本連載は、文房具ライターのきだてたくが、「価格.comマガジン」の編集担当・マキノに、便利な文房具をリモートで必死にプレゼンする様子を実況。もし紹介された製品の中で「欲しい」と思うものがあったら、それをマキノは実際に購入!……という自腹買い企画です。
第13回は、「仕事がはかどる最強のメモ帳」をテーマに、3製品をプレゼン!
「価格.comマガジン」の編集担当・マキノ(左)に対し、文房具ライターのきだてたく(右)が、プレゼン!
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きだて 4〜5月って、文具店の店頭ではメモ帳が割と売れるらしいんですよ。
マキノ へー、メモ帳がですか。もしかして、新入社・新入学需要みたいな話ですか。
きだて そう。特に新入社員って、覚えることがめちゃくちゃ多いじゃないですか。業界的な基礎知識とか、社内の事情とか。研修もいっぱいあるし、メモ帳を持ち歩くのが必須なんですよね。
マキノ なるほど、確かにそうですね。メモ帳を持っていないと先輩社員に怒られたりとか、ありそう。
きだて しかも、「あ、メモを取らなきゃ!」って場面はいきなり発生するので、スマホのメモアプリなんかだと、とっさに対応できないこともあって。こういう時は、手書きのメモに優位性があるというわけ。
マキノ 「手書き」って部分に必然性があるんですねー。
きだて あと、こういう基礎的なメモって、あとあと見返して役に立つことも多いんですよ。なので、1年で使い終わる手帳じゃなくて、書き留める専用の1冊を作っておくってのも重要。
きだて 最初に紹介するのが、ミドリの「リングメモ パッと」。2019年に発売されたものですが、いまだにハンドメモの大本命だと思ってます。
従来モデルになかった特殊機能を持ったミドリの「リングメモ パッと」
マキノ おー、知ってる! 何だかスゴい便利な機能が付いているヤツですよね。……何でしたっけ?(笑)
きだて 情報がフワッフワだよ(笑)。その便利な機能のあるメモ帳ですよ。「オートセーブ機能付きメモ」なんて呼ばれ方もしていますけど。
マキノ あ、そうだそうだ。表紙を開こうとすると、自動的に「最後に書き込みしたページ」が開くんでしたよね。思い出しました。
きだて まさに“RPGのオートセーブ機能”みたいな話ですよね。メモ帳の側面を手に持って、軽く手首を振って開くと、前回書き込んだ最後のページがパッと出てくる。ほぼ魔法みたいなやつ。
側面を指で押さえつつ表紙を開くと、必ず最新ページが開く「オートセーブ機能」付き
マキノ 改めて話を聞いても、やっぱり魔法ですね、それ。
きだて 上司の指示をメモんなきゃ、って時に書き込み可能な最新ページを探して慌ててペラペラめくること、ありますよね。やっと書けるページ見つけた時には、話がもう終わってる、とか。そこでオートセーブがあれば、秒で最新ページが開けます。
マキノ スゴいっすよね。どういう仕組みでそんなことができるんでしたっけ?
きだて メモ帳としては、天辺を針金リングでまとめたリングメモなんですけども、それに加え、用紙の左辺が全部のり付けでくっついてるんですよ。
のり付け(写真の赤い部分)によって、未記入ページはすべてひとかたまりの状態
マキノ あー、そうだそうだ。思い出してきたぞ。
きだて つまり、新しいページをめくると、自動的にそののりを剥がすことになる。なので、書き込みをしたページはのりがなくてバラバラだけど、まだ書き込んでいない後ろのページは、くっついてひとかたまりのまま。
マキノ だから側面を持って開くと、すでにバラバラのページは飛ばして、かたまりになったページ群の最初が自動的に開くんですよね。思い出した!
ページを新しくめくる際は、のり付けを剥がすように開きます。これがオートセーブのポイント!
