新しくテープのりを購入するにあたって、おそらく大多数の人が気にするのが「粘着力の強さ」だと思います。
のり(糊)を選ぶんだから、粘着力の強さ=基本性能と考えるのは間違っていません。「いちばん強いテープのりが欲しい」という要望は、ユーザーとしては当然のものでしょう。
しかし正直な話をすると、現在一般的に店頭に並んでいるテープのりであれば、実用に足りないような粘着力の製品なんてありません。基本的に、どれもちゃんと貼れて、はがれない(わざと粘着力を弱めた「貼ってはがせる」タイプなど、用途の異なるものは別です)。
であれば、何をテープのり選びのポイントにするか? たとえば、使い勝手を考えるのであれば、“キャップにひと工夫”のある製品が思った以上に使いやすいんですよ。
テープのりは、粘着剤(テープ)とヘッドが本体から飛び出して露出している構造です。つまり、ヘッド周辺をカバーするキャップがないと、持ち運びがしづらい。むき出しのままでペンケースに入れてしまうと、粘着剤にホコリやゴミが付いて使い物になりませんし、ヘッドの破損も考えられます。キャップの密閉性が高ければ、テープやヘッドはより確実に守られますが、しかしその分、開閉しにくくなって面倒くさい、というデメリットも。
これまでのテープのりは、その辺のバランス取りにも苦労していたんです。
これまでにない斬新なキャップ開閉機構を持つテープのり「ドットライナーフリック」(コクヨ)
2022年6月に発売されたコクヨ「ドットライナーフリック」は、テープのりの大定番「ドットライナー」シリーズの最新アイテム。その最大の特徴が、密閉性と開けやすさを両立させた、新機構のフリックキャップです。
スマホのフリック入力と言えば、親指で画面を素早く弾くような動作のこと。このフリックキャップもその名のとおり、親指1本で開ける仕組みを持っています。
スパッと開くフリックアクションは、意味なく何度も開けたくなるほど爽快です
開ける際は、キャップ基部を親指で押し進めてから、わずかに横(左右どちらでもOK)にズラすだけ。すると、バネの力でスパッとキャップが横に折れて、ヘッドが露出します。
一瞬のワンアクションで開けられますが、しかし力をかける向きが複雑なため、意図せずには開きにくくなっているのも重要なポイント。ペンケースの中で勝手にキャップが外れて、テープがホコリまみれになるようなトラブルは、まず発生しないはず。
キャップが本体裏側に回り込むため、ヘッド周りがよく見えて作業しやすいのも◎
すき間の少ないフルカバーキャップで、そもそもの密閉性も非常に高いです
「ドットライナーフリック」は、コスパのよい詰め替えタイプなのも特徴。
本体は、詰め替え可能なボディとしては業界最小クラスで、非常にコンパクト。ペンケースへの収納も、このサイズ感なら問題なさそう。
このサイズ帯では最長となる、12mの詰め替えロングテープ
テープ自体も、粘着剤と基材(フィルムテープ)を従来品より薄くすることで、テープ長を12mにまでアップ。このボディサイズであれば、テープ長8〜11mが一般的なので、これはかなりの大容量と言えます。もとより、コスパにすぐれた詰め替えタイプなのに、さらに大容量テープでたっぷり貼れる。これはお得!
フリックキャップによる使いやすさ&薄型テープによる大容量化は、実際にテープのりを運用するうえで、かなり役に立つ要素です。さほど製品差のない「粘着力」よりも、「スパッと気持ちよく開けられるか」や「コスパのよさ」を気にしたほうが、確実に幸せになれると思います。たぶん。
最新機能系から雑貨系おもちゃ文具まで、何でも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は大手文房具店の企画広報として企業ノベルティの提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。