本連載は、文房具ライターのきだてたくが、「価格.comマガジン」の編集担当者に、便利な文房具をリモートで必死にプレゼンする様子を実況。もし紹介された製品の中で「欲しい」と思うものがあったら、それを編集担当者が実際に購入!……という自腹買い企画です。
第19回は、「特殊なフォルムが使いやすさに直結してるテープのり」をテーマに、3製品をプレゼン!
「価格.comマガジン」の編集担当・マキノ(左)に対し、文房具ライターのきだてたく(右)が、プレゼン!
きだて 今回は、「テープのり」をプレゼンしようかなと思うんですけども。
マキノ あ、確かに本連載で「テープのり」を取り上げたことなかったですよね。
きだて 僕は趣味で割と紙工作とかするんですけど、貼り合わせるのに液体のりを使うのが苦手でねー。出しすぎてシワが寄ったり、のりが別の場所に移っちゃったりとか。
マキノ なんか、まぁわかりますけども。
きだて 不器用な人間は、液体のりが苦手なんですよ。あれは使いこなすのが難しい!
マキノ そうか、きだてさんは以前からそういうポリシーですもんね。不器用だからこそ性能のいい便利な道具を使う、という。
きだて それそれ。器用な人は適当に雑な道具使ってもちゃんとできちゃうでしょ。でも、テープのりは不器用な人でも失敗しにくいですからね。なので、紙を貼る作業は今、ほとんどテープのりを使ってますよ。
マキノ かなり使い込んでそうですね。じゃあ、今回はそのなかからオススメを紹介してもらうって流れですか。スティックのりはダメなんですか?
きだて 使いやすさの面では問題ないけど、接着力が全体的に弱いんですよね。あと、放置しとくと思ったより早くカピカピに乾燥して使えなくなったりするし。あと、ピンポイントに塗るのが……。
マキノ あ、これ聞いちゃうと話長くなっちゃうやつでしたね……、やめましょ。とにかく、本題のテープのりのオススメ、お願いします!
きだて テープのりもいろいろと種類があるんですが、今回はちょっと変わり種というか、特殊なフォルムが使いやすさに直結してるテープのりを3つ、紹介しますね。
マキノ へー、なんか面白そう。
きだて 最初に紹介するのがコクヨ「ドットライナーフリック」です。「ドットライナー」と言えば、テープのり業界では最もメジャーと言っていいくらいのブランドなんだけど、本モデルはそのなかの最新アイテムです。
新開発の特殊キャップを搭載したコクヨ「ドットライナーフリック」
マキノ 見た目、特殊じゃないですね。めっちゃ普通な気がしますけど。
きだて うん、いかにもテープのりって形だし、サイズもコンパクトでしょ。でも、キャップ機構が非常に特殊なんですよ。「フリックキャップ」って言うんですけど、こうやって開けます。スパーン!
マキノ おー、親指でスパッと開けましたね。なるほど、確かにフリック操作(スマホなどの画面を弾くような動き)っぽいな。でもこれ、どう使いやすくなるんですか?
親指で弾くようにスパッとキャップを開ける爽快感は、クセになるかも!?
きだて えーとね、従来のテープのりのヘッドを覆うキャップって、完全に取り外すか、あるいは本体の上に移動させるかの2択なんですよ。
マキノ はいはい。キャップを取り外すのは面倒くさいですよね。外したキャップを紛失しそうだし。
きだて とはいえ、本体の上に移動させるキャップもデメリットがあって……。貼り作業をする際に視界に入り込むから、ヘッド周りが見えにくかったりするんだ。いっぽうで「フリックキャップ」は、自分から見て本体の裏側にキャップが回り込むでしょ。
マキノ そうか、それならヘッドが見えづらくなることはないですよね。なるほどー。
ユーザー側から見るとキャップが本体の裏側に回るので、視界のジャマにならず作業しやすい
きだて あと、テープのりを筆箱に入れて持ち歩くとき、キャップが勝手に開いちゃうと、ヘッドにホコリや小さなゴミが付着して大変なんです。だけど「フリックキャップ」を開くには、まず親指で少し前に押し出してから左右にずらす、という動作手順が必要なんです。
マキノ そうか、ある意味、キャップにロックがかかってるみたいなもんですか。
きだて 何かの拍子で開くとはないけど、意識して開けようとすると簡単にスパーンと開く。これは気持ちいいよ。
マキノ なかなかよくできた機構ですね。面白いな。
きだて あと、本体はかなりコンパクトなんだけど、テープは詰め替え式。たぶん詰め替え式のテープのりとしては最小クラスでしょう。
マキノ コスパの面で詰め替えできるのはありがたいですからね。いいじゃないですか。
きだて 個人的には今最もお気に入りのテープのりですね。筆箱に常備してます。
きだて 次もまたコクヨの「ドットライナー」シリーズからなんですが、こちら「ドットライナーホールド」と言います。
マキノ え、何これ。テープのりなんですか? 見た目だけだと、どうやって使うのかまったくわかんないですね。ほとんどホッチキスじゃないですか。
用途特化で機能性を高めたコクヨ「ドットライナーホールド」
きだて うん、見た目も特殊だし、用途も割と特殊というか、限定的というか。これ、主に封筒を封かんする専用のテープのりなんです。
マキノ なんじゃそれ。めちゃくちゃニッチですね。
きだて でも封かん(=封筒をのり付けしてとじる)って、テープのりが最も活躍できる作業ですしね。ある意味王道のツールとも言えますよ。
マキノ あー、そう言われればそうか。
きだて 封かんって、封筒のタブ部分にのりをつけたら、タブを折って貼り付けて密封しますよね。この作業をテープのりでやろうとしたら、まず机の上でやらなきゃいけないんですよ。
マキノ それはそうですよね。封筒を平面の場所に置いて手で押さえて、その上をコロコロとテープをつける、という流れでしょう。
きだて ところが「ドットライナーホールド」はそういう手間が必要ない。封筒タブの端っこをホチキス留めするみたいに差し込んで、グッと挟んで、タブを引き抜く。するとこのとおり、きれいにテープが付きます。
挟んでグイッと引き抜くだけなので、のり付けのスピードも圧倒的に速い!
マキノ おおー、すごい! これ簡単ですね。やってみたい。
きだて まず、机が不要なので狭い場所でも封かんできる。いちいち“置いて押さえて”が必要ないので素早く貼れる。あと、タブの端ギリギリにまっすぐ貼れるので密閉性が高くて剥がれにくい。
マキノ メリット多いなー。タブの端っこギリギリにテープがつくのってスゴいですよね。一般的なテープのりでやろうとしたら、机にはみ出すの覚悟で貼らなきゃいけないでしょ。これはタブの端っこまで来たら自動でテープが止まるとか、そういう仕組みなんですか?
きだて いや、はみ出し放題ですよ。でもはみ出したテープののりクズはヘッドの下にあるクリーニングローラーに巻き取られるので、紙の必要ない部分に移ったりする心配はありません。
マキノ えっ、それスゴい。
きだて ちなみになんですけど、封かんだけじゃなくて、普通のテープのりっぽくも使えるんですよ。本体下をパカッと開くとヘッドが出てくるので、貼りたい部分に押し当てて転がせばOK。
ヘッドローラーを直接紙に転がしてものり付けできる1台2役仕様
マキノ へー。なんか封かん専用って部分にちょっと抵抗あったんですが、いつもの使い方も可能なら試してみたいかも。
きだて 実は発売から16年ぐらい経ってる地味なロングセラー品なんですが、僕は昔からめちゃくちゃ愛用しています。詰め替えのストックも箱で買ってますからね。
マキノ そんなに買います?(笑)
きだて ところで、そろそろテープのりが普段以上に活躍するシーズンが来るんですよ。
マキノ え、そんな季節商品でしたっけ、テープのりって。
きだて 確定申告をするとき、領収書やレシートをノートに貼って管理するでしょ。あれもまたテープのりの主戦場と言えるわけです。
マキノ そうか、そういえばそうですね。
ミニホッチキスのような形状のプラス「ノリノスポット」
きだて そこで役立ちそうなのが、つい先日発売されたばかりのプラス「ノリノスポット」なんです。
マキノ テープのりと言えば、やっぱりプラスは出てきますよね。それにしても、形状が「ドットライナーホールド」と似ているような。
きだて うん、ホッチキスっぽいフォルムは「ドットライナーホールド」と似ていますね。サイズはこっちが半分ぐらい小さいんですけども。
マキノ じゃあ、これも紙を挟んでのり付けする方式ですか。
きだて じゃあとにかく貼ってみましょうか。まず、レシートの端っこを差し込んで、ジャキッと挟むと……、これでのり付け完了。
スリットの奥まで紙を差し込んで、上から押すと……
マキノ あ、これは挟んで引くんじゃないんですか? 挟むだけ?