きだて そういうこと。言葉で説明するとややこしいけど、実際にやってみると驚きますよね、コレ。
マキノ うーん、この仕組み考えた人、ちょっと天才過ぎるでしょ。よくこんなの思いつくなぁ。
きだて マジでそれ。メモ帳の大発明ですよ。実際、僕も発売後すぐに入手して、それ以来ずっと愛用しています。もう10冊ぐらい買ったかな。
マキノ それは間違いなくガチの愛用品ですね。
きだて たとえば、仕事でインタビューする時って、もちろんレコーダーで録音も行っているんですけど、その時の細かい印象とかはメモも取っておきたい。そういう場合って、書き込める空白ページが瞬間的に開けないと困るじゃないですか。ほんと、このメモに助けられている感がスゴいよ。
きだて 次に紹介するのが、これも僕がとても好きなメモ帳でして。LIHIT LAB.の「hirakuno ツイストノート」というシリーズのA6サイズ。
開閉式のツイストリングを搭載した「hirakuno ツイストノート A6」(LIHIT LAB.)
マキノ とは言っても、見た目にはまったく普通という感じですけど……。何がスゴいんですか、コレ。
きだて 何がって、主に拡張性ですかね。
マキノ ん? メモ帳の拡張性とは?
きだて 「hirakuno ツイストノート」は、開閉できる「ツイストリング」というLIHIT LAB.独自の機構で綴じられたメモなんですよ。で、「ツイストリング」自体はメモサイズだけじゃなくて、最大A4のノートまで共通のリング規格なの。
「ツイストリング」は、用紙を特定の角度に引くことで開く、特殊な綴じリング。ルーズリーフより機構が軽量コンパクトで使いやすい
マキノ そうか。ルーズリーフみたいに紙を追加したり入れ替えたりできて、それが紙のサイズがバラバラでも大丈夫なんだ。
きだて 僕が普段からメイン使いしてるのが、「ツイストリング」のA5ノートなんだけど、たとえば「hirakuno ツイストノート」のA6サイズでメモしたものを、こっちのノートに入れておくこともできる。
マキノ なるほど! それは便利かも。
A5サイズ天綴じの「ツイストノート」に、「hirakuno ツイストノート」で書いたメモページを移行。必要な情報があちこちバラけないのが便利です
きだて 外出先で何となく思いついてメモしておいたものを、ノートのアイデア出し用ページに添付したり、とかね。手書きした情報を統合管理できるのは、思った以上に役立ちますよ。
マキノ ちなみに、メモ帳単体としてはどんな感じですか? パッと見た感じ、かなり普通というか、あまり特徴のない雰囲気ですけども。
きだて うーん、確かにメモ帳としては割と普通かな。ただ、基本性能は高いですよ。たとえば、この表紙とか。
マキノ え、メモ帳の表紙って、何か性能に関係あります?
きだて 表紙、重要ですよ。「hirakuno ツイストノート」の表紙は、ほかのリングメモより厚めの0.75mm。メモは立った姿勢で書くことが多いけど、表紙が厚手で頑丈だと、安定感がよいから書きやすいんですよね。
ペンの持ち手をのせて書いてもたわまない、しっかり厚手の表紙もポイント
マキノ そっかそっか、それはありますね。表紙がフニャフニャだと、手で持って書くときに曲がったりして。
きだて あと、バッグやポケットに放り込んだ時も、表紙が硬いほうが折れ曲がったり、シワになったりしにくいでしょ。ビジネスで使うのに、あんまり折れスジの付いたようなメモ帳ってどうなの?って話で。
マキノ はー、そう聞くと、メモ帳にとって表紙も意外に重要な要素ですね。
きだて 最後に紹介するのは、コクヨの「Sooofa(スーファ)」のB6変形判です。サイズ的には、メモ帳って呼んでいいのか微妙なんですけども……。ノートとメモ帳の中間ってぐらいかなー。
サイズは大きめでも、メモとして携帯しやすい機能を持つコクヨ「ソフトリングノート<スーファ>(4mm方眼罫)(カットオフ)」のB6変形サイズ
マキノ 確かに。上の2製品と比べると大きめかな。
きだて とは言え、カバンに放り込む分にはジャマにならないし、手で持って立ったまま筆記も十分に可能なサイズではあるんですよ。なので、メモ扱いでもまぁいいかな、と。
マキノ その辺はもう、個人の使い方次第ってとこもありますしね。
きだて 冒頭で述べたとおり、メモってあとから見返すこともあるじゃないですか。そういう場合、小さいハンドメモよりも、これぐらいの大きさがあったほうが見やすいし、情報が探しやすい。
マキノ なるほどー。
きだて あとサイズに関してもうひとつ。これ、B6判じゃなくて、ちょっと幅広なワイド変形判なんですね。
マキノ そうなると、メモとしての携帯性って部分でさらに不利になってません?
