本連載は、文房具ライターのきだてたくが、「価格.comマガジン」の編集担当・しえるに、便利な文房具をリモートで必死にプレゼンする様子を実況。もし紹介された製品の中で「欲しい」と思うものがあったら、それをしえるが実際に購入!……という自腹買い企画です。
第15回は、「展示会の取材で便利なツール」をテーマに、3製品をプレゼン!
「価格.comマガジン」の編集担当・しえる(左)に対し、文房具ライターのきだてたく(右)が、プレゼン!
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コロナが第7波とかになっちゃって、また大変なんですけども、それでも最近は、メーカーの展示会とか製品発表会とかがだいぶ復活してきたんですよね
そうですね。一時期はリモート発表会とかばっかりだったんですけど、リアルが戻ってきた感はあります
なので、割とあちこちへ取材に行く機会も増えているんですが……、しえるはそういう取材とかよく行くほう?
私はあまり行かないですね
あれ、「価格.comマガジン」の編集さんってそういう取材に行き倒してるイメージなんだけど
いやー、私は引きこもりなんで。きだてさんは多いんですか?
多いです。特に夏から秋口にかけての今のタイミングって、文房具業界の展示会がめちゃ多い。で、改めてこのタイミングで、いったん取材用のツールを考え直そうかな、と。展示会って、メモしながら写真を撮って、名刺渡すのと同時に資料を受け取って……みたいな感じになるので、基本的に手が2本じゃ足りない
それはアップアップになりそうですね。手が4本はないと困る感じだ
そうならないための取材ツールを考えようってことで。ライターや編集者に限らず、仕事で展示会を見に行く人は多いでしょ。なので、今回はそういう人たちにおすすめしていこうと思います
まず1発目がですね、クリップボードです
クリップボードってアレですよね。なんか板に紙をのせて挟んでおくやつ
ザックリ言うとそうね。屋外などの机がないシーンで書き込みするには必携なんだけど、普通のクリップボードだと、さっき言ったように手が2本では足りない状況に陥りやすい。両手にそれぞれボードとペンを持ってるときに、「はい資料です、どうぞ」って渡されたら、もうアウトでしょ
ほんとだ、確かに手が足りないですね
とりあえずこれひとつでなんとかなる、という安心感のある「オールインクリップボード カバー付き」(キングジム)
そういう場合に助かるのが、キングジムの「オールインクリップボード カバー付き」
オールインって、要するにオールインワン化粧品みたいな話ですか。全部入り的な
そうそう。普段は二つ折りになっていまして、まずガバッと開くと右側がクリップボードですね。こちらはごく普通の、バネクリップで書類の上部を挟んで固定するタイプ
カバーを折り返して、クリップボード形態に。取材中は基本的にこの状態で持ち歩くことが多いです
割と普通ですね。そこは問題なく使えそうですけど、ポイントはさっきからチラチラ見えてる左側ですよね。なんかいろいろありそうな雰囲気で
そう、見開きの左側……つまりカバー側ですが、書類をサッと差し込めるクリアホルダーが付いているので、受け取った資料なんかはまずここに入れちゃえばいい。あと、名刺交換するとき用に名刺ホルダーも付いているので、カバンから名刺入れを取り出す必要もなし
あ、もう手が足りた。これ便利なヤツじゃないですか
カバー側は、ペンホルダー・クリアホルダー・名刺入れ・クリアポケット×5・チャックポケットと盛りだくさん
いやいや、まだここからですよ。さらに5ページ分のクリアポケットが付いています。ここには、事前にプリントアウトしておいた会場の地図とか、あとは講演会やイベントのスケジュールとかを入れておくと、ぺらぺらめくって閲覧できる
すごい、至れり尽くせりだ
あと、ジップロックみたいなチャックポケットも1枚あるので、たとえば経費精算のいるレシートみたいな、落としたら困る紙類を入れておくといいですよ
めちゃくちゃ盛りだくさんじゃないですか。これは完全にオールインですよ
もう1個言わせて! クリップボードの裏側も便利なの。ほら、ゴムメッシュのポケットになってるでしょ。厚みのあるものとかも入るので、スマホとか、あとは取材用のボイスレコーダーとか入れっぱなしで持ち歩くとラクでさー
ボードの裏側はメッシュポケットに。厚みのあるものも入るので、なにかと重宝します
うーん、これ面白いですよ。私、コミケとかの同人誌即売イベントによく行くんですけど、目当てのブースにマーキングした地図とかを持ってウロウロするし、小銭のやり取りとかしてると手が足りないなんてこともあって。意外とそういうイベントにも重宝しそうじゃないですか
そうかも、取材じゃなくて、そういうイベント巡回にも使えるか
クリップボードを使うときに、絶対に必要になるのがボールペンなんですけど……、実はクリップボードとボールペンってめちゃくちゃ相性が悪いんだ
えー、なんでですか。普通にボールペンで書くでしょ。何が悪いんですか
きだて ボールペンって、中に入っているインクを重力でペン先に送る仕組みなんですよ。だから基本的にはペン先が下を向いてないとダメ、というね
そうなんですか!?
