。海外の人は、このペンをモダンカリグラフィーやイラストに使います。
しなりは少なめです
頭とお尻両方にペン先が用意されているツインタイプで、筆のようにしなるペン先と細字のマーカー両方を備えています。
ものすごく色数が多いのが特徴ですが、多過ぎてどの色を買ったらいいかわからない人には、セットで購入することをオススメします。写真左は、アメリカでヒットした10色セット「ABT ギャラクシー」、右は「ABTハンドレタリングスターターセット」です
呉竹「リアルブラッシュ」。全90色の箱入りです
呉竹「リアルブラッシュ」は、89色+ブレンダーという展開です。
緑系だけでもこんなに種類があります!
ペン先は毛筆で、とても強弱を出しやすいのが特徴です。微妙な筆圧の調整が必要なので、初心者向きではありませんが、やわらかな穂先で細い線も自在に書けるのは、毛筆タイプの筆ペンだけの強みです。
筆先は、毛筆タイプでとてもやわらかいです
やわらかい筆先は、筆圧をかけると太くなり、圧を抜くと細くなります。大きな強弱がつけられるのが特徴です
ゼブラ「マイルドライナーブラッシュ」は全15色。写真はその「ほんのり蛍光色5色セット」です
「マイルドライナーブラッシュ」は、おだやかな色味で大ヒットしたラインマーカー「マイルドライナー」を筆風マーカーにしたモデル。
上から「マイルドブルー」、「マイルドピンク」、「マイルドオレンジ」、「マイルドイエロー」、「マイルドブルーグリーン」
本シリーズは安価なので、普段使いのアンダーカラーマーカーとしても使えます。あと、全長が短めなので、携帯しやすいのも強みです。
しなりはあまりありません。誰でも使いやすいでしょう
しなりは少なめとお伝えしましたが、それでもペンの寝かせ方によっては、線幅にこんなに差がつきます
片側が筆で、もう片側が細書きペンのツインタイプです
以上、筆ペンの世界は、想像以上に広がっていたことがおわかりいただけたでしょうか。年始には、書き初めとまでいかなくても、新年の抱負や目標を書くだけでもモチベーションが上がるはず。そんな時には、従来の筆ペンではなく、今回紹介した5モデルから選んでみてはどうですか? 「大人の書き初め」が楽しめますよ!
Webサイト「STATIONERY RESTAURANT」を運営する文具ソムリエールとして活躍。大学卒業後、好きが高じて雑貨店に就職し文具担当に。現在は、文房具の紹介、コラム執筆、商品開発、売り場企画などの活動をしている。