本連載は、文房具ライターのきだてたくが、「価格.comマガジン」の編集担当・マキノに、便利な文房具をリモートで必死にプレゼンする様子を実況。もし紹介された製品の中で「欲しい」と思うものがあったら、それをマキノは実際に購入!……という自腹買い企画です。
第9回は、「2021年のきだてベストバイ」をテーマに、3製品をプレゼン!
「価格.comマガジン」の編集担当・マキノ(左)に対し、文房具ライターのきだてたく(右)が、プレゼン!
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※本稿は、2021年12月末に取材したものを元に制作しています
マキノ 2021年は、きだてさんの口車に乗せられて、いろいろと文房具を買いましたよね。
きだて もうちょっとよい言い方ってないか?(笑)
マキノ いやいや、ありがたいなって話ですよ。
きだて いいけどさ。で、2021年最後に、マキノさんに何を買わせようかなって話なんですけども。
マキノ 言い方(笑)。
きだて これまでは、毎回テーマを決めて3点を紹介してたでしょ。だけど、そこに当てはまらずに紹介できなかった製品も結構あるんですよ。そんな中から、特に「これは紹介しておきたかったな」と思うものをプレゼンしようかな、と。
マキノ なるほど。“棚ざらえ”的な感じでいくわけですか……。
きだて というか、個人的にも「これは買ってスゴくよかったな」という文房具が揃っているので、紹介せざるを得ないんですよね。
マキノ そうか、じゃあ、むしろ「2021年のきだてベストバイ」って感じなんですかね。それは、気になります。
きだて 2019年にコロナ騒ぎで発売日が延びていた製品も、2021年にまとめてドバッと出ましたからね。2021年の文房具は、かなり豊作だったと思いますよ。面白いのがいっぱいありました。
マキノ いいですね。ちゃんと年末の締めっぽい雰囲気になってきましたよ。
きだて 2021年って、本当に信じられないぐらいにボールペンの当たり年だったんですよ。それこそ、過去数年を見返してもなかったレベルで大豊作。
マキノ そう言えば、2021年は確かに、ボールペンをいろいろと紹介してもらった気はします。
きだて なので、ものすごく悩んだんですが、その中から僕のベストを選ぶとなると、これ。ゼブラから2021年11月に発売された「サラサナノ」です。
0.3mm径の極細で書き味サラサラの「サラサナノ」(ゼブラ)
マキノ ほほう、「サラサ」なんですね。
きだて 「サラサ」シリーズの最新版。元々、僕はボールペンの好みがゲルインクの細字なんですけども。
マキノ サラサラとした書き味で細く書きたい、という感じですか。
きだて そういうやつ。ただ、これにはちょっと問題があって、ゲルで今最も細いボール径が0.3mm(0.28mm含む)なんだけど、ここまで細くなると書き味がサラサラせず、かなり硬い。
付箋に細かな字をビッチリ書きたい時も、カリカリせず快適筆記
マキノ へぇ、細過ぎてカリカリしちゃうんだ。
きだて 先端のボールが小さくなると、紙の繊維に引っかかるんですよ。ほら、自転車でも、タイヤが26インチとかあれば段差も平気だけど、「ミニヴェロ」みたいな小径車は路面に影響を受けやすいでしょ。あの感じ。
マキノ あー、イメージできました。わかります。
きだて この「サラサナノ」は、まさにゲルの0.3mmなんですが、従来のゲル0.3mmと比べると、びっくりするぐらいサラサラ書けるんですよ。
マキノ それって、なんか最新のスゴい技術とか使っているんですか?
きだて 軸の後ろのほうに、「うるふわクッション」というのを搭載してるんですが、これ、要するにバネのサスペンションなんですね。
ノックノブ下の黒いパーツが、バネを内蔵した「うるふわクッション」
マキノ バネサスって、そんな最新技術とかいう感じじゃないですよね。それがそんなに効く?
きだて めっちゃ効く。先端のボールが紙の繊維に引っかかっても、サスでその衝撃を吸収しちゃうので、ものすごく快適です。
マキノ マジすかー! それはちょっと試してみたいな。
紙表面の細かな凹凸を「うるふわクッション」で吸収。サラッとペン先を走らせられます
きだて しかも、本モデルで面白いのは、リフィル(芯)は従来の「サラサ」0.3mmと同じものを使っている点。従来の「サラサ」0.3mmはかなりカリカリした書き味だったけれど、同じリフィルを「サラサナノ」の軸に入れた途端、“めちゃサラ”に変身するのがスゴい。
マキノ それ、スゴいですね。面白い!
きだて あとは、先端の口金も、プラスチックから金属に変更されており、ちょっと低重心化しているのもポイントですね。これも、書きやすさアップにつながっています。お値段は、「サラサ」の倍で220円(税込)ですけども。
マキノ それで“めちゃサラ”になるなら、価値はあるんじゃないですか?
★さらに詳しいレビューは、こちら!★
もうガリガと言わせない! 0.3mmの「サラサナノ」は小さい文字の書き味が大幅UP
https://kakakumag.com/houseware/?id=17720
きだて 次は、僕が2021年いちばん気に入ったファイルを紹介しときましょう。「2つ折りドキュメントファイル<BIZRACK>」です。
書類を半分に折って持ち運べる「2つ折りドキュメントファイル<BIZRACK>」(コクヨ)
マキノ 「BIZRACK」って、コクヨのビジネス系文房具のシリーズでしたよね。本連載で以前、「BIZRACK」のPCスタンド(https://kakakumag.com/houseware/?id=17678)を買いましたよ。
きだて そのシリーズです。閉じている状態では、A5サイズのファイルっぽい見た目なんですが、これを開くと……。
マキノ おー、これはもしかして、きだてさんの取材セット?
ゴムバンドを外し、表紙を開くと、中はこんな感じ
きだて そうなんですよ。2つ折りの状態を開くと、A4書類が入るホルダーと、クリアタイプの大きめポケット、名刺ストッカーが現れます。
マキノ パッと見の時点で、なかなか便利そうな気がしましたよ。
きだて まず、A4書類用のホルダーですが、2山のインデックスで仕切られた3ポケット式になっています。ここに、書類が分類収納できますね。
マキノ クリアホルダーみたいな使い方ができるんですね。それを持ち歩く時は、2つ折りにしちゃうのか。
書類は、3ポケットで最大30枚ほど収納可能
きだて クライアントに渡す資料なんかは、さすがに折れないけれど、自分で見る用の紙は別に2つ折りにしたって問題ないもんね。それよりは、持ち歩きしやすくなるほうが圧倒的にありがたい。
マキノ そっか、言われてみればそうかも。
きだて 僕は身軽に動きたい外出時は、小さなボディバッグを使うことが多いんだけど、折ってA5サイズになった書類なら入るんですよね。
マキノ あとは、クリアタイプのポケットが便利そうですね。マチはあるんですか?
きだて 割と厚マチなんで、写真のとおり、ボイスレコーダーとかペン、メモ帳なんかを放り込んでいます。フラップは、タブを差し込んで固定できるので、中身が落ちる心配もなし。
マキノ 新製品の記者発表会に取材に行って、紙資料はホルダーに入れて、あとは録音しながらメモ取って……。ホントに取材セットじゃないですか。
小さめのボディバッグにもスルリと入るので、持ち運びがとてもラク
きだて 名刺ストッカーも付いているから、マジで取材はこれひとつで十分ですよ。それがここまでコンパクトになるという。
マキノ 折った分だけ厚みは出るんでしょうけど、それでも全体がA5サイズまで小さくなるのはよさそう。
きだて あと、最近は在宅ワークとオフィス出社が半々、みたいな人も多いみたいですけど、そうなると紙資料の持ち帰りも増えるでしょ。これで持ち運べば、どこでも資料チェックぐらいはできちゃうので、便利ですよ。
マキノ なるほど、そういう使い方はありそうですね。
きだて ラストは、こちら。
マキノ ……ランドセルですか?
一見すると、ランドセルにしか見えない巨大ペンケース「デテクールコンボ」(レイメイ藤井)
きだて ……に見えますよね。ですが、これはペンケースです。レイメイ藤井の「デテクールコンボ」と言います。
マキノ えー!? これはデカ過ぎでしょ。
きだて 以前、これの半分ぐらいのサイズで「デテクール」というペンケースがあったんですね。そのメガサイズ版って感じです。
マキノ ペンケースって言っても、ここまで大きいのは必要ないですよ、絶対……。
きだて 在宅ワークをする時って、筆記具だけではなくて、ノートPC用の電源アダプターとかUSBケーブル、マウスみたいな小物類もまとめておく必要はあるでしょ。
マキノ 電源アダプターも入るんですか。うーん、まぁ入りそうではあるか。
キッチリと区分けされた収納スペース。左側のバスケットだけでも、ペン類なら20本は入る大容量っぷりです
きだて そういった、仕事に必要なガジェットと文房具をまとめて入れておいて、自宅内で仕事をするスペースに持って移動する、という使い方をするわけです。
マキノ 確かに、ノートPCの上に電源アダプターをのせて移動することはあるんですけど、ポロッと落としたりするんですよね。まとめて収納できるのはよさそう。
きだて あと、「デテクール」シリーズ最大の特徴が、30°傾いて出てくるバスケットです。ほら、こうすると下段のバスケットがヒョコッと出てきます。
マキノ おお、面白いなー。中のモノが取り出しやすそうですね。
30°に傾いて出てくるバスケットは、中身の視認性が高く、取り出しも簡単
きだて 容量が大きいのに加えて、30°傾くシステムの使いやすさの相性が抜群なんです。筆記具なんかは、圧倒的に取り出しやすいし、戻す時も投げ込むようにポイッと入れられるから、ラクです。
マキノ 探す時も、上からのぞき込むより、傾いてくれてるほうが目視しやすそう。いいなー。
きだて 僕は普段は、これを工作道具入れに使っているんですが、ヤスリとかピンバイスの欲しいサイズがサッと探せて取り出せるから、作業効率も上がるんですよね。
マキノ 上のほうの平皿っぽいのは、最初から付属してるんですか?
きだて 付属品ですよ。ここに小物を置いといてもいいし、あとバスケットに背の高いモノを入れたいなら、外しちゃっても大丈夫。
マキノ あっ、マジックテープで付いているだけなのか。へー。
きだて ちなみに、中は左右で2分割されているんですが、それぞれをスポッと取り出すこともできます。たとえば、左に文房具、右にPC周りのガジェットを入れておいて、必要なほうだけ一時的に取り出して使う、みたいなこともOKです。
左右それぞれが分離して取り出せるので、単体でツールスタンドとして使うのもアリかも
マキノ 最初はデカ過ぎて使いづらそうにも思ったんですが、いろいろと気がきいていて便利そうな気がしてきました。
きだて うん、大量のツールを効率的に運用する、という点に特化したケースなので、使いこなせると相当に便利ですよ。
きだて さぁ、「2021年のきだてベストバイ文房具」でしたけど、どうでしたか。
マキノ うーん、まず「サラサナノ」は使ってみたいかな。そんなに今までと違うのか、と。
きだて 正直、「ゲル細字の革命」って言ってよいレベルなんだ、これ。ひとまず試さない手はないと思うよ。
マキノ あとは、「デテクールコンボ」要検討ですね。俺もガンプラ作る工具入れに使おうかな。
きだて うん、文房具に限らず、簡易版の工具箱とか、ツールケース的な使い方をするのはアリです。
マキノ ですよねー。どうしようかなー。ひとまず考えます。
ガンプラの製作ツール用に「デテクールコンボ」の「ブラック」を自腹買い! 長めのデザインナイフやかさばるニッパー、置き場所に困るデカールシートなど、使用ツールはすべてスッキリ収納できました。「これ、ガンプラのために作られたのでは?」というくらい、サイズ感がピッタリ。左のペンケースユニットと右の小物ケースユニットを別々に取り出して使用したり、トレイを自由にレイアウトしたりと、作業の種類や場所に合わせてカスタマイズできるのがうれしいし、トレイが30°斜めに傾くのも各ツールが取り出しやすくて最高!
最新機能系から雑貨系おもちゃ文具まで、何でも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は大手文房具店の企画広報として企業ノベルティの提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。