きだて そうなんだけど、実はこのワイドさが頼もしいってこともあってね。新入社員の人たちがメモする内容って、文章だけじゃなくて、ちょっとした表組みとか配置図とか、あとは地図とか、そういったものも書くことがあるんですよ。
書ける面積の広さと携帯性はトレードオフの関係。その点、B6ワイド変形判はその両方のバランスが取れたサイズです
マキノ あー、紙面が広いと、そういうのは書きやすいのか。
きだて あと、サイズ的にノートとしても使えるんで、机の上で書くこともありますよね。その場合にありがたいのが、リング部分。プニプニのやわらかい樹脂でできたソフトリング仕様なので、リングに手がのり上げても痛くないし、書きやすい。
やわらか樹脂製のソフトリングは、手が上にのり上げてもゴリゴリせず快適!
マキノ 「ソフトリングノート」は、コクヨでおなじみのシリーズですよね。
きだて 持ち歩くメモ帳としてありがたいのは、裏表紙側に付いてるクリアポケット。ここに名刺やレシートなんかのちょっとした紙片を入れておくことができるのは、割と便利。
マキノ はいはい、そういうのって、うっかりノートのページに挟んじゃって、あとから見つからないってこともありそうですし。クリアポケットがあると、使用頻度は高そう。
名刺ストッカー兼レシート・領収書入れとしても有能なクリアポケット
きだて ほかにも、表紙に付いているゴムベルトは、当然ながら、あるとうれしいヤツです。バッグの中で勝手に開かないし。
マキノ あれ、なんか表紙の端に切り欠きありますよね。もしかして、これも何か役に立つヤツですか?
きだて 針金のリングノートって、ペンのクリップを引っかけて持ち歩いたりするでしょ。でも、ソフトリングはそれができないので、代わりにここに……。
ペンにクリップさえ付いていれば、ペンの太さに関係なく挿せるので、一般的なペンループよりもむしろ便利かも!
マキノ あー! ペンが挿せるようになっている! これは、細かいとこまで気がきいてるなー!
きだて ちゃんと、携帯するメモ帳としても使えるように考えられてるんですよ。
マキノ ちょっと気になったんですけど、今回紹介されたのって、ぜんぶ方眼罫じゃなかったですか?
きだて そう、方眼罫でした。これは、僕が方眼罫好きってのもあるんだけど……。
マキノ 単に好みかい!
きだて いや、それはそれとしてね、メモはできれば横罫より方眼罫のほうが使いやすいと思うんだ。文章だけじゃなくて、図とか表を手書きすることもあるって言ったでしょ。だから方眼罫のほうが役立つかなー、と。
マキノ そういうことですか。
きだて ちなみに、「リングメモ パッと」は2.5mmという、かなり細かな方眼罫。細かい字を書くのにもいいし、いっそ方眼を無視してフリーで書くにも使いやすい。
マキノ へー、かなり特殊な方眼罫なんですね。
きだて 「hirakuno ツイストノート」は5mm方眼罫だけど、リーフを替えれば好みで横罫も選べるのがメリット。「ソフトリングノート<スーファ>」は、同社の「ジブン手帳」と同じ4mm方眼罫なので、慣れた人にはより使いやすいかもね。
マキノ 同じ方眼罫でもいろいろありますね。そういうところから考えて選ぶのも面白いかも。
コクヨの「ソフトリングノート<スーファ>」を自腹買い! 何と言っても、きだてさんが言うとおり、サイズ感が抜群。置いて書いても持って書いても、ちょうどいいのがうれしいですね。4mm方眼罫の「キャンパス原紙」も、メモ書きや走り書きにもってこいでした。ちなみに、ミドリの「リングメモ パッと」はすでに持っていたみたい……。とにかく、この“オートセーブ機能”は1度使ってみる価値あり!
最新機能系から雑貨系おもちゃ文具まで、何でも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は大手文房具店の企画広報として企業ノベルティの提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。