きだて 正確には、紙を挟んで本体を上から押す感じ。そのまんまホッチキスと同じ動きですね。するとホラ、ちょこっとのりが付いてるでしょ。
マキノ あ、ホントだ。四角いのりが。
紙の端ギリギリにのり付けスタンプ完了
きだて 横8.4×縦6mmののりが、スタンプで捺したみたいにつきます。これをレシートに2か所ぐらいポンポンとつけたら、ノートに貼って……。
マキノ へー、こんなポイントで貼るタイプのテープのりもあるんですね。珍しいな。
きだて いやいや、ポイント貼りのスタンプ型テープのりって、そんなに珍しいものじゃないんですよ。割と昔から各メーカーが出していて。ただ、それらはハンコのように、垂直にポンと捺して付ける方式ばかりで。
マキノ 昔からあるんだ。知らなかったですよ。
きだて 垂直に捺すスタンプ型は、貼る場所を狙って捺さなきゃいけなくて、これが割と面倒くさい。紙の端っこを狙ってもズレることがあったりで、思った位置でジャストに貼るのはちょっと神経を使うんですよ。
マキノ そうか、これだと挟むだけで紙の端にのりが付くからラクなんだ。
きだて そう。いちいち狙わなくても自動でいい位置にのりが付くの、めちゃラクなんですよ。これはよくできてる。
マキノ ちょっとずつポイントで貼ると、テープが減りにくそうなのもいいですね。
カバーを完全に閉じると、ペンケースに入れて持ち運びやすい携帯モードに変形
きだて それもあるね。たとえば学生は、授業プリントをノートにテープのりで貼ることが多いんですけど、プリントの四隅にちょっとのり付けして貼ればいいんです。
マキノ コスパもよさそうだ。
きだて 詰め替えテープは4mと短いので、メートル当たりの価格はそんなに安くないんですけどね。とはいえ、1回に使う量が少なく済むので、かなり長持ちするんじゃないかな。
きだて どうですか、テープのり。どれか欲しいのありましたか。
マキノ テープのりを挟んで貼るってやったことないんで、「ドットライナーホールド」は気になりますよね。ちょっとやってみたい。ただ、もう最近は封筒で何かを郵送する機会がグッと減っちゃってるんで、どこまで使うかはわかんないですけど。
きだて それはあるねー。僕みたいなライターもひと昔前は編集部に紙の請求書を送っていたんで、いつも月末になると何通も封かんしていたんだけど。最近はすっかり電子化しちゃったので、「ドットライナーホールド」がだいぶ減らなくなった。
マキノ まぁでも使う機会がゼロなわけではないし。あと、同じく挟むタイプの「ノリノスポット」も気になるな。そもそもスタンプ型テープのりを知らなかったので、こっちも試してみたい。
きだて ヘッドを紙に当ててコロコロ転がすより、圧倒的にラクで失敗しにくいですから。そういう便利さは体験してみてほしいですね。ぜひぜひ。
マキノ うーん、どうしよっかなー。
結局、汎用性が高そうなコクヨ「ドットライナーフリック」を自腹買い! 「フリックキャップ」をフリックして開けるのが単純に楽しい!(笑)。あと驚いたのが、本体サイズが想像以上に小さいってこと。これなら、省スペースで持ち運びや保管ができちゃう。のり付けの使い勝手は従来品と変わらないですが、やはりヘッドがしっかりと見えるので、のり付けがとにかくしやすいのはうれしい限りです(マキノ)
最新機能系から雑貨系おもちゃ文具まで、何でも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は大手文房具店の企画広報として企業ノベルティの提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。