あと、ペン先が地面に対して水平以上に傾くと、ペン先と中のボールに隙間ができて、そこから空気が入ることもあって。そうなるとインクが出てこなくなるし、場合によっては2度と書けなくなることも……
知らなかったー。じゃあ、クリップボードとか絶対にダメじゃないですか。気を付けよう
圧縮空気でインクを加圧する油性ボールペン「エアプレス 0.7mm」(トンボ鉛筆)
確実に即死するわけではないけど、そういう上向き筆記は故障の原因になりやすい。インク切れじゃないのに書けなくなった場合とか、上向き筆記が原因のことも多いですよ。だから、クリップボードの上で筆記するときは専用のボールペンを使うべき。そこで個人的におすすめなのが、トンボ鉛筆の「エアプレス」です
おっ、短くてかわいいですね。それにしても、クリップボードに書く用のペンとかあるんだ。どういう仕組みなんですか
ノックすることで、加圧タンク(軸内の黒い部分)の空気を圧縮。インクを押し出す機構です
一般的には「加圧式」なんて呼ばれるジャンルのペンなんですが、要するにインクの後ろから圧力をかけてインクを押し出すので、重力みたいなもんに頼らなくても確実にインクが供給される。あと、ボールの隙間からインクが入ることもないですね
へー! なんかすごいな!
「エアプレス」は、インクを加圧するのに圧縮空気を使います。ペン先を出すのにノックをガシャッと押すでしょ。それによってペン軸の中のタンクで空気を圧縮して、インクを押す。これならクリップボードへの上向き筆記もノープロブレムだし、なんなら水中や無重力空間でも書けます
水圧に負けずにインクが押し出されるので、水中でも筆記可能。サバイバビリティは高いです
壁かけカレンダーに何か書くときは、明らかに上向き筆記。加圧式ペンを使ってください
“無重力の場所”に行く予定がないので、それはいらないですけど
あと、この短いサイズも取材に便利なんだ。普通のボールペンの長さが大体140mm前後なんだけど、「エアプレス」は122mm。これだけ短いと、ポケットにサッと入れるやすいんですよ。取材時に手を空けたいときとか、どこにでも放り込める
小ささにはそういうメリットもあるんですね
ペン本体が小さいと、書いてる状態から手をいちいち握り直さなくても素早くノックできるしね。その辺りも取材向き。僕は実際、展示会取材用に10年ぐらいずっと使っています
ラストはですね、最近見つけたばっかりの、展示会取材最強カバンを紹介します。というか、これを紹介したくて今回のテーマを決めた感までありますね
カバンって文房具ジャンルなのかな。そういうのもきだてさんの範疇なんですか
いいんですよ。発売元もサンスター文具だし。「カウモ 買いまわりトート」って製品です
見た目は普通ですが、実はすごい機能を秘めた「カウモ 買いまわりトート A4サイズ」(サンスター文具)
買い回り……! なんかすごい身近なワードが聞こえた気が(ゴクリ)
そう、コミケなんかのイベントで、ブースを移動しながら同人誌を買うのを“買い回り”って言うんですよね。これはまさに、同人誌の買い回り専用に作られたトートバッグなんですよ
それはもう俄然知りたいですね。どういうものか教えてください
興味のボリュームが急に上がった(笑)。僕もその手のオタクイベントはよく行くんですが、買った同人誌をしまうのに、リュックだといちいち背中から下ろすことになる。トートやショルダーでも、肩からヒモを下ろさなきゃだし。それが何度も繰り返されると、結構面倒ですよね
わかります。あれは面倒くさいし、疲れます
ところがこの「買いまわりトート」なら、トート側面にジッパーが付いているので、ジャッと下ろすとですね、ほら、同人誌がスッと入っちゃう
荷物をトートに入れたいときは、肩ヒモを外すことなく側面ジッパーを開いて……
スッと収納完了。このラクさは、絶対に体感してほしい!
えっ、ヤバ……、何これ……、最高でしょ
そして、これが展示会取材でも、めちゃくちゃ使えるわけですよ。資料とかサンプルを受け取ったら、肩からカバンを下ろすことなくサイドジッパーを開けて、入れて、戻す。これがまぁラクでラクで。先日も文房具の展示会にこれを持っていったんですけど、まる1日ずっとトートを肩から下ろさずに取材を完遂できましたよ
こんなトートバッグあったんですね。うわー、すごい。買います
結論早いな。あと、表側にはDカン付きのポケットが2つ付いてて、オタク的には缶バッジやアクキー(アクリルキーホルダー)を付けて“痛仕様”にカスタマイズできます。ビジネスユースの場合は、名刺入れやスマホの収納に便利です
側面のポケットは、名刺入れがジャストサイズ
見た感じ、トート自体もしっかりしてますよね
表と裏にそれぞれしっかりした芯材が入ってるので、満員電車に乗っても中身がグシャッて潰れません。あと、付け外し可能な底板も付いているので、同人誌をたっぷり買っても底が抜ける心配なし
あー、はい、わかりました。これは、“完璧にわかっている人”が作っていますね。わかっている天才の仕事だ
あとひとつ、これは取材関係なくて、同人誌向けの話なんですけど、内ポケット近くにこういうフラップが付いていまして。これをトートの口にかけると、上からのぞき込まれても中身が見られないよう、カバーできるんです
中身が外から見られないよう、フラップでガードも可能
ぎゃー、最高。最高です。わかられ過ぎてて怖い
今回の3点ですけど、しえる的にはどうですかね。もうトートは買うんですよね、どうせ
そこは間違いないとして、この企画、別に2点3点と買っても大丈夫なんですよね?
自腹なんだから、好きなだけ買えばいいじゃん
ちょっとボールペンも気になっているんですよね。加圧式というのがどんな感じなのか、書いてみたい
書き味はまぁそんな普通と変わらないんですけどね。ただ、壁かけカレンダーに書き込むとか、そういう場合にも役立ちますからね。加圧式は1本持っとくといいです
そうですね。上向き筆記でペンが壊れるかも、というのを知らなかったので、興味はあります。どうしようかな。うーん、考えます
夏コミが近いこともあり、ひとまずサンスター文具「カウモ 買いまわりトート」を自腹買い! A4サイズとB5サイズの2種類がラインアップされており、私はA4サイズを購入しました。試しに、手持ちの同人誌(一般的なB5サイズ、24〜40P)を入れてみると、30冊前後がきれいに収まりました。芯材のおかげで、カバンの側面がへたらないので、同人誌が曲がらないし、外から見えちゃう心配もないのがうれしい! B5サイズの同人誌を入れた場合、左右が余るので、同人誌即売会で使うならB5サイズのトートでもいいかもしれませんが、A4なら変形サイズの同人誌やノベルティも入れられます! これは愛用できそう♪(もちろん仕事の取材でも使います!)
最新機能系から雑貨系おもちゃ文具まで、何でも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は大手文房具店の企画広報として企業ノベルティの提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。