ヘアバームは、ナチュラルなヘアスタイルを作るうえで欠かせないアイテム。セット力は、ヘアワックスと比べてそれほど高くありませんが、簡単に毛流れとツヤ感を出すことができるため、流行りのセミウェットなスタイリングを行いたいときなどに重宝します。また、スタイリング剤としてだけではなく、全身の保湿ケアに役立つなど、幅広く使えるのが魅力。ここでは、ヘアバームの選び方を解説するとともに、美容のプロから見ておすすめできるメンズ向けヘアバームを厳選してご紹介します。
ヘアバームとは、ミツロウ・シアバター・マカダミアナッツ油などの油性成分をベースとしたスタイリング剤のこと。肌や髪になじみのいい「オレイン酸」や「ステアリン酸」など、主に植物由来の脂肪酸が主成分となっており、浸透力が高く、保湿効果にすぐれていると言われています。
ヘアワックスのように髪を立ち上げたままキープさせる力はないので、動きのあるヘアスタイルを作りたい場合にはあまり向きませんが、ツヤ感を出してナチュラルな毛流れを作ったり、乾燥した肌や爪などを保湿したりと、さまざまなシーンで活躍するのでひとつ持っておくと便利ですよ。
ここでは、ヘアバームの選び方を3つのポイントに分けて解説します。
ヘアバームを使ったスタイリングにおいて仕上がりの良し悪しを決めるのは、主に「質感の重さ」と「ツヤ・束感の出しやすさ」の2点です。これらの要素は深く関連しており、質感が重いアイテムほどツヤ・束感が出やすく、また質感が軽いアイテムほどツヤ・束感が出にくい傾向にあります。
質感の違いについては配合成分だけでは判別がつかず実際に使ってみないとわからないことが多いため、記事後半で紹介するおすすめ製品については、それぞれ個別に「質感の重さ」や「ツヤ・束感の出しやすさ」についても僕の主観をもとにレビューしました。ぜひ参考にしてみてください。
「質感に違いがあることはわかったけど、自分にはどのヘアバームが向いているかわからない」という人のために、僕なりの経験則で髪質に合った選び方のコツを解説します。
まず、髪のダメージが気になる人や乾燥が気になる人、硬毛で髪がまとまりにくいという悩みをお持ちの方は、パサつき&広がりを抑えやすい「質感の重い」「硬めのテクスチャー」が向いています。いっぽうで、軟毛・細毛でボリュームダウンさせたくない人や、ヘアバームを使うことにまだ慣れていないという方には、「質感の軽い」「やわらかめのテクスチャー」が向いています。
質感の重い・硬めのヘアバームは、ツヤ感が出て髪がまとまりやすいメリットがありますが、その半面、溶かすのに時間がかかりムラができやすいなどの懸念点もあるため、初心者であれば、適量を手に取りやすい質感の軽い・やわらかめのヘアバームで慣れることをおすすめします。
ヘアバームを選ぶにあたっては「香り」も外せないポイントになります。トレンドとしては、柑橘系・フローラル系のアイテムや、男性でも扱いやすいシンプルで爽やかな香りが人気の傾向にあります。そのほかにも、ちょっと大人な魅力を演出するムーディーな香りや、リラックス効果のあるアロマの香りなど、多種多様な香りのアイテムが登場していますので、いろいろ試して好みの香りを見つけてみてくださいね。
ここでは、美容のプロが選ぶおすすめのメンズヘアバームを、筆者による詳細なレビューとともにご紹介します。
N.は美容メーカー「ナプラ」が発売している人気のシリーズ。なかでも、この「ナチュラルバーム SC(セージ&クローブ)」はヘアバームの王道とも言えるような質感が特徴で、仕上がりと質感の重さがバランスよく調整されているのが魅力です。ヘアオイルともヘアワックスとも異なる、ヘアバームらしい仕上がりを試してみたい人におすすめ。テクスチャーはやや硬めなので、手の体温でしっかり溶かしてから使いましょう。
◆質感の重さ:★3
◆ツヤ:★4
◆束感:★3
◆香り:セージ&クローブの香りでスッキリ
ザ・プロダクトは、「ヘアバームの火付け役」としても知られる人気の高いアイテムです。少し軽めの仕上がりですが、けっして軽すぎるということはなく、髪なじみのよさも魅力。香りは3種類ラインアップされていますが、ほのかに香る柑橘系とハーブのスッキリさが合わさっている「ネロリの香り」が、特に男性には向いていると感じます。
◆質感の重さ:★2
◆ツヤ:★3.5
◆束感:★2.5
◆香り:ネロリの香り
モイバームは、質感の軽さが魅力のヘアバーム。潤いを残しつつもベタついた仕上がりにはならないので、重めの仕上がりが苦手な人や、軟毛や猫っ毛でなるべくボリュームダウンさせたくない人に向いています。やわらかいテクスチャーで使いやすく、香りも森の中にいるような爽快感があってスッキリします。
◆質感の重さ:★2
◆ツヤ:★3
◆束感:★2
◆香り:アロマティックウッディの香り
アパレルショップにも置かれることのある、おしゃれなヘアバーム。今回紹介するアイテムの中ではもっともテクスチャーがやわらかく、また伸びのよさも魅力です。はじめて使ったときは「これが本当にヘアバーム?」と疑ってしまうほどのやわらかさ。髪なじみもいいので、くせ毛で悩む人のスタイリングにも向いていると感じます。やさしく香るハーブの匂いで、男性でも使いやすい印象です。
◆質感の重さ:★4
◆ツヤ:★3.5
◆束感:★4
◆香り:天然ハーブの香り
表参道の人気サロンによってプロデュースされたヘアバーム。やや硬めのテクスチャーですが、手の体温ですぐに溶けるので使いやすいほか、適度な重さでまとまり感を出しつつもベタっとしないので、幅広い髪質の人に向いていると感じます。香りもウッディさとスパイシーさが混ざり合う絶妙な匂いになっているので、男性でも違和感なく使えるでしょう。
◆質感の重さ:★3.5
◆ツヤ:★4
◆束感:★3.5
◆香り:ウッディな香り(ヒノキっぽい)
アリミノがメンズ向けに発売しているハードクリーム。今回紹介するアイテムの中ではもっとも質感が重く、束感を作りやすいヘアバームになります。硬毛で髪が広がりやすい人や、しっかりと毛流れを作りたい人に向いています。テクスチャーは硬めなので、手にしっかりなじませてから使用するといいでしょう。こちらは、全身には使うことができず髪にのみ使用するアイテムとなります。
◆質感の重さ:★5
◆ツヤ:★5
◆束感:★5
◆香り:柑橘系の香り
ダンディな香りを楽しみたい人に向いているヘアバーム。爽やかながらも、香りの奥には甘さがあり、練り香水としても使えます。適度な重さがありながらも、やわらかいテクスチャーで伸びがいいので使いやすく、ナチュラルなヘアスタイルが手軽に作れますよ。
◆質感の重さ:★3.5
◆ツヤ:★4
◆束感:★3.5
◆香り:スッキリしつつ奥に甘さがあるダンディな香り
おしゃれなデザインと香りのよさが光るヘアバーム。質感は重めなので、ウェットな仕上がりや束感が欲しい人にも向いています。テクスチャーは硬すぎずやわらかすぎずのバランスで使いやすく、香りも香水のような奥行きがあるので、上品な匂いを楽しみたい人にも試してほしいです。あくまで僕個人の主観ですが、今回紹介した中では1番使ってみたくなるヘアバームでした。
◆質感の重さ:★4
◆ツヤ:★4.5
◆束感:★4.5
◆香り:フローラル調の香水のような奥行きがある香り
(※本記事の内容は、筆者個人の感想に基づくものです)
1人ひとりに寄り添って「髪をきれいにするために大切なこと」を発信する美髪スペシャリスト。運営ブログ「ボク、オトメン美容師」や「ぼくのヘアケアLabo」は読みやすさに定評があり、商品レビューが